月次決算とは?試算表作成と報告までの流れを徹底解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.13
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企業には年1回の年次決算が法律で義務付けられています。年次決算だけでなく1ヵ月ごとの月次決算をおこなう企業も多いものです。
本記事では、月次決算をおこなう目的や具体的な流れについて詳しく解説いたします。
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1. 月次決算とは?目的や必要性について
月次決算は月単位でおこなわれる決算業務のことです。年次決算とは異なり、月次決算に法的な義務はありません。しかし多くの企業が月次決算を導入しています。
ここでは、月次決算の目的や必要性について解説します。
1-1. 月次決算と年次決算の違い
月次決算ではその月のお金の動きをまとめ、月次試算表にまとめ上げて業績報告をおこないます。月ごとの業務負担が増えるように思われがちですが、月次決算をしておけば年次決算の負担を和らげることができ、結果的に業務効率化につながりやすくなります。
企業の年次決算ではやるべきことが多いため、すべての処理には通常1~2ヵ月といった時間がかかります。3月が決算期という場合、2月頃から準備を進めていくのが一般的です。
しかし、月次決算は月ごとにおこなわれるため、長い時間をかけるわけにはいきません。また、経費精算などの締め日が遅れてしまうと月次決算が円滑に進まなくなってしまいます。
多くの企業は数日間でスピーディーに月次決算を終えています。月次決算をおこなう際には細かいスケジュールを立てて周知し、期限までに確実に終えるようにしたいものです。
1-2. 企業の会計状況を細かいスパンで把握する
月次決算をおこなう大きな目的のひとつが、企業の会計状況の把握です。
年次決算のみでは経営状況を細かく把握することが難しいものです。月次決算を実施していれば1ヵ月ごとに事業の状況や財務について確認できます。余計なコストかかっていないか、売上目標が計画から外れていないかなどを短いスパンで把握できるのは、月次決算ならではのメリットです。
1-3. 経営判断に役立てる
月次決算の内容を予算修正や節税対策にフィードバックするのも有効です。
月ごとの経営状況が把握できれば、年次決算の見込みを高い精度で予測できます。たとえば、計画よりも利益が大きくなる見込みのときには節税対策を実施したいものです。また、目標に達していないときや前年と比較して伸び率が低いときには、予算修正や経営方針の変換などの対処をおこなう必要があります。
現代は、社会情勢が急激に変化する時代です。こういった時代の中ではスピーディーな意思決定のため、企業の経営状況を細かく把握しておきたいものです。
月次決算の実施には、経営層が常に事業計画を見直せる環境を作るという目的もあるのです。
1-4. 年次決算の負担を軽減する
企業は年次決算のみを実施してもとくに問題はありません。しかし、1年分の会計をさかのぼって処理する年次決算の作業には大きな負担が伴います。
たとえば期首の取り引きの記録に不備があった場合、1年近く前の取り引きのことを担当者が覚えておらず処理できないことがあるかもしれません。とくに、仮勘定や経過勘定の正確な内容を何ヵ月もさかのぼって調べるのはかなり難しいものです。こういった作業に時間がかかってしまうと、年次決算が期限までに終わらない可能性も生じます。
また、年次決算の時期にも通常の経理業務をおこなう必要があるため、経理担当者には一時的に大きな負担がかかってしまいます。
月次決算には、年次決算のこういった負担を軽減するという目的があります。こまめに取り引きの内容を確認しておけばあとあと正確な情報が分からなくなることはありません。
月次決算をすれば年次決算に必要となる作業を月ごとに進められるので、年次決算の作業量を軽減することも可能となります。
1-5. 融資を受ける際に有利になることもある
月次決算を資金調達に役立てるという手法もあります。
企業が金融機関から融資を受ける際には、財務状況や返済能力を細かくチェックされることになります。融資の申し込みにあたっては決算の報告書を提出するなど、企業の業績や現在の財務状況を申告する必要があります。
直近の業績が把握できない場合、融資の判断が遅くなったり融資を断られたりすることもあるものです。
月次決算を実施していれば直近の業績を具体的に申告できるため、銀行が融資の判断をしやすくなります。また、月次決算をして細かく財務状況を把握していること自体が、金融機関の評価向上につながることもあるものです。
2. 月次決算を早期化する方法とそのメリット
月次決算は、年次決算の負担軽減や会社の財務状況を細かく確認して経営判断に役立てるためにおこなわれます。そのため、月次決算自体が業務の負担になったり、作成が遅れてしまっては意味がありません。
月次決算を早期に終わらせるために、次のことを意識しましょう。
- 社内外へ締切日を徹底する
- チェックリストを用意する
- システムを活用する
以下で詳しく解説します。
2-1. 締切日を徹底させる
月次決算をおこなうためには、各従業員が持っている請求書や納品書をすべて回収しなければなりません。そのため、月次決算のスケジュールから締切日を設定して、社内にアナウンスをしましょう。経理規定を定めている場合は、規定にも締切日を記載して遅延を認めない、例外を作らない、という姿勢を見せることも大切です。
2-2. システムを活用する
会計システムや経費精算システムを活用することで、月次決算の工数を削減することが可能です。そのほかにも、請求書の発行や受領のシステムを用いれば、請求書の紛失や受発行の漏れも減らせるでしょう。
マスタ登録をおこなうことで、経費精算した内容や入出金データの自動仕訳もできます。
具体的な機能はサービスによって異なるため、未導入の場合は検討してみましょう。
2-3. チェックリストを用意する
マニュアルやチェックリストの用意も業務を効率化することに有効です。経理業務に長く携わっている場合、各々の手順で業務をすすめていることもあるのではないでしょうか。ですが、担当者の急病や差し込み対応に追われて月次決算に遅れが発生したときに、やり方が分からなければ、周りも手伝うことができません。
誰でも抜けもれなく対応できるよう、事前にマニュアルやチェックリストを用意しておきましょう。
3. 月次決算の流れやポイント
月次決算を導入すれば年次決算の負担が和らぎます。とはいえ、1ヵ月ごとの決算にはある程度手間がかかるものなので、計画的に決算業務を進めていくことが重要です。
ここからは月次決算の具体的な流れと気をつけたいポイントについてご紹介いたします。
3-1. 銀行の残高を確認する
月次決算を始めるにあたってまずは銀行の預金残高を確認します。預金残高と帳簿上の残高を比較し、誤差が生じていないかを確認しておきましょう。
誤差が起きている場合にはその原因を探り、修正処理をおこないます。
4. 棚卸しをする
在庫品の数量をチェックするなど棚卸高の金額を確定しましょう。
月次の棚卸しをしておけば大きな誤差が生じる可能性が低くなります。また、棚卸資産管理の手続きを整備しておけば、四半期決算や年次決算の際に実地棚卸を省略できることもあります。
4-1. 仮勘定を整理する
仮払金や仮受金を仮勘定のままにしておいてはその月の正確な経営状況が把握できません。こういった仮勘定について、確定しているときには正しい金額や勘定科目で処理します。
4-2. 経過勘定を計上する
月次決算では前払費用や未払費用の処理も必要となります。当月の支払いが未実施だったときには経過勘定として計上しましょう。
4-3. 減価償却等をおこなう
月次決算をおこなう際には、1年の間にかかる費用を12等分したうえで毎月の費用として計上しなければなりません。
たとえば固定資産については、年間の減価償却費を12で割った金額を費用計上することになります。ほかに、固定資産税や各種保険、退職給付費用なども計上が必要です。
4-4. 月次試算表を作成する
預金残高や棚卸高、仮勘定、経過勘定、各種費用の計上が済んだ段階で月次試算表の作成が可能となります。
月次試算表には合計試算表や残高試算表、合計残高試算表といった種類があります。どの試算表を作成するかは企業によって異なります。
4-5. 月次業績報告をおこなう
月次試算表を作成したら月次業績の報告をおこないます。月別の予算表を参照し、年間計画との数値の差を分析しましょう。また、前年の同じ月の試算表との比較資料なども適宜作成したいものです。
経営者はこの報告をもとにして翌月以降の営業活動を決定していくことになります。
5. 月次決算は任意で実施
月次決算は法的な義務がなく企業が任意におこなうものです。しかし、短いスパンで会社の状況を詳しく把握できることから、多くの企業が月次決算を導入しています。
月次決算でやるべきことは数多くあるので、経理部門のみではなく全社で取り組む姿勢が必要となります。月次決算の内容を周知したり会計ソフトを導入したりといった工夫をし、各部門に負担のかからない仕組みを構築しましょう。
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