賞与査定表とは?評価項目や作成例・評価実施時のポイントを解説
更新日: 2025.6.11
公開日: 2025.5.26
jinjer Blog 編集部
「賞与査定表はどのようなもの?」
「賞与査定表の作成方法が知りたい」
「賞与査定表を利用する際のポイントは?」
賞与査定表について、上記の疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。
賞与査定表は、従業員に支給する賞与額を決定するための大切な判断材料となります。評価の透明性・公平性を保ち、従業員の納得感につなげるためにも、適切に活用することが重要です。
本記事では、賞与査定表の概要や作成目的について解説します。評価基準と付随する評価項目についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
給与計算は「賃金支払いの5原則」に基づいて、本来ミスがあってはならない業務ですが、人の手で計算している場合、避けられないヒューマンエラーが発生する場合もあります。
当サイトでは、そのような給与計算ミスがあった場合に役立つ、ミス別・対応手順を解説した資料を無料配布しています。
資料では、ミス発覚時に参考になる基本の対応手順から、ミスを未然に防ぐための「起こりやすいミス」や「そもそも給与計算のミスを減らす方法」をわかりやすく解説しています。
- 給与計算でミスが頻発していてお困りの方
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上記に当てはまるご担当者様は、「給与計算のミス別対応BOOK」をぜひお役立てください。
1. 賞与査定表とはボーナス支給時に利用する従業員の評価表
賞与査定表は、ボーナス支給時に従業員を評価するための表です。
業績、勤怠、勤務態度などの評価項目を基準に、各従業員の状況を表形式で記録し、賞与額を決定する際の参考にします。
賞与査定表に明確なフォーマットは定められておらず、自社の評価制度や職種に応じてカスタマイズが可能です。
2. 賞与査定表の作成意義
賞与査定表を作成する最大の意義は、賞与査定の公平性を保つことです。
賞与は一定の基準に従い、主観に頼らず公平に査定しなければなりません。賞与査定表には、能力・業績・行動などのチェック項目が設定されており、各項目を数値化することで、客観的な評価がしやすくなります。
評価を実施する上司は、査定の負担が軽減され、評価理由が明確になります。評価を受ける従業員も評価理由に納得しやすくなり、不満やトラブル防止につながるでしょう。
また賞与査定表を用意することで、賞与に関する社内規定や評価基準を社内に周知し、評価システムの透明性を保つ意義もあります。
3. 賞与査定表の評価基準と評価項目
賞与査定表の一般的な評価基準は、以下の3つです。
- 業績評価(業績考課)
- 能力評価(能力考課)
- 行動評価(情意考課)
査定は業績や能力、行動などの評価基準にもとづき、「5段階評価」や「ABC評価」など、点数やランクを使った方法でおこなわれます。それぞれの評価方法の例は、以下のとおりです。
【5段階評価の例】
- 5(期待をはるかに上回る貢献)
- 4(期待以上の貢献)
- 3(期待通りの貢献)
- 2(期待を下回る貢献)
- 1(期待をはるかに下回る貢献)
【ABC評価の例】
- A(優れている)
- B(標準的)
- C(劣る)
ABC評価は、「S・A・B・C・D」のような形式で5段階に分けることもあります。また、評価結果を集計しやすくするために、各評価に点数を割り当て、数値として扱うのが一般的です。
ここからは、評価基準の具体的な内容や、付随する評価項目について説明していきます。
3-1. 業績評価(業績考課)
業績評価(業績考課)は、従業員が査定対象期間中に残した業績に対しておこなう評価です。
主に、売上や販売量などの目標の達成度合いのほか、会社への貢献度などが評価基準となります。
具体的な評価項目の例は以下のとおりです。
- 従業員や所属部署の売上目標の達成率
- 期間中の業務の完了度合い
- 提供サービスの品質の高さ
- 目標達成に向けたスキルアップの実行
目標達成率のような数値で判断できる「定量的な項目」だけでなく、目標達成に向けた姿勢や積極性のような「定性的な項目」も指標として用いられることがあります。
3-2. 能力評価(能力考課)
能力評価(能力考課)は、従業員の業務遂行能力を、知識・技術・判断力・資格などの観点から総合的に評価するものです。スキルや保有資格をもとに、業務遂行能力を判断します。
能力評価の具体例は以下のとおりです。
- 業務に関連する知識やスキルの習得度・習得努力
- プロジェクトの運営力
- 平均受注数を上回る契約の確保
このように、スキルの習得状況や能力の発揮度合い、業務効率を高める工夫など、従業員の「実行力」「取り組む姿勢」も含めて評価されるのが一般的です。
3-3. 行動評価(情意考課)
行動評価(情意考課)は、従業員の仕事に対する意欲や勤務態度を評価するための基準です。
業務への積極性や責任感、具体的に起こしたアクション、チーム内での協調性やコミュニケーションの姿勢などが評価対象となります。
行動評価の例は以下のようなものです。
- 業務に対し前向きに取り組んでいたか
- チーム内で十分なコミュニケーションを取っていたか
- 遅刻や欠勤、就業規則への違反行為がないか
遅刻日数などの一部は数値で評価が可能ですが、意欲や態度など定性的な項目が多く、客観的な評価が難しいケースも考えられます。そのため、評価基準を明確にしたり、具体的な行動を記録したりと客観化できるような工夫が必要です。
4. 賞与査定表の作成例
以下は、賞与査定表の一例です。
項目ごとにチェックポイントを設定することで、評価基準が明確になり、より公平で客観的な査定をおこなえるので、ぜひご活用ください。
項目 | チェックポイント | 評価 |
仕事量 | 割り当て業務に遅滞なく対処していたか | |
一定以上の業務量をこなしていたか | ||
仕事の処理スピードは問題なかったか | ||
仕事の質 | 業務を正確にこなせていたか | |
無駄な作業をせず効率的に業務をこなせていたか | ||
トラブル防止に配慮していたか | ||
積極性 | 高い目標に向かって意欲的にチャレンジしていたか | |
担当業務や視野の拡大に努めていたか | ||
協調性 | チーム内で協力しながら作業を進めていたか | |
チームメンバーとのコミュニケーションは十分だったか | ||
責任感 | 任された仕事を最後までやり遂げたか | |
求められた役割を理解し精進していたか | ||
計画性 | 事前に手順を考えて業務に取り組んでいたか | |
計画したスケジュールは妥当だったか | ||
創意工夫 | 業務の効率化や品質の向上に努めていたか | |
特筆すべきアイデアを生み出していたか | ||
勤務態度 | 就業規則を遵守していたか | |
遅刻や欠勤がなかったか | ||
報告連絡 | 業務の進捗報告を随時おこなっていたか | |
問題発生時には上長に報告していたか | ||
目標達成度 | 設定していた目標を達成できたか | |
合計 |
賞与査定表に明確なフォーマットはなく、企業ごとに評価項目は異なります。自社の実情や方針に応じて項目を追加・削除しながらカスタマイズし、効率的に評価システムを機能させましょう。
5. 賞与査定を実施する際のポイント
賞与査定を実施する際のポイントは以下のとおりです。
- 賞与の評価基準と評価項目は事前に明確化する
- 決定した賞与の支給ルールを守る
- 査定時にバイアスがかからないよう配慮する
具体的な内容を説明していきます。
5-1. 賞与の評価基準と評価項目は事前に明確化する
賞与の評価基準と評価項目は、事前に明確化し、従業員に周知しておきましょう。
判断基準が公開されていない場合、従業員は査定に納得できず、不満を覚える可能性があります。不信感が高まれば、従業員のモチベーションが下がると業績悪化を招くおそれも否めません。
そのため、評価制度の透明性と公平性を保つことを常に意識することが大切です。
また、評価基準と項目を公開しても、従業員によっては自己評価と実際の評価にギャップが生じる可能性があります。正当な理由がなく賞与を減額した場合、不適切な査定とみなされ、トラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
このようなリスクを避けるためにも、評価の根拠を記録した賞与査定表を準備し適切に保存しましょう。
人事評価面談やミーティングなどを通じ、査定の根拠になった理由を共有しておくのも大切です。
5-2. 決定した賞与の支給ルールを守る
賞与の支給に関するルールは、就業規則や雇用契約などを通じて事前に定められた内容に従うことを徹底しましょう。
企業側には取り決めにもとづき賞与を支給する義務があり、ルールを守らなかった場合は労働基準法違反とみなされる可能性があります。
最悪の場合、企業側に行政指導や法的なペナルティが科されることもあるため、十分に注意しましょう。
なお、業績悪化などにより賞与の支給が困難になる可能性がある場合には、支給条件や支給率の変更をルールにあらかじめ明文化しておくことが大切です。
5-3. 査定時にバイアスがかからないよう配慮する
賞与の査定時には、評価者の主観や思い込みによるバイアスが入り込まないよう配慮しましょう。
評価に偏りが生じると、制度そのものの信頼が下がり、不満やトラブルにつながる可能性が高まります。
具体的には、以下のような評価の方より起こらないよう注意が必要です。
- すべての項目に平均点をつける
- 個人的な理由から評価が過大・過少になる
- 部下の目立った行動にだけフォーカスして査定をつける
- 査定直前の印象だけで判断する
- 評価者の経験や先入観をもとにゆがんだ査定をつける
賞与査定表を用意しても、公平に査定できないのではシステムが機能しなくなります。事前に評価基準のすり合わせを実施するなど工夫しましょう。
6. 賞与査定表を活用し公平・公正な評価を実施しよう
賞与査定表は、従業員の業績や勤怠などを表にまとめた、賞与を決定する際の大切な指標です。公平に賞与を査定する際の手助けとなるため、正しい運用が求められます。
賞与査定表に明確なフォーマットはないため、自社の実情や方針にマッチした査定表を用意するのが大切です。
査定の評価基準や評価項目は事前に公表しておくと、社内トラブルを避けられます。賞与の支給ルールを守りつつ、評価者の先入観にとらわれない公平な査定を実施して、従業員の満足につなげましょう。
給与計算は「賃金支払いの5原則」に基づいて、本来ミスがあってはならない業務ですが、人の手で計算している場合、避けられないヒューマンエラーが発生する場合もあります。
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