介護休暇とは?取得条件や介護休業との違いを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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介護休暇とは?取得条件や介護休業との違いを解説

「介護休暇って具体的にどのようなもの?」

「介護休暇と介護休業の違いがわからない」

「同居していない家族の介護にも介護休暇は利用できる?」

介護休暇について、このような疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。

介護休暇は、家族の介護に使うことができる休暇制度で、従業員のもつ権利として法に定められています。正しく運用すれば従業員はもちろん、企業にとってもメリットが享受できるため、適切な対応が肝要です。

本記事では、介護休暇の概要や取得条件、介護休業との違いについて解説します。企業にとっての意義や注意点もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

1. 介護休暇とは家族の介護に利用する短期間の休暇

介護休暇とは、介護が必要な家族をもつ労働者が取得できる短期間の休暇です。ここでいう「介護が必要な家族」とは、ケガや病気などにより2週間以上の介護を必要とする人を指します。要介護認定を受けている必要はありません。

介護休暇は、フレキシブルな取得の仕方ができることが大きな特徴です。まる一日の休暇はもちろん、一般的には1時間単位から取得できます。そのため、病院への付き添いや日常生活の介助、要介護認定を受けるための面接などに幅広く利用可能です。

ただし、取得可能な労働条件に合致する人でも、企業側と締結した契約内容によっては1日単位でしか取得できません。利用を検討する際には事前によく確認しておきましょう。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|e-Gov 法令検索

参考:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

2. 介護休暇と介護休業のおもな違いは休暇日数

介護休暇と介護休業のおもな違いは、取得可能な休暇日数です。

介護休暇は、数時間や1日などの単発で利用します。一方の介護休業は、長期間まとまった休暇を取れることが特徴で、介護が必要な家族1人につき、通算93日間取得可能です。介護休業は、3回まで分割して利用できます。

介護休業は、家族が介護施設に入居するまでの準備期間や、遠方の家族の介護など、まとまった休みが必要な際の利用に適しているでしょう。

参考:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

参考:「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。|厚生労働省

3. 介護休暇制度で得られる企業側のメリット

介護休暇制度で得られる企業側のメリットとしては、従業員をサポートすることで働きやすい職場環境を実現することが挙げられます。

昨今の人手不足のなか、人材確保は各企業の大きな課題です。従業員が働きやすい社内環境に整備できれば、介護を理由とした社員の離職防止に役立てられます

しかし、介護休暇はあまり活用されていません。平成27年の厚生労働省の発表によると、介護をしている労働者の介護休暇の取得率は2.3%にとどまっています。介護休業についても3.2%と、決して大きな割合とはいえません。

時間単位での介護休暇が取得できる現在は、以前より介護休暇を利用しやすい環境になったといえます。しかし、企業側が介護休暇取得への理解ある態度を率先して示さないと、従業員にとっては利用しにくいこともあるでしょう。

介護休暇を利用しやすい社内環境づくりが肝要です。

参考:介護休業給付について|厚生労働省

4. 介護休暇は何日?取得できる日数と条件

介護休暇の取得可能な日数や取得条件について以下の流れで解説します。

  • 介護休暇の取得可能日数と取得単位
  • 介護休暇を取得できる労働者の条件
  • 介護休暇を使うことができる対象の家族の範囲

4-1. 介護休暇の取得可能日数と取得単位

介護休暇の取得可能日数は、介護対象の家族の人数によって異なります。具体的には以下のとおりです。

介護の対象となる家族が1人のケース 年間5日まで
介護の対象となる家族が2人のケース 年間10日まで

上記のとおり、対象となる家族の人数ごとに取得可能な日数が増えていくわけではない点には注意しましょう。また、とくに定めのない限り、年度は4月1日始まりで計算します。

介護休暇は、以下の単位で取得可能です。

  • 1日単位
  • 1時間単位

上記は、利用者の利便性を考え令和3年1月1日からスタートした取り決めで、それ以前は1日単位もしくは半日単位での取得でした。

時間単位で介護休暇を取得する場合、基本的には就業開始時間から、もしくは就業終了時間まで連続で使用します。しかし企業によっては、就業時間の途中で休暇を取る中抜けを許可している場合もあるようです。

なお、時間単位での休暇の取得が難しい仕事の場合、時間単位の休暇を取得しない労使協定を結んでいる人は、1日単位の介護休暇のみ取得可能です。

参考:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

4-2. 介護休暇を取得できる労働者の条件

介護休暇を取得できる労働者の条件は、次のとおりです。

  • 1日単位で雇用契約を繰り返す日々雇用ではない従業員
  • 労使協定を締結している場合、入社から6ヵ月以上がたつ従業員
  • 労使協定を締結している場合、所定労働日数が1週間あたり3日以上である従業員
  • 以下の4-2に該当する要介護の家族をもつ従業員

なお、ここでいう労使協定とは以下を指します。

事業所ごとに労働者の過半数で構成される労働組合があるケース 労働組合と事業主との書面による協定
上記がないケース 労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定

参考:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

4-3. 介護休暇を使うことができる対象の家族の範囲

介護休暇を使うことができる対象の家族の範囲は以下のとおりです。

  • 配偶者
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

同居していない家族も対象者となり、要介護認定は必要ありません。配偶者には事実婚のカップルを含みます。子どもに関しては、法律上の親子関係が認められれば対象者となるため、養子にも利用可能です。

介護を受ける家族は、ケガや病気、身体や心の障害により、2週間以上の常時介護を要する状態である必要があります。厚労省では常時介護の状態について基準を設けていますが、企業側には柔軟な対応を求めているため、フレキシブルな対応を検討することが大切です。

参考:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

参考:常時介護を必要とする状態に関する判断基準|厚生労働省

5. 介護休暇中の給与

介護休暇中の給与の扱いについては法律上の定めはなく、企業側に支払いの義務はありません。一般的には、原則的に無給扱いとなることが多いようです。

有給休暇が残っている従業員であれば、そちらを優先して消化する方法も検討の余地があります。

なお介護休業においては、要件を満たした場合、介護休業給付金制度の利用が可能です。必要に応じて従業員に給付金の案内をしましょう。

6. 介護休暇の申請・受理方法

介護休暇の申請・受理方法については、口頭での申し出が可能です。申請の締切もなく、介護休暇を希望する当日の申請もおこなえます。

社内で用意した規定の書面での申請・受理も可能です。時間をカウントする都合や管理の都合上、書類での申請が必要であれば、あらかじめフォーマットを用意し周知しておくとよいでしょう。

ただし、介護休暇は突発的に必要になるケースも多々あります。いったん口頭で受理しておき、後日申請書を提出してもらうような柔軟なシステムづくりも大切です。

参照:通院の付添いなどで短時間の休みが必要な時は、「介護休暇」を活用しましょう。|厚生労働省

7. 介護休暇に対応する際の3つの注意点

介護休暇に対応する際には、以下に注意が必要です。

  1. 介護休暇は拒否できない
  2. 解雇・降格・減給などの理由にできない
  3. 対象の従業員への残業や深夜労働が禁止される

それぞれ具体的に説明します。

7-1. 介護休暇は拒否できない

従業員から正当な理由で介護休暇(介護休業)の申請があった場合、企業側は原則的に拒否できない点に注意しましょう。

介護休暇は法律によって定められた制度です。従業員の権利として法で守られているため、万が一社内の就業規定に定められていなくても断れば法令違反となります

急な申請にも対処できるよう、チーム内での情報共有を進めるなど、常日頃からの準備が大切です。

ただし、労使協定で介護休暇の対象外の契約を結んでいる従業員については、介護休暇の取得を拒否できます。

7-2. 解雇・降格・減給などの理由にできない

従業員から介護休暇が申請されたことを理由に、対象者の解雇や降格、減給などはできません。

介護休暇は従業員の正当な権利であるため、従業員が不利になる措置についても法律で禁止されています。たとえ介護休暇が原因で業務に重大な支障や損害が生じたとしても、処分の対処とはできないため注意しましょう。

7-3. 対象の従業員への残業や深夜労働が禁止される

介護休暇を申請した従業員に対しては、業務の運営を妨げない限り、残業や深夜労働をさせてはいけない決まりになっている点にも配慮が必要です。

従業員は介護終了までの間、1回あたり1ヵ月以上1年以内の残業の制限、および1ヵ月以上6ヵ月以内の深夜労働の制限を請求する権利があります。

ただし、以下に該当する従業員にはその権利はありません。

  • 日々雇用の労働者
  • 労使協定で対象外の契約を行った、入社1年目の労働者
  • 労使協定で対象外の契約を行った、所定労働日数が1週間あたり2日以下の労働者

適切に対処し、従業員の業務遂行と介護の両立を支援しましょう。

8. 介護休暇で従業員をサポートし離職防止に活かそう

介護休暇は、家族の介護に利用可能な法で定められた休暇制度です。数時間や1日など、比較的短いスパンで利用できる休暇制度のため、フレキシブルに利用すれば従業員が介護と仕事を両立しやすくなります

企業側にとっても、従業員の働きやすい社内環境づくりに役立つメリットがあるため、正しくサポートし、離職防止に活用しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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