バリュー評価とは?導入のメリットや注意点、書き方を詳しく紹介
更新日: 2024.11.20
公開日: 2023.5.10
OHSUGI
バリュー評価は、新しい人事評価制度として注目されつつあります。導入することで多くのメリットを得られますが、デメリットもあるため注意が必要です。この記事では、バリュー評価の意味やメリットなどを詳しく解説します。導入を検討している方は、ぜひチェックしてください。
目次
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
しかしながら「工数がかかる割には、人事評価をうまく制度化できていない」「制度自体はあるけれど、評価結果を活かせていない」」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. バリュー評価とは?
バリュー評価とは、企業側が設定する価値観に沿って行動できているか、という視点で社員を評価する制度です。企業の価値観を落とし込んだ行動規範を設定しておき、その行動規範をどの程度実践できているか、どのような過程で成果を出しているか、といったポイントで評価します。
勤続年数を重視する年功序列や、結果を重視する成果主義とは異なり、行動や過程に注目するのがバリュー評価の大きな特徴といえるでしょう。
1-1. バリュー評価に注目が集まる理由
バリュー評価は新しい評価手法として注目されつつあり、人事評価制度のひとつとして取り入れる企業も増えてきました。バリュー評価が注目されている理由としては、働き方の変化により、年功序列のような従来の制度だけでは社員を正しく評価できなくなったことや、企業の価値観を共有して、団結力や競争力を高める必要があることなどが挙げられます。
バリュー評価では、企業が求める人材像や行動規範をすべての社員と共有するため、社員の意識を高めつつ、チームの足並みを揃える効果を期待できます。今後もチームの成長や競争力強化を目的として、バリュー評価を採用する企業が増えるかもしれません。
1-2. バリュー評価とコンピテンシー評価の違い
バリュー評価とよく似た人事評価制度として、コンピテンシー評価があります。コンピテンシー評価とは、よい結果を出している社員の行動を基準とし、その基準に沿った行動ができているかを評価する制度です。
どちらの評価手法も社員の行動や過程を評価するものですが、バリュー評価においては企業の価値観が基準になっているのに対し、コンピテンシー評価においては優秀な社員の行動が基準とされます。
2. バリュー評価を導入する3つのメリット
バリュー評価を導入することには、企業の価値観を共有しやすい、離職率の低下を期待できる、社員の考える力や行動力が高まる、といったメリットがあります。それぞれのメリットについて順番に見ていきましょう。
2-1. 企業の価値観を共有しやすい
バリュー評価の大きなメリットは、企業の価値観をすべての社員と共有しやすいことです。バリュー評価では、企業の価値観を反映した行動規範を設定し、その行動規範の実践度合いを評価するため、価値観が自然と社員に浸透していきます。
組織の団結力や競争力を高めるためには価値観を浸透させることが大切ですが、企業理念や大切にすべき考え方をすべての社員と共有することは簡単ではありません。バリュー評価では、企業の価値観に沿った行動が評価され、昇進や昇給につながるため、社員は自然と価値観を意識することになります。価値観を押し付けることなく浸透させられることは、バリュー評価の大きなメリットといえるでしょう。
2-2. 離職率の低下を期待できる
バリュー評価を導入すれば、離職率の低下を期待できるでしょう。少子高齢化や労働力不足が進むなか、優秀な人材を確保することは企業が抱える難しい課題です。せっかく社員を採用しても定着せず、教育コストばかりがかかってしまうことに悩む企業も多いでしょう。
社員に長く働いてもらうためには、企業に対する帰属意識や愛着をもってもらうことが大切です。とはいえ、社員の気持ちをコントロールすることは簡単ではありません。企業側の価値観を無理に押し付けても、愛着を感じてもらうことは難しいでしょう。
バリュー評価を実施すれば、具体的な行動を通して、価値観の共有や帰属意識の向上を自然な形で進めることができます。結果として、モチベーションの維持や離職率の低下にもつながるでしょう。
2-3. 社員の考える力や行動力が高まる
社員の行動力が高まることも、バリュー評価を導入するメリットのひとつです。バリュー評価では結果だけでなく、行動や過程が評価されます。どのように考え、どのように行動を起こしたかを評価するため、社員の考える力や行動力は自然と高まります。
それぞれの社員が自発的に考えて行動するようになると、上司がいちいち指示を出す必要がなくなるため、組織全体の生産性が向上するでしょう。企業の価値観を意識しながら行動することで、顧客に対して丁寧に接するようになり、顧客満足度が向上することも期待できます。
3. バリュー評価を導入するときの2つの注意点
バリュー評価にはさまざまなメリットがありますが、評価基準を明確にしておく、目標となる行動規範を共有しておく、といった点には注意しなければなりません。それぞれの注意点の詳細は、以下のとおりです。
3-1. 評価基準を明確にしておく
バリュー評価を導入するときは、評価基準を明確にしておくことが大切です。契約数や成約率といった数値とは異なり、社員の行動や考え方を客観的に評価することは簡単ではありません。さまざまな視点から客観的に評価しようとしても、評価者の好みや主観が入ってしまうケースも多いでしょう。
判断基準が曖昧になりすぎると、納得できない社員や不満を感じる社員が出てくる可能性もあります。納得感のある評価を実施するためには、項目ごとに段階的な評価基準を設ける、社員が取るべき行動を具体的に示しておく、といった対策が重要です。
3-2. すべての社員へ目標となる行動規範を共有しておく
バリュー評価を導入するなら、目標となる行動規範をすべての社員へ共有しておきましょう。バリュー評価を導入する目的は、行動規範の実践を通して企業への愛着をもってもらったり、モチベーションやチームの結束力を高めたりすることです。一部の社員だけではなく、企業全体に行動規範を浸透させることで高い効果を期待できるでしょう。
必要に応じて、行動規範の意味や設定理由について詳しく説明することも大切です。単純に行動規範を示すだけではなく、裏側にある企業理念を含めて理解してもらうことで、バリュー評価の導入効果が高まるでしょう。
4. バリュー評価の書き方
バリュー評価は、企業の行動規範に照らし合せ社員の行動や考え方を評価する手法であるため、定性的な側面があります。そのため、評価の仕方や書き方を誤ると、社員に不信感を与えてしまう可能性が否めません。バリュー評価でコメントを書く際は、次の3点を押さえることがポイントです。
- バリューの評価基準に対する達成度を数値化する
- 実践できた点・できなかった点を具体的に伝える
- 改善点や次の目標を伝える
バリュー評価の各項目の達成度を5段階評価で測るなど数値化して示すことで、社員も納得がしやすくなります。また、バリュー評価で人材育成も図るのであれば、単に点数を伝えるだけでなく、実践できた点・できなかった点を具体的に書くことも大切です。
4-1. バリュー評価の書き方の例
ここからは、上述で説明したポイントを踏まえて、具体的なバリュー評価の書き方例をご紹介します。
営業職のバリュー評価コメント例
顧客目線での提案を徹底しておこない、顧客満足度の向上に貢献。また、チームリーダーとして相談役に徹し、後進の育成にも努めてくれた。一方で、他部署との情報共有が図れていないことで一部業務に支障が及ぶことがあった。今後は他部署との連携強化を図り、部署間の橋渡し役としての活躍も期待したい。
事務職のバリュー評価コメント例
“社員のワークライフバランス拡充”という理念の下、自らの業務の効率化を図り、さらに積極的に同僚の業務サポートにも入って、部署内の残業削減に大きく貢献してくれた。ただ、〇〇業務に対してのミスが散見されるため、業務知識の習得と改善に努めて、さらなる業務の効率化を図って欲しい。
5. バリュー評価を導入するなら評価基準を明確にしておこう!
今回は、バリュー評価の意味や重要性、導入するメリットなどを解説しました。バリュー評価は、結果や勤続年数ではなく、行動や過程に注目する評価制度です。うまく活用することで企業の価値観を社員と共有でき、組織の団結力や競争力の向上を期待できます。
企業の価値観が反映された規範に沿って行動するうちに、社員の帰属意識が高まることも大きなメリットです。モチベーションの維持や離職率の低下にもつながるでしょう。
ただし、社員の行動を客観的に評価するのは簡単ではありません。あまりにも主観的な評価になってしまうと、社員の納得感が得られない可能性もあります。バリュー評価を導入するなら評価基準を明確にし、社員全員へ共有しておくことが大切です。
人事評価は、従業員のモチベーションや生産性に直結するため、正しく制度化され運用されていることが欠かせません。労働人口の減少が問題視される昨今では、優秀な人材を採用し定着させること、従業員エンゲージメントを高めることが、企業の成長に繋がるためです。
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