在宅勤務での怪我で労災は認められる?労災保険の対象?注意点を紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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在宅勤務での怪我で労災は認められる?労災保険の対象?注意点を紹介

労災

在宅勤務時に従業員から「怪我をした」と報告があった場合、企業としては業務に関連する事故であるかを見分ける必要があります。
在宅勤務時でも、出社時と同じように業務に起因する怪我や病気は労災として認定されます。

ただし、労災として認定されるのは「業務が起因することのみ」なので、私的行為が原因の怪我や病気は労災として認められません。

この記事では、は在宅勤務時の労災認定に関して、詳しく解説していきます。
制度の解説とともに、ケースや注意点もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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1. 在宅勤務で労災は認められるの?

痛がっている様子結論からいうと、在宅勤務でも業務に起因する怪我や病気は労働災害として認定されます。
厚生労働省が発表している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」でも、「テレワークにおける労働災害の補償」の項目で、労災保険給付の対象となると明示されています。

ここでいう「テレワーク」とは、電車や新幹線など、移動中に仕事をする「モバイルワーク」や、企業が用意するサテライトオフィスで仕事をする「サテライト」や「コワーキング」です。
地方やリゾートを楽しみながら仕事をする「ワーケーション」など、情報通信技術を活用した働き方を指します。

IT機器を活用して自宅で職場と同等の環境を構築する「在宅勤務」も、テレワークの一種です。

1-1. 在宅勤務でも労働保険はおりる

在宅勤務時の労働災害は、「労働契約に基づいて事業主の支配下にある」という観点から、怪我や病気は使用者(企業)が補償責任を負います。

原則として労働基準法に基づいて決められており、基本的な考え方は出社時の労災認定と同じです。

ただし、従業員の私的行為による怪我や病気は労働災害として認められません。
在宅勤務に切り替わった後は、労働時間に起きた事故は全て労災認定されると勘違いしている方もいるので、在宅勤務開始時には、従業員に対してしっかり周知をおこないましょう。

判断が難しいケースもありますが、私的行為とは「従業員が就業中に私用(私的行為)をおこない、または業務を逸脱する恣意的行為をする」ことを指します。

実際に在宅勤務で労働災害となる実例もご紹介するので、どんな状況で労働災害として認められるのか、判断の参考にしてみてください。

2. 在宅勤務で労災となるケース実例

例実際に労災として認められる事例として、次のような状況が挙げられます。

  • 離席から戻って着席する際に怪我をした
  • 在宅勤務によるストレスで精神疾患を患った
  • 仕事中に子供の投げたおもちゃが頭に当たって怪我を負った

一見すると、子どもの投げたおもちゃで怪我をしたというものは労災として認定されないように見えますが、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの観点から見ると、労災として認められる可能性があります。

さっそく、それぞれの事例に関して詳しく解説していきます。

2-1. トイレのために離席し転倒した場合

まずは着席時の怪我です。状況としては、業務時間中に一旦トイレで離席し、戻って着席しようとしたところ、転倒して怪我を負ってしまったというものです。

この場合、就業時間中であれば使用者の支配下にある状態といえますので、業務遂行性の要件は満たします。トイレなどの生理行為については、通常、業務に付随する行為として扱われているため、業務起因性の要件も満たします。

したがって、このケースでの負傷は労災にあたると考えられます。トイレに行くことで発生した事故が労災として認められることは、在宅勤務においても同様に重要です。労働者が安心して業務を遂行できるよう、企業はこうした状況を理解し、必要なサポートを提供することが求められます。

2-2. 仕事が原因で精神的な病気を患った場合

こちらは少し分かりやすい事例ですが、在宅勤務に切り替えた後、精神疾患を患った社員には労災認定として認められる事例があります。

在宅勤務は働き方が変わり、通勤のストレスや時間の制約が減ると言われますが、在宅勤務時のコミュニケーションのしにくさや、出勤時とは違った業務の仕方によって、在宅勤務の方がストレスを多く抱える方もいます。

この場合は以下のような条件が揃って初めて労災として認められます。

  • 認定基準の対象となる精神障害を発症している
  • 発症までの6ヵ月間に業務による強い心理的負荷がある
  • 業務以外に心理的負担がない

業務が関係しない日常生活で強いストレスを感じており、そちらが精神障害の原因となった場合は労災として認められません。
労災の中に精神疾患が入っているとわからず、労災として申請していない従業員もいる可能性があります。従業員への周知をおこなうとともに、 在宅勤務に切り替えた従業員とのコミュニケーションが活発となる仕組みづくりも重要でしょう。

2-3. 業務時間中に子どもが投げたおもちゃでケガをした場合

最後に、業務時間中に子供の投げたおもちゃが頭に当たって怪我をした場合です。
本件は実際に認められた事例はありませんが、労災として認定される可能性が高いと考えられます。

在宅勤務では仕事スペースを用意できない方もいるため、子どもと一緒の空間にいながら業務をおこなうこともあるでしょう。

実際に出勤する際は考えられない状況ですが、在宅勤務では容易に想定できる状況なので、労災として認められる可能性は十分にあります。

2-4. 長時間のデスクワークで腰痛が発生した場合

長時間のデスクワークで腰痛が発生した場合の労災認定について考えると、特に在宅勤務では環境が多様であり、適切な椅子や机が整っていない場合が多いです。

その結果、無理な姿勢で作業を続けることで腰痛が生じやすくなります。厚生労働省が示している「業務上腰痛の認定基準」は、腰痛が労災として認定されるための重要な参考指針であり、この基準を踏まえた上で在宅勤務での腰痛の評価が行われます。

認定基準の中で、腰痛の原因は主に「災害性の原因」と「災害性の原因によらない」という2つに分けられ、それぞれ異なる要件を満たす必要があります。

災害性の原因による腰痛では、特に注意が必要です。仕事中の突発的な出来事が腰への負担や急激な力を引き起こす必要がありますが、在宅勤務の場合、荷物の持ち上げや、身体的な急激な動きは少ないため、これが原因となる腰痛が発生する頻度は低いと考えられます。

一方、災害性の原因によらない腰痛については、在宅勤務がもたらす日常的な動作や姿勢が影響を及ぼす可能性がありますが、労災として認定されるには特定の高さや条件を満たさなければなりません。具体的には、長時間の不自然な姿勢や、重い物を繰り返し持ち上げることが当該要件に該当しますが、在宅勤務の一般的な状況ではそれに該当しないケースが多いのが実情です。

そのため、結論として在宅勤務で発生した腰痛が労災として認められる可能性は低いとされていますが、企業としては労働環境を整え、適切なサポートを行うことが重要です。

2-5. 在宅勤務者が外でケガをした場合

在宅勤務者が外でケガをした場合については、午後からオフィスに出社する場合や出張のために外出する場合が考えられます。この際に発生した怪我に対して、労災として認定されるかどうかが重要なポイントです。

オフィスへの移動中に事故が発生した場合は、通勤時の労災として認識されるかどうかが重要です。通勤災害とは、労働者が役割を果たすために自宅と勤務場所の間を移動する際、合理的な経路において発生する災害を指します。

通常のルートで移動中に交通事故に遭った場合、その事故は労災として認定されます。また、途中で日用品を購入するために寄り道をした場合でも、それがやむを得ない理由と認められれば、その後の災害も労災として認められる可能性があります。ただし、私的な行動が原因での事故は労災とは認められませんが、交通事故については、自賠責保険や任意保険にて損害の回復が図られることになります。

このように、在宅勤務者が外でケガをした場合の労災認定は、状況に応じて具体的に判断されるため、明確なガイドラインの理解が重要となります。企業はこの点を考慮し、従業員に対して適切な情報提供を行うことが求められます。

3. 在宅勤務で労災と判断するときの注意点

注意点では実際に在宅勤務で事故が発生した場合、労災かどうかを判断するには何を基準にすればよいのでしょうか。
ここからは在宅勤務で労災として判断する際の基準や、実際に労災として認められる場合の注意点をご紹介します。

3-1. 労災と認定するには業務遂行性と業務起因性による判断が必須

勤務形態問わず、労災の有無を判断するには、以下の2つが判断基準となります。

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

業務遂行性とは、企業と従業員で結んだ労働契約に基づいて、企業の指揮命令下にある状態を指します。

例えば、在宅勤務で従業員がプレゼン用の資料を作っている場合、従業員は会社からの指示で業務をおこなっているので、業務遂行性があると言えます。

一方で、業務起因性とは、実際に従業員が負った怪我に業務遂行との相当因果関係があるかを指します。
先ほどの事例紹介にもあった「おもちゃが頭に当たった」というのも、業務起因性でおもちゃが頭に当たる危険性が想定できたからです。

労災は判断が少し難しいのがネックですが、判断する際は「業務遂行性」と「業務起因性」に着目してみてください。

3-2. 従業員から報告があった場合は細かく記録する

最後に、実際に労災が発生した場合の注意点をご紹介します。
在宅勤務時では企業による状況把握が難しくなるため、記録を徹底しておこなうのが大切です。

在宅勤務で労災が発生した場合の注意点は以下のことを必ずおこなってください。

  • 従業員から事故の申告があった時間を記録・保存する
  • パソコンの稼働状況など、客観的な判断ができる情報を保存する
  • 従業員には労災時の状況を事細かく記録するよう、周知しておく

まずは従業員から申告された時刻をしっかり記録・保存しておきましょう。
このとき、チャットツールなどの送信時刻があれば、客観的情報としてこちらも保存しておきます。

従業員が使用するパソコンのログがあれば、事故に関係する日の記録を残しておきましょう。
また、従業員側にも報告だけでなく、状況の記録をしっかり周知し、得られる情報が多いように徹底する意識が大切です。

ここまで、在宅勤務中の労災にフォーカスを当てて解説してきましたが、その他にも正しい労働時間が把握できないことやセキュリティ管理が求められることなど、在宅勤務にはいくつもの問題が生じます。導入前でも導入後でも、早く知ることができれば対応できる内容なので、これを機に対策しておきましょう。当サイトでは、上記のようなよく起きうる課題やその解決方法をまとめた「テレワーク課題解決方法ガイドBOOK」を無料で配布しております。在宅勤務で起きうる労災などの問題の対策をしておきたい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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4. 在宅勤務でも労災は認められる!労災の基準を満しているかしっかり確認しよう

OKサインを出す男性在宅勤務も出勤して業務をおこなうのと同じように、労働基準法に基づいて業務がおこなわれます。
そのため、業務に起因する事故は労災認定され、企業による補償が必要です。

労災の有無を判断するには以下の2点を基準に判断してみてください。

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

業務遂行性は実際に会社の命令によって業務をおこなっていたか、業務起因性は業務によって事故が発生し得ると考えられるかを指します。

また、実際に労災が発生した場合は記録と証拠の保存を徹底しましょう。
従業員にも、在宅勤務における労災が認められることを周知するのも大切です。

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OHSUGI

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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