ソフトウェアは減価償却できる?区分から耐用年数まで解説
更新日: 2024.5.27
公開日: 2022.7.6
jinjer Blog 編集部

会社の会計業務・人事業務・在庫管理などにソフトウェアを使用している企業様も多いのではないでしょうか。業務で使用するソフトウェアは会社の資産ですので、減価償却することが可能です。ただし、種類によっては減価償却できないソフトウェアもあります。 また、会計上のソフトウェアと税務上のソフトウェアに違いがあり、扱いに悩まれている会計担当者様も多いようです。
今回は、減価償却できるソフトウェアを区分から耐用年数まで分かりやすく解説します。 記事内では、ソフトウェアの減価償却をおこなう際の仕訳例もご紹介いたしますので、ぜひ会計処理の際の参考にしてみてください。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. ソフトウェアの購入費は、減価償却できる?


ソフトウェアの購入費は定額法などの方法で減価償却できますが、すべてのソフトウェアの購入費用を減価償却できるわけではありません。 なぜなら、ソフトウェアの使用目的によって減価償却できる資産かどうかの扱いが変わってくるからです。
関連記事:減価償却費とは?メリット・デメリット・計算方法などをわかりやすく解説
1-1. ソフトウェアとは
ソフトウェアとは、コンピュータに仕事をさせるためのプログラムのことを指しています。また、システム仕様書などの関連文書も含めたものがソフトウェアであると日本公認会計士協会が定義しています。少し堅い言い回しですが、パッケージで売られている会計ソフト、在庫管理ソフトがそれに該当します。ですが、ソフトウェアで作られた帳簿や決算書類はソフトウェアには含みません。
1-2. 会計上のソフトウェア
ソフトウェアは会計上のものと税務上のものの2種類に分かれています。また、会計上のソフトウェアは、使用目的によって以下の3種類に分類されます。ソフトウェアごとの減価償却については以下の通りです。
自社利用目的のソフトウェア・・・減価償却できる
市場販売目的のソフトウェア・・・減価償却できる
受注制作販売目的のソフトウェア・・・減価償却できない
それぞれのソフトウェアの特徴や会計処理方法については後で詳しく解説します。
1-3. 税務上のソフトウェア
税務上のソフトウェアも会計上のものと同様3種類に分かれていますが 、資産を計上する範囲に差が出ます。税務上のソフトウェアの場合、 取得価額に含めるものは以下の通りです。
取得価額に含めるもの
- 自社で制作した場合:原材料費、労務費、設置費用など
- 既製品を購入した場合:購入代金、手数料、設置費用など
取得価額に含めないもの
- 研究開発費、制作に要した少額の付随費用
2. 減価償却できるソフトウェアの区分


3種類のソフトウェアについてさらに深堀していきましょう。
2-1. 自社利用目的のソフトウェア
自社利用目的のソフトウェアとは、社内の業務を効率化させるために購入したパッケージソフトもしくは自社で制作したソフトウェアのことです。会計ソフトや在庫管理ソフトなどが、自社利用のソフトウェアにあたります。使用しているソフトウェアに「収益性があるか」どうかで、減価償却の可否が決まります。
収益性が認められる・・・無形固定資産として減価償却
収益性が不明もしくは不確実・・・経費処理
なお、クラウド型の会計ソフトを利用している場合は、資産ではなくサービスに支払いをしているため、減価償却ではなく経費処理をおこないます。
2-2. 市場販売目的のソフトウェア
市場販売目的のソフトウェアとは、ソフトウェアの原本(製本マスター)を複製し、多数の顧客へ販売することを目的にしたソフトウェアです。 製本マスターの製作にかかった支出を減価償却しますが、段階によって一部経費処理するものもあります。
研究開発費・・・経費処理
製本マスター完成品・・・無形固定資産として減価償却
メンテナンス・・・経費処理
2-3. 受注制作販売目的のソフトウェア
受注制作販売目的のソフトウェアとは、販売先から受注する形で制作するソフトウェアです。受注制作販売目的のソフトウェアは棚卸資産として計上するため、減価償却はおこないません。同じソフトウェアではありますが、市場販売の場合は製品(資産)を使いながら収益を上げるのに対して、受注販売は制作した製品そのものを販売するため、社内に資産として残らないからです。
3. ソフトウェアの耐用年数とは


減価償却できるソフトウェアは自社利用目的と市場販売目的の2種類です。
3-1. 自社利用目的のソフトウェア
会計上では自社利用目的のソフトウェアの耐用年数は5年と定められています。150万円のソフトウェアを資産として計上した場合、取得価額を5年で分割した金額の30万円を5年間にわたり減価償却費用として計上していきます。なお、税務上では、自社利用目的のソフトウェアのうち、開発研究用のものは3年、その他のものは5年に定められています。誤った減価償却期間を設定しないように注意しましょう。
3-2. 市場販売目的のソフトウェア
会計上の市場販売目的のソフトウェアの耐用年数は3年と定められています。例えば150万円のソフトウェアを無形固定資産として計上した場合、取得価額150万円を3分割した金額の50万円を購入以降3年間にわたり減価償却費用として計上していきます。税務上でも市場販売目的のソフトウェアの耐用年数は3年となっています。
4. ソフトウェアの減価償却仕訳例


ソフトウェアの減価償却処理について、例を用いて仕訳方法を確認してみましょう。
関連記事:減価償却の仕訳とは?「減価償却費」 と 「減価償却累計額」の違いや仕分け方法を解説
4-1. 自社利用目的のソフトウェア
自社利用目的に制作したソフトウェア150万円を減価償却する場合の仕訳方法は以下の通りです。(耐用年数は5年)
借方:減価償却費-30万円 貸方:ソフトウェア-30万円
自社利用目的に利用する場合でも、償却せず費用計上するケースが2つあります。1つは、ソフトウェアの購入額が10万円未満の少額資産であるケースです。この場合減価償却は不要になりますので、そのまま費用計上します。2つ目は、ソフトウェアの購入額が10万円以上30万円未満の少額減価償却資産の特例に当たるケースです。年間300万円を上限に、 青色申告をする中小企業や個人事業主である場合、ソフトウェアの購入費用を経費計上することが可能です。また、クラウド型サービスを利用している場合は通信費として経費計上します。
4-2. 市場販売目的のソフトウェア
市場販売目的に制作したソフトウェア150万円を減価償却する場合の仕訳方法は以下の通りです。(耐用年数は3年)
借方:減価償却費-50万円 貸方:ソフトウェア-50万円
上記では取得価額を単純に耐用年数で分割した金額を減価償却費としていますが、実際には見込み販売収益などを加味して減価償却費を算出します。
【例】
見込販売数量・・・1,000台
初年度販売実績・・・400台
ソフトウェア制作費・・・1億2,000万円
見込み収益から算出される減価償却費:1億2,000万円÷1,000台×400台=4,800万円
制作費を3年で均等に分割して算出される減価償却費:4,000万円
上記の例の場合、4,800万円を減価償却費として帳簿に計上することができます。
関連記事:減価償却費の計算方法とは?「定率法・定額法」など計算方法を詳しく解説
5. 減価償却が可能なソフトウェアについて把握しておこう


ソフトウェアの減価償却は使用目的によって処理方法が異なるため、注意してください。 減価償却ができるのは、自社利用目的のソフトウェアと市場販売目的のソフトウェアの2種類です。 少額資産の場合は、条件によってそのまま経費計上できる場合があるので、今一度確認しておきましょう。適切な会計処理のため本記事を参考にしてみましょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
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などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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