年末調整における「世帯主」とは?その定義や変更方法を紹介 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整における「世帯主」とは?その定義や変更方法を紹介

年末調整、電卓と紙幣

従業員に作成を依頼する年末調整書類には、普段あまり使わない用語も多く出てきます。そのため、どのように記載すべきか迷う人も少なくありません。例えば、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「世帯主」です。誰の名前を記載すべきかわからず、困ってしまう従業員もいるでしょう。

そこで今回は、従業員に作成を依頼する「扶養控除等申告書」で記載する「世帯主」の定義について確認していきます。また、年末調整における家族構成別の世帯主の書き方や、変更方法についても解説します。


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令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

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1. 年末調整における世帯主の定義とは

日本人3人家族のポートレート

はじめに、「扶養控除等申告書」における世帯主の定義について考えていきます。まずは、世帯とはどういう意味なのか、言葉の意味について確認しましょう。

1-1. 「世帯」とは同一で生計を営む家族の単位

「世帯」とは、同じ居住地に住み、同一で生計を営む家族の単位を指します。

よくある例としては、「一家の父もしくは母が家族を扶養し、世帯主となって一世帯を形成している」というものです。

なお、同じ居住地であっても生計が同一でない場合は、「別世帯」の扱いとなります。物理的な住まいで世帯を考えるのではなく、基準はあくまでも生計である点に注意しましょう。

例えば、親子の関係で同じ世帯に住んでいたとしても、子が扶養から抜けた場合は別の世帯になります。一つの家に複数の世帯が入っていることも間違いではなく、決して珍しいケースではありません。

1-2. 「世帯主」とは世帯の代表者のこと

「世帯主」とは、世帯のなかの代表者のことを指します。多くの場合、世帯で生計を立てるための収入を最も得ている人が世帯主です。

ただし、法律で世帯主となる人を定める決まりはありません。同一世帯であれば、世帯の実態に即して適切と認められる人を、届出により世帯主として定めます。

なお、世帯主が決定したら、居住する自治体に前もって申告しておきましょう。また、何らかの理由で世帯主を変更する場合は、変更日から14日以内に「世帯主変更届」を所轄の自治体窓口まで提出しなければなりません(住民基本台帳法第25条)。

参考:住民基本台帳法第25条|e-Gov法令検索

1-3. 年末調整書類には「住民票に記載されている世帯主」を記載する

それでは、年末調整書類「扶養控除等申告書」において、世帯主欄には何を記載すればよいのでしょうか。通常、「扶養控除等申告書」の世帯主欄には、住民票に記載されている「世帯主」をそのまま記載します。

従業員が一人暮らしで生計を立てている場合、住民票を移しているかどうかによって記載する内容が異なるため、注意が必要です。もし特別な理由があって住民票を移しておらず、実家の家族が世帯主となっている場合、世帯主欄には家族の氏名をそのまま記載します。

しかし、住民票を移しており、従業員自身が世帯主となっている場合は本人の氏名を記載しなければなりません。

つまり、年末調整書類の世帯主欄には、あくまでも従業員それぞれの「住民票上の世帯主」を確認して記載するよう周知すべきです。

関連記事:【2025年版】年末調整の書類の書き方とは?提出や保管のポイントも解説

1-4. 「世帯主」の記載はなぜ必要?何に使われる?

年末調整の「扶養控除等申告書」に記載する「世帯主」は、寡婦控除やひとり親控除の適用に影響する場合があります。所得税法では、事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいる場合、これらの控除を受けることはできません(所得税法第2条、第80条、第81条)。

例えば、申告者Aさんが世帯主で、同居するBさんの住民票に「未届の夫」や「未届の妻」と記載されている場合、AさんはBさんと内縁関係にあるとみなされます(所得税法施行規則第1条の4)。この場合、Aさんはひとり親控除の適用を受けられません。

つまり、「世帯主の氏名」や「あなたとの続柄」の記載内容は、控除の適用判定に使われる可能性があります。また、世帯主の記載は、配偶者や子などとの関係性を確認するうえでも役立つことがあるでしょう。

参考:所得税法第2条、第80条、第81条|e-Gov法令検索
参考:所得税法施行規則第1条の4|e-Gov法令検索

紙の申告書で記入してもらう場合、ミスを防ぐために、記載すべき事項をわかりやすく示すことが重要です。記載例を添付すると、従業員もスムーズに記入できます。

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2. 年末調整における家族構成別の世帯主と続柄

家系図

世帯主と続柄はどのように記入すればよいか迷う部分です。

従業員から質問があった際に答えられるように、世帯主の記載方法について「本人の場合」「実家暮らしの場合」「一人暮らしの場合」の3つのパターンを知っておきましょう。

2-1. 続柄は誰から見た関係を書くか注意しよう

続柄は「誰から見た関係なのか」という点に注意が必要です。また、この「誰から見た関係なのか」という点は、書類によって異なります。

年末調整の場合は、「年末調整をおこなう本人から見た関係」を続柄に記入します。

そのため、自分自身が世帯主の場合は「本人」、親や配偶者が世帯主の場合は「父」「母」「夫」「妻」と記入するのが正しいです。

一方で、年末調整がおこなわれなかった場合や、年末調整後に修正が必要になった場合など、確定申告をする際には、続柄は「世帯主から見た関係性」を基準に記入する必要があります。

2-2. 本人の場合の年末調整の世帯主

世帯主が自分である場合には、年末調整の世帯主は本人の氏名を、続柄には「本人」と記載します。

よくあるのは独り立ちをして実家から離れて暮らし始めた際に、世帯主が自分になるパターンです。進学や就職をきっかけに世帯主が自分になることが多いです。

ただし、住民票を移していない場合は世帯は同一のままであるため、世帯主は親や配偶者のままです。扶養に入ったままで一人暮らしをするケースや、実家から単身赴任をするケースでは、別の場所に住んでいても世帯主が家族になっていることも少なくありません。

2-3. 実家暮らしの場合の年末調整の世帯主

実家暮らしの場合の年末調整の世帯主は、世帯主には父(または母)の氏名を、続柄には「父」(または「母」)と記載します。

ただし、実家で暮らしていても世帯分離をして世帯を分けており、世帯主を自分にしている場合は「本人」と記載しなければなりません。

珍しいケースではありますが、何らかの理由で世帯分離をしている場合は注意しましょう。世帯分離は役所での手続きが必要であるため、それをおこなっていなければ同一世帯のままです。

3. 年末調整に書いた世帯主を変更する方法

書類を訂正する女性

記載ミスや従業員の家庭の事情により、年末調整書類の世帯主を変更しなければならないケースもあるでしょう。

「扶養控除等申告書」に記載されている世帯主を変更するには、次の3つのパターンがあります。

  1. 家庭の事情により世帯主を変更しなければならないとき
  2. 世帯主の記載を誤ったため、世帯主を訂正・変更したいとき
  3. 世帯主を誤ったまま会社に提出したことに気づき、訂正・変更したいとき

以下、これら3つのパターンについて、世帯主の変更方法を説明します。

3-1. 世帯主の記載が間違っている場合

世帯主を誤って記載したことに従業員が気づいた場合や、提出前に間違いが発覚した場合は、次の方法で修正ができます。

  1. 訂正しなければならない箇所に二重線をひく
  2. 二重線をひいた箇所の上に訂正印(認印可)を押す
  3. 訂正したい箇所の上もしくは下に正確な内容を記載する

なお、世帯主の記載を訂正する場合は、修正テープや修正液を使わず、ボールペンなど消せないペンで訂正するよう、あらかじめ方法を周知しておきましょう。

会社側が間違いに気づいた場合は、従業員本人への確認が必要であるため、内容の確認は早めにおこなうのが望ましいです。

3-2. 世帯主を誤ったまま会社に提出したことに気づいた場合

「扶養控除等申告書」の提出後に世帯主の記載ミスが判明した場合は、できるだけ早く従業員に訂正を依頼しましょう。控除額に影響がない場合は、申告書の訂正だけで対応可能です。

ただし、年末調整の期限(原則として翌年1月31日)を過ぎて控除額に影響する世帯主の誤りがある場合は、従業員本人が確定申告をおこない、正しい控除額を反映させる必要があります。なお、従業員の記載ミスにより追加徴収が発生する場合には、期限後でも再調整が必要になる可能性があります。

参考:法第194条から第198条まで《給与所得者の源泉徴収に関する申告》共通関係|国税庁

▼間違えた際の訂正方法について知りたい方はこちら
年末調整のよくある間違いと訂正方法・やり直しを防ぐコツとは

3-3. 世帯主は年末調整金額に影響する?

世帯主の記載は、年末調整で控除額に影響する場合もありますが、多くの場合は大きな影響はありません。そのため、間違ったままになっているケースも見られるかもしれません。

しかし、控除額に影響がない場合であっても、申告書上の誤りを放置するのは望ましくありません。扶養控除等申告書など年末調整に関する書類は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する義務があります。

従業員が後から世帯主の記載ミスに気づいた場合でも、申告してもらい、訂正して正しい内容の扶養控除等申告書として保存するようにしましょう。

参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

▼年末調整の期日を知りたい方はこちら
年末調整はいつまで?提出書類と社内期限・社員へ周知するコツを解説

4. 年末調整書類の世帯主や続柄は住民票を基本に記載するようにしよう

笑顔の男女

年末調整書類(扶養控除等申告書)を記載する場合に必要な「世帯主」の定義のほか、家族構成別の世帯主の記載方法、また「世帯主」の記載を変更したい場合の方法について紹介しました。

原則、「扶養控除等申告書」の「世帯主」欄には、住民票の世帯主と同じ氏名を記載しなければなりません。必ず住民票上の世帯主を確認したうえで記入するよう、従業員全員に周知しましょう。とくに、従業員が一人暮らしの場合、住民票を移しているかどうかによって記載する内容が異なるため、要注意です。

また、従業員から提出された「扶養控除等申告書」の世帯主を誤って記載してしまった場合も、期日までであれば訂正できます。従業員それぞれの事情に合わせて、適切な訂正方法を伝えましょう。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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