介護休業の条件とは?対象外になるケースも解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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介護休業の条件とは?対象外になるケースも解説

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「介護休業を取得するにはどのような条件が必要なの?」

「介護休業を申請しても、対象外になるケースがあるのか知りたい」

「介護休業の申請手続きの流れを教えてほしい」

こうした疑問をお持ちではないでしょうか。

介護休業は、家族を介護する必要がある従業員を支援するための制度です。ただし、すべての従業員が対象となるわけではなく、特定の条件に当てはまる場合には対象外となるケースもあります。

本記事では、介護休業を取得するための条件や対象者の範囲、申請手続きの流れ、そして対象外となるケースについて詳しく解説します。

最後まで読むことで、介護休業の制度を正しく理解し、申請に向けた準備や対応に役立つ情報を得られるでしょう。

1. 介護休業を取得するための条件と対象者

若い女性と年老いた女性

対象となる従業員は、雇用期間が6ヵ月以上であれば、正社員や契約社員、アルバイトなど雇用形態は関係ありません。

また、介護休業を取得するには次の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 要介護状態の対象家族がいること
  2. 対象家族を介護する必要があること

1-1. 要介護状態の対象家族がいること

1つ目の条件は、要介護状態の対象家族がいることです。要介護状態とは、負傷や疾病、または身体・精神の障害のため、2週間以上の継続的な介護を必要とする状態を指します。

対象家族の範囲は次のとおりです。

  • 配偶者(事実婚含む)
  • 両親
  • 子ども
  • 配偶者の両親
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

1-2. 対象家族を介護する必要があること

介護休業を取得するための2つ目の条件は、従業員自身が対象家族を介護する必要があることです。単に家族が要介護状態であるだけでなく、従業員自身が家族に対して日常的に介護を提供する必要がある場合に限られます。

介護には、身体介護や日常生活のサポート、通院の付き添いなどが含まれ、従業員が具体的に関与することが必要です。

2. 介護休業を取得できる期間

スーツの男性

介護休業の取得期間は、対象家族1人につき通算で93日までと規定されています。

また、93日間は連続取得するほかに、分割取得も可能です。分割取得の場合、取得可能な回数は最大で3回までとなっており、40日、23日、30日など従業員の介護ニーズに合わせた柔軟な取得ができるでしょう。

対象家族が複数いる場合には、それぞれの対象家族ごとに93日の介護休業が認められます。

3. 介護休業と介護休暇の違い

虫眼鏡

介護休業と介護休暇の違いは下記の表のとおりです。

項目 介護休業 介護休暇
取得期間 対象家族1人に対して通算93日まで(分割取得も可能) 対象家族1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)
取得単位 原則として日単位 時間単位での取得も可能
申請期限 原則として2週間前まで 当日の申請も可能
目的 長期的な介護に対応できる 短期的な介護や突発的な対応ができる

介護休業と介護休暇は、両方とも要介護状態の対象家族を介護する従業員が取得できる制度ですが、利用目的や取得方法に違いがあります。

介護休業は、長期的な介護に対応するための制度で、対象となる家族1人につき通算で最大93日まで取得可能です。最大3回まで分割して利用できるため、計画的に長期間の休暇を取得する際に適しています。

一方、介護休暇は短期的な介護や突発的な対応に利用される制度です。該当する対象家族1人につき年5日(2人以上の場合は年10日)取得でき、より柔軟に利用できます。

それぞれの違いを理解し、従業員が適切に制度を活用できるようサポートしましょう。

4. 介護休業の対象外になるケース

思い悩む男女

介護休業の対象外になるケースは以下のとおりです。

  1. 入社して1年未満の従業員
  2. 申請後93日以内に雇用期間が終了予定の従業員
  3. 所定労働日数が週2日以下の従業員

介護休業は長期的な介護支援を目的とした制度で、短期間の雇用契約や勤務日数の少ない従業員は制度の趣旨にそぐわないため、対象外とされています。

5. 介護休業の申請と手続きの流れ

虫眼鏡とキューブ

介護休業の申請と手続きの流れは次のとおりです。

  1. 従業員から介護休業申請書を提出してもらう
  2. 介護休業の制度概要を通知する
  3. 業務の引き継ぎをする
  4. 介護休業を取得する

5-1. 従業員から介護休業申請書を提出してもらう

まず、従業員に「介護休業申請書」を提出してもらいます。原則として休業開始予定の日の2週間前までに申し出なければいけません

介護休業申請書には、次の項目を記載します。

  • 申出の年月日
  • 従業員の氏名
  • 対象家族の氏名および従業員との続柄
  • 要介護状態の対象家族
  • 休業開始予定日および終了予定日
  • 対象家族についてのこれまでの介護休業日数

また、要介護状態の確認のために、医師の診断書などの証明書類を従業員から提出してもらうことも可能です。

5-2. 介護休業の制度概要を通知する

従業員から申請後に、会社から「介護休業取扱通知書」を通じて介護休業の制度概要を正式に通知します

従業員が休業中に受ける対応について明確にすることで、休業中や復職後のトラブルも事前に防げるでしょう。また、業務への影響を考慮し、休業の開始日を調整もできるため、従業員と話し合いながら最適な日程を設定可能です。

介護休業取扱通知書には、次の項目を記載します。

  • 介護休業開始予定日および終了予定日
  • 取得可能期間(対象家族1人に対して通算93日まで、上限3回まで分割取得可能)
  • 休業中の給与・社会保険料の取り扱い
  • 復職時の労働条件
  • 休業中の連絡方法

5-3. 業務の引き継ぎをする

介護休業の開始前に、担当業務の引き継ぎをします。

引き継ぎ担当者を決定し、業務内容や進行中のプロジェクトの状況を共有することで、休業中の業務に滞りが生じないように準備しましょう

また、休業中の連絡方法や緊急時の対応についても、上司や同僚と確認しておくことが大切です。引き継ぎ期間中は、後任者や同僚と密に連携し、質問や疑問点を解消しておくことで、スムーズな業務移行が可能となります。

5-4. 介護休業を取得する

すべての準備が整ったら、従業員は実際に介護休業を取得します

介護休業中も、状況に応じて会社と連絡を取り合い、必要な情報を交換することが大切です。休業期間中に状況が変化した場合は、必要に応じて休業期間の変更などに対応しましょう。

6. 介護休業期間中の給与は会社規程による

会議する男女

介護休業期間中の給与支払いについては、各企業の規程や就業規則に委ねられています。法律で明確な規程が設けられていないためです

多くの場合、介護休業中は無給とされていますが、企業によっては特別手当や独自の支援が設けられていることもあります。具体的な取り扱いについては、就業規則や労使協定で明文化しておくと、従業員が安心して利用できるでしょう。

また、一定の条件を満たす従業員は「介護休業給付金」が受けられる場合があります。介護休業給付金は介護休業中の収入を補うもので、休業開始時の賃金日額の67%が支給される制度です。

介護休業給付金の支給条件は次のとおりです。

  1. 雇用保険の被保険者である
  2. 介護休業を開始した日から遡って2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある

条件を満たした場合は、ハローワークを通じて介護休業給付金の申請が可能になります。

参考:一回の介護|厚生労働省

参考:Q&A~介護休業給付~について紹介しています。|厚生労働省

7. 介護休業中の社会保険料は免除されない

積み木を積み上げる指

介護休業中は、社会保険料の免除制度がありません。休業中に賃金が支払われない場合でも、従業員は健康保険料や厚生年金保険料を納め続ける必要があります。

無給であっても社会保険料は発生し続けるため、従業員にとっては経済的な負担が伴うでしょう。住民税も前年の収入をもとに計算されるため、休業期間中の場合も支払いが必要です。

なお、雇用保険料については、賃金が発生しない場合は支払い義務が生じませんが、社会保険料の支払いは避けられません。

8. 介護休業を取得するうえでの注意点

虫眼鏡

介護休業を取得するときに、事前に知っておきたい注意点を3つ紹介します。

  1. 介護休業とほかの給付との併用はできない
  2. 介護休業を理由に不利益な扱いはできない
  3. 介護休業給付金の受給タイミングに注意する

8-1. 介護休業とほかの給付との併用はできない

介護休業給付は、ほかの給付制度と併用ができません

例えば、育児休業給付や産前・産後休業の給付金と同時に受け取ることは認められていないため、別の休業が発生した場合は、当初の介護休業が終了扱いとなります。

育児休業中に介護が必要となった場合は、育児休業を切り上げ、介護休業を新たに取得が必要です。

8-2. 介護休業を理由に不利益な扱いはできない

介護休業の取得を理由に、従業員に対して不利益な扱いをすることは法律で禁止されています

例えば、降格や減給、退職の強要などは育児・介護休業法に反する行為です。介護休業は従業員の権利として認められているため、従業員が安心して休業できる職場環境を提供するよう努める必要があります。

8-3. 介護休業給付金の受給タイミングに注意する

介護休業中に受け取れると思われがちな介護休業給付金ですが、実際には休業が終了した後に申請する制度です。

介護休業中には給付金を受け取れないため、休業期間中の収入がない場合は経済的な計画を事前に立てておく必要があります。

また、介護休業給付金は介護休業終了日から2ヵ月後の月末までに申請が必要です。

9. 介護休業の取得条件を理解してスムーズな対応を目指そう

書類を見る二人の男性

本記事では、介護休業の取得条件や対象者の範囲、申請手続きの流れ、対象外になるケースを解説しました。

介護休業は家族のための重要な制度ですが、適用されないケースや、休業中の社会保険料負担、給付金の受給タイミングなど、注意点も多いです。

介護休業制度を正しく理解し、適切に利用することで、従業員の仕事と介護の両立を支援できます。従業員からの介護休業の申請に備え、スムーズな対応を目指しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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