キャッシュフロー計算書とは?見方や作り方をわかりやすく解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.3.22
jinjer Blog 編集部
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1. キャッシュフロー計算書とはお金の流れをまとめたもの
キャッシュフロー計算書とは、お金の出入りの動きをまとめたものです。
キャッシュフローを直訳すると「資金の流れ」を意味します。一般的に「C/F」「C/S(Cash Flow Statement)」「CF計算書」と記述されることも多いです。
会計期間中にどのようなお金がいくら流入し(キャッシュイン)、どのような使途でお金がいくら流出したか(キャッシュアウト)を表します。
キャッシュフロー計算書は「財務諸表」の一つとして数えられます。財務諸表とは、一会計期間(基本的に1年間)の経営活動の財務状況を利害関係者に報告するための決算書類です。
財務諸表のなかでも重要な下記の3つの書類は「財務三表」と呼ばれます。
名称 | 目的 | わかること |
貸借対照表(B/S) | 資産・負債・純資産を管理 | 財政状況 |
損益計算書(P/L) | 収益と費用を管理 | 経営成績 |
キャッシュフロー計算書(C/F) | キャッシュ(お金)の出入りを管理 | キャッシュフロー |
キャッシュフロー計算書を作成することで、貸借対照表や損益計算書ではわからないお金の流れを把握できます。
2. キャッシュフロー計算書の見方
キャッシュフロー計算書では、お金の出入りを大きく下記の3つに分類して表します。
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー
上記の分類をもとにキャッシュフローを見ていきます。
2-1. 営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)
「営業活動によるキャッシュフロー」とは、企業の中心的な事業活動で生じたお金の動きです。
プラスであることが基本です。プラスの数字が大きいほど企業の資金が潤沢であるとわかります。一方でマイナスの場合は資金不足の状況です。
営業活動によるキャッシュフローの収支 | 状況 |
プラス | 企業の中心的な事業活動で収益を獲得できている |
マイナス | 企業の中心的な事業活動の業績が悪い |
2-2. 投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
「投資活動によるキャッシュフロー」とは、企業の投資資金の動きです。
プラスである場合は固定資産や有価証券の売却を積極的に進めていることがわかります。一方でマイナスの場合は投資に注力していると判断可能です。
投資活動によるキャッシュフローの収支 | 状況 |
プラス | 投資をしている 固定資産や有価証券を売却している |
マイナス | 投資を積極的にしている |
成長期の企業ほど、投資活動によるキャッシュフローがマイナスの傾向にあります。
2-3. 財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)
「財務活動によるキャッシュフロー」とは、資金調達と返済におけるお金の動きです。
プラスである場合は借入や社債発行、新株発行などにより調達資金が返済金額より多いとわかります。一方でマイナスの場合は返済金額が調達資金より多いです。
財務活動によるキャッシュフローの収支 | 状況 |
プラス | 資金調達をしている |
マイナス | 資金調達をしていない 負債を返済している |
投資活動や財務活動によるキャッシュフローは、単純にキャッシュがプラスかマイナスかだけで良し悪しを判断できません。
目的のためにお金を使い、事業計画に沿って成長を目指していることが大切です。
キャッシュフロー計算書を見るときは、お金の動きの背景で何が起きているのか、どういう理由で動いているお金なのかに注目しましょう。
3. キャッシュフロー計算書の作り方
ここでは、キャッシュフロー計算書の作り方を下記の手順で解説します。
- ステップ1. 必要な資料を用意する
- ステップ2. 項目別に要素を分類する
- ステップ3. フォーマットに記入する
キャッシュフロー計算書は、上場企業において作成を義務付けられています。作成方法を知り、社内のお金の動きを把握しましょう。
3-1. ステップ1.必要な資料を用意する
最初にキャッシュフロー計算書の作成に必要な資料を用意します。
基本の必要資料は下記の2つです。
- 貸借対照表(前期分・当期分)
- 損益計算書(当期分)
他に、固定資産や有価証券の取引、新株の発行をした場合は、取引に関する資料も追加で必要になります。
3-2. ステップ2.3種類のキャッシュフローに分類・記入する
次に用意した資料を参照しながら、3つの項目別に要素を分類します。
項目 | 要素の例 | |
Ⅰ営業活動によるキャッシュフロー | 間接法の場合 | 直接法の場合 |
・税引前当期純利益 ・減価償却費 ・売掛金の増減 ・棚卸資産の増減 ・買掛金の増減 ・法人所得税 |
・商品の販売による収入 ・商品の仕入れによる支出 ・給料の支払いによる支出 ・経費の支払いによる支出 |
|
Ⅱ投資活動によるキャッシュフロー | ・有価証券の取得 ・有価証券の売却 ・固定資産の取得 ・固定資産の売却 |
|
Ⅲ財務活動のによるキャッシュフロー | ・借入金の増加 ・借入金の返済 ・新株発行による収入 ・配当金の支払い |
営業活動のキャッシュフローは間接法か直接法かで記載方法が異なります。
種類 | 概要 | メリット | デメリット |
間接法 | 当期純利益をもとにキャッシュの増減を調整する | 損益計算書の情報をもとに作成できるため手間がかからない | 収入や支出を把握しにくい |
直接法 | 主要な取引ごとの流入・流出を直接足し引きする | 収入や支出をより詳しく把握できる | 取引ごとにデータが必要なため手間がかかる |
どちらの方法を選択しても営業キャッシュフローの金額は一致します。
一般的には、手間をかけずに作成できる間接法を採用する会社が多いです。上場企業の多くが採用しています。
ただし、国際会計基準(IFRS)では直接法が推奨されており、将来的に直説法に統一化する動きがあるようです。上場企業は直接法の採用を検討するといいでしょう。
要素を分類するキャッシュフロー計算書の作成段階では、テンプレートやひな形、会計ソフトを利用すると便利です。
出典:「IAS 7 ー Statement of Cash Flows」|IAS Plus
3-3. ステップ3.資金の増減に関する項目を記入する
分類した要素ごとの金額を記入後、資金の増減に関する項目を記入します。
資金の増減に関する項目は下記の3つです。
項目 | 概要 | 備考 |
Ⅳ現金および現金同等物の増減額 | 営業活動・投資活動・財務活動のキャッシュフローの計の合計額を記載する | 貸借対照表の現金預金の期首残高と期末残高の差額と同額 |
Ⅴ現金および現金同等物の期首残高 | 当期の貸借対照表の現金預金の期首残高を記載する | ー |
Ⅵ現金および現金同等物の期末残高 | 現金および現金同等物の増減額と、現金および現金同等物の期首残高の合計額を記載する | 当期の貸借対照表の現金預金の期末残高と一致 |
以上でキャッシュフロー計算書の作成は完了です。
4. キャッシュフロー計算書の活用法
キャッシュフロー計算書は、経営上の課題や問題点の把握に活用しましょう。
営業活動・投資活動・財務活動の各キャッシュフローや、キャッシュフロー全体を見ることで、現状の課題や問題点がわかります。
たとえば、投資活動によるキャッシュフローがマイナスの場合、マイナス分の金額が営業活動によるキャッシュフローのプラスの範囲を超えていると問題です。
投資資金を営業活動以外からの借入金などのキャッシュに頼っている状態といえます。
営業活動によるキャッシュフローのプラスの範囲を超える状態が続くと、財政状況が不安定になる可能性が高いです。
投資を控えてキャッシュアウトを減らすか、売上増加の施策実施や棚卸資産の売却などによりキャッシュインを増やすことが課題でしょう。
キャッシュフロー計算書を分析すると、経営上の課題や問題点が見えてきます。今後の経営にぜひ役立ててください。
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