特別休暇とは?種類や日数の例、有給休暇との違い・取得した場合の給料を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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特別休暇とは?種類や日数の例、有給休暇との違い・取得した場合の給料を解説

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企業は法律で定められた年次有給休暇の他に、独自に設けた特別休暇を与えることができます。特別休暇は、福利厚生として企業価値を高め、従業員のワークライフバランスの実現を手助けするなど、メリットの多い休暇です。

本記事では、特別休暇の具体的な種類や導入のポイントや注意点を解説します。特別休暇の効果的な運用に役立ててください。

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無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。

◆この資料でわかること

  • 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
  • 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
  • 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
  • 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点

多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 特別休暇とは

マニュアルの積み木と本の画像

特別休暇とは、企業が自由に設定できる休暇のことです。福利厚生の一環として活用されています。法定休暇と異なり必ずしも付与する義務はなく、休暇の日数や内容、有給無給の判断については、各企業が独自に決定できます。

厚生労働省は、特別休暇を「労使の話し合いにより、休暇の目的や取得形態を任意で設定できる特別な休暇制度」と説明しています。

特別休暇の最大の特徴は、その柔軟性です。自社の業務特性や従業員のニーズに合わせ、さまざまな特別休暇を設計することができます。

例えば、結婚や出産などの人生の節目に合わせた慶弔休暇から、従業員の健康管理を目的とした病気休暇、さらには企業独自のユニークな休暇まで、多岐にわたる制度設計が可能です。

参考:働き方・休み方改善ポータルサイト|厚生労働省

2. 特別休暇の種類と取得日数の目安

重要というタグが付いている本の画像

特別休暇は企業が独自に設定できるため、各企業でさまざまなものが運用されています。ここでは、多くの企業で導入されている特別休暇の一例を紹介します。

2-1. 慶弔休暇

慶弔休暇は、結婚や出産、死亡などが休暇の付与事由になる休暇で、従業員やその親族の慶事や弔事に対して付与されます。日数は続柄によって異なるので、適切な日数を設定するのが望ましいでしょう。

<慶弔休暇の日数の例>

  • 従業員本人の結婚 5~7日間
  • 配偶者の出産 5日間
  • 実親の死亡 5~7日間
  • 子の死亡 10日間
  • 祖父母の死亡 3日間

家族の慶弔に際してしっかり休める制度は、従業員に安心感を与えるとともに、企業からのお祝い・お悔やみの気持ちを示す意味合いもあります。

2-2. 傷病休暇

傷病休暇は、従業員が病気やケガの治療・療養に専念するため、年次有給休暇とは別枠で企業が任意に設ける休暇です。長期間の入院や自宅療養が必要なケースでは、年次有給休暇だけでは日数が不足します。こうした事態に備えて、有給休暇以外にも体調不良時に使える病気休暇を設けておくことで、万が一のときでも安心できる環境を整えられます。

日数の目安は企業によって異なり、3ヵ月程度の短い期間を設定している企業から、1〜2年と長い期間で設定している企業もあります。また、勤続年数に応じて付与日数を段階的に増やす企業も少なくありません。

傷病休暇制度を設計する際は、医師の診断書の提出要件や、復職時の健康状態確認プロセスなども併せて検討する必要があります。

2-3. ボランティア休暇

ボランティア休暇は、従業員が自発的に無償で社会貢献活動をおこなうことを付与事由とした休暇です。地域貢献活動や自然環境保護活動など、ボランティア活動への関心は年々高まっています。

ボランティア活動に積極的な従業員を「休暇」で後押しすることで、企業への信頼感を高める効果が期待できます。

日数は企業の考え方次第でさまざまです。一般的には短期のボランティア活動向けに年数日程度を付与する企業が多く、例えば「1日~3日程度、長くても5日間前後」が目安とされています。

一方で、企業によっては数ヵ月から年単位の長期ボランティア休暇を設けていることもあり、特に海外ボランティアなどの短期では難しい活動に対応しています。

2-4. バースデー休暇

バースデー休暇とは、名前のとおり誕生日に休暇を取ることができる制度です。日数の目安は誕生日当日の1日となっており、企業によっては、従業員の誕生日だけでなく家族の誕生日でも休める制度を作っています。また、有給であることが一般的で、誕生日当日のみでなく、誕生月内であればいつでも取得可としている企業もあります。

誕生日は多くの人にとって特別な日なので、その日に有給の休暇を取れることは従業員の満足度向上に役立つでしょう。

2-5. アニバーサリー休暇

アニバーサリー休暇は、従業員の記念日に休暇を付与する制度です。「結婚記念日」や「家族の誕生日」など記念日の設定をしている企業もありますが、最近では従業員が自由に取得できるようにあえて記念日を限定せず、「従業員にとっての記念日」に休暇を付与する企業も増えています。

日数の目安は1日から2日程度です。

2-6. リフレッシュ休暇

リフレッシュ休暇は、長期間の勤務や重要なプロジェクトの完了後など、疲労が蓄積しやすい時期に付与されることが多い休暇です。心身の疲労が溜まってしまうと、労働意欲の減退やバーンアウト(燃え尽き症候群)などが引き起こされ、生産性低下のリスクが発生します。

日数の目安は3日から7日程度となっており、勤続年数に応じて変動するケースが多いようです。仕事の節目で休憩できるタイミングに休暇を付与すれば、長期間の勤務に区切りがつけられるので、心身共にリフレッシュすることで業務効率の向上も見込めます。

2-7. 夏季休暇

夏季休暇とは、夏に従業員が取得できる休暇を指します。一般的には8月13日から15日までを中心とした3日間から5日間が多いですが、企業により日数や期間は異なります。

お盆の時期に夏季休暇を設けることで、従業員が帰省などの予定を立てやすくなり、福利厚生の充実につながります。

また、この期間に多くの企業が一斉に休業することから、自社も同様の期間に休業することで従業員がバラバラに休みを取るより業務効率が向上しやすいという利点もあります。従業員のリフレッシュの機会を提供するだけでなく、企業全体の効率的な運営にも寄与するため、多くの企業が夏季休暇を導入しています。

特別休暇として付与するほか、有給休暇の計画的付与制度で取得させるケースも多く見られます。

2-8. 教育訓練休暇

教育訓練休暇は、従業員が教育訓練を受けるために、一定の期間職場を離れることを認める制度です。業務能力の向上促進に役立つ教育訓練を実施することで、企業は人材育成、従業員はキャリア形成ができるというメリットが得られます。

日数の目安は数日間の場合から数ヵ月間の場合もあり、企業によって幅広く設定されています。従業員の「学び直し」や「自己啓発」を積極的にアシストすることで、企業へのロイヤルティや信頼度も高まり、結果として業績アップに貢献してくれるでしょう。

有給か無給かは企業によります。無給の場合、要件を満たすと従業員が令和7年10月より新設された雇用保険の「教育訓練休暇給付金」を受給できるため、あわせて内容を確認しておくとよいでしょう。

参考:教育訓練休暇給付金について|厚生労働省

2-9. 病気休暇

病気休暇は、病気やけがで通院・療養が必要な従業員のために付与される休暇です。時間単位や半日単位でも取得できるよう設計する企業もあります。年次有給休暇とは別に使うことができる病気休暇は、いざというときのためのセーフティーネットとなるため、従業員に安心して働く環境を提供することができます。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 | e-Gov法令検索

2-10. コロナ休暇(感染症休暇)

新型コロナウイルス感染症が流行した際、多くの企業で従業員が安心して休めるよう「コロナ休暇」と呼ばれる特別休暇制度が導入されました。現在では、このコロナ休暇の考え方を発展させ、インフルエンザやノロウイルスなど他の感染症全般に対応できる特別休暇制度へと拡充しようとする動きがみられます。

感染症法18条により1類感染症から3類感染症及び新型インフルエンザに分類される感染症に罹患した従業員には、就業を制限する措置をとらなければなりません。感染症法で定められた感染症以外でも、コロナウイルスやノロウイルスなどは職場内で集団感染(クラスター)が発生するリスクが高く、業務に大きな支障を及ぼす可能性があります。

そこで、企業が感染症に対応した特別休暇制度をあらかじめ設けておけば、従業員は感染時や感染が疑われるときに周囲へ遠慮せず休むことができ、結果的に社内でのまん延防止につながります。これは従業員の健康と安全を守り、職場の安定稼働を維持する上で有効な対策と言えるでしょう。

2-11. 公務員の特別休暇

公務員には多様な特別休暇制度が設けられており、人事院規則によって公民権行使や官公庁出頭に関する特別休暇が認められています。特定の業務や個人のライフイベントに対応するための休暇もあり、例として骨髄ドナーやボランティア活動、結婚や出生サポートが挙げられます。また、産前や産後の休業、保育時間や妻の出産に際しての休暇も保障されています。

さらに、男性の育児参加や子の看護、短期介護といった家族への配慮に基づく休暇や、忌引や父母の追悼といった感情的に重要な行事についても特別休暇が適用されます。季節によって異なる要求に対応するための夏季休暇や、自然災害による現住居の減失等に対する特別休暇、出勤困難や退勤途中の事態に対する休暇も含まれます。

2-12.裁判員休暇

裁判員休暇は、従業員が裁判員に選出された場合に取得できる休暇です。裁判員制度では、選ばれた国民は裁判に参加する義務があります。従業員が国民の公的義務を果たすことを尊重するため、多くの企業では裁判員に任命された際は特別休暇として休みを与える取り決めをしています。

労働基準法第7条では、従業員が公の職務をおこなうために必要な時間を請求した場合、拒んではならないと定められています。裁判員として裁判に参加することは「公の職務」の典型例です。

日数は「必要な日数」とし、上限を設定していない企業がほとんどです。

3. 他の休暇制度との違い

ビックリマークが浮かんでいる

特別休暇と似たものに、有給休暇をはじめとする各種の法定休暇があります。特別休暇との具体的な違いについて解説します。

3-1. 法定休暇

法定休暇は、法律上、企業が従業員に必ず付与しなければならない休暇です。これにより、従業員は安心して働くことができ、労働条件の向上が期待されます。法定休暇には年次有給休暇、産前産後休業、育児休業があります。

<年次有給休暇>

有給休暇は、その名の通り賃金が支払われる休暇のことです。一般的に有給休暇と呼ばれているのは、労働基準法で付与することが定められた「年次有給休暇」です。

労働基準法では、6ヵ月以上継続勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、勤続年数に応じた年次有給休暇を与えることを義務付けています。

参考:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法|e-Gov法令検索

対して、特別休暇は付与することが義務付けられておらず、有給にするか無給にするかについても企業の判断で決められます。このように、同じ休暇であっても両者はまったく異なる種類の休暇であり、給与計算にも関わってくるので注意しましょう。

<生理休暇>

生理休暇は女性従業員が月経時に取得できる休暇で、労働基準法第68条の規定により付与されます。この法律は、生理日で仕事が著しく困難な女性従業員から休暇の請求があった場合、就労を免除する義務を課しています。生理休暇は法律上は無給でよく、賃金を支払う必要はありません。

日数は個人の症状により異なり、限られるべきではありません。さらに、1日単位だけでなく、半日や時間単位での取得も可能です。

参考:昭和二十二年法律第四十九号労働基準法|e-Gov法令検索

<育児休業・介護休業>

育児休業・介護休業は、「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づいて付与される休暇です。

育児休業は、従業員が1歳未満の子を養育するための休業と定義され、保育所に入れられないなど一定の場合には1歳6ヵ月、さらには2歳まで延長も認められます。また、男性の育児参加を促進するため、配偶者の出産後8週間以内に取得する「産後パパ育休」制度も設けられています。

また、介護休業は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための休業であり、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割取得が可能です。要介護状態とは、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を指します。

育児・介護休業は、企業独自の特別休暇と異なり、雇用保険からの給付金支給制度も整備されています。

育児休暇は法律上の制度名ではなく、各企業が自主的に定める子育て支援のための休暇制度を指します。「育児目的休暇」とも呼ばれ、法律上の義務ではない一方、男性育休取得率の公表(*)においては計算に含めることができます。

(*)従業員が300人超の企業は、男性労働者の育児休業取得率等の公表が義務付けられています。

参考:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律|e-gov法律検索

関連記事:介護休業を取得できる条件とは?期間や注意点を解説

関連記事:看護休暇とは?企業側のメリットや制度導入時の注意点を解説

<子の看護等休暇>

子の看護等休暇制度とは、子どもが小学校第3学年を修了する年度の3月31日までの間、病気やけがの看護・予防接種・健康診断・学校の休業・入園式・卒園式・入学式を理由に休暇を取得できる制度のことです。

子どもが1人であれば1年度に5日間まで、2人以上であれば10日間まで取得できます。休暇は1日単位か時間単位での取得が可能です。

法律上は無給で差し支えありませんが、特別休暇として有給とする企業もあります。

3-2. 法定外休暇

法定外休暇は法律で定められていない企業独自の休暇制度です。この休暇は従業員の福利厚生を向上させるために企業が自主的に設けるもので、特別休暇もその一つに該当します。特別休暇は従業員の生活の質を向上させ、職場の満足度を高める効果があります。

この休暇の設定や付与についての義務はなく、有給とするか無給とするかも自由に決定できます。特に人事担当者や企業の管理職にとって、法定外休暇の導入は従業員のモチベーション向上や離職率の低下につながる重要な施策です。法定外休暇の有効活用は、企業の競争力を強化するための有力な手段となるでしょう。

このように休暇と休日の違いを明確に理解していないと、管理上で法律違反をしてしまう可能性があるため、違いをしっかりと把握しておきましょう。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

関連記事:年次有給休暇とは?をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介

4. 特別休暇取得日の賃金

お金の入った袋と虫眼鏡が置かれている

特別休暇は法律で規定されている休暇ではないため、企業が自由に設定できます。そのため、有給にするか無給にするかも自由に決められ、就業規則に従って支払いの有無を判断することになります。

4-1. 特別休暇は無給にできる?

一般的に「特別休暇=有給」というイメージがありますが、前述したように支払いの有無は企業が決めるため、無給にすることも可能です。

一定数以上の従業員が特別休暇を有給と捉えている場合、無給として運用すると、特別休暇の恩恵を感じられないケースもあるかもしれません。仮に企業のイメージアップや人材確保のために特別休暇を設けるのであれば、有給にするのが望ましいでしょう。

また、就業規則で有給としているにも関わらず、給与計算で無給として取り扱うのは労働基準法に違反する可能性があるため注意が必要です。

5. 特別休暇を導入するメリット

メリット

特別休暇を導入することで、企業と従業員の双方に多くのメリットがあります。例えば、従業員のモチベーションアップや、生産性向上などです。また、従業員が心身をリフレッシュできるため、長期的な健康維持にも役立ちます。

さらに、特別休暇制度を整えることは、従業員ごとのさまざまな事情に寄り添い、多様な働き方を提供することでもあります。ダイバーシティに配慮した労働環境の実現にもつながり、優秀な人材の確保や離職率の低減といった効果が見込めるでしょう。

このように、特別休暇は企業全体の業績向上や職場環境の改善に寄与するため、人事担当者や管理職にとって重要な施策です。

5-1. 従業員の心身リフレッシュにつながる

特別休暇は従業員が業務から離れ、心身をリフレッシュする機会を提供します。連日の休日出勤や時間外労働が続くと、従業員の心身に疲労が蓄積しがちです。

特別休暇を導入することで、従業員はプライベートの活動を充実させたり、自宅で十分な休養をとったりできます。このように、特別休暇は従業員の健康維持やストレス軽減に役立ちます。

5-2. 従業員のモチベーションを向上させる

特別休暇の導入は、従業員のモチベーション向上に大いに効果があります。企業において従業員のモチベーションが低下すると、生産性やパフォーマンスが大きく減少し、早期離職といった深刻な問題へと発展する可能性があります。

しかし、特別休暇を付与することで、従業員は仕事による疲労をリフレッシュし、プライベートの充実を図れます。これにより、再び業務に戻った際に高い意欲を持って仕事に取り組むことができ、結果として企業全体の効率が向上するでしょう。

仕事が特に忙しかった月の直後や、個人的な事情が重なるタイミングで特別休暇を活用できれば、従業員のモチベーション向上に直結します。したがって、特別休暇の導入は、企業の長期的な利益向上にも寄与する重要な施策といえます。

5-3. 離職率の低下・離職率の改善につながる

特別休暇を導入することで、企業は従業員の働きやすさを大幅に向上させることができます。また、特別休暇の各種制度が充実している企業では、従業員が休みをしっかりと取得できるため、離職率の低下が期待できる点もメリットです。

代表的な退職理由として「休みが取りにくい」や「労働時間が長い」といった問題が挙げられますが、これらの課題を解消するためにも特別休暇は有効です。

特別休暇を通してワークライフバランスを保ちやすくし、「この企業で働き続けたい」という気持ちをサポートできるでしょう。

5-4. 生産性を向上させる

企業の生産性向上には、特別休暇の導入が効果的です。従業員が疲労やストレスを感じたままでは、仕事の成果は上がりません。

例えば、アニバーサリー休暇(本人や配偶者の誕生日、結婚記念日など)は、従業員のプライベートとのバランスを尊重しているという企業からのメッセージにもなり、帰属意識やエンゲージメントを高め、結果的に生産性向上に寄与します。

他にも、メンタルヘルスを考慮した特別休暇を設けることで、従業員は病気になる前に心身のケアや予防に取り組めるでしょう。体調不良などで欠勤が続く「アブセンティーズム」だけでなく、出勤していても心身の不調により十分なパフォーマンスを発揮できない「プレゼンティーズム」の防止にもつながります。

5-5. 企業ブランディングを向上させる

従業員の事情に寄り添った特別休暇制度を設けることで、従業員を大切にする企業というイメージを確立できます。例えば、育児休暇やボランティア休暇などの特別休暇が制度として整備されている場合、企業は従業員のライフワークバランスや社会貢献を重視していることをアピールできるでしょう。

このような制度が多くの従業員に利用されている企業は、働きやすい職場として評価され、その結果、ブランディングにつながります。また、特別休暇が整備されていることは、人材確保の観点でも大きなメリットとなり、優秀な人材の採用活動においても有利と言えます。

6. 特別休暇の導入方法

砂時計と書類の写真

ここからは、特別休暇を新設するときのポイントを紹介します。効果的な特別休暇の導入を実現するためにも、しっかりとチェックしておきましょう。

6-1. 特別休暇の目的を検討する

まずは、新設する特別休暇の目的を検討しましょう。目的によって、最適な特別休暇は異なります。

例えば、従業員の長時間労働が課題になっている企業では、プロジェクト完了後などの繁忙期明けに土日と合わせて3連休にできるリフレッシュ休暇を、数ヵ月に1回義務付けるといったアイデアが浮かぶかもしれません。

企業のPRを強化する目的があれば、他の企業にはないユニークなアイデアを盛り込んだ特別休暇がおすすめです。ユニークな特別休暇は話題になりやすいので、企業への注目度を高めやすいでしょう。

ただし、人事担当者のみで特別休暇制度を企画するのではなく、現場の声を聞きながら、実態の課題に即した内容にするとより良いでしょう。

6-2. ルールを就業規則に規定して周知する

特別休暇の目的と具体的な内容が決定したら、就業規則に記載しましょう。ここで決めておきたいのは、以下の内容です。

  • 特別休暇の目的
  • 取得できる日数
  • 対象者
  • 申請方法
  • 取得期限
  • 有給か無給か
  • 連続で取らなければいけないのか、分割取得できるか

ルールを決める際に重要となるのは、「従業員にとって利用しやすい制度になっているか」です。例えば、従業員のリフレッシュを促進する休暇であるのに、申請方法が難しかったり取得条件が厳しすぎたりすると、取得促進ができません。ルールは管理のしやすさも大切ですが、取得しやすくすることを意識しましょう。

関連記事:無給休暇とは?欠勤・有給休暇との違いや給料の有無を分かりやすく解説

6-3. 特別休暇に関する変更を届け出て運用開始

就業規則を変更して特別休暇を設けた場合は、必ず管轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

届出が完了したら、特別休暇の運用を開始しましょう。従業員がしっかりと利用できるように周知を徹底するとともに、企業や現場の管理職が休暇の取得を促進するよう働きかけることが大切です。

7. 特別休暇を導入する際の注意点

走る準備をしているビジネスマンの写真

最後に、特別休暇を導入・運用する際に留意すべきポイントを解説します。特別休暇を「ただあるだけの制度」にしないためにも、しっかりと注意点を押さえておきましょう。

7-1. 形だけの運用にならないように対策を講じる

特別休暇は、従業員のモチベーションアップや企業のPR、労働環境の課題解決などのために設けられることが多いです。こういった明確な目的をもって特別休暇を設置するのであれば、制度を形骸化させないことがとても重要です。

例えば、今まで有給休暇が取りにくい環境であった企業の場合、単に特別休暇を導入するだけでは取得率が低くなる可能性が高いでしょう。また、従業員が特別休暇を申請したときに、周囲の同僚や上司に不公平感や不満が残ると、誰も特別休暇を申請しなくなるかもしれません。

このように、「特別休暇を新設したものの、形だけの制度で誰も利用しない」といった課題を抱える企業は、決して珍しくないのです。

こういった事態を防ぐためには、特別休暇の導入とあわせて、休みを取りやすい労働環境や勤務体制を整えることが非常に大切です。まずは、従業員にヒアリングすることで業務上の課題や問題点を改善することから始めましょう。

7-2. 査定への配慮をおこなう

特別休暇は企業が自由に定めて付与できる休暇です。そのため、休暇の取得を、給与や賞与、人事査定などに反映させるかどうかも企業の判断で決められます。

しかし、福利厚生であるという特別休暇の性質上、こういった査定への反映は避けたほうが望ましいでしょう。査定に影響することになれば、休暇の取得をためらう従業員が増えてしまい、休暇の本来の目的を果たせなくなってしまうためです。

休暇の取得をしたことで不利益を被らないよう、従業員が安心して制度を利用できる評価制度を整えることが重要です。

7-3. 有給休暇と分けて取得させる

法定休暇となる年次有給休暇は、従業員の働き過ぎや有休の取得率向上のため、年に5日の取得が義務化されています。

一方、特別休暇は法定外休暇です。そのため、法定休暇となる年次有給休暇の5日取得義務とは別に考えなければなりません。

例えば、年次有給休暇を3日、特別休暇を2日取得したとしても、5日取得義務は果たせておらず、取得義務違反となってしまいます。取得義務違反には、企業側経営者に対して30万円以下の罰則が課せられるため、年次有給休暇と特別休暇を分けて取得させるようにしましょう。

7-4. 導入済みの特別休暇を廃止することは不利益変更にあたるため注意する

一度導入して就業規則に規定した特別休暇を後から廃止する場合、労働条件の不利益変更に該当する可能性が高いため注意が必要です。就業規則の変更によって特別休暇を廃止するには、以下のような事情を総合的に考慮して、変更が合理的と認められなければならないとされています。

  • 従業員が被る不利益の程度
  • 労働条件変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労使交渉の経緯
  • 不利益変更に対する代償措置の有無、他の労働条件の改善状況など

また、たとえ特別休暇の廃止が合理的と認められるものであっても、従業員から反発が起こり得る点にも留意しましょう。

一旦導入した特別休暇は簡単に廃止できないという点をかんがみ、特別休暇は経営上負担とならない範囲で導入を検討する必要があります。

8. 特別休暇を活用して働き方の改善につなげよう

書類に記入している写真

特別休暇は、企業が独自に設けられる休暇です。有給休暇のような付与義務はありませんが、導入することで企業のブランディングや従業員のモチベーション向上など多くのメリットが得られる制度です。

ただし、特別休暇の制度を導入しても、実際に取得できる環境が整っていなければ、形だけの制度になってしまいかねません。休みを取りやすい労働環境を整えるのはもちろんのこと、休暇が査定に影響を与えない評価制度にするなど、企業全体で特別休暇を取得しやすい環境に整備することが肝心です。

特別休暇の検討をする際には、労働環境や評価制度も見直して、働き方の改善につなげましょう。

関連記事:休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント

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  • 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
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