パートやアルバイトの多い飲食店やコンビニ、サービス業だけでなく、介護福祉業などでもシフト作成は必須です。シフトは作成したらそれで終わりではなく、きちんと管理しなければなりません。シフトを管理することで得られるさまざまなメリットや、どのようにシフトを管理すべきなのかなどについて解説します。

1.シフト管理とは？

シフトとは、従業員の働く曜日や時間を決めた一覧のことです。
シフト制の企業、店舗、施設の場合、従業員の希望にできるたけ沿う形でシフトを作成しなければなりません。

労働日数や労働時間は労働基準法によって定められており、それを超えないように意識する必要もあります。
従業員から不満が出ないようにする、欠員が出たときの補充方法を考える、忙しい曜日や時間帯に人員を多く配置するなどの配慮をするのがシフト管理です。

きちんとシフト管理ができていないと作業効率が悪くなってサービスに支障が出たり、従業員のモチベーションが下がってしまう原因になります。

1-1. シフト管理の方法

シフト管理方法は主に、Excelを使う方法と専用のシステムを使う方法があります。
Excelはマイクロソフトが入っているパソコンであれば無料で作成できるため、多くの企業や店舗、施設が使っているシフト管理方法です。計算式などをあらかじめ入れておくことでシフト管理をしやすくなります。

しかし、Excelの場合は人為的ミスも起きやすく、きちんと確認しないと連勤が続いてしまい労働基準法に違反してしまったり、必要以上にシフトが削られてしまったりなどの可能性も高くなります。

また、毎月異なる休日や祝日、休館日、混雑日なども自分で把握しなければなりません。
このミスが後から発覚すると修正するのが難しく、従業員に協力してもらえない可能性もあります。

一方でシフト管理専門のシステムを使ってシフトを作成する方法もあります。これなら自分で計算式などを入力する必要もなく、提出されたシフトを入力していくだけで簡単にシフトを作成できます。

1-2.シフト管理の目的

シフト管理をする目的は大きく分けて３つあります。
・労務管理業務の効率化
・人件費削減
・従業員の不満の解消

シフト管理を適切におこなうことで、まずはバランスのいい人員配置が簡単にできるので業務を効率的に進められ、必要以上に残業代を支払ったり人件費を支払ったりする必要もなくなります。
シフトを人数合わせだけで見ていると、新人ばかりになってしまったり得意なことが偏ったりしてしまうこともありますが、きちんとシフト管理すれば新人教育をしながら働くなど、効率的な従業員の使い方ができるでしょう。

またある程度経営を続けていれば、混雑する時間帯や曜日は把握することができます。
きちんと把握して、混雑していない時間帯にはシフトの人数を減らすなどの対策をすることで、人件費を最適化することができます。

さらにシフト管理をきちんとおこなえば、従業員からの不平不満を解消できます。忙しい時間帯に従業員が少ないと従業員一人あたりの負担が大きくなってしまいますのでバランスを見ながらシフトを作成するために管理が必要です。

2. シフト管理システムの主な機能

シフト管理システムには主に以下のような機能が備わっています。

• シフトの自動作成
• シフト調整
• シフト表の共有

2-1. シフトの自動作成

シフト管理システムに備わった機能のひとつが、シフトの自動作成です。手作業では膨大な時間と労力がかかるシフト作成を、システムが自動でおこないます。システムは、各従業員が事前に登録した勤務希望日時、休暇希望、シフトに入れない日などを自動で読み込み可能です。

さらに、POSデータや過去の売上データから予測される必要な人員数、従業員のスキルレベル、特定の時間帯に必要な人員配置などを考慮して、最適なシフト案を提案します。

2-2. シフト調整

自動作成されたシフト案であっても、細かな調整や急な変更が必要になることがあります。シフト管理システムは、そうした調整作業もスムーズにおこなえる機能を提供します。シフトに空きが出た場合や、急な欠員が発生した場合、システム上で従業員の勤務可能日や希望をリアルタイムで確認し、最適な代替要員を迅速に把握可能です。

2-3. シフト表の共有

作成・調整したシフトは、関係者全員にスムーズに共有される必要があります。シフト管理システムは、情報共有の漏れや遅れを防ぎます。作成されたシフト表は、従業員が自身のスマートフォンやPCからいつでもどこでも確認可能です。そのため、紙のシフト表を配布したり、店舗に貼り出したりする手間がなくなります。

3. よくある悩みから考えるシフト管理システムを導入するメリット

シフト管理を導入するメリットを3つ紹介します。管理者側の悩みとしてシフト管理をする上で以下のお悩みがあるのではないでしょうか。
・シフト表の作成が難しく時間がかかる
・スタッフの配置に悩む
・人件費の計算が大変
このようなシフト管理業務でよくあるお悩みから考えるシステム化するメリットを紹介します。これまでシフト作成でいっぱいいっぱいだったという方は、シフト管理にも目を向けてみましょう。

3-1. シフト作成・共有がスムーズになる

シフト管理システムを使うことでシフト作成が各段にスムーズになります。
経営者はシフト作成以外にもしなければならないことがたくさんありますので、少しでも作業を少なくするためにこのようなシステムを活用することは大切です。
ミスを減らし、安定した経営を続けられるようにしましょう。

3-2. シフトをすぐに確認できる

専用のサイトにアクセスしたり、データを画像にして送れるようなシステムを利用すればシフトを誰もがすぐに確認できます。

わざわざ店舗や施設に出向いてシフトを確認する必要もなくなり、従業員の負担を減らすことも可能です。
Excelで工夫しなくてもシステムが自動的に見やすいシフト表を作成してくれるというメリットもあります。

3-3.シフト忘れや提出漏れを防止できる

シフト管理システムにはアプリ形式のものもあります。従業員にこのアプリを入れてもらうことで、出勤の通知をしたりスケジュールに自動的に入力することも可能なので、シフトをしっかり把握していなかったがゆえに従業員が来ないという心配も防げます。

シフトの提出の締め切りをきちんと決めていればその通知をしてくれるアプリもあります。
シフトの希望が締め切りまでに集まらずなかなかシフト作成に取り掛かれないというストレスからも解放されます。
アプリを開くだけで簡単に次のシフトや誰と一緒にシフトに入っているかがわかるというのも便利な点です。

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3-4. コストカットにつながる

また、作成したシフトはそのまま各従業員のメールアドレスや共通のチャットなどに送信できるため、連絡やプリントにかかるコストを削減することも可能です。
シフト管理システムは有料のものがほとんどでその内容や金額もさまざまなので、自社に最適な最適なシステムを探し、必要であれば無料体験期間なども利用しましょう。

4. シフト管理システムとExcelの違い

多くの企業でシフト管理にExcelが使われていますが、シフト管理システムと比較すると、機能面や効率性において大きな違いがあります。

例えば、シフト管理システムは従業員の希望、スキル、法規、人件費などを考慮し、最適なシフト案を自動生成します。一方、Excelでは管理者が一人ひとりの希望や条件を考慮しながら手作業で入力・調整が必要です。

労働法規遵守の側面では、シフト管理システムは残業時間上限、休憩時間、休日日数などを自動でチェックし、法規違反のリスクを軽減します。対してExcelでは、管理者が法規を把握し、手動で確認する必要があるため、見落としのリスクが高いでしょう。

5. シフト管理システム・アプリの選び方

ここからは、実際にシフト管理システムの導入を検討したい方に向けてシステムやアプリを選ぶ際のポイントを紹介します。

5-1. 勤怠管理システムと自動連携できるものを選ぶ

シフト管理システムを選ぶ際には、既存の勤怠管理システムと自動連携できるものを選ぶことが重要です。自動連携によりデータの二重入力を防ぎ、エラーのリスクも軽減されます。例えば、勤怠情報がシフト管理システムに自動で取り込まれることで、店長や管理者が一元的にデータを確認・管理でき、業務効率が大幅に向上します。これにより、シフト作成や調整が迅速かつ正確に行え、労務管理や人件費の適正化にも寄与します。さらに、時間やコストの削減も期待でき、店舗全体の運営がスムーズになります。したがって、シフト管理システムを選ぶ際には、既存の勤怠システムとの自動連携機能を重視することが、効果的かつ効率的なシフト管理を実現するための鍵となります。

5-2 工場・飲食店や介護・医療など、業種業態にあったものを選ぶ

工場、飲食店、介護、医療など、業種に適したシフト管理システムを選ぶことは、業務効率化には欠かせません。例えば、工場では生産計画と連携し、複雑なシフトパターンや休日出勤にも対応できるシステムが求められます。飲食店ではアルバイトやパートの急な欠員に対応できる、店舗間のヘルプ機能が重要です。介護や医療分野では、24時間対応が必要なため、スタッフの配置や労働時間を適切に管理できるシステムが必要です。これらの業種に合ったシステムを選ぶことで、効率的な運営と適切な労務管理が可能になります。

5-3. 広く雇用形態に対応できるシステムを選ぶ

正社員だけでなく、アルバイト、パート、契約社員、派遣社員などの異なる雇用形態を持つ企業が多く存在します。そのため、シフト管理システムを選ぶ際には、これら全ての雇用形態に対応できるシステムを選ぶことが重要です。雇用形態によって契約内容が異なるため、シフト管理だけでなく従業員の契約情報も正確に管理できるシステムが求められます。

特に派遣社員がいる場合は、派遣会社との契約内容に基づいてシフトを正確に管理する必要があります。契約違反が発生すると企業の信用を損なう可能性があるため、正確なシフト管理は不可欠です。適切なシステムを導入することで、全体のシフトバランスを最適化し、効率的な運営が可能となります。

5-4. 有料版を検討する

シフト管理システムを選定する際、無料版のアプリは基本機能のみの提供が多く、店舗や会社の管理者が求める高度な機能が不足する可能性があります。例えば、無料版ではシフトの自動生成機能や複数店舗の統合管理機能が制限され、従業員の数や業務の複雑さに対応しきれないことがあります。有料版のシステムを選ぶと、より高精度なシフト管理を実現できます。具体的には、リアルタイムでシフトの変更通知ができる機能や、従業員の勤務時間集計機能など、管理者の負担を大幅に軽減するツールが利用可能になります。このように、有料版は効率化と最適化を図るための強力なサポートツールとなります。

6.シフト管理システムを上手に活用しよう

シフト管理について解説しました。
シフト作成は店舗や施設などの経営にとって重要ですが、経費の削減や従業員のモチベーションの維持のためにはさらにシフト管理をおこなう必要もあります。
シフト管理システムを利用することで、シフト作成が簡単になる、人為的ミスを軽減できるなど、豊富なメリットがあります。

シフト管理システムはさまざまなものがありますが、それぞれサービス内容や料金、使い方が異なります。
どんな機能が必要なのか、どれくらいの予算をかけられるのかなどを確認して、自社に最適なシステムを見つけましょう。効率的にシフトを管理して、より経営や従業員の育成に役立ててください。