医療費は経費計上できる?法人向けにわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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医療費は経費計上できる?法人向けにわかりやすく解説

医療費の会計

会社にとって従業員は大切な資源のひとつです。そんな大切な従業員が体調を崩して病院にかかった場合、その医療費は経費として計上できるか疑問に思うこともあるでしょう。

本記事では、医療費で経費計上できるものとそうでないものについて解説し、実際に経費計上するときの仕訳方法についても紹介します。医療費の仕組みを理解して、スムーズな会計処理につなげましょう。

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1. 医療費は経費計上できる?

医療費の計算

医療費は法人の経費として計上はできません。その理由は病院の診察にかかった費用や薬代は従業員が負担するものであって、会社の事業との関係性がないと考えられるからです。

これは法人に限らず、個人事業主であっても同様です。個人事業主に発生した医療費は事業との関係性が証明できないため、経費としての計上は認められません。

1-1. 医療費は個人で控除する

病院の診察代や薬代が一定額を超えると医療費控除が認められます。医療費控除の申請は会社ではなく、従業員本人が自身で確定申告をする必要があります。医療費控除ができることを社に周知して、医療費控除を促してもよいでしょう。

例えば、年間の所得金額が200万円を超える場合、年間で支払った医療費が10万円を超えた部分について控除を受けられます。医療費控除の対象の例は次のような費用です。

  • 医師や歯科の診療にかかった費用
  • あん摩やはり師、きゅう師などの施術費用
  • 出産費用
  • 通院にかかった公共交通機関の費用

あん摩やはり師などの施術費用は医療費控除の対象ですが、疲労回復のように治療とは関係ない目的の施術は対象外です。

また、病院にかからなくても対象の薬を薬局で購入した場合は、セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)として控除されます。同制度が適用されるには、対象の医薬品を世帯合計で12,000円以上購入している、予防接種や健康診断を受診しているなどの条件を満たす必要があります。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか選択する必要があり、どちらも適用することは認められていません。

2. 例外的に経費として認められる医療費

健康診断をおこなう

医療費のなかでも、例外的に法人の経費として認められるものがあります。例外的に経費として認められる医療費は以下のとおりです。

  • 健康診断
  • 人間ドック
  • 予防接種

労働安全衛生法では、労働者を雇っている場合は雇用人数に関係なく年に一回の健康診断を実施することが義務付けられています。そのため、事業主は健康診断を実施する必要があり、その費用は医療費として経費計上可能です。

また、予防接種や人間ドックにかかった費用も経費として認められます。

これは個人事業主であっても同様です。個人事業主が従業員を雇用している場合は、健康診断、人間ドック、予防接種に発生した費用を経費として計上できます。ただし、個人事業主本人が受けた健康診断や人間ドック、予防接種の費用は経費として認められないので注意しましょう。

従業員の健康診断や人間ドックは福利厚生の一環といえます。そのため、医療費を経費計上する際は福利厚生費を勘定科目として選択します。

2-1. 予防接種やマスク・消毒液を経費計上する際の考え方

インフルエンザの流行前に社を挙げて予防接種を受ける会社もあります。予防接種は健康診断のように労働安全衛生法で義務づけられてはいません。そのため、福利厚生費として経費計上するには、会社が業務を進めるうえで必要な費用であることが認められなければなりません。予防接種を経費計上する際は次のポイントを意識しましょう。

  • 業務を進めるうえで必要な費用か
  • 対象は誰か

例えば、感染するリスクが高い医療機関に出向く機会が多い会社であれば、予防接種は業務を進めるうえで必要な費用といえます。また、特定の従業員だけを対象とすると経費ではなく、役員賞与や給与とみなされる可能性があるため、全従業員を対象にする必要があります。

この予防接種についての考え方は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染対策としてのマスクや消毒液購入にも置き換え可能です。マスクや消毒液が全従業員が使えるような状態であれば、福利厚生費として計上できると考えられます。

また、なかには胃腸薬をはじめとして、常備薬を用意している会社もあります。常備薬も同様に社員全員が利用できる状態であれば、福利厚生費として計上可能です。

関連記事:経費とは?意味や計上できる費用、不正のペナルティまで徹底解説

3. 医療費を経費計上するときの仕訳方法

札とコイン

健康診断や人間ドックにかかった医療費を経費計上する際は勘定科目として、福利厚生費を選択します。

例えば、従業員の健康診断として5万円を支出した場合は、次のような仕訳方法になります。

借方 貸方 摘要
福利厚生費 50,000円 現金 50,000円 健康診断費用

また、仮にマスク5,000円分を現金で購入して経費計上する場合は次のような仕訳方法になります。

借方 貸方 摘要
福利厚生費 5,000円 現金 5,000円 〇〇薬局 マスク代

3-1. 労災の対応

従業員が通勤中や業務中にケガをしてしまった場合は労働災害が適用されます。この際、会社が治療にかかる費用を立て替えて、後で還付を受けることもあるでしょう。労災の立て替えは経費としては認められませんが、会計処理が必要です。

例えば通勤中の事故で診療に4,000円かかったとします。その治療費を立て替えた場合は次のように仕訳を行います。

借方 貸方 摘要
立替金 4,000円 現金 4,000円 〇〇(従業員)の診療代

3-2. 個人事業主の医療費も会計処理は必要

個人事業主の医療費は経費の対象にはなりません。しかし、医療費控除の対象となるため、会計処理を行なっておきましょう。その際はプライベートと事業とを明確に分けるため、勘定項目は事業主貸とします。

例えば、事業用資金から歯科診療代1万円を用意した場合は、次のとおりです。

借方 貸方 摘要
事業主貸 10,000円 現金 10,000円 歯科診療代

4. 医療費計上のルールを把握してスムーズな会計処理を

笑顔で仕事をする女性

従業員が病院にかかった場合の医療費は、法人として経費計上できません。しかし、従業員個人が確定申告によって医療費控除を受けることは可能なので、社内で周知するとよいでしょう。

一方、健康診断や人間ドックで発生した費用は福利厚生費として経費計上可能です。同じく、予防接種や予防のためのマスクや消毒液、常備薬は業務遂行に必要不可欠かつ従業員全員が対象になっているものであれば、福利厚生費として計上できます。

福利厚生費として計上できる費用を把握して、スムーズな会計処理につなげましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
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jinjer Blog 編集部

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