ソフトスキルとは?ハードスキルとの違いや種類・具体例一覧、鍛える方法を解説
更新日: 2025.5.30 公開日: 2025.3.22 jinjer Blog 編集部

ソフトスキルとは、協調性やコミュニケーション力など、社会人に求められる基礎的な能力のことです。従業員のソフトスキルを高めることは、個人の成長だけでなく、組織全体の業務効率化や生産性向上にも直結します。
本記事では、ソフトスキルの定義や具体例一覧、ハードスキルとの違いをわかりやすくまとめました。ソフトスキルを有する人材を育成し、事業の成長につなげたい方はぜひ参考にしてください。
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1. ソフトスキルの定義

ソフトスキルとは、業務を遂行するうえで土台となる性格特性や能力のことを指します。多くのビジネスパーソンに求められる基礎的なスキルで、具体例は以下のとおりです。
- コミュニケーション力
- 問題解決力
- 協調性
- リーダーシップ
ソフトスキルは、おもに生活や仕事における「経験」を通して身に付きます。数値化することが難しく、客観的に評価しにくいことが特徴です。
2. ソフトスキルとハードスキルの違い

ソフトスキルと対となる用語に、ハードスキルがあります。ハードスキルとは、語学力やプログラミングスキルなど、特定の場で役立つ専門的な知識やスキルのことです。ここからは、ソフトスキルとハードスキルの違いについて詳しく紹介します。
2-1. ソフトスキルは経験・実践で身につく
ハードスキルは、講習を受けたり、書籍を読んだりするなど、座学だけでもある程度までであれば十分に身につきます。例えば、法律を勉強しようとする場合、条文を読み、判例も確認することで、知識を習得できるでしょう。
一方、ソフトスキルは、ただ受動的に学ぶだけでは身につきにくいものです。その理由の一つとして、明確な正解がないことが挙げられます。例えば、コミュニケーション能力やリーダーシップは、状況や相手によって適切な対応が異なります。実際の場面で試行錯誤しながら経験を積み、フィードバックを受けて自らを調整するプロセスを通じて、徐々にスキルが高まっていくのです。
2-2. ソフトスキルは数値で明確に評価しにくい
ハードスキルは、テストや試験をおこなうことで、数値化して評価しやすいです。例えば、英語力のレベルを評価しようとする場合、英検やTOEICなどを受けさせれば、どの程度のスキルを持っているのか、数値で客観的に評価することができます。
一方、ソフトスキルは、定量的な指標で評価することが難しい傾向にあります。例えば、信頼性や協調性などを測定しようとしても、目にみえる成果で現れにくく、評価者の主観が混じりやすいです。そのため、複数の人に評価してもらうなど、評価方法を工夫する必要があります。
2-3. ソフトスキルは時代・職種を問わず活用できる
ハードスキルの場合、時代の変化とともに必要なスキルが変わっていくこともあります。例えば、プログラミングスキルの場合、現在よく使用されている言語と、かつて標準であった言語は大きく変わっています。そのため、スキルのアップデートが不可欠です。
また、ハードスキルは、職種が変われば、必要なスキルも変わることが多いです。例えば、経理部門では簿記スキルが求められていたが、マーケティング部門に異動したことでデータ分析スキルが求められるようになったというケースもあるかもしれません。
一方、ソフトスキルの場合、時代が変化しても、普遍的なスキルであるため、仕事や生活で変わらず活用できます。例えば、リーダーシップを取れる人材は、いつの時代も必要とされるでしょう。
また、ソフトスキルは汎用性が高いので、業種が変わったとしても役立ちます。例えば、コミュニケーション力は、人事部・総務部・営業部・開発部など、どのような部署・部門であっても求められます。
このように、ソフトスキルとハードスキルには明確な違いがあります。しかし、どちらが優れているというわけではありません。両方のスキルを高め、相互に補完し合うことで、個人としても組織としても成長へとつながっていきます。
3. ソフトスキルが重要となった背景

ソフトスキルは、時代や職種を問わず活用できる汎用性の高いスキルです。ここでは、なぜ現代においてソフトスキルが求められているのか、その背景・理由について詳しく紹介します。
3-1. テクノロジー(AI・IoTなど)の普及・進化
昨今では、AI(人工知能)やビッグデータ、IoT、ブロックチェーンなど、先端技術が急激に進化を遂げています。これらのテクノロジーの普及により、従来は人間が担っていた多くの作業が機械に代替・自動化されるようになってきました。
その一方で、「人間らしい力」への注目も高まっています。例えば、テクノロジーでは代替が難しい「創造力」を備えた人材を求める企業は増えてきています。このように、IT技術の発展・普及によって、テクノロジーでは置き換えが難しい「ソフトスキル」が、改めて重要視されるようになっているのです。
3-2. 働き方改革の進行
近年では少子高齢化が進行し、働き手不足が深刻な社会問題となっています。その対策の一つとして、働き方改革が進められています。例えば、テレワークを導入し、オフィスに限らず自宅などでも働ける環境を整える企業が増えています。
このような現代においては、変化に柔軟に対応できる人材が強く求められています。オフィス勤務でもテレワークでも、状況に応じてスムーズにコミュニケーションが取れる人材は、生産性を高め、限られた時間でも高い成果を出すことができます。このように、働き方改革が推進されているなかで、環境や働き方の違いに左右されずに力を発揮できる「ソフトスキル」が、より一層重視されるようになっているのです。
3-3. 顧客ニーズの多様化
最近では、グローバル化やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の取り組みが進み、社会には多様な価値観が広がっています。それに伴い、顧客ニーズも多様化しており、従来の画一的なマーケティングでは、もはや顧客の心に響かなくなっています。
顧客ニーズを的確に把握し、商品・サービスの提供の仕方を工夫するためには「柔軟性」や「問題解決能力」といったソフトスキルが求められます。このように、顧客ニーズの変化や多様化が進む現代のビジネス環境において、ソフトスキルは企業が生き残るための重要な要素となっているのです。
3-4. 転職への考え方の変化
社会環境が目まぐるしく変化する現代においては、労働者の転職に対する考え方にも変化がみられます。かつては「終身雇用」「年功序列」が当たり前であり、新卒で入社した企業に定年まで勤め上げることも珍しくありませんでした。
しかし、今の時代では、終身雇用制度は崩れつつあり、成果主義を取り入れる企業も増加しています。職場が変われば、要求されるハードスキルは大きく変わる可能性もあります。しかし、汎用性の高いソフトスキルは、転職により勤務先が変わっても活かすことが可能です。このように、転職を前提としたキャリア観が広がる中で、ソフトスキルの重要性がこれまで以上に注目されているのです。
4. ソフトスキルの種類・具体例一覧

ソフトスキルには、さまざまな種類があります。ここでは、ソフトスキルの種類・ソフトスキルの種類・具体例を一覧で紹介します。
4-1. コミュニケーション力
コミュニケーション力とは、他者と円滑に意思疎通を図り、適切に情報をやり取りする能力のことです。情報を伝える力だけではなく、相手が伝えたい情報を柔軟にキャッチする力も含まれます。
ビジネスにおいてコミュニケーション力が求められるシーンは以下のとおりです。
- 直接的な対話
- 電話・メール
- 会議・プレゼンテーション
- 商談
コミュニケーション力はあらゆる場面で求められる、社会人に必須のスキルといえるでしょう。
4-2. 協調性
協調性とは、他者と協力しながら共通の目標に向かって行動できる性質のことです。協調性が高い人材は、周りの意見を傾聴できるため、異なる立場の人とも互いに高め合いながら物事を達成できます。
協調性によってチームワークが向上すると、プロジェクトをより円滑に進行できるでしょう。結果として、組織の目標達成に貢献しやすくなることから、協調性をもつ人材は多くの企業で求められています。
4-3. 問題解決力
問題解決力とは、問題の本質を見極め、最適な解決策を導き出して実行できる能力のことです。問題解決力は、以下の3つの力に大別されます。
- 問題の本質をとらえる力
- 解決までのアクションプランを計画する力
- 解決策を実行する力
問題解決力が高い人材は、表面化していない潜在的な問題を未然に防ぎ、同じ失敗を繰り返しません。従業員一人ひとりの問題解決力を強化することで、組織全体の問題発生率を大幅に軽減できるでしょう。
4-4. 柔軟性・適応力
柔軟性・適応力とは、状況に応じた判断・処理をすばやくできる性質や、環境の変化に臨機応変に対応できる能力のことです。
ビジネスシーンにおいては、状況の変化や不確実性への迅速な対応が求められます。柔軟性があり、適応力の高い人材は、勤務地や部署、役職などが変化しても自身の能力を十分に発揮できるでしょう。
4-5. 発想力・創造力
発想力とは、独自の視点で新たなアイディアを生み出す力で、創造力とはアイディアを実際に形にする力のことです。
発想力・創造力のある人材は、ビジネスにおいて新たな価値を創出し、課題に対して独自の解決方法を見出します。社会変化の激しい現代では、全業界のプロフェッショナルに求められる能力です。
4-6. タイムマネジメント力
タイムマネジメント力とは、業務の生産性を最大化するために、時間の使い方や管理方法を最適化できる能力を指します。限られた時間を有効活用し、業務の質を高めるうえで多くの企業に求められているスキルです。
タイムマネジメント力のある人材は、チーム全体の生産性を高めることに貢献します。働き方改革を推進したい組織においては、とくに強化を図るべき能力です。
4-7. リーダーシップ
リーダーシップとは、集団をまとめ、目標に向けて行動を促す能力のことです。「指導力」「統率力」と言い換えることもできます。
従業員の多様性が重視される現代のビジネス環境では、一人のリーダーで組織を束ねることは困難です。管理職を含む全メンバーにおいて、リーダーシップのある人材が求められています。
4-8. EQ(心の知能指数)
EQ(心の知能指数)とは、自分や他者の感情を適切に察知・コントロールし、応用する能力を指します。ビジネスシーンにおける対人関係を良好に保つうえで、必要不可欠な基礎能力です。
先天的な要素が大きい「IQ」とは異なり、EQは後天的に高められるといわれています。教育やトレーニングの機会を設け、従業員のEQ向上に取り組むことが有効です。
5. ハードスキルの種類・具体例一覧

ここでは、ハードスキルの種類・具体例を一覧で紹介します。ソフトスキルだけでなく、ハードスキルも仕事を進めるうえで重要なスキルです。バランスよく鍛えていきましょう。
5-1. 語学力
語学力とは、特にグローバルなビジネスシーンで求められる重要なスキルです。英語はもちろん、中国語、スペイン語などもビジネスにおいて活用される場面が増えています。単に会話ができるだけでなく、ビジネス文書の読み書きやプレゼンテーション能力なども、実務では必要とされることがあります。
5-2. プログラミング
プログラミングスキルは、システム開発をはじめ、業務効率化や自動化ツール作成など、技術的な課題を解決するために必要とされるハードスキルです。現場によって求められる言語は異なり、「Python」「Java」「PHP」「Ruby」などが代表例です。また、テクノロジーの進化とともにトレンドも移り変わるので、常に最新の動向をチェックし、継続的にスキルをアップデートすることが大切です。
5-3. UI・UXデザイン設計
UI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)デザインを設計するスキルは、ユーザー(消費者や顧客など)が使いやすく、快適に利用できる製品・サービスを提供するうえで欠かせないスキルです。昨今では、Webサービスやアプリ開発のみならず、企業のブランドイメージや顧客満足度にまで影響を与える重要な分野として注目を集めています。
5-4. データサイエンス
データサイエンススキルとは、膨大なデータを収集・整理・分析し、その中から価値ある情報を抽出するスキルを指します。ビジネスや研究など、さまざまな分野で意思決定の根拠を導き出すために活用される重要なハードスキルの一つです。
5-5. マーケティング
マーケティングスキルは、商品やサービスをどのように顧客に届け、魅力を伝え、購買へとつなげるかを考えるうえで欠かせないハードスキルの一つです。マーケティングスキルを磨くには、市場調査・ターゲット設定・ブランディング・広告戦略・デジタル施策の活用など、幅広い知識と実行力が求められます。
近年では、SNSやWeb広告、SEO、コンテンツマーケティングなど、デジタルマーケティングの比重が増し、ツールやデータを活用した分析力がますます重要視されています。マーケティングスキルを活かすことで、顧客ニーズを的確に捉えた戦略立案や、より効果的なプロモーション施策の実行が可能になり、企業の売上やブランド価値を大きく向上させることができます。
6. 従業員のソフトスキルの鍛え方

ハードスキルと違い、ソフトスキルを鍛えるのは、コツがいります。ここでは、従業員のソフトスキルの鍛え方のポイントについて詳しく紹介します。
6-1. 従業員のスキルを可視化する
ソフトスキルを高めるには、従業員一人ひとりの能力を把握するための「可視化」が必要になります。例えば、会社側で評価基準を明確にしたスキルマップを作成することで、従業員それぞれのスキルが可視化されます。
しかし、ソフトスキルは数値化が難しいという特徴があります。そのため、個人ミーティングを通じて対話を重ね、時間をかけて従業員のソフトスキルを把握する方法もあわせて検討することが大切です。ソフトスキルが可視化されれば、向上のための具体的なアクションプランの策定・実行がしやすくなります。
関連記事:スキルマップとは?導入で得られるメリットや作り方を解説
6-2. 社員研修の機会を設ける
従業員のソフトスキルを高める方法として、研修を活用することも有効です。ソフトスキル向上研修に取り入れるべき項目例を以下に示します。
| 内容 | |
| 問題解決力養成 | ロジカルシンキングや問題発見など |
| コミュニケーション力養成 | 説明や質問の仕方、非言語コミュニケーションなど |
| セルフマネジメント力養成 | 時間やタスクの管理、自己理解など |
研修ではロールプレイやシミュレーションを用いると、身につけた知識を実践の場で活用しやすくなるでしょう。
6-3. 従業員の自己学習を促す
従業員が自ら学習できる環境を整備することも、ソフトスキルの向上に寄与します。自己学習を促す施策の具体例は以下のとおりです。
- オンライン学習プラットフォームの利用を支援する
- メンター制度を導入する
- 社内に学習コミュニティを形成する
ソフトスキルは座学で身につきにくいとはいえ、情報のインプットは重要です。自己学習を奨励する文化を醸成し、従業員のモチベーションを高めましょう。
6-4. 360度評価を取り入れる
360度評価とは、従業員のパフォーマンスを、上司だけでなく、部下や同僚、他の部署のメンバーなど、さまざまな立場の人々から評価してもらう方法です。ソフトスキルは数値で測るのが難しく、上司や管理者の主観的な判断になりがちです。そのため、360度評価を活用することで、多角的に評価を受け、より客観的に自分のソフトスキルを理解できるようになります。
関連記事:360度評価の項目は何を設定する?設定するときの注意点や項目例を解説
7. ソフトスキルを高めて組織力を強化しよう

テクノロジー(AI・IoTなど)の発展・普及や働き方改革の進行など、近年の社会変化にともないソフトスキルの注目度は高まっています。ソフトスキルを有する人材は、組織全体の生産性向上に貢献するためです。
従業員のソフトスキルは、研修や自己学習の促進によって鍛錬できます。本記事で紹介した能力向上の方法を参考に、自社に適した施策を検討してみてください。
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