交通費・通勤手当の不正受給に会社はどう対応すべき?よくある事例と予防策 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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交通費・通勤手当の不正受給に会社はどう対応すべき?よくある事例と予防策

エレベータを下る人たち

交通費というのは、領収書が出ない公共交通機関もあるため、やり方によっては簡単に不正受給ができてしまいます。また、バスや電車を乗り継いでいると、うっかり間違えてしまう従業員もいるかもしれません。しかし、故意の有無に関わらず、かかった費用よりも高額の交通費を受給するというのは「不正受給」にあたります。

一度不正受給に成功してしまうと、従業員によっては同じことを繰り返す可能性もあるので、経理担当者は「不正受給を未然に防ぐ」という業務もあるといえるでしょう。

ここでは、不正受給の事例や起こる原因、不正受給への対処法などを解説していきます。

交通費精算の課題を一気に解決するには?

従業員の採用時には、入社手続きとして従業員から必要情報を回収したり、雇用契約を締結したりと人事労務担当者の方には忙しく、たくさんの業務があります。

「交通費精算時の不正受給など不正してないか心配」

「金額ミスや確認作業が多く困っている」

「月末に申請がたまってしまい、件数が多く処理しきれない」などなど交通費精算に関してさまざまな課題を抱えてらっしゃるのではないでしょうか。

交通費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、件数が多いため管理しきれず、不正やミスも起こりやすくなっています。そこで、当サイトでは上記のような課題を経費精算システムを通して解決するイメージをまとめた資料をご用意しました。

交通費精算における不正やミスの改善はもちろん、経費精算業務の業務効率化に大きくつながる資料となっております。資料は無料ですので、こちらから資料をダウンロードして情報収集としてぜひご覧ください

旅費交通費

1.交通費の不正受給の3つのパターン

旅行に行く人

交通費の不正受給にはいろいろなパターンがありますが、よくあるパターンを知っておくことで未然に防ぐためのチェックができるかもしれません。

ここでは、代表的なパターンを3つ紹介するので、申請書を確認する際の参考にしてください。

1-1.虚偽の交通費申請

「虚偽の交通費申請」というのは、実際には発生していない交通費を請求するという不正受給方法です。

例えば、定期代を受け取りながら自転車で通勤する、徒歩で取引先まで向かったのにタクシー代を請求するなどパターンが挙げられます。また、公共交通機関での通勤を申請しているにも関わらず、自家用車やタクシーで通勤している場合もこちらに該当します。

このような不正は、「領収書やレシートを必ず提出させる」ことを徹底するのが効果的な対策になります。

1-2.架空の交通費申請

「架空の交通費申請」というのは、プライベートの旅行で使った費用などを、出張での旅費や交通費と称して偽の請求書を提出する不正受給方法です。

他にも、取引先との移動と称して自分自身の移動にタクシーや新幹線を利用するケースも挙げられます。当然ですが、業務と関係のない私的な移動に対する請求は不正となるので、目的や日付などをしっかり確認する必要があります。

関連記事:タクシー代の勘定科目や仕訳するときの注意点を解説

1-3.差額を不正受給する

「差額の不正受給」は、交通費が発生した事実はあるものの、実際に必要ない場合や過剰な費用を請求することで差額を不正受給する方法です。

例えば、実際には安い運賃の経路で通勤しているにもかかわらず、高い運賃の経路で申請するケースなどが挙げられます。また、実際に住んでいない住所から交通費の申請をし、会社に近い住所から通勤をすることによって差額を不正受給するケースもあります。

通勤に関わる不正行為は、企業に多大な損害を与えるため、従業員に対する厳格な教育やルールの徹底が必要です。また、ルールが守られているかどうかを監視し、不正行為が発生した際にはすみやかに適切な処置をおこないましょう。

2. 交通費の不正受給を見つけたらどう対応すべき?

調査する人

交通費の不正受給は未然に防ぐことが理想的ですが、100%防ぐというのは難しいかもしれません。そのため、不正受給を見つけてしまった場合の対処法も知っておく必要があります。ただし、不正受給を見つけたとしても、すぐに処罰を与えるなど短絡的な対応はNGです。

ここでは、不正受給を見つけた場合、もしくは疑いがある場合の手順を解説します。

2-1. 証拠を集める

不正受給の発覚もしくは疑いがある場合は、まず証拠を集めましょう。

交通費のルールや支払いの仕組みを確認し、本当に不正な行為がおこなわれているかどうかを調べます。調べ方は会社のシステムによって異なりますが、不正行為が疑われる従業員の行動や書類、証拠などを集めるのが基本です。

ただし、怪しい行動があったり、不明確な書類が見つかったりしても、それだけで決めつけることは避けましょう。

2-2. 本人に確認する

ある程度の証拠が集まったとしても、上司に報告する前に、本人に事情を確認しましょう。

事情を確認する際は、いきなり不正を責めるのではなく、領収書や定期券のコピー、住民票記載事項証明書などの提出をしてもらって合理的に判断できるようにします。また、少し難しいかもしれませんが、過失なのか故意なのかを見定めることも重要です。

何らかの事情があったり、申請を忘れていただけだったりした場合は、厳重注意程度で収めてお互いの信頼関係を崩さないようにしましょう。

2-3. 上司や監査部門に報告する

故意だった場合は、証拠を明確にし、本人に事情を確認できた時点で上司や監査部門に報告します。事前に、就業規則などで処罰を決めている場合は、この段階で従業員に下す処分を決定します。

決めていない場合は、悪質性の高さや被害総額などによって処分を決めるのが一般的です。

2-4. 返還を求める

民法第703条では、不正受給をした従業員に対して過払い金額の返還を求められると定められています。

(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

引用:民法|e-Gov

ただし、不正受給による交通費の返納、返還させるには、十分な証拠を集めたうえで、その従業員に不正受給であることを認めさせる必要があるため、正確な手順を踏まなければなりません。また、従業員と話し合う際に返還の約束をさせることが重要です。返還の約束があれば、一括もしくは分割払いの返済の合意を取り付けることができます。

しかし、不正受給の金額や期間によっては、懲戒解雇などの非常に重い処分を下す必要があるかもしれません。

2-5. 再発防止策を実施する

今後の不正受給を防ぐためにも、再発防止策を実施する必要があります。

交通費のルールの再確認や監査の強化、従業員に対する教育などの対策をおこなうことで、同様の不正行為の発生を防止する効果が期待できます。

「不正を見つけて処罰をしただけ」で終りにしてしまうと、従業員の緊張感を保つことができません。ただし、見せしめのような対策をしてしまうと、職場の空気が悪くなったり従業員との信頼関係が悪化したりするので、「再発防止」という観点からルールの周知や教育で対策をおこなうようにしましょう。

3. 交通費の不正受給は懲戒処分できるの?

落ち込む男性従業員と会社の関係性から考えると、不正受給があったとしても「懲戒処分」は重すぎる懲罰といえます。悪質性の高さにもよりますが、申請忘れや忙しくて適当にやってしまったなどの理由であれば、金額の大きさに関係なく懲戒処分をするのは賢明とはいえません。

しかし、不正受給に対して懲戒処分が「できるか・できないか」を事務的にいえば、「できる」となります。

不正に受給するということは、金額に関係なく会社に対して損害を与えることになりますし、金額によっては運営に支障をきたすことになるため、懲戒処分が認められます。

また、故意に不正を働いた場合は、刑法246条により詐欺罪を適用することも可能です。ただし、懲戒処分や詐欺罪に該当するのは、「悪質性が高い」「他の従業員への影響の大きさ」などの場合であり、むやみに懲戒解雇や事件にすることは得策とはいえないので注意してください。

参考:(詐欺)第二百四十六条|刑法 e-Gov法令検索

4. 交通費の不正受給で詐欺や横領の犯罪は成立するの?


交通費の不正受給は法的にも重大な問題であり、詐欺や横領の犯罪が成立する場合があります。

詐欺罪の成立には、「欺罔行為」(人をだます行為)が必要とされます。もし、積極的に虚偽の申告を行い、会社から交通費を不正に受給している場合は、詐欺罪が成立すると判断されることがあります。しかし、単に義務付けられた報告を怠ったり、誤って申請した場合は、詐欺罪が成立しないこともあります。それでも、該当する場合には、会社として適切な対応を行い、再発防止策を講じることが求められます。

5. なぜ交通費の不正受給が起きるのか?

改札を通る人

「不正をする」という考えを持っていない、常識的な人からすると、なぜ信頼をなくすような行為をするのかがまったくわからないかもしれません。そのため、不正を見逃してしまうことがあります。

残念ながら、ある程度の疑いを持っていないと不正を未然に防ぐことは難しいので、不正が起こる原因を把握しておきましょう。

交通費の不正受給が起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。

5-1. 申請忘れ

故意ではない不正の原因として挙げられるのが、「申請忘れ」です。

引っ越したあとの住所変更を失念していた、通勤経路を変更したのに申請していなかったなど、人為的なミスによるケースです。申請する際に、従業員が定期区間を気にしておらず「経路変更に対する申請の重要性」を理解していない可能性もあります。

このような場合、悪質性はないと考えられるものの不正は不正ですし、中にはわざと申請しないこともあるので注意しましょう。対策としては、定期的に住所や通勤経路の確認をするというのが有効です。

5-2. ルールが曖昧

企業内の交通費のルールが曖昧であると、どこまでが交通費として請求できて、どこからがダメなのか線引きできなくなります。そうすると、どのような交通費も請求できると勘違いしてしまい、不正受給が頻発します。

交通費は少額なこともあるので、「経費」ということを失念している従業員もいるかもしれません。

しかし、「経費」はあくまでも会社のお金であり、従業員の認識で判断して良いものではないので、交通費のルールをしっかり決めておく必要があります。

5-3. 上司の管理不足

出張や外回りでの営業など、経理担当者の目が行き届かない業務の請求に関しては、本来であれば上司が把握しておかなればなりません。しかし、上司が業務内容をきちんと把握していない場合、従業員は上司の目をかいくぐって不正な請求をおこなうことができてしまうケースもあります。

管理に対する意識は人によって異なるため、上司といえども適当になってしまう可能性があるということをしっかり認識しておきましょう。

関連記事:出張費とは?勘定科目や経費処理の方法、相場費用まで網羅的に解説

5-4. 計算する余裕がない

出張や外回りの数が多い部署の場合、月に何十件もの交通費を申請しなければなりません。そのため、忙しくて交通費をいちいち調べている余裕がない、という理由から適当に申請してしまい、結果的に不正受給になるケースもあります。

本来であれば、上司や経理担当者が確認をしなければならないのですが、定期区間を控除せず交通費を計上していたり、タクシーの使用用途や行き先が曖昧なまま申請されていたりする書類を見落としてしまうこともあるかもしれません。

確かに、細かい交通費の計算は負担になるかもしれませんが、忙しいからといって適当な計算で良いということはないので、申請書の内容をしっかりチェックして、あいまいな点や不明な部分がある場合は当人に確認をすることが大切です。

5-5. モラルの欠如

倫理観やモラルに欠ける人物がいる場合、不正な請求をおこなう可能性があります。このような人物が不正をすることによって周りも影響され始めるかもしれませんし、いつかしそれが当たり前の風潮になってしまう可能性があるので注意が必要です。

モラルの欠如による不正を防ぐためには、企業が従業員に対して適切な教育を実施し、交通費請求のルールを明確にすることが重要です。また、上司や監査部門が交通費の請求内容を適切に審査すること、業務に関係のない交通費を請求している従業員に対しては指導をおこないましょう。

モラルに欠ける人物については、行動規範を策定し、不正請求に対する適切な指導や場合によっては処罰が必要になります。

6. 交通費の不正受給の予防方法

事故を防ぐ

現時点で、交通費の不正受給を防ぐ対策をおこなっていない場合は、どのように防げばいいのかわからないという担当者もいるかもしれません。

そこで、ここでは手間をかけずにできる予防方法を紹介するので、取り入れられそうなことから始めてみてください。

6-1. 自転車・車通勤に明確なルールを定める

まずは、明確なルールを定めましょう。

企業内で利用可能な交通手段、交通費負担の範囲、申請時期や申請方法、請求書が必要な場合などのルールを定め、明確に従業員に伝えることが大切です。

また、交通費を不正受給した場合の返還義務や罰則についての規定も定め、リスクが高いことを従業員に周知できれば、不正受給を考える従業員が少なくなるかもしれません。

6-2. 定期代の確認を徹底する

交通費を支払う前に、上司や監査部門が請求内容を徹底的に確認することで、不正な請求を未然に防ぐことができます。

出張や業務に必要な交通費のみを支払えるように、従業員がその交通手段を選択した理由をしっかりと確認しましょう。また、過失による不正受給を減らすためにも、常に確認を怠らない姿勢が大切です。

6-3. 領収書の提出を義務化

請求内容を合理的に判断するために、領収書や定期券のコピー提出を義務化しましょう。この点があいまいになっていると簡単に不正ができてしまうので、「義務」とすることが重要です。

また、年に一度、定期的に住民票記載事項証明書の提出を求めるようにしましょう。住民票をチェックすれば、現住所の確認や適切な交通手段が確認できるので、転居届の提出漏れや故意の不正受給を防げます。

6-4. 教育と就業規則周知の徹底

不正に対する教育はもちろん、周知を徹底することも効果的な予防方法になります。

従業員に交通費のルールや請求方法を教育し、いつでも閲覧できるマニュアルを用意することで、過失による不正受給を予防できます。また、不正受給してしまった場合の罰則や返還義務についても周知を徹底して、不正受給に対する従業員の意識を変えていきましょう。

7. 公務員の交通費や通勤手当の不正受給について


交通費や通勤手当の不正受給について、公務員の場合はどのように対応すべきなのか解説します。

7-1. 国家公務員の場合

国家公務員が交通費や通勤手当を不正受給した場合、それに対する処分は「減給または戒告」とされています。

国家公務員に対する減給は、民間企業と比べても厳格なものとなり得ますが、職務上の金銭の横領が「免職」とされるのに対し、「不正受給」は軽微な事案として扱われることが多いです。しかし、その分、不正受給の発見と処分が迅速で厳密に行われるべきことが求められます。

7-2. 地方公務員の場合

地方公務員の場合、各自治体ごとに懲戒処分の基準が設けられています。

たとえば、東京都では「故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員」は「停職または減給」とされています。国家公務員よりも重い処分が定められているケースが多いです。公務員においては、不正受給の防止と発見のための内部監査の強化と、常時のルール確認が不可欠です。

8. 不正受給は経費精算システムで防止しよう

お給料の計算

交通費の不正受給は、会社の信用を傷つけるだけでなく、従業員のモチベーションを下げる原因ともなります。不正に対する適切な処置をおこない、再発防止策を実施することで、信頼度の高い企業経営が実現します。

しかし、いくらルールを明確に定めても、手作業でおこなう限り100%ミスを防ぐというのは難しいかもしれません。また、意図しない不正受給を防ぐためにも、経費精算システムの導入などで申請額のズレが起きにくいフローを整えましょう。システム導入による申請の電子化には、経理の工数削減だけでなく、従業員がコア業務に集中できる、管理職の確認コストが減るなどさまざまなメリットがあるので、経費管理システムによる交通費精算の効率化を検討してみることをおすすめします。

交通費精算の課題を一気に解決するには?

従業員の採用時には、入社手続きとして従業員から必要情報を回収したり、雇用契約を締結したりと人事労務担当者の方には忙しく、たくさんの業務があります。

「交通費精算時の不正受給など不正してないか心配」

「金額ミスや確認作業が多く困っている」

「月末に申請がたまってしまい、件数が多く処理しきれない」などなど交通費精算に関してさまざまな課題を抱えてらっしゃるのではないでしょうか。

交通費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、件数が多いため管理しきれず、不正やミスも起こりやすくなっています。そこで、当サイトでは上記のような課題を経費精算システムを通して解決するイメージをまとめた資料をご用意しました。

交通費精算における不正やミスの改善はもちろん、経費精算業務の業務効率化に大きくつながる資料となっております。資料は無料ですので、こちらから資料をダウンロードして情報収集としてぜひご覧ください

旅費交通費

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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