月の労働時間の目安や残業時間の上限について詳しく解説

従業員の労働時間は、1ヵ月あたり160時間を目安にしましょう。ただし、労働基準法における労働時間の基準は、1日8時間・週40時間です。実際には月によって日数の違いがあり、法定労働時間のボーダーラインも変わってくるため、詳しい労働時間は各企業で計算する必要があります。

そして、労働時間と同じくらい大切なのが残業時間の管理です。働き方改革関連法の施行によって、これまで実質無制限だった従業員の残業時間にも罰則が付くようになりました。

改正後の法律が適用される2020年以降は、中小企業も自社の残業規定について見直す必要があるので、改めて月の労働時間と残業時間の目安を知っておきましょう。

今回は、「1ヵ月あたりの適切な労働時間の目安」と「残業時間の上限」について詳しく解説していきます。

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1. 月の労働時間は160時間を目安にしよう

多少の変動はあるものの、月あたりの適切な労働時間の目安は160時間です。ただ、1ヵ月の労働時間が160時間を越える場合は36協定の締結と届け出が必要です。また、1ヵ月の日数は月によって違うため、「毎月労働時間が160時間以内なら」月ごとに労働時間を計算する必要があります。

1-1. 労働基準法によって労働時間は1日8時間・週40時間に制限されている

月の労働時間について考える際に、前もって企業の人事担当者が理解しておくべき基準が、労働基準法の内容です。労働基準法では、従業員の扱いに関する原則として、

・1日8時間
・週40時間

を働かせてもよい時間、「法定労働時間」であると設定しています。

基本的に、法定労働時間を越えて企業が仕事をさせるためには、「36協定」という労使協定の締結が必要です。どの企業も、36協定を締結していない限り1日8時間・週40時間の労働時間制限を越えることはできないので、覚えておきましょう。

1-2. 月の日数÷4週×40時間で月ごとの適切な労働時間を計算できる

労働基準法における労働時間の制限は、1日または週の労働時間だけです。じつは、月あたりの労働時間については、とくにはっきりとした制限が設けられているわけではありません。

問題は、月あたりの適切な労働時間制限を計算するときも、1日8時間と週40時間というルールの両方を守る必要があることです。法律で決められている法定休日は週1日以上なので、たとえば1日8時間の労働を月曜日から土曜日までの6日間させた場合、週あたりの労働時間は48時間。この場合、労働基準法違反になってしまいます。

そこで使えるのが、「1ヵ月の日数÷4週間×40時間」という計算式です。1ヵ月の日数には、28日・30日・31日のパターンがあり、どの月も大体4週間あるため、1ヵ月の日数を4週で割りましょう。

実際の労働時間を計算すると、以下のとおりです。

・28日÷4週間×40時間=160時間/月
・30日÷4週間×40時間=171時間/月
・31日÷4週間×40時間=177時間/月

月の日数が最も少ないのは28日で終わる2月なので、2月の基準である160時間を目安にしておけば、法定労働時間を越える心配はありません。

2. 残業時間の月上限は45時間が基本

1ヵ月あたりの適切な労働時間の目安は、160時間です。

ただし、160時間基準が適用されるのは、就業規則によって決まっている出社から退勤までの時間、専門用語でいうところの「所定労働時間」に限られます。実際の職場では、所定労働時間に加えて「残業時間」も発生するのが一般的です。

そして、残業時間に関しても、労働基準法で「原則45時間」という上限が設定されています。残業については法定労働時間よりも制限の内容が複雑なので、確認しておきましょう。

2-1. 時間外労働時間は原則月45時間を越えられない

原則として、労働基準法における残業時間の制限は、月45時間・年360時間です。所定労働時間と残業時間を合わせても、従業員を働かせられる1ヵ月の労働時間は、最大205時間となります。

1日あたりの労働時間に直せば、「1日8時間労働と2時間15分の残業」をこなす計算です。基本的に、法定労働時間の制限ギリギリまで働いている従業員に対して、月45時間を越える残業をさせることはできません。

 

2-2. 月45時間×12ヵ月働かせるのもNG

残業時間制限について考える際に押さえておきたいのが、残業時間には年間の制限もあることです。特別の事情がある場合に備えて「36協定」を結んでいる場合は別ですが、従業員の残業時間は年360時間以内に抑える必要があります。

ただし、月45時間の残業を12ヵ月繰り返した場合の総残業時間は、540時間です。毎月残業があると、年360時間という制限を越えてしまいます。そのため、人事担当者は従業員の残業時間を月単位だけでなく、年単位でも管理する必要があるのです。

もし、平均的に残業量をコントロールできる場合は、1ヵ月の残業時間が30時間以内になるように指導しましょう。繁忙期の関係で30時間以上45時間以下の残業が必要になる場合、仕事量が少ない月の残業を減らしてバランスを取るといった対処が必要です。

2-3. 働き方改革関連法の制定によって「特別の事情」があっても残業は年720時間以内に

働き方改革関連法が作られるまで、月45時間・年360時間という残業時間の制限は、「残業に関する特別条項を盛り込んだ36協定」を結べば突破することができました。

45時間を越える残業を設定できるのは年6ヵ月までというルールこそあるものの、残業時間は事実上無制限だったため、忙しい時期であれば企業は従業員に長時間の残業を指示することができたのです。

しかし、人件費を安く抑えたい企業や人材を使い潰すように利用するブラック企業の増加、それに伴う健康被害や過労死の問題に対処するため、働き方改革関連法では、「特別の事情がある場合でも残業時間は年720時間まで」というルールが追加されています。

2-4. 2~6ヵ月平均が80時間以内なら増減があっても可

なお、働き方改革関連法の施行によって追加されたのは、年間の残業時間制限だけではありません。年720時間の残業上限に加えて、

・2ヵ月間の残業が平均80時間
・3ヵ月間の残業が平均80時間
・4ヵ月間の残業が平均80時間
・5ヵ月間の残業が平均80時間
・6ヵ月間の残業が平均80時間

というルールも遵守する必要があります。簡単にいうと、「いくら忙しい月でも、従業員が帰宅できないような無茶な残業時間を課してはならない」という制限です。仮に1ヵ月の残業時間が100時間に達した場合、翌月の残業時間を60時間以内に抑える必要があります。

2-5. 上限を越えて従業員に残業をさせると法律違反で処罰される

・月45時間・年間360時間
・特別の事情がある場合も年間720時間
・月45時間以上の残業は最大で年6回(半年まで)
・2~6ヵ月の残業時間平均を80時間にする

といった制限を守れなければ、労働基準法違反です。労働基準法の罰則規定は30万円以下の罰金、または6ヵ月以内の懲役なので、従業員の生活を無視した過度な残業を指示した場合、企業が実刑を受けることになります。

なお、法改正に伴って上司や管理職による残業時間・労働時間の把握も義務化されているため、「従業員が勝手に残業した」などの言い訳は通用しません。

逆に、法改正前の感覚で従業員側が長時間残業をした場合も企業が処罰の対象になるため、企業はこれまで以上に勤怠管理に力を入れましょう。

3. まとめ

労務管理・勤怠管理の現場では、月の日数や月ごとの法定労働時間を基準にして、各従業員の出退勤や給与、手当てなどを複雑に計算する必要があります。

従業員数が増えれば増えるほど従業員の勤怠管理の労力が増えていきますし、さらに残業などの管理も必要になってくるため、すべてを手作業や表計算ソフト頼りにするのはおすすめできません。

計算や転記のミスを避けるという意味でも、企業の勤怠管理はできるだけ自動化することをおすすめします。早めに導入しておけば、従業員や人事担当者の戸惑いも抑えられるので、勤怠管理を改善したい、法律を遵守したいが手が足りないと考えている企業は、積極的に勤怠管理システムの導入を検討しましょう。

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