賞与は年末調整の対象になる?処理方法や注意点を解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.25
jinjer Blog 編集部
「賞与は年末調整の対象になる?」
「賞与で年末調整を処理する際の方法や注意点は?」
年末調整をおこなうにあたって、上記のような疑問をもつ方もいるでしょう。
賞与は年末調整の対象になります。年末調整の際には毎月の給与と合算して所得税額を計算しなくてはなりません。12月に賞与を支給する場合は、支給日と給料日どちらが先かによって、年末調整の処理方法が異なります。
適切に年末調整を処理するには、賞与の取り扱いについて把握しておくことが重要です。
本記事では12月に賞与が支給された場合の年末調整について詳しく解説します。賞与で年末調整を処理する方法や注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
年末調整は、従業員の家族構成やライフステージ、副業の有無、控除対象となる保険類への加入状況など、人によって複雑な分岐や異なる計算方法のルールがあるため、とても複雑な業務です。
給与計算を担当する方にとって、計算結果を統合する一年の集大成とも言える業務ですが、
「結婚・離婚・定年・退職・死亡など、様々なケース別の年末調整に対応する際の注意点が知りたい」
「障害者や勤労学生、共働き、遺族年金がある場合など家族構成に関する控除のポイントを押さえておきたい」
「記載ミスや、申告内容・扶養の変更、税務署からやり直し通知を受けた際などの対応方法が知りたい」
このようなイレギュラーケースの対応について不安を抱えている担当者の方に向けて、当サイトでは「Q&A形式でわかる年末調整と源泉徴収」という資料を無料配布しています。
資料では、一問一答形式でケース別の具体的な年末調整の対応方法を解説していますので、すぐに使える年末調整のガイドブックが欲しいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 賞与は年末調整の計算に含まれる
毎月の給与だけでなく、年に数回支給される賞与(ボーナス)も年末調整の計算対象に含まれます。賞与は所得税法上「給与所得」として扱われ、課税対象となるためです。
国税庁のホームページでも、以下の一時的に支給される手当が賞与に該当するとされています。
- 賞与(ボーナス)
- 夏期手当
- 年末手当
- 期末手当
また、以下のような一時的に支払われる給与であっても、支給額や基準、時期が明確に定められていない場合は、賞与として扱われることがあります。
- 業績に応じた特別手当
- 臨時に支給されるインセンティブ
年末調整の手続きをおこなう際は、賞与を含めた1年間の給与総額を把握し、所得税額を正しく計算しましょう。
2. 賞与から引かれる税金の種類
賞与から引かれる税金は、以下の2種類です。
- 所得税
- 社会保険料
それぞれの内容を詳しく説明します。
2-1. 所得税
賞与からは、所得税が源泉徴収されます。賞与は給与所得の一部として扱われるため、所得税法に基づき課税対象となるからです。
賞与にかかる所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。
まず、賞与支給日の前月の給与額と扶養親族の人数をもとに、表から税率を確認しましょう。次に、以下の計算式で所得税額を求めます。
(賞与支給額 − 社会保険料) × 算出された税率 = 所得税額
また、所得税と合わせて復興特別所得税が差し引かれます。2011年の東日本大震災からの復興財源として導入された税金で、算出された所得税額に対して2.1%を上乗せした金額が徴収されます。
なお、住民税も給与所得にかかる税金の一つですが、賞与からは控除されず、月々の給与から天引きされる仕組みです。
2-2. 社会保険料
賞与からは、社会保険料も引かれます。厳密には社会保険料は税金ではありませんが、所得税と同様に給与や賞与から控除される点では共通しています。
賞与から引かれる社会保険料は以下の4種類です。
- 健康保険料
- 介護保険料(40歳以上~65歳未満)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
社会保険料は従業員と企業でそれぞれ負担しているため、賞与からは従業員が負担する分のみが引かれます。社会保険の種類によって、負担割合が異なり、一律ではない点に注意が必要です。
3. 12月に賞与が支給された場合の年末調整
12月に賞与が支給された場合の年末調整は、以下の2パターンに分かれます。
- 12月の給与で年末調整をおこなう
- 12月の賞与で年末調整をおこなう
それぞれの内容を詳しく説明します。
3-1. 12月の給与で年末調整をおこなう
年末調整は、12月に支払われる給与でおこなうのが原則です。
例えば、12月支給の賞与が給料日より前にある場合は、12月の給与を使って年末調整を実施します。
年末調整では、1年間の給与と賞与(12月支給分も含む)の合計額と、従業員が提出した各種控除申告書にもとづいて、年間の所得税額を計算します。
これまでに源泉徴収税された所得税額と比較し、過不足を12月の給与で調整します。
3-2. 12月の賞与で年末調整をおこなう
12月に支給される賞与を用いて年末調整をおこなうことも可能です。
一般的には、賞与の支給日が12月の給料日よりも後になる場合は、12月の賞与で年末調整をおこなえます。この場合、12月の給与から所得税を源泉徴収する必要はありません。
また、賞与が給料日より前であっても、企業の判断によって賞与で年末調整を実施することが認められています。
給与と賞与のどちらで調整するかは、企業の状況に合わせて任意で選択可能です。
参考:年末調整のしかた|国税庁
4. 12月支給の賞与で年末調整を処理する方法
12月支給の賞与で年末調整を処理する場合も、基本的な手順は給与でおこなう場合と大きく変わりません。
手順は以下のとおりです。
- 従業員から各種控除証明書や控除申告書を提出してもらう
- 提出書類と年間の給与総額にもとづいて所得税額を計算する
- すでに天引きされている源泉徴収税額と比較して、過不足額を計算する
- 過不足を12月支給の賞与に反映する
源泉徴収税額が実際の所得税額を上回っている場合は、差額を賞与支給額に上乗せして還付します。下回っている場合は不足分を賞与から差し引いて調整しましょう。
5. 賞与で年末調整を処理する際の注意点
賞与で年末調整を処理する際は、以下の点に注意しましょう。
- 賞与の見積もりを正確におこなう
- 年末調整の準備を早めに進める
- 年末調整で所得税が追加徴収される場合がある
それぞれの注意点を解説します。
5-1. 給与総額の見積もりを正確におこなう
賞与で年末調整を処理する際は、給与総額の見積もりを正確におこなうことが重要です。未確定の賞与額や12月の給与を含めて、年末調整の計算を進めるケースもあるためです。
特に、12月の給料日前に賞与を支給する場合は、まだ確定していない給与額を含めて見積もる必要があります。
見積額が誤っていると再計算や修正が必要になり、年末調整をやり直さなくてはいけない可能性があります。
担当者の負担が増えるため、見積もりをおこなう際は細かく計算しましょう。
5-2. 年末調整の準備を早めに進める
賞与を支給するタイミングで年末調整を完了させるためには、早めの準備が欠かせません。
年末調整には、従業員からの書類の回収や内容確認、給与総額の見積もりなど多くの作業があるからです。
年末調整が間に合わなかった場合は、従業員が自分で確定申告をしなくてはなりません。従業員に負担をかけないよう、スケジュールに余裕をもたせて書類の提出を依頼しましょう。
従業員に提出してもらう「基礎控除申告書」には、賞与を含む給与総額を記入する項目があります。早めの提出を求める場合、従業員が記入に迷わないよう、あらかじめ記入方法を周知しておくとよいでしょう。
5-3. 年末調整で所得税が追加徴収される場合がある
年末調整は必ずしも税金が還付されるとは限りません。場合によっては、所得税が追加徴収されるケースもあるため注意が必要です。
例えば、従業員の昇進による給与アップや、会社の業績向上で賞与が増えた場合、源泉徴収額が不足し、差額を年末調整で精算する必要があります。
年末調整は「所得税が還付されるもの」と誤解している従業員もいるため、追加徴収の可能性があることを事前にわかりやすく説明しておくと安心です。
6. 賞与を含めて年末調整を適正に処理しよう
年末調整を処理する際には、毎月の給与だけでなく賞与も含めて計算します。特に12月に賞与を支給する場合は、給料日のタイミングによって処理方法が変わる場合があるため注意が必要です。
年末調整の処理を誤ると、修正の年末調整や従業員による確定申告が必要になり、双方にとって大きな負担になりかねません。
年末調整の計算を正確におこなうために、従業員にも強力を呼びかけながら、スケジュールに余裕をもって準備を進めましょう。
年末調整は、従業員の家族構成やライフステージ、副業の有無、控除対象となる保険類への加入状況など、人によって複雑な分岐や異なる計算方法のルールがあるため、とても複雑な業務です。
給与計算を担当する方にとって、計算結果を統合する一年の集大成とも言える業務ですが、
「結婚・離婚・定年・退職・死亡など、様々なケース別の年末調整に対応する際の注意点が知りたい」
「障害者や勤労学生、共働き、遺族年金がある場合など家族構成に関する控除のポイントを押さえておきたい」
「記載ミスや、申告内容・扶養の変更、税務署からやり直し通知を受けた際などの対応方法が知りたい」
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