年末調整を2箇所でしてしまったら?ダブルワークの注意点と正しい対処方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整を2箇所でしてしまったら?ダブルワークの注意点と正しい対処方法を解説

大勢の人が話し合っている様子

近年は、パート・アルバイトの掛け持ちや、副業・ダブルワークなどで、2箇所の勤務先から給与を受け取っている人が増えています。

通常は、2箇所から給与を受け取っている場合、年末調整に加えて、従業員に確定申告をしてもらう必要があります。年末調整書類として提出する扶養控除等申告書は原則1箇所のみにしか提出できず、2箇所で年末調整は受けられないためです。今回は、年末調整を2箇所の会社でおこなってしまった場合の対応方法を解説します。

\【一問一答形式】で簡単にわかる/
年末調整のケース別対応方法を解説

年末調整は、従業員の家族構成やライフステージ、副業の有無、控除対象となる保険類への加入状況など、人によって複雑な分岐や異なる計算方法のルールがあるため、とても複雑な業務です。

給与計算を担当する方にとって、計算結果を統合する一年の集大成とも言える業務ですが、

結婚・離婚・定年・退職・死亡など、様々なケース別の年末調整に対応する際の注意点が知りたい」

「障害者や勤労学生、共働き、遺族年金がある場合など家族構成に関する控除のポイントを押さえておきたい」

記載ミスや、申告内容・扶養の変更、税務署からやり直し通知を受けた際などの対応方法が知りたい」

このようなイレギュラーケースの対応について不安を抱えている担当者の方に向けて、当サイトでは「Q&A形式でわかる年末調整と源泉徴収」という資料を無料配布しています。

資料では、一問一答形式でケース別の具体的な年末調整の対応方法を解説していますので、すぐに使える年末調整のガイドブックが欲しいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 年末調整を2箇所でするとどうなる?

ピースサイン

年末調整は複数の勤務先がある場合でも、どこか1つの勤務先のみでおこなわなければなりません。2箇所以上の勤務先で年末調整をすると、所得控除をはじめとした控除が重複して適用されてしまうからです。

万が一、2箇所で年末調整をしてしまった場合は、本来年末調整の対象とならない勤務先に提出した扶養控除等(異動)申告書の取り下げをする必要があります。

取り下げの対応に間に合わない場合でも、従業員が確定申告をおこなって正しい税額を支払うことができれば大きな問題にはなりません。

1-1. 2箇所でした年末調整を企業が修正・訂正できる?

自社以外でも勤務している、いわゆるダブルワークをしている従業員は両方の勤務先で年末調整をしてしまうことがあります。初めて年末調整の書類を受け取る人にはよくある間違いです。

このような場合、控除額などを正しく反映させるためには、年末調整のやり直し(再計算)が必要になります。ただし、企業側が従業員からの申告もなく、年末調整の修正・訂正をすることはできないので注意が必要です。

年末調整に関連する書類(源泉徴収票など)の法定提出期限は1月31日です。この期限までであれば、従業員が2箇所で年末調整をしてしまった場合でも、年末調整をやり直しできる可能性があります。ただし、既に源泉徴収票を発行している場合には、修正・訂正が間に合わない可能性もあるので気を付けましょう。

関連記事:年末調整の書類で間違いに気づいたときの正しい訂正方法

2. 2箇所で年末調整をしてしまった場合の企業側の対処法

計算

2箇所で年末調整を受けた従業員がいたらどのように対処すればよいのでしょうか。ここでは、複数の勤務先で年末調整をしてしまった場合の企業側の対処法について詳しく紹介します。

2-1. 勤務先の収入に応じて「主たる給与」「従たる給与」の勤務先を決める

年末調整は1箇所の勤務先でしか受けられません。2箇所から給与を受け取っている場合、どちらの勤務先で年末調整するのか、あらかじめ決めておく必要があります。

基本的には、収入が多い勤務先を「主たる給与」の勤務先、少ない勤務先を「従たる給与」の勤務先、と考えます。メインで働いている勤務先を「主たる給与」の勤務先、副業などで働いている勤務先を「従たる給与」の勤務先とみるとわかりやすいかもしれません。

2-2. 「主たる給与」の勤務先で年末調整をする

従業員が複数の勤務先で働いている場合、「主たる給与」となる勤務先を選び、その勤務先に扶養控除等申告書を提出して、年末調整を受ける必要があります。

2箇所で年末調整をしてしまった従業員がいたら、「従たる給与」の勤務先に事情を説明し、提出済みの扶養控除等申告書の取り下げをおこなってもらいましょう。年末調整の期日を過ぎてしまい、取り下げの対応が間に合わない場合は、確定申告で訂正することになります。

なお、一定の要件を満たし「従たる給与」の勤務先で、源泉徴収における税率を軽減させたい場合、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出してもらう必要があります。ただし、この書類はあくまでも源泉徴収税額の計算に使われるだけで、実際に配偶者控除や扶養控除といった年末調整で受けるべき控除が適用されるわけではないので注意しましょう。

参考:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁

2-3. 従業員自身で確定申告をしてもらう

2箇所以上に勤める従業員は、「主たる給与」の勤務先でのみ年末調整を受けることになります。複数の勤務先の給与収入を合算して年末調整を受けられないため、正しい所得税を納められているとは限りません。

そのため、「主たる給与」と「従たる給与」それぞれの勤務先から受け取った源泉徴収票をもとに、必要に応じて従業員自身で確定申告をしてもらう必要があります。確定申告の期間は、その年の翌年の2月16日から3月15日が原則です。申告・納税を怠った場合、無申告加算税や延滞税などの追徴課税を受ける可能性もあるため、余裕を持って申告できるよう従業員をサポートしてあげましょう。

関連記事:年末調整とは?確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説

3. 年末調整を2箇所でしてしまった場合のポイント

やり直し

年末調整を2箇所でしてしまった場合、先述の通り、「従たる給与」の勤務先に提出した「扶養控除等申告書」の取り下げをおこなってもらい、「主たる給与」の勤務先のみで年末調整を受けるようにします。その後、確定申告で対応します。

しかし、2箇所で年末調整を受けてしまった場合でも、確定申告が不要なケースもあります。ここでは、従業員が年末調整を2箇所でしてしまった場合の手続きのポイントについて詳しく紹介します。

3-1. 「従たる給与」の収入(所得)が20万円以下の場合

「従たる給与」の勤務先での収入(所得)が20万円以下で、なおかつ「主たる給与」の勤務先で扶養控除等申告書を提出し、年末調整をおこなっている場合は別途確定申告をする必要はありません。

もし、「従たる給与」の勤務先に扶養控除等申告書が提出されてしまっている場合には、期限までに取り下げておきましょう。

なお、「従たる給与」の勤務先での収入(所得)が20万円以下であっても、源泉徴収を受けている場合、還付を受けるために確定申告をすることが推奨されます。また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税については別途申告が必要となるケースがあります。従業員に対しては、このような点も含めて企業側から案内しておくと親切です。

3-2. 「主たる給与」「従たる給与」の合計収入が103万円以下の場合

勤務先すべての収入(「主たる給与」「従たる給与」の合計収入)が103万円以下の場合、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)の適用により、課税所得がゼロとなり、納めるべき所得税は発生しません。そのため、仮に2箇所以上の勤務先で年末調整を受けても、結果的に税額に影響が出ないケースもあります。

しかし、年末調整は1箇所のみで受けるのが原則です。従業員と企業双方に不要な事務的負担をかけないためにも、副業やダブルワークをしている従業員には、年末調整に関する正しい手続きや書類の提出方法について、事前に丁寧に周知しておくことが大切です。

関連記事:年収103万円以下のアルバイトは年末調整しなくていい?必要になる条件とは

4. 確定申告を忘れてしまったらどうなるか

ドミノ倒しを手で妨げている画像

従業員が年末調整を2箇所でおこなってしまい、なおかつ「従たる給与」の勤務先での収入(所得)についての確定申告を期限までにおこなわなかった場合、納税すべき額が不足していることで、ペナルティが課されることもあります。

どのようなペナルティが課されるのかについても、ここで確認しておきましょう。

4-1. 無申告加算税(2024年1月から罰則強化)が発生する

無申告加算税は、期限である3月15日までに確定申告をしなかった場合、追加で課されるペナルティです。基本的に、正規の税額に対し、50万円以下の部分は15%、50万円超え300万円以下の部分は20%、300万円超えの部分は30%(従来は20%)の税率を掛けて計算した金額が課税されます。2024年1月より、300万円超えの部分の税率が20%から30%に引き上げられています。

従業員個人が確定申告をおこなわなかった場合は、従業員本人に無申告加算税が発生します。企業側に無申告加算税が発生するのは、法人税の申告を忘れた場合です。

なお、自主的に期限後申告をした場合(税務署から指摘を受ける前に申告した場合)には、5%の税率を掛けて計算した金額となります。そのため、ダブルワークや副業をしていることなどが原因で、確定申告を忘れていた従業員がいることに気づいたら、速やかに申告するよう促しましょう。

参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

4-2. 延滞税が発生する

延滞税は、確定申告の期限である3月15日までに支払うはずの税金を納めていない場合に課されるペナルティです。法で定められた納付期限翌日から実際に納付された日までの日数に応じ、利息分相当の延滞税が課される形となります。

通常、納付期限から2ヵ月を経過するまでに納付がされた場合は低い税率(年7.3%)が適用され、2ヵ月を経過した場合には高い税率(年14.6%)が適用されます。また、自主的に期限後申告をおこなった場合は、修正申告をおこなう日までは低い税率(年7.3%)での計算となります。

参考:延滞税の計算方法|国税庁

▼企業側が負うリスクや罰則について知りたい方はこちら
年末調整しないことによる罰則内容を詳しく紹介
年末調整をしないとどうなる?5つのリスクと間に合わなかった時の対処法を解説

5. 2箇所で年末調整をしてしまった場合は手続きが必要!

アラート

誤って年末調整を2箇所の勤務先でしてしまった場合、複数の会社で控除が適用されてしまい、所得税が実際よりも低く算出されてしまう可能性があります。その場合は、従業員自身で確定申告をして正しい税額を納めなければなりません。

確定申告をせず、適正な納税がなされなかった場合には、罰金などの罰則が課され、従業員の生活に悪影響を及ぼす恐れもあります。年末調整が2箇所でおこなわれないよう、あらかじめ副業・ダブルワークの状況を確認するなど、対策をしておきましょう。

\【一問一答形式】で簡単にわかる/
年末調整のケース別対応方法を解説

年末調整は、従業員の家族構成やライフステージ、副業の有無、控除対象となる保険類への加入状況など、人によって複雑な分岐や異なる計算方法のルールがあるため、とても複雑な業務です。

給与計算を担当する方にとって、計算結果を統合する一年の集大成とも言える業務ですが、

結婚・離婚・定年・退職・死亡など、様々なケース別の年末調整に対応する際の注意点が知りたい」

「障害者や勤労学生、共働き、遺族年金がある場合など家族構成に関する控除のポイントを押さえておきたい」

記載ミスや、申告内容・扶養の変更、税務署からやり直し通知を受けた際などの対応方法が知りたい」

このようなイレギュラーケースの対応について不安を抱えている担当者の方に向けて、当サイトでは「Q&A形式でわかる年末調整と源泉徴収」という資料を無料配布しています。

資料では、一問一答形式でケース別の具体的な年末調整の対応方法を解説していますので、すぐに使える年末調整のガイドブックが欲しいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

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