月またぎの振替休日に関して正しい処理方法を解説 | jinjerBlog

月またぎの振替休日に関して正しい処理方法を解説

書類に記載している写真

振替休日とは、休日と勤務日を入れ替えることを指します。たとえば、「今週の土曜日に出勤する代わりに、来週の火曜日を休みにする」といったケースが、振替休日に該当します。

単に休日と勤務日を交換するだけであるため、とくに難しい処理が必要ないと考える人も多いかもしれません。しかし、月をまたいで振替休日を行なうときは処理方法に注意が必要です。

この記事では、企業が押さえておきたい月またぎの振替休日の処理について解説します。

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1. 振替休日の月またぎとは?

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そもそも、振替休日の月またぎとはどのようなケースを指すのでしょうか。まずは、「振替休日の月またぎ」の意味や、該当するケースについて見ていきましょう。

1-1. 振替休日の月またぎは「翌月に振替をする」こと

振替休日の月またぎとは、振替によって勤務日が発生した翌月に休日を取得することです。また、月をまたいでいなくても「給与の締日」をまたぐときは、月またぎと同様に考えることが可能です。

たとえば、締日が月末の会社で4月15日に振替休日によって出勤し、5月15日に休みをとった場合、月(締日)をまたいで振替休日を行なったことになります。

振替休日には明確な取得期限が設けられておらず、労働基準法115条に記載がある「賃金その他の請求権の時効」である2年が消滅時効だと考えられています*。

そのため、月をまたいで振替休日を行なっても法的な問題はありません。

*参考:e-Gov|労働基準法

1-2. 振替休日は同一賃金支払期間内に行なうことが原則

先述の通り、月をまたいだ振替休日の取得期限には法的な問題はありません。しかし実際は、同一賃金支払期間内で振替を行なうことが原則だとされています。

詳しくは後述しますが、月またぎで振替休日を行なってしまうと、給与の精算が煩雑になってしまうためです。また、月をまたいで振替休日を行なうことは、休日の確保や従業員の健康維持という観点でもあまり望ましいことではありません。

振り替える休日と労働日はなるべく直前や直後に設定しておいたほうが、企業にとっても従業員にとってもメリットが大きいでしょう。

関連記事:振替休日とは?定義や代休との違い、付与のルールを分かりやすく解説

2. 月またぎの振替休日を処理する手順

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月またぎの振替休日が望ましくないとはいえ、実務上の問題でどうしても休日を取らせることが翌月以降になってしまうケースはあるでしょう。

もしも月をまたいで振替休日を行なった場合、企業はどのように処理をすればいいのでしょうか。この章では、月またぎの振替休日を処理する手順を説明します。

2-1. まずは休日に勤務した賃金を支払う

当月に休日勤務させて翌月以降に休みを取らせるという、月またぎで振替休日を行なうときは、まず当月に一旦勤務した分に対する賃金を支払わなくてはいけません。

振替休日ではあとから休日を取らせることになるため、勤務した分の賃金は相殺ができると思われる人も多いでしょう。

しかし、そもそも未取得の休日と実際に働いた分の賃金を相殺することは違法であるため、月またぎの休日振替では相殺ができません。そのため、締日を迎えた時点で一旦給与を支払う必要があるのです。

なお、月をまたがずに同一賃金支払期間内で振替休日を行なった場合は、このような特別な処理は必要ありません。月や締め日をまたぐときのみ注意しましょう。

2-2. 休日を取得したあとに控除する

賃金支払い後、月をまたいで休日を取得できたときは、その月の給与から休んだ分の賃金を控除します。控除できるのは基本給の部分のみで、そのほかにかかった割増賃金などは控除できません。

振替休日によって割増賃金が生じたときは、正しい金額を控除するように気をつける必要があります*。なお、振替休日は「労働日と休日を入れ替えた」だけであるため、たとえ休日に出勤しても休日手当は不要です。

しかし万が一、何らかの事情で予定していた休みを取らせることができなくなった場合、代休とみなされて休日手当が必要になる点に注意しましょう。

代休だと判断されてしまうと、法定休日に従業員を働かせたときは35%以上の割増賃金を支払う必要があります。

このように月またぎの振替休日について考える際には、代休やそれぞれの割増率を一緒に考えなければなりません。当サイトでは、振休・代休の定義や割増賃金の考え方を解説した資料を無料で配布しております。休日出勤時の対応について不安な点がある方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

*参考:厚生労働省|時間外、休日及び深夜の割増賃金

3. 月またぎの振替休日の注意点

パソコンを触っている女性

月またぎの振替休日は、一旦賃金を支払ってあとから控除する処理を行なうことが一般的です。しかし、振替が月をまたいでしまうときは、賃金の処理以外にも注意したいポイントは豊富に存在しています。

最後に、月またぎの振替休日の注意点について見ていきましょう。

3-1. 未取得の賃金で相殺することは違法

一度支払った賃金を控除する手続きは煩雑であるため、正しく処理を行っていない企業も中にはあるかもしれません。

しかし前項でも説明したように、月またぎの振替休日を行なった場合、未取得の休日に対する賃金で労働賃金を相殺することは違法であるため注意しましょう。

労働基準法24条には「賃金の全額払いの原則」が規定されており、労働者の生活を安定させるためにも、期日までの労働対価を全額支払うことが原則として記載されています。

たとえ後ほど休みを取らせるのだとしても、未取得である休日で相殺することはこの原則に反しており、賃金の支払い義務が生じるのです。

とくに中小企業では、この相殺処理を行なっているところがあるかもしれません。しかし、相殺は違法行為にあたるため、必ず正しく処理するようにしましょう。

3-2. 割増賃金が必要なケースがある

休日振替は休日と勤務日を入れ替える制度であるため、休日手当が不要です。しかし、そのほかの割増賃金は当然かかってくるため、給与計算の際は注意しましょう。

月またぎの振替休日で気をつけたい割増賃金としては、たとえば以下のようなものが挙げられます。

・労働時間が1日8時間、週40時間を超える場合の割増賃金:25%*
・時間外労働の割増賃金:25~50%
※労働基準法32条および37条

たとえ月をまたいで休日を取らせたとしても、この割増賃金は発生し、あとから相殺することはできません。そのため、振替休日で労働時間が増えてしまうときは、割増賃金を正しく計算して支払うことが非常に大切です。

また、振替休日と代休を混在しがちな場合が多いですが、割増賃金の考え方は全くもって異なるので計算時には注意が必要です。

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*参考:厚生労働省|法定割増賃金率の引上げ

3-3. 法定休日を下回ってはいけない

労働基準法35条には、週に1日もしくは4週に4日の休日を与えることが義務付けられています。

この必須の法定条件である休日を「法定休日」といいますが、たとえ月をまたいで振替休日を行なうとしても、法定休日を下回る休日を与えることはできません。

つまり、振替休日を行なう際でも、週に1日もしくは月に4日以上の休日を与えなくてはいけないということなのです。法定休日を下回ってしまった場合、振替休日の適用が否認されるのみならず、従業員の健康を害したりコンプライアンス違反による責任問題を追求されたりする恐れがあります。

必ず、法定休日の要件を満たすようにしましょう。

3-4. 休日労働をさせるには36協定の締結が必要

36協定の正式名称は、「時間外、休日労働に関する協定届」です。労働基準法では1日8時間、週に40時間以内の労働が義務付けられています。

もしこれを超えて労働させたいというときは、労働基準法36条にもとづく労使協定である36協定を締結し、労働基準監督署に届出なくてはいけません。

月またぎの振替休日を行なうときは、週に40時間の労働時間を超えてしまう可能性が高いため、36協定の締結が必要です。たとえ翌月に休みを取っても当月の労働時間が上限を超えていることは事実なので、36協定を締結しないと違法になってしまう点に注意しましょう。

関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説

4. 月またぎの振替休日の処理は注意点が多い

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月またぎの振替休日を行なうときは、ひとまず休日に勤務してもらった分の賃金を支払い、休みをとった月に給与から控除する手続きを行なう必要があります。

月をまたいで未取得分の休日と労働した賃金を相殺することは違法であるため、十分に注意しましょう。月またぎの振替休日は、ほかにも法定休日や36協定の締結などに気をつけながら行なう必要があります。管理や賃金の計算が複雑になりやすいため、可能であれば同一賃金支払期間内で振替を行なうことを推奨します。

関連記事:休日と休暇の違いとは?休みの種類や勤怠管理のポイント

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