36協定の提出期限とは?いつまでに更新が必要?提出忘れの罰則も紹介
更新日: 2026.5.29 公開日: 2021.9.1 jinjer Blog 編集部
従業員に時間外労働や休日労働をさせるには、事前に36協定の締結・届出が必要です。36協定は締結するだけでは足りず、届出をおこなって初めて法的に有効となります。
もし未提出のまま残業などをさせた場合には、労働基準法違反として刑事罰や行政指導の対象となり、企業の社会的信用を損なうおそれもあります。本記事では、36協定の提出期限の考え方や、万が一期限を過ぎた際の対処法、更新漏れを防ぐための管理体制の構築方法について詳しく解説します。
目次
毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
36協定届の対応に不安な点がある方は、今のうちに正しい手順と注意点を確認しませんか。
◆この資料でわかること
- 働き方改革関連法による上限規制の変更点
- 罰則を避けるための「特別条項」の正しい知識と運用
- ミスなく進めるための締結・届出の具体的な手順
- 【記入例付き】新しい届出様式の書き方
本資料では、届出作成~提出の流れまで36協定の届出について網羅的に解説しており、毎年発生する煩雑な業務の効率化に役立ちます。ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 36協定届の提出期限は、原則として36協定開始前まで

従業員に時間外労働・休日労働をさせる場合には、あらかじめ労使で36協定を締結し、所轄の労働基準監督署へ届出をおこなう必要があります。36協定は締結するだけでは足りず、届出をおこなって初めて時間外労働・休日労働が適法となるため、これらの労働をおこなわせる前までに届出を済ませておくことが重要です。
1-1. 36協定届の起算日例
36協定における起算日とは、時間外労働の管理や上限規制を適用する際の「計算の起点となる日」を指します。労働基準監督署へ届け出る際には、この起算日を必ず明記しなければなりません。
例えば、2026年度から36協定に基づいて時間外労働や休日労働をおこなわせる場合には、「2026年4月1日から1年間」といった形で起算日を設定します。起算日は、労働組合などとの協議により任意に定めることが可能です。
1-2. 期限後提出では過去に遡って適用できない
36協定届の提出が期限後となった場合、たとえ労使間で起算日について合意していたとしても、届出が完了していなければ法的効力は生じません。
例えば、36協定の起算日を「2026年4月1日」と定めていたとしても、実際の届出が「4月10日」であれば、届出が受理されるまでの4月1日から9日までの間におこなわれた時間外労働や休日労働は、労働基準法違反と判断される可能性があります。
36協定は、あくまで届出によって効力が発生するので、届出前の期間に遡って適用することはできません。そのため、労使間で定めた起算日までに、必ず36協定届を提出しておくことが重要です。
関連記事:36協定の起算日の決め方や時間外労働の上限について解説
36協定の提出を忘れていた場合の罰則や対処法は「4. 36協定届が未提出の場合の罰則」章で解説しているのでぜひご覧ください。
2. そもそも36協定とは?毎年更新・提出する必要がある?


36協定とは、企業が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える「時間外労働」や、法定休日における「休日労働」をおこなわせる場合に必要な労使協定です。正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といい、労働基準法第36条に基づいて締結されることから「36(サブロク)協定」とよばれています。
この協定は、労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者と締結したうえで、所轄の労働基準監督署へ届け出ることにより効力が生じます。そのため、36協定を締結し、かつ届出をおこなわないまま時間外労働や休日労働をさせた場合には、労働基準法違反となる可能性があるので注意が必要です。
関連記事:36協定なしの残業は違法!残業時間の上限や超えたときの罰則などを解説
2-1. 36協定の対象期間の起算日は原則として変更できない
36協定では、「どの期間を基準として時間外労働の上限を管理するか」を示す対象期間(起算日)を定める必要があります。この起算日は、一度設定すると原則として途中で自由に変更することはできません。
これは、時間外労働の上限規制を適切に運用するための仕組みです。起算日を安易に変更してしまうと、規制の趣旨が損なわれ、結果として長時間労働を助長するおそれがあります。
ただし、複数の事業所を有する企業において、事業所ごとに設定していた対象期間を途中から全社で統一したいといったケースも見られます。こうしたやむを得ない事情により変更する場合には、36協定を改めて締結し、その新たな協定を遵守するとともに、従前の協定内容についても引き続き守ることを前提として、起算日の変更が認められる可能性があります。
なお、起算日を変更した事業所については、変更内容を従業員に確実に周知することが重要です。
参考:FAQ|厚生労働省
参考:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について(基発1228第15号平成30年12月28日)|厚生労働省
2-2. 36協定の有効期間は「1年間」が望ましい
36協定では、時間外労働の上限規制を適用する単位として「対象期間」を定める必要があり、この期間については必ず1年間の延長時間を設定しなければなりません。そのため、対象期間は最短でも1年間となります。
通常は、この対象期間を包含する形で、協定の有効期間を設定します。なお、有効期間とは、36協定が効力を持つ期間を指します。
労働時間や業務量は毎年変動することが想定されるので、内容を定期的に見直すことが重要です。この点から、有効期間は1年間とする運用が一般的かつ望ましいとされています。
参考:時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引|厚生労働省
2-3. 36協定の期限切れ前に更新が必要
36協定は、有効期間が満了するとその効力を失います。そのため、期限が切れる前に新たな協定を締結し、労働基準監督署へ届け出ることが必要です。協定の効力を途切れさせないためには、少なくとも前回の有効期間満了日までに、新たな36協定の締結と届出をおこわなければなりません。
万が一、更新手続きをおこなわないまま有効期間を経過してしまうと、その時点以降は時間外労働や休日労働をさせることはできません。この状態で労働させた場合には、労働基準法違反となり、企業に対して罰則が適用される可能性があるので注意が必要です。
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説
3. 36協定届の提出方法


36協定届は、時間外労働・休日労働を適法におこなうために、所轄の労働基準監督署へ提出が必要です。主な提出方法には次の3種類があり、企業の状況に応じて選択できます。
- 労働基準監督署の窓口で提出する
- 郵送で届出をする
- 電子申請を利用する
それぞれの提出方法について詳しく紹介します。
3-1. 窓口持参
36協定届を所轄の労働基準監督署の窓口へ直接持参して提出する方法では、受付時に形式的な不備について指摘を受ける場合があり、その場で修正できることもあります。また、控えに受付印を押してもらえるため、提出の証明が残る点がメリットです。
一方で、原則として窓口の受付時間内に訪問する必要があるので、時間的な制約があります。また、年度末などの時期には窓口が混雑しやすくなる傾向があるため、余裕をもったスケジュールで手続きをおこなうことが重要です。
3-2. 郵送
36協定届を郵送で提出する方法は、遠方の事業所や、窓口へ出向く時間が確保できない場合に便利です。提出の際は、受付印を押した控えを返送してもらうために、切手を貼付した返信用封筒を同封する必要があります。
なお、郵送で提出する場合は、原則として労働基準監督署に届いた日が提出日として取り扱われます。そのため、投函日や消印日ではなく到達日が基準となる点に注意が必要です。
期限直前に発送すると、郵送の遅延により期限を過ぎるおそれがあるほか、書類に不備があった場合には差し戻しや再提出となり、手続きが遅れる可能性もあります。そのため、余裕を持って準備・発送することが重要です。
参考:届出方法について(36 協定届)-窓口または郵送で届け出る場合-|厚生労働省
3-3. 電子申請
36協定届は、電子政府の総合窓口である「e-Gov」を利用すれば、インターネット経由で電子申請することも可能です。電子申請を活用することで、24時間365日いつでも手続きができるほか、郵送費用が不要となり、労働基準監督署へ出向く手間も省けます。
特に繁忙期の企業にとっては、迅速に届出を完了できる点も大きな利点です。一方で、利用にあたっては事前のアカウント登録や、ブラウザ・アプリケーションの環境設定が必要となるため、余裕をもって準備を進めておくことが重要です。
なお、36協定の本社一括届出は、2021年4月以降の要件緩和により、電子申請(e-Gov)を利用する場合に限り、各事業場の労働者代表が異なっていても本社でまとめて届出が可能になっています。
参考:労働基準法・最低賃金法など に定められた届出や申請は電子申請を利用しましょう!|厚生労働省
関連記事:36協定届の提出方法とは?電子申請のやり方や注意点までわかりやすく解説
4. 36協定届が未提出の場合の罰則

36協定届を未提出のまま、労働者に時間外労働や休日労働をさせた場合、労働基準法第32条および第35条に違反します。これらの規定に違反した場合には、同法第119条に基づき、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
実務上は直ちに刑事罰が科されることは多くなく、まずは労働基準監督署による監督指導の対象となり、是正勧告や指導票の交付を通じて違反状態の解消が求められるのが一般的です。ただし、違反が反復している場合や、長時間労働が常態化している場合、あるいは重大な健康障害の発生につながるおそれがある場合などには、悪質性が高いと判断され、送検される可能性もあります。
また、労働基準法違反として重大性が高い事案については、企業名が公表されることもあり、社会的信用の低下や採用活動への悪影響など、経営面にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。このようなリスクを踏まえ、36協定は締結と届出を一体のものとして捉え、適切な時期に所轄の労働基準監督署へ届出をおこなうことが重要です。
参考:労働基準法第32条、第35条、第119条|e-Gov法令検索
関連記事:36協定に違反したらどうなる?違反時の罰則や対象者、対処法を解説
4-1. 提出忘れや更新漏れをしていた場合は、早急に届出を!
それでは、36協定届の提出が遅れてしまった場合には、どのように対応すべきでしょうか。まずは、判明した時点で速やかに所轄の労働基準監督署へ相談し、今後の対応について指示を仰ぐことが重要です。
36協定届には法令上明確な「提出期限」という概念はなく、起算日や有効期間が経過した後であっても、届出自体は労働基準監督署に受理されるのが通常です。
しかし、協定の効力は届出が受理されて初めて生じるので、原則として有効期間の開始前に届出を完了している必要があります。そのため、届出がない状態で時間外労働や休日労働をおこなわせた場合には、当該期間について労働基準法違反となる可能性があります。
また、提出漏れや更新忘れが発覚した場合には、行政指導や是正勧告の対象となることもあり得るので、速やかに36協定届を提出するとともに、再発防止のための管理体制の見直しをおこなうことが重要です。
4-2. 36協定に関連する昨今の法改正の内容
2021年4月から、36協定届の様式が新しいものに変更されています。具体的には、36協定届における押印・署名が廃止され、36協定の協定当事者に関するチェックボックスが新設されました。
また、時間外労働の上限規制については、2019年(中小企業は2020年4月)から順次適用が開始されましたが、建設業や自動車運転業務、医師などについては、業務の特性や取引慣行への配慮から、5年間の猶予措置が設けられていました。
この猶予期間は終了し、2024年4月からは、これらの業種についても一部の特例を除き、上限規制が適用されています。これに伴い、36協定届の様式も業種ごとに対応したものが整備されています。適用される制度や様式を正しく理解し、適切なフォーマットで36協定届を作成・提出することが重要です。
参考:36協定届が新しくなります|厚生労働省
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 (旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)|厚生労働省
参考:時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|厚生労働省
関連記事:36協定の新様式の変更点は?新様式の種類や記入例を解説
5. 36協定の期限切れを防ぐための管理方法

36協定は有効期間が満了すると、時間外労働および休日労働ができなくなるので、期限切れを防ぐための適切な管理が重要です。特に、複数の事業場を抱える企業や担当者が異動する可能性がある場合は、属人化を避け、誰でも対応できる仕組みを整備しておくことが求められます。
5-1. 更新手順や提出スケジュールをあらかじめマニュアル化しておく
36協定の更新業務は毎年発生するため、あらかじめ手順やスケジュールをマニュアルとして整備しておくことが重要です。
例えば「更新時期の数ヵ月前から労働者代表の選出を開始する」「数週間前までに協定内容を確定させる」といった具体的なタイムラインを設定しておくことで、対応漏れや手続きの遅延を防止できます。また、マニュアルには次のような内容を盛り込んでおくと、実務において有効です。
- 労働者代表の選出方法
- 協定書の作成手順
- 社内承認フロー
- 労働基準監督署への提出方法(電子申請・郵送・持参)
これらを明文化しておくことで、担当者が変更になった場合でもスムーズな引き継ぎが可能となり、安定した運用につながります。
5-2. 労務管理システムのアラート機能を活用して更新漏れを防ぐ
36協定の期限管理には、労務管理システムのアラート機能を活用することが有効です。多くのシステムでは、有効期限の一定期間前に通知を設定できるので、更新時期を自動的に把握できます。
特に、手作業による管理では失念などのヒューマンエラーが発生しやすいため、システムによる補完は重要です。また、カレンダー機能やメール通知を併用することで、複数の担当者間での情報共有もスムーズになります。
さらに、労務管理システムを活用すれば、各事業場ごとの36協定の期限を一元的に管理できるので、企業全体でのコンプライアンス強化にもつながるでしょう。
提出期限を過ぎないようにするためには、代表者の選出から協定の締結、届出に至るまでの手順やスケジュールをあらかじめ整理・把握しておくことが重要です。当サイトで配布している「<最新版>36協定締結の手順書」では、36協定の締結目的や具体的な手順について詳しく解説しています。提出期限の徒過を防ぐためにも、ぜひこちらからダウンロードのうえ、常に手元で確認できるようにしておきましょう。
6. 36協定届は有効期間に注意して労働基準監督署に届け出よう

36協定届を更新する場合は、有効期間が満了する前に、所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。未提出のまま時間外労働や休日労働をおこなわせた場合には、労働基準法違反となり、罰則が科されるおそれがあるので注意が必要です。
特に繁忙期と提出時期が重なる場合には、提出漏れや更新忘れが生じやすくなります。そのため、あらかじめ提出スケジュールを立てるとともに、電子申請の活用などにより、余裕をもって手続きをおこなうことが重要です。



毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
36協定届の対応に不安な点がある方は、今のうちに正しい手順と注意点を確認しませんか。
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