フレックスタイム制の企業が多い職種と難しい職種について
政府が「働き方改革」の一環として多様なワークスタイルを推進している今、フレックスタイム制を導入する企業が増えてきています。
ただ、フレックスタイム制の導入にはメリットが多い反面、いくつか注意しなければならない点もあります。
また、業種・職種によってフレックスタイム制との相性の良し悪しも変わってきますので、フレックスタイム制の導入を検討する場合は、メリット・デメリットをよく理解し、自社との相性も考慮しながら慎重に決断しましょう。
今回は、フレックスタイム制が多い職種や、導入が難しい職種、フレックスタイム制のメリット・デメリットについて解説します。
関連記事:フレックスタイム制とは?清算期間のルールやメリット・デメリットを解説
目次
フレックスタイム制の導入には、労使協定の締結や就業規則の変更・届出など、行うべき手続きが存在します。
また、フレックスタイム制を導入した後に、「出勤・退勤時間が従業員によって異なるので、勤怠管理が煩雑になった」「残業時間の計算方法と清算期間の関係がよく分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは「フレックスタイム制度を実現するための制度解説BOOK」をご用意しました。
資料ではフレックスタイム制導入の流れや手続の他に、残業の数え方や効率的な勤怠管理の方法も解説しておりますので、適切にフレックスタイム制を運用したいという方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
1. フレックスタイム制の企業が多い職種とは
フレックスタイム制を導入している企業の割合は全体の6.5%に留まっています。
企業規模別に見ると、「1,000人以上」が28.7%と全体の3割を占めていますが、大手企業の中でもフレックスタイム制の導入率は職種によって異なります。
中でもフレックスタイム制の導入が進んでいるのは、WEBディレクターやシステムエンジニア、プログラマー、コンサルタント、設計士、デザイナーなどです。
これらの職種に共通しているのは、個人の裁量で仕事を進行・完結しやすいというところです。
特定の人と顔を合わせたり、対面でコミュニケーションを取ったりする必要があまりないため、フレックスタイム制を導入しやすいところが普及促進につながっています。
1-1. フレックスタイム制が多く導入されている業種は?
フレックスタイム制の導入率は、職種だけでなく業種による差もあります。
厚生労働省が実施している「就労条件総合調査 (令和3年)」によると、フレックス制の導入率が高い業種は、1位が情報通信業(30.0%)、2位が金融・保険業(14.7%)、3位が電気・ガス・熱供給・水道業(14.2%)となっています。
情報通信業とは、電話業などに代表される「通信業」やテレビ局などの「放送業」、ソフトウェア開発などの「情報サービス業」、サーバー運営やポータルサイト運営などを手がける「インターネット附随サービス業」などが挙げられます。
中でも、エンジニアやプログラマー、WEBデザイナーといった職種の方は、個人の裁量で仕事を進行・完結させられるケースが多いため、フレックスタイム制と相性が良く、導入率も高い傾向にあるようです。
一方の金融業や保険業は女性の比率が他の業種よりも高い傾向にあり、妊娠・出産や育児、介護などでライフスタイルが変化しやすい女性が働きやすいようにと、フレックスタイム制を導入している企業が多いようです。
3番目にフレックスタイム制の導入が多い電気・ガス・熱供給・水道業は、人々のライフラインに直結する仕事をおこなっているため、基本的に24時間365日体制で休みなく働いています。
その分、フレックスタイム制の導入率が高いのは、ある意味当然といえるでしょう。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口 | 就労条件総合調査(令和3年)
参考:男女共同参画局 | 産業別就業者の女性比率
2. フレックスタイム制の導入が難しい職種の特徴
フレックスタイム制を導入しやすい職種がある一方、導入が難しい職種もあります。
例えば、他の部署との連携が多い職種や、取引先と頻繁にコミュニケーションを取らなければならない職種でフレックスタイム制を導入すると、他部署や取引先の営業時間とマッチしにくく、商談や打ち合わせ、会議などに支障を来す可能性があります。
また、複数人でチームを組み、ひとつのプロジェクトに携わるような仕事の場合も、メンバー同士の連携やコミュニケーションが必要不可欠となるため、フレックスタイム制の導入には不向きといえます。
3. フレックスタイム制のメリット
企業がフレックスタイム制を導入する場合に期待できるメリットを4つご紹介します。
3-1. 従業員のワークライフバランスを向上できる
フレックスタイム制を導入すると、従業員のライフスタイルに適した働き方をおこなうことが可能となります。
例えば、子育て中の従業員なら、子どもを保育園や学校に送り届けてから出社できますし、働きながら資格を取得したいと思っている方は、早めに退勤して専門学校などに通うことも可能です。
一人ひとりのライフスタイルに合わせて柔軟に働ける環境を整えると、従業員のワークライフバランスが向上し、仕事へのモチベーションや労働生産性のアップも期待できます。
3-2. 時間外労働の時間を短縮できる
一般的な労働時間制の場合、出勤および退勤時間が固定されているため、仕事が多い日は残業を余儀なくされる一方、仕事が少ない日は退勤までの時間を持て余すこともあります。
フレックスタイム制の場合、一定期間に定められた総労働時間の範囲内であれば、出勤・退勤時間や働く時間を従業員自身が自由に選択できるため、仕事が少ない日は早めに退勤し、そのぶんの労働時間を仕事が多い日に回すことが可能となります。
時間を無駄に使わずに済む分、余計な時間外労働が減り、労働者の負担軽減につながるのはもちろん、企業にとっては時間外労働の割増賃金をカットできるというメリットがあります。
3-3. 通勤ラッシュを回避できる
フレックスタイム制を導入すると、一般的な労働時間制の出勤時間とずらして出社できるため、通勤ラッシュを回避することができます。
特に近年は新型コロナウイルスの影響により、3密の回避が推奨されていますので、通勤ラッシュを避けられるのは大きなメリットとなります。
3-4. 採用時のアピールポイントになる
個々のライフスタイルに合わせて働けるフレックスタイム制は、従業員にとって魅力的な制度のひとつですので、新たな人材を採用する際の大きなアピールポイントとなります。
前述の通り、日本ではフレックスタイム制を導入している会社はかなり少ないので、人材採用にあたり、他社との差別化を図ることができます。
4. フレックスタイム制のデメリット
フレックスタイム制の導入はメリットが多い反面、いくつか注意しなければならない点もあります。
メリットばかりに目を向けていると、いざフレックスタイム制を導入した際に思わぬトラブルや混乱を招く原因となることもありますので、導入時のデメリットもしっかり理解しておきましょう。
4-1. 社内コミュニケーションが取りにくい
フレックスタイム制を導入すると、従業員それぞれの出勤・退勤時間がバラバラになるため、従業員同士が顔を合わせる機会が少なくなります。
特に、必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)を設けないスーパーフレックスタイム制を導入すると、ワークスタイルが合わない従業員同士のコミュニケーションが希薄になり、チームワークの低下や情報共有の遅延などを招く原因となることがあります。
こうした問題を解決するためには、WEB会議システムやチャットツールなどを利用して遠隔でのコミュニケーションを可能にするなど、何らかの措置を講じる必要があります。
関連記事:スーパーフレックス制度とは?導入の方法や注意点を解説
4-2. 勤怠管理が複雑になる
給与計算や適切な労働環境の整備をおこなう総務や人事、経理では、従業員一人ひとりの勤怠状況を正確に把握する必要があります。
一般的な労働時間制の場合、基本となる出勤・退勤時間は全社員で共通しているので、勤怠管理は比較的シンプルですが、フレックスタイム制では一人ひとりの出勤・退勤時間がバラバラなので、個々の勤怠管理が複雑になりがちです。
勤怠管理にミスが生じると、給与計算に誤差が生じたり、法定労働時間や36協定で定めた時間外労働の規定に抵触したりして、無用なトラブルを引き起こす原因となります。
勤怠管理は従業員の数が多いほど複雑化するため、勤怠管理システムや給与計算ソフトなどを導入し、個々の従業員の勤怠状況を迅速かつ正確に管理できる体制を整える必要があります。
5. フレックスタイム制を導入するときは、自社のニーズとの相性をチェックしよう
フレックスタイム制を導入すると、従業員のワークライフバランスの向上や、残業時間の削減、通勤ラッシュの回避など、さまざまなメリットがあります。
ただ、フレックスタイム制はどの職種・業種にも適しているわけではなく、チームを組んでプロジェクトに取り組む仕事や、他の部署・取引先との連携が必要不可欠な職種には不向きです。
逆に、個人の裁量で仕事を進行・完結できる職種や、多様な働き方を推進している業種などは、フレックスタイム制を導入することで、より働きやすい環境を整備できるでしょう。
このように、フレックスタイム制との相性は職種・業種によって異なりますので、導入を検討する際は自社のニーズとの相性を確認し、フレックスタイム制によって得られる効果やメリットをしっかり精査することをおすすめします。
関連サイト:ワンダフルワイフ
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フレックスタイム制の導入には、労使協定の締結や就業規則の変更・届出など、行うべき手続きが存在します。
また、フレックスタイム制を導入した後に、「出勤・退勤時間が従業員によって異なるので、勤怠管理が煩雑になった」「残業時間の計算方法と清算期間の関係がよく分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは「フレックスタイム制度を実現するための制度解説BOOK」をご用意しました。
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