前受金はなぜ負債科目として扱われるのか詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

前受金はなぜ負債科目として扱われるのか詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

前受金はなぜ負債科目として扱われるのか詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

前受金はなぜ負債科目として扱われるのか詳しく解説

前払い金リスト

商品やサービスの提供よりも前に受け取った代金を前受金といいます。現金を受け取るため「資産」科目のように見えるものの、実際は「流動負債」として処理しなければいけません。

前受金を受け取ることで商品提供の義務が生じ、また、キャンセルがあれば代金の返金が必要です。これらの義務が生じることから負債科目として扱われます。

本記事では、前受金を負債科目として扱う理由や、流動負債の種類、前受金の処理方法を解説します。



会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。


1. 前受金はなぜ負債科目なのか?

はてな

前受金は受け取ることで商品やサービスの提供義務が生じるだけでなく、提供できなければ返済も必要です。前受金とはどのような勘定科目か確認し、負債科目として扱う理由を解説します。

1-1. 前受金とは?

お客様が商品の注文時やサービスの申し込みをした際に、代金の一部(または全部)を支払い、事前に受け取ったときに使用する勘定科目です。内金や手付金とも同じものです。

不動産の手付金や、教育サービスの受講料の事前受け取り、商品代金の一部前受けなどの処理時に使用します。

なお、前受金とは逆に、商品や物品を先に提供し代金を後日回収する場合は、資産科目の「売掛金」や「未収金」で処理します。

関連記事:前受金とは?仮受金との違いや仕訳例を紹介

1-2. 負債科目として処理する理由

会計処理上、売上を計上するためには、商品と代金の受け渡しが同時に発生しなければいけません。これを「実現主義」といい、前受金のように代金を受け取っているのに商品を渡していないときは売上として処理できません。

また、前受金を受け取ってしまうと、企業には商品やサービスを提供する義務が生じます。もし義務が履行できなければ、前受金は顧客に返金しなければいけません。

以上のように、前受金は、受け取ることで企業に商品の提供義務が生じるため、資産ではなく負債科目として処理します。

なお、前受金は営業活動に伴なって発生する負債のため、貸借対照表上は負債の部の「流動負債」に計上します。

いったん負債として処理した前受金は、商品やサービスの提供が完了した段階で「売上」や「役務収益」などの収益科目へ振り替えて処理します。

2. 前受金以外の流動負債

ポイント

貸借対照表上、負債の部に計上されるものには「流動負債」と「固定負債」があります。それぞれの違いは以下のとおりです。

流動負債:
決算日の翌日から1年以内に返済ができる短期負債。また、買掛金のように営業活動に伴い生じる負債も短期負債に計上する。

固定負債:
返済期日が1年以上ある負債。金融機関からの長期借入金などが該当する。

流動負債は実務でも頻繁に登場するため、どのような種類があるか解説します。

貸借対照表上の他の勘定科目も知りたいときは以下の記事もご確認ください。

関連記事:貸借対照表で使われる勘定科目の意味や覚えるコツも紹介

2-1. 支払手形

支払手形とは、指定した期日までに特定の金額を支払う約束を記載した信用証券のことです。約束手形の振り出しや引き受けた為替手形が該当します。通常の掛け取引では1~2カ月程度のサイトが多いものの、支払手形だと1~4カ月程度支払いを後に引き延ばせます。そのため、入出金サイトの改善のために利用されます。

2-2. 買掛金

掛取引の中でも、販売目的の商品や、原材料の仕入れなど、本業の商品・サービス提供のために支払った代金が買掛金です。すぐに支払いが必要な現金取引や、証券が必要な手形取引と異なり利便性が高いため、利用頻度の高い取引方法です。

なお、支払手形と買掛金は仕入債権に分類されます。

2-3. 未払金

有価証券や事務用品など、仕入代金とは異なる費用で短期的な取引の未払い費用が未払金です。なお、サービス利用料など、費用の支払いが継続的である場合は「未払費用」という勘定科目で処理します。

2-4. 短期借入金

返済期限が1年以内の借入金です。金融機関からの借入れ以外に、親会社や取引先、個人からの借入れも含まれます。なお、長期借入金を分割返済する際は、固定負債から流動負債への振替処理が必要なケースもあります。

代表的な短期借入金は、証書貸付、手形貸付、ファクタリング、当座貸越です。

2-5. 引当金

引当金とは、将来発生すると予想されるリスクに対して、あらかじめ準備しておく金額のことです。引当金を積み立てることで、あらかじめ当期の費用として繰り入れられます。引当金は性質上、以下の2種類に分類されます。

評価性引当金:
貸倒引当金など、将来の損失に対する準備金。

負債性引当金:
賞与引当金や退職給付引当金、修繕費引当金など、将来の支出に対する準備金。

なお、上記のうち「退職給付引当金」は、1年以上先に発生する費用のため、固定負債に分類されます。

関連記事:貸倒引当金の計上で損金算入によって期待できる節税効果とは

2-6. その他

貸借対象表上では未払費用や未払法人税等も「未払金」とは別に、流動負債として計上します。未払費用の内容は先述の通りです。

未払法人税等とは、事業年度終了後に納付が必要な法人税や住民税、事業税などの未払い分です。通常、中間納付分を差し引いた額を未払法人税等として計上します。

3. 前受金の処理の流れ

仕事・申請の流れ

前受金の仕訳では、商品の販売前・販売後に分けて仕訳を行います。三分法を使った前受金の処理の流れを解説します。

3-1. 前受金を受け取ったとき

1万円の商品Aが現在欠品のため、3,000円分の商品代金を事前に受け取ったときの仕訳は以下のとおりです。

(借方) 現金  3,000円 / (貸方) 前受金  3,000円

商品の価格は1万円ですが、実際に受け取っているのは3,000円のため、その分のみ、帳簿上現金が増加したものとして処理します。なお、商品の提供は済んでいないため「売上」の勘定科目は使いません。

3-2. 前受金を受け取った商品を販売したとき

無事、商品Aが入荷され、顧客から残りの代金を受け取り、商品を販売した際は以下の方法で仕訳します。

(借方) 前受金  3,000円 / (貸方) 売上  10,000円
     現金   7,000円

上記の仕訳を行うことで、前受金を相殺し、売上に振り替えます。なお、残額を掛けとした場合は、現金ではなく「売掛金」など所定の勘定科目で処理します。

3-3. 商品がキャンセルされたとき

商品Aの入荷時期が遅れるなど、何らかの理由で顧客が商品をキャンセルしたときは、前受金を受け取ったときとは逆の仕訳を行います。

(借方) 前受金  3,000円 / (貸方) 現金  3,000円

なお、キャンセル料などを設定しているときは、貸方の勘定科目から所定の料金を差し引きます。

4. サービスの前受金の処理の流れ

お金のやり取り

前受金の処理は、商品売買だけでなくサービスの提供でも発生します。

例えば、1年契約の受講料1万円を事前に受け取った場合、以下の方法で仕訳します。

(借方) 現金  10,000円 / (貸方) 前受金  10,000円

決算時の収益の計上方法は2通りあり、1つは全ての講義が終わったときにまとめて計上する方法です。もう1つは、講義の進捗状況に応じてその分のみ計上する方法です。

例えば、決算時に70%講義が終了している場合は、以下の方法で収益を計上します。

(借方) 前受金  7,000円 / (貸方) 役務収益  7,000円

なお、サービス業の場合、提供した分の収益だけでなく、仕掛品や役務原価などの勘定科目を使い、費用も合わせて計上する必要がある点に注意しましょう。

5. 前受金は流動負債として間違いのないように処理しよう!

チェックリスト

前受金は、商品やサービスの提供前に受け取ることから、提供義務が生じるだけでなく、キャンセルなどがあれば返金手続きも必要です。このように、企業に義務が生じる性質から、貸借対照表上は流動負債として処理します。

現金が増えるという点のみに着目し、資産として扱うと帳簿が狂う原因になります。勘定科目の性質を理解し、間違いのないように処理しましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説

「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」

などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。

そこで当サイトでは、勘定科目や仕訳に関する基本知識と各科目ごとの仕訳例を網羅的にまとめた資料を無料で配布しております。 会計の理解を深めたい方には必須の知識となりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。


MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

経費管理のピックアップ

新着記事