管理職に年俸制を適用するのはなぜ?理由やメリット・デメリットを解説
更新日: 2025.4.12
公開日: 2025.4.12
OHSUGI
「管理職に年俸制を適用する理由は?」
「管理職に年俸制を適用するメリットとデメリットを知りたい」
上記のような疑問や悩みをお持ちの方もいるでしょう。
管理監督者に該当する管理職は、労働時間が法定時間を超過しても残業代の支払いがありません。基本的に給与額が固定制となるため、年俸制に適しています。
管理職に年俸制を適用すると業務に対するモチベーションがアップし、連鎖的に部下のモチベーションアップにもつながるでしょう。また、年俸制は成果に応じて翌年の給与総額を算出する仕組みなので人件費を事前に把握でき、経営計画を立てやすいです。
本記事では、管理職に年俸制を適用する理由やメリット・デメリットを詳しく解説します。管理職に年俸制を適用するプロセスについても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
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1. 管理職に年俸制を適用する理由
管理職に年俸制を適用する理由は、労働時間に制限がないためです。
管理職の場合、労働時間が法定時間を超過しても残業代を支給する必要がありません。休憩時間や法定休日の適用も除外されているので給与額は固定制となり、年俸制の仕組みに適していると考えられています。
ただし、肩書だけ管理職にしたからといって残業代を支払わなくてもよいわけではありません。残業代の支払いが不要となるケースは、管理監督者に該当する管理職のみです。
管理監督者に当てはまるかどうかの判断基準を、以下にまとめました。
職務内容 | 経営者と一体的な立場で職務をしているかどうか |
責任や権限 | 管理監督、指揮命令などの権限を委ねられているかどうか |
待遇 | 一般の従業員と比較して給与などの待遇がなされているかどうか |
勤務形態 | 出退勤時間は自らの裁量に任されているかどうか |
肩書は管理職であっても、管理職としての実態が伴わない状態のことを「名ばかり管理職」といいます。「名ばかり管理職」は労働時間や残業代などについてトラブルに発展するケースが多いので、注意が必要です。
また、管理監督者に該当する管理職の地位であっても、以下の点には注意しなければいけません。
- 心身の健康を害するような長時間労働をさせない
- 有給休暇は一般の従業員と同様に取得させる
- 深夜割増賃金は支払う
管理職への負担が集中している企業は、管理職の裁量権拡大やアウトソーシングの活用などを検討してみましょう。
2. 管理職に年俸制を適用するメリット
管理職に年俸制を適用するメリットは以下の2つです。
- 離職率の低下が期待できる
- 企業の経営効率化が図れる
それぞれ詳しく解説しましょう。
2-1. 離職率の低下が期待できる
管理職に年俸制を適用することで、従業員の離職率低下が期待できます。年俸制は目標達成度に基づいて給与が決定する成果主義なので、業務に対するモチベーションアップになるためです。
また、管理職のモチベーションの高さを目の当たりにすることは、部下の意識にも影響を与え、意欲向上にもつながります。従業員全体のモチベーションが高まれば、結果的に生産性アップも期待できるでしょう。
2-2. 企業の経営効率化が図れる
管理職に年俸制を適用すると、企業の経営効率化が図れます。年俸制は成果や業績に応じて翌年の給与総額を算出する仕組みなので、人件費を事前に把握できるためです。
企業で発生する経費のうち、人件費は大きな割合を占めています。事前に人件費の見通しがつくことで、経営計画を立てやすくなるでしょう。
3. 管理職に年俸制を適用するデメリット
管理職に年俸制を適用するデメリットは以下の2つです。
- 年度中に額を変更できない
- 評価制度の整備が必要になる
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 年度中に額を変更できない
管理職に年俸制を適用するデメリットとして、年度中に金額を変更できないことが挙げられます。年俸制は事前に決まった金額を支払う必要があるためです。
期中に大きな成果を出した場合であっても、結果が給与に反映されるのは翌年度以降となります。成果がすぐに給与に反映されないことで、従業員のモチベーション低下につながるおそれがあるでしょう。
また、急激に企業の業績が悪化した場合でも、あらかじめ設定した給与を支払わなくてはいけません。企業の財政状況が安定しない場合にはリスクが高いといえます。
年俸制で給与額を決める際は、最悪の事態も考慮して設定することが重要です。
3-2. 評価制度の整備が必要になる
年俸制を適用する場合、評価制度の整備が必要になります。 年俸制は成果によって給与が決まるので、不明瞭な評価制度だと従業員が不信感を募らせるためです。
評価基準については就業規則などで開示し、従業員の納得感を高めるようにしましょう。評価に関して苦情があった場合のルールについても決めておくと、従業員の安心感を得られます。
また、定期的なフィードバックをおこない、自身の評価について理解してもらうことも重要です。
4. 管理職に年俸制を適用するプロセス
管理職に年俸制を適用するプロセスは以下のとおりです。
- 年俸制を適用する目的を明確化する
- 評価制度を整備する
- 従業員の合意を得る
- 年俸額を決定する
それぞれのプロセスについて詳しく見ていきましょう。
4-1. 年俸制を適用する目的を明確化する
まずは、管理職に年俸制を適用する目的を明確化します。目的が不明確だと全従業員から納得してもらえず、運用することが難しくなるためです。
企業のビジョンや経営戦略をもとに、期待できる効果をしっかりと検証しましょう。
4-2. 評価制度を整備する
管理職に年俸制を適用するにあたり、評価制度を整備する必要があります。年俸制は、個人の成果を重視して給与額が決定する成果主義であるためです。
明確な評価基準を設定し、公平な評価が求められます。
年俸制における評価では、成果の実現度や発揮した能力が重要なポイントです。成果は明確に数値化し、能力は項目をできるだけ細分化することで評価しやすくなります。
評価基準は就業規則で開示し、公正かつ客観的な評価をおこなうようにしましょう。
4-3. 従業員の合意を得る
管理職への年俸制適用により就業規則を改定する際は、従業員の合意を得なければいけません。従業員の納得を得た上で、最終決定に至ります。
従業員の合意を得られたら、管轄の労働局に就業規則変更届を提出しましょう。就業規則変更届が受理されて従業員に周知をした後、年俸制が正式に適用されます。
4-4. 年俸額を決定する
管理職に年俸制を適用する環境が整ったら、具体的な年俸額を決定します。年俸制の場合、前年度の成果を参考にすることが一般的です。
年俸制といっても、全額を一度に支払うわけではありません。労働基準法第24条により、給与は毎月一回以上、一定の期日を決めて支払うことが定義づけられているためです。
賞与を年俸額に含めるかどうかは、企業の判断に委ねられています。年俸額に賞与を含める場合は、賞与も分割して給与と一緒に支給するようにしましょう。
企業側と従業員側の合意が成立すると、年俸額が正式に決定します。
5. 年俸制の理解を深めて管理職に適用しよう
管理職は労働時間が法定時間を超過した場合も残業代の支払いがなく、給与額が固定制となるため、年俸制に適しています。
ただし、管理監督者に該当しない管理職は残業代の支払いが必要です。管理監督者の定義をしっかりと把握し、労働時間や残業代のトラブルに発展しないことが求められます。
管理職に年俸制を適用するメリットは、離職率の低下や企業の経営効率化が図れる点です。一方で、年度中に年報額を変更できなかったり評価制度の整備が必要になったりなど、デメリットもあります。
年俸制の理解を深めて、管理職への適用を検討してみましょう。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
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