年末調整の障害者控除とは?対象範囲や控除額、書類の記載方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整の障害者控除とは?対象範囲や控除額、書類の記載方法を解説

金額を確認している夫婦

年末調整において、給与所得者(従業員)やその扶養親族が税法上の「障害者」に当たる場合、「障害者控除」を申告することで所得税や住民税の納付額を減額できます。

本記事では、障害者控除の基本や対象範囲、控除額、年末調整書類の書き方について解説します。障害者控除の内容を正しく理解し、年末調整をスムーズに進めましょう。

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1. 年末調整の障害者控除とは

年末調整のブロック

年末調整の障害者控除とは、従業員本人、同一生計配偶者、扶養親族のいずれかが障害者である場合に受けられる所得控除です。所得控除を受けることで、所得税や住民税の納付額を減額できます。

給与所得者である従業員は、年末調整の際に企業を通じて障害者控除が適用されます。ただし、障害者控除の適用を受けるためには従業員本人からの申告が必要です。

年末調整の全体を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:年末調整とは?【令和7年最新】確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説

2. 年末調整の障害者控除の対象範囲

はてなマーク

8つのいずれかに該当する人が税法上の障害者であり、年末調整における障害者控除の対象です。

1

精神上に障害があることで有効な意思表示ができない人

特別障害者となる

2

児童相談所や知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医によって知的障害者と判定された人

重度だと判定された人は特別障害者となる

3

精神保健や精神障害者福祉に関する法律の規定によって精神障害者保健福祉手帳が交付されている人

障害等級が1級であれば特別障害者となる

4

身体障害者手帳に身体上の障害があると記載されている人

障害等級が1級または2級であれば特別障害者となる

5

満65歳以上で精神または身体に障害のある人で、その障害が1、2または4に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長から認定を受けている人

特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている場合は特別障害者となる

6

戦傷病者特別援護法の規定によって戦傷病者手帳が交付されている人

障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は特別障害者となる

7

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人

特別障害者となる

8

その年の12月31日時点で、6ヵ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で複雑な介護を必要とする人

特別障害者となる

参考:国税庁 | No.1160 障害者控除

2-1. 障害者手帳がなくても障害者控除は適用可能?

障害者控除の対象は、原則として障害者手帳(身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳など)を持っている方です。ただし、例外として、各種公的機関による認定を受けていれば、障害者手帳がなくても障害者に該当します。

例えば、65歳以上で身体障害または知的障害に準ずる状態と市区町村長から認定された方は、障害者手帳の交付を受けていなくても障害者控除の適用対象です。この場合、居住地の市区町村に申請して「障害者控除対象者認定書」の交付を受ける必要があります(同認定書は年度ごとに発行)。

2-2. 障害者控除の対象となる扶養親族の範囲

障害者控除の同一生計配偶者、扶養親族の範囲は国税庁で定められています。

扶養親族の要件

  • 6親等以内の血族および3親等以内の姻族(いわゆる里子や市町村長から養護を委託された老人を含む)
  • 従業員と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が58万円以下(2024年分までは48万円以下)
  • 申告する年について、青色申告事業者の事業専従者として給与を受け取っておらず、白色申告の事業専従者でもない

血族とは、従業員と血縁関係がある親族のことです。6親等以内の範囲には、甥や姪の孫、いとこの孫なども含まれます。また、姻族とは配偶者側の血縁者を指し、3親等以内の範囲にあたる甥や姪、曽祖父母などが扶養親族の対象になります。

年齢制限は設けられておらず、16歳未満の扶養親族でも障害者控除の対象となります。これは通常の扶養控除では16歳未満は適用外である点と異なる重要なポイントです。

また、この障害者控除の区分は「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の3つに分けられています。それぞれ対象となる範囲や控除される金額が異なるため、事前に確認しておきましょう。

参考:国税庁 | No.1160 障害者控除

3. 控除額はいくら?障害者区分別の早見表

電子書類と虫眼鏡

障害者控除で差し引かれる所得控除額は、該当する障害者の区分(程度)によって異なります。次の表は、障害者区分別の所得控除額の早見表です。

区分

所得控除額(年間)

一般の障害者

27万円

特別障害者

40万円

同居特別障害者

75万円

障害が重いと判断された場合は控除額が増加します。特別障害者は一般障害者よりも重度の障害がある方を指します。同居特別障害者とは、従業員の同居人に特別障害者がいる場合に適用適用される区分です。

障害者控除は対象となる障害者が複数いる場合、それぞれの区分に応じた額を合計して控除可能です。例えば、従業員が一般の障害者(27万円)で、同居する扶養親族が特別障害者(同居特別障害者として75万円)であるケースでは、合計102万円の所得控除が受けられます。

このように、年末調整をする際には、従業員がどの控除の対象者となるかを確認する必要があります。対象者を確認する際は、従業員から提出された控除の申請書の内容を参照します。

そのため、年末調整の担当者は、控除の種類や書類の記載方法を把握しておく必要があるでしょう。当サイトでは、年末調整に適用される控除があいまいだという方に向け、年末調整の控除の種類や申請方法をまとめた資料を無料で配布しています。年末調整業務に不安のある方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をぜひダウンロードしてください。

4. 年末調整の書類の書き方と注意点

注意のイメージ

最後に、年末調整での障害者控除の書き方を解説します。障害者控除は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」における「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の箇所に記入します。

4-1. 本人が控除対象障害者である場合

まずは「障害者」にチェックを入れます。次に「本人・一般の障害者」もしくは「本人・特別障害者」の欄に丸をつけましょう。最後に「障害者又は勤労学生の内容」の箇所に障害者手帳の交付日時と障害の等級を記入します。

従業員自身が特別障害者のときは同居・別居の概念がなく、控除額は一律で40万円(特別障害者の控除額)です。

4-2. 配偶者が控除対象障害者である場合

まずは「障害者」にチェックを入れます。続いて「同一生計配偶者・一般の障害者」もしくは「同一生計配偶者・特別障害者(同居している場合、同居特別障害者)」の欄に丸をつけましょう。

最後に「障害者又は勤労学生の内容」の箇所に以下の内容を記載します。

  • 配偶者の氏名(特別障害者の場合は同居 or 別居がわかるように記載)
  • 障害者手帳の交付日時
  • 障害の等級

4-3. 親や子どもなどの扶養家族が控除対象障害者である場合

給与所得者の扶養控除等申告書

引用:各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)|国税庁

まずは「障害者」にチェックを入れます。次に「扶養家族・一般の障害者」もしくは「扶養家族・特別障害者(同居している場合、同居特別障害者)」に丸をつけ、横に対象家族の人数を記入します。

最後に「障害者又は勤労学生の内容」の箇所に以下の内容を記載します。

  • 控除対象となる扶養家族の氏名(特別障害者の場合は同居or 別居がわかるように記載)
  • 障害者手帳の交付日時
  • 障害の等級

4-4.障害者手帳の写しの提出義務はあるか

従業員が障害者手帳の写しを会社へ提出する法的義務はありません。年末調整で障害者控除を受けるには、従業員が会社に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の所定欄に本人や扶養親族が障害者である旨を記入するだけで足ります。

ただし、税務調査がおこなわれた際には、年末調整の各種控除の根拠を示すことが求められる可能性があります。そのため、実務上、多くの企業では従業員に障害者手帳の写しを提出してもらい保管しているのが一般的です。

5.従業員が障害者控除を申告し忘れていたときの対応方法

注意

障害者控除は従業員からの申告がなければ適用できません。障害者控除が適用されなければ必要以上に納税することになるため、年末調整の案内時に障害者控除の存在を周知し、従業員に申告を促しましょう。

万が一、従業員が年末調整で障害者控除の申告をしそびれてしまった場合でも、本人が確定申告をおこなえば障害者控除が適用されます。年末調整で申告漏れがあった際には、確定申告を案内するとよいでしょう。

6. 障害者控除の案内をおこない正しい年末調整を実施しよう

従業員満足度

年末調整は給与所得者である従業員にとって税負担を適正化する重要な手続きです。障害者控除のように該当者にとって有利な制度も、申告漏れがあれば適用されません。その結果、本来より多く税金を納めてしまうことになります。

従業員へ年末調整の案内をする際、障害者控除についても触れ、対象となる家族がいる場合は必ず申告書に記入するよう周知しましょう。前年の年末調整で障害者控除を申告していた社員については、個別に声かけをおこなうなど配慮すると安心です。

また年末調整の事務負担を減らしミスを防ぐために、給与計算システムを活用する方法も有効でしょう。近年では年末調整の書類回収・計算の自動化・ペーパーレス化できるシステムもあります。

周知徹底と申告内容のチェックをおこない、障害者控除を漏れなく適用した正しい年末調整を実施しましょう。結果的に従業員の適正な税負担を実現でき、信頼向上にもつながります。

関連記事:年末調整の社会保険料控除とは?対象となる保険の種類まとめ
関連記事:年末調整における「ひとり親控除」の対象や寡婦控除の違い

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jinjer Blog 編集部

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