103万円の壁撤廃はいつから?150万円・160万円の引き上げや税制改正の適用時期を解説
更新日: 2026.4.6 公開日: 2025.3.25 jinjer Blog 編集部

年収103万円の壁は、令和7年度の税制改正がされるまでの、所得税が課税され、税制上の扶養に該当しなくなる年収のラインでした。
令和7年度の税制改正によりこの103万円が160万に引き上げ、更に令和8年度の税制改正で160万円から178万円(令和10年度からは172万円)に引き上げられています。
この記事では、所得税が発生する条件や引き上げによる影響を詳しく解説します。
目次
2026年、所得税のさらなる控除枠拡大(178万円の壁)や、社会保険における「賃金要件の撤廃(106万円の壁解消)」が決定しました。
度重なる法改正に対応するために、年収の壁における現在の基盤を形作った「2025年の抜本的見直し」を正しく把握しておきませんか?
▼この資料で解説する2025年の主要トピック
- 結局どう変わった? 複雑な制度改正の要点と企業への影響
- 社会保険「106万円の壁」撤廃への備え
- 企業が今のうちに対応しておくべきこと
- パート・アルバイト従業員への適切なアナウンス方法
複雑化する「年収の壁」問題について、2025年の動向を図表でわかりやすく解説しました。ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
※本資料は、2025年6月時点の法令・成立法案 に基づき作成されたものです。2026年度以降の最新改正(178万円へのスライド等)については、本資料で実務の「土台」を確認した上で、現行の政府ガイドラインと併せてご参照ください。1. 【令和8年から】年収178万円を超えると所得税が発生する


年収が178万円を超えると所得税が発生し、従業員の手取りが減少します。まずは所得税がかかる仕組みを確認しましょう。
1-1. 年収が一定ラインを超えると所得税がかかる
所得税は、年収の全額に対して課税されるわけではありません。年収から、あらかじめ決められた「控除」を差し引き、残った金額に税金がかかります。
今回の改正で178万円まで所得税が「0円」になるのは、以下の2つの控除額が大幅に引き上げられたためです。
基礎控除(104万円):納税者全員に適用される控除です。これまでは所得の合計が2,500万円以下であれば一律で48万円でした。令和7年から所得によって傾斜がつけられ、現在では最大104万円が控除されます。
給与所得控除(74万円):会社員の必要経費として差し引かれます。これまでの55万円から、74万円へと引き上げられました。
これら2つの控除を合計すると、ちょうど178万円になります。この年収以内であれば、税金を計算する前の段階で全額が控除されるため、所得税が発生しません。
103万円の壁以外にも、さまざまな年収の壁が存在します。また、所得税の壁に加えて社会保険料に影響する年収の壁もあるため、それぞれに対する理解が不可欠です。他の年収の壁について知りたい方は以下の記事もあわせてご確認ください。
関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説
2. 年収の壁の引き上げによる影響


年収の壁の引き上げの影響は良いことばかりではありません。中小企業、従業員、人事担当者の区分に分けて、メリット・デメリットを確認しましょう。
2-1. 中小企業のメリット・デメリット
中小企業にとってのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【メリット】
- パートタイム従業員やアルバイトの勤務時間を調整しやすくなる
- 従業員がより長く働ける
- 人手不足が解消される
【デメリット】
- 給与システムの見直しや社内ルールの変更に事務コストがかかる
- 例月の給与計算に改正内容を反映させる必要がある
- 特定親族特別控除の適用のために従業員の扶養親族の年収確認が必要になる
中小企業にとって年収の壁の引き上げは、メリットとデメリットが混在しており、対応方針や方法が重要な課題となります。適切な戦略を講じることが、今後の人材確保やコスト管理に必要不可欠でしょう。
2-2. 従業員のメリット・デメリット(手取りへの影響)
103万円の壁ひいては160万円の壁が引き上げられることによる従業員のメリットは以下のとおりです。
- 手取り年収が増加する
- 世帯全体の収入増加が見込める
ただし、デメリットもあります。今回の改正では引き上げられる額が小さく、手取り年収は結果的に2,3万円しか増加しないと見込まれています。手取りが増加するとはいえ、家計に与える影響は小さいと感じる方も多いかもしれません。
2-3. 人事担当者のメリット・デメリット
年収の壁が見直されることで、給与計算を担当する人事担当者の負担は増加するでしょう。2025年2月にjinjerが実施したアンケート調査では、年収の壁の見直しが今後も予定されている場合、業務負担が「大幅に増える」「やや増える」と考える担当者は合わせて約54%と半数を超えました。


出典:【「106万円の壁」見直しに伴う業務負荷に関する実態調査】|jinjer株式会社のプレスリリース
最も負担が増えると考えられる業務は「従業員からの問い合わせ対応(39.4%)」、次いで「給与計算ミスがないかの確認(36.4%)」、「パッケージソフトや自社システムの法改正対応(30%)」との調査結果も出ています。
一方でメリットとしては、改正の対応が手続きの流れを見直す機会となる可能性があります。改正に伴う対応を通して、従業員からの疑問や不安に、正確かつスピーディに回答できる体制が構築され、業務効率化が進む可能性があるでしょう。
改正による収入基準を適切に計算するには、クラウドサービスの活用が有効です。手作業で変更する場合に比べて、担当者の負担を大きく減らせるでしょう。
3. 社会保険の壁も再確認しよう


税制改正により所得税に関する年収の壁は見直されましたが、年収の壁には社会保険に関するものもあります。今回の改正の対象にはなっていませんが、混乱しないように内容を押さえておきましょう。
3-1. 106万円・130万円の壁
106万円の壁は従業員本人に社会保険(健康保険や厚生年金保険)の加入義務が発生する年収のライン、130万円の壁は従業員の家族が被扶養者から外れる年収のラインです。
<106万円の壁>
従業員数が51人以上の企業に勤めている場合、以下の要件を満たした従業員には社会保険への加入義務が発生します。社会保険の被保険者になれば毎月の給与から社会保険料が徴収されるため、その分手取りが減少します。
- 給与が月額8.8万円以上(年収106万円以上)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 学生でない
<130万円の壁>
130万円の壁は、従業員の家族に関する年収のラインです。家族の年収が130万円を超えると、社会保険の被扶養者要件を満たせなくなります。
社会保険では被扶養者の場合、健康保険・厚生年金保険ともに保険料がかかりません。扶養から外れた家族は、自身が勤めている企業の健康保険や厚生年金保険、自営業や無職の場合は国民健康保険や国民年金に加入することとなるため、社会保険料が発生します。
言葉は同じ扶養ですが、税金と社会保険では年収の基準が異なるため、混同しないように注意しましょう。
3-2. 社会保険における年収の壁への対応(年収の壁・支援強化パッケージ)
年収の壁・支援強化パッケージは、社会保険に関する年収の壁の影響を減らすための施策です。106万円の壁、130万円の壁に対して、それぞれ取り組みが用意されています。
<106万円の壁への対応>
従業員の年収が106万円を超えると、社会保険料が発生するため手取りが減少します。この手取り減少を補うために、キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)が新設されました。
社会保険適用促進手当の支給など、手取りの減少を補うための取り組みをおこなった企業に対して、従業員1人あたり最大50万円が支給されます。これにより、従業員・企業ともに社会保険料の費用負担を軽減できるでしょう。
<130万円の壁への対応>
130万円の壁は、社会保険における被扶養者の対象から外れる年収のラインです。
収入の増加が残業などによる一時的なものの場合、年収が130万円を超えても被扶養者として認定可能な仕組みが創設されました。この制度を活用すれば、残業のしすぎで被扶養者から外れることを心配しなくて済むため、従業員が労働量を調整する必要がなくなります。
4. さまざまな「年収の壁」の今後


所得税以外にもさまざまな年収の壁が存在します。その他の年収の壁の取り扱いはどうなっているのか、それぞれ解説します。
4-1. 106万円の壁は今後撤廃される
年収106万円の壁は、従業員数51名以上の事業所における社会保険の加入要件です。給与の月額が8.8万円、つまり年間にして106万円を超えた従業員は、一定の要件を満たせば健康保険や厚生年金に加入する必要があります。
2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、106万円の壁はいずれ撤廃されることが決定しました。
106万円の壁の撤廃後は、週の所定労働時間が20時間以上など、その他の要件を満たせば賃金の額にかかわらず社会保険に加入する必要があります。
4-2. 130万円の壁は継続される
年収130万円の壁は、被扶養者が社会保険の扶養の範囲から外れる収入の基準です。この金額を超えると、健康保険や厚生年金の被扶養者資格が失われ、社会保険料を負担する必要が生じます。
130万円の壁は現状、見直しの対象とはされていません。社会保険の被扶養者に該当するかどうかは手取り年収に大きく影響するため、今後も130万円を超えないよう意識した働き方をする人は多いでしょう。
4-3. 150万円の壁は169万円に引き上げられる
年収150万円の壁は、配偶者特別控除に関する年収の壁です。配偶者の年収が150万円を超えると、配偶者特別控除の額が段階的に減少し、結果的に税負担が増加します。
この150万円の壁も、税制改正によって169万円に引き上げられました。配偶者の年収が169万円を超えるまで、従業員は配偶者特別控除の最大控除額である38万円の控除を受けられるようになりました。
4-4. 201万円の壁は継続される
年収201万円の壁は、配偶者特別控除が適用されなくなる年収です。配偶者の年収が201万円を超えると、配偶者を扶養する従業員は配偶者特別控除を受けられず、その分課税所得が増加します。
配偶者特別控除について改正されたのは、満額で38万円の控除が受けられる年収のラインです。201万円の壁は引き続き維持され、配偶者の年収が201万円を超えた場合、配偶者を扶養する従業員が配偶者特別控除を受けられなくなる点は変わらないため注意しましょう。
関連記事:年収201万の壁をわかりやすく!配偶者特別控除とは?配偶者控除との違いも解説
5. 103万円の壁と変更点を理解して従業員に周知しよう


令和7年度と令和8年度の税制改正により、103万円の壁(所得税の壁)には大きな変更があります。この変更は、約30年変わらなかった年収の壁が見直されることを意味し、多くの働く人々に影響を及ぼすでしょう。
103万円の壁は、平成7年(1995年)に設定されて以来、税制や社会情勢の変化に伴って見直しが求められていました。この引き上げは、パートタイムで働く女性や学生など、年収が103万円を超えずに働いていた層にとって、大きなメリットが期待されます。年収の壁が引き上げられることで、所得税が発生するラインが高くなり、手取り収入を増やすことが可能です。
ただし、103万円(160万円)の壁の引き上げにはデメリットもあり、企業は改正内容に適切に対応できる体制を整える必要があります。
103万円や160万円の壁の引き上げが、働き方やライフスタイルにどのような影響をもたらすのか、今後の動向に注目しましょう。



2026年、所得税のさらなる控除枠拡大(178万円の壁)や、社会保険における「賃金要件の撤廃(106万円の壁解消)」が決定しました。
度重なる法改正に対応するために、年収の壁における現在の基盤を形作った「2025年の抜本的見直し」を正しく把握しておきませんか?
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※本資料は、2025年6月時点の法令・成立法案 に基づき作成されたものです。2026年度以降の最新改正(178万円へのスライド等)については、本資料で実務の「土台」を確認した上で、現行の政府ガイドラインと併せてご参照ください。勤怠・給与計算のピックアップ
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