勤怠管理において業務時間内の中抜けをどう扱うべき?
更新日: 2022.12.6
公開日: 2020.2.26
野村 佳史
業種、業態により勤務時間や業務形態はさまざまです。状況によっては、途中で1時間や3、4時間など中抜けすることもあるでしょう。
中抜けすること自体は会社が認めれば問題ありませんが、勤怠管理において中抜けする場合は、どのように処理・管理するべきなのでしょうか。
今回は、中抜けの定義から管理方法について解説します。
関連記事:勤怠管理とは?目的や方法、管理すべき項目・対象者など網羅的に解説!
中抜けは、適切に扱わなければ労働時間集計や残業代の計算に誤りが発生するため、正しい管理方法を把握しておかなくてはなりません。
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1. 業務時間内での中抜けとは
中抜けとは、どのような状況のことを指すのでしょうか。例を紹介しながら解説します。
1-1. 飲食業や旅館業などでみられる事象
中抜けは、飲食業界や旅館業界、医療業界ではよくみられる事象です。人手が必要なとき、忙しいときの時間帯が朝方や夕方のみなどと1日の中で決まっているため、その時間帯が勤務時間となり、間の時間が中抜けという扱いになります。
また、近年、海外の会社のように休憩時間を2時間、3時間取得をすることが可能な企業が増えつつあります。
休憩時間が長くなることで休憩回数が増えたり、就業時間が長くなるので、会社としては管理が煩雑化することは認識する必要があります。
1-2. 育児、学校行事など私用による一時外出
中抜けは、会社の都合だけとは限りません。プライベートが理由で一時的に中抜けが必要になる場合があります。
休暇や半休でもいいのですが、ほんの少し抜けたい場合、仕事が忙しいから戻ってきたい場合などは中抜けしたいものです。
お子さんがいるご家庭では、学校のイベント、避難訓練のお迎え、面談など1時間、2時間抜けて対応しなくてはいけないイベントも多いでしょう。
2. 勤怠管理で中抜けはどのように扱うのか
実際に中抜けが発生する場合、勤怠管理ではどのように扱うか確認していきましょう。
2-1. 中抜け時間を休憩時間として扱う
プライベートな理由などで中抜けする場合の管理方法として多いのが、中抜けしている時間を休憩時間として扱うことです。
つまり、中抜けしている時間も会社が拘束している時間帯です。何時から何時まで休憩したか(中抜け)したかを管理する必要があります。
休憩時間となる場合は、労働時間としては変わらないため、その分終業時間がその日は遅くなる場合があるという点も認識しておく必要があります。
関連記事:勤怠管理における休憩時間の取り扱いとは?労働基準法の基礎知識を解説
2-2. 中抜けを半休・時間単位の有休として扱う
中抜けを時間単位の有給休暇取得や半休として扱うことも可能です。この方法であれば、終業時間を後ろ倒しする必要はないため、わかりやすい運用です。
ただし、そもそも時間単位の年次有給休暇を制度として利用できるようにするには、労使協定の締結が必須であると法律で定められているため、注意が必要です。
加えて、半休を制度化するのに労使協定は必要ありませんが、会社から一方的に半休を取らせることはできないため、中抜けを半休として扱う際には必ず従業員の意思を確認してからにしましょう。
2-3. 1日2回の就業として扱う
朝と夜の出勤などは、日中を休憩として扱わず1日2回の出勤として扱う方法があります。2回の出勤にする際の注意点としては、休憩時間の取得についてです。
労働基準法34条により労働時間6時間を超える場合は、45分の休憩を与える必要があります。
1日2回の出勤の場合は、間の時間は休憩時間ではないので、朝の出勤時間、夜の出勤時間のどちらかに、休憩時間を与える必要があります。
また、朝方だけで6時間を超える場合は、朝方の労働時間の中で+45分の休憩が必要です。
2-4. テレワーク時の外出などによる中抜けのとり扱い
新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、多くの企業が取り入れるようになったテレワークや在宅勤務は、自宅で業務を行うため中抜けが発生しやすい勤務形態です。
テレワーク中に発生した中抜けは、「休憩時間として扱い、終業時間を繰り下げる」「時間単位の年次有給休暇とする」扱いが可能になります*。
ただし、始業・終業の時間に変更がある場合は就業規則への規定、時間単位の有給を取得を認めるには労使協定の締結が必要になるため、注意しましょう。
*参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン(厚生労働省)
3. 勤怠管理システムで中抜けを管理しよう
勤怠管理システムでは、いろいろな機能が備わっていますが、中抜けの管理に的を絞って、どのような機能があるのか確認していきましょう。
3-1. 複雑な勤務体系の管理ができる
中抜けの管理方法として、休憩時間として扱う、2回の出勤として扱うと解説しましたが、一般的な勤務体系とはちょっと異なる特殊な勤怠管理ができます。店舗や営業所などが複数ある場合は、状況をリアルタイムで確認できるのも便利です。
同じ会社でも「職場によって雇用形態、勤務体系が異なる」、「シフトによっては日をまたぐことがある」など、さまざまです。
自社に勤務体系が管理できるかはシステムを検討する際、事前に確認するようにしましょう。
3-2. 自社にあった打刻方法を選択する
中抜けをする場合、何時に抜けたのか、戻ってきたのかを把握する必要があります。管理漏れや不正を防止するためにも打刻方法は重要です。
勤怠管理システムでは、さまざまな打刻方法が用意されているので、自社の勤務体系にあった打刻方法を選択するようにしましょう。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
4. まとめ
業務時間中の中抜けの扱いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ホテル業など計画的に朝と夜などと時間帯が分かれる場合は、2回の就業としての扱いでもいいでしょう。
休憩時間で調整、2回の就業どちらの方法にしても管理が煩雑であり、手間がかかることは確かです。
システムを導入していない会社は、これを機に勤怠管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
自社の勤務形態などが対応されている勤怠管理システムの場合、導入する前よりも業務効率化されることが期待できます。
中抜けは、適切に扱わなければ労働時間集計や残業代の計算に誤りが発生するため、正しい管理方法を把握しておかなくてはなりません。
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