人事データに必要な項目とは?データ構築のメリットやポイントとともに詳しく解説
更新日: 2025.10.21 公開日: 2025.8.26 jinjer Blog 編集部
働き方改革やコンプライアンス対応が求められる中、人事業務をシステム化することが重要視されるようになっています。
なかでも、社員のデータを集約・可視化できる「人事データベース」は、人材管理や戦略的人事の実現に欠かせない存在です。
本記事では、人事データに必要な項目や、データベースの構築メリット、運用のポイントについて解説します。
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、そもそもなぜ人事情報の管理が必要であり、その先に大きな活用価値があることについても、正しく理解できていますか?
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1. 人事データベースとは


人事データベースとは、従業員一人ひとりの人事情報をデータベースに集約したものを指します。データ蓄積にとどまらず、ほかのシステムとの連携や入出力が可能なことも大きな利点です。
使用目的に応じてデータベースの構成や管理方法は異なります。一般的には基本属性やスキル、勤務形態などの情報をもとに人材配置や評価制度に活用しやすいよう設計されます。
2. 人事データベースを構築する目的・メリット


人事データベース構築の目的は、人材データを有効に使うために集約して可視化することです。情報を一元管理することにより、検索が簡単で、組織の再編成や業務の分配などもスムーズにおこなえます。
主なメリットは以下の通りです。
- 人事データの可視化
- 適切な人事評価
- 人事管理業務の効率化
2-1. 人事データの可視化
データベースの活用により、人事データを可視化できることが大きなメリットです。
人事データが可視化できるようになれば、人事や経営の課題を分析し、組織の現状を把握できます。自社の経営方針を決めるためにも有効です。
また、人材の採用状況や定着率、スキルの傾向なども把握できるため、適切な人材配置や育成施策を講じやすくなります。結果として、組織全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
さらに、一人ひとりの勤怠情報や働き方も可視化できるため、過重労働などの問題を早期に発見し、対応できます。
2-2. 適切な人事評価
人事データを活用することで、業績やスキル、勤務状況などの客観的な情報をもとに、正当かつ公平な人事評価ができます。
評価結果を活用すれば、従業員一人ひとりの適性に応じた配置や育成をおこないやすくなり、スキルの有効活用にもつながります。
正当かつ公平に評価されることによって、社員のモチベーションも高まり、離職防止にもつながります。
2-3. 人事管理業務の効率化
従業員の情報がシステムで一元管理されることで、人事評価や労務管理などの業務を効率化できます。
とくに人事評価では、評価基準の確認や評価シート作成、記入、集計、ファイリングなどの作業に多くの時間と手間がかかります。
人事データベースを用いることにより、評価プロセスが大幅に効率化されるため、評価業務にかかる時間や人件費の削減が可能です。
3. 人事データベースに必要な項目


人事データベースを有効活用するためには、必要項目を正しく設定することが重要です。
主な項目には以下のようなものがあります。
- 基本情報
- 職務情報
- 労務情報
- 人事評価情報
- スキルや資格
- キャリアプラン
それぞれの項目について順に解説します。
3-1. 基本情報
基本情報とは、従業員の氏名や住所などをはじめとする基礎的なデータであり、人事データベースにおいて欠かせない項目です。
- 氏名
- 年齢
- 住所
- 学歴・職歴
- 採用区分
- 入社日
- 家族情報
- 勤務地
従業員データを一人ひとりに割り当てたIDに紐付けることで、検索や更新などのデータ管理がスムーズになります。
人事データを最新の状態に保つためにも、複数部門での共有がしやすいシステムを導入しておくことが重要です。
3-2. 職務情報
職務情報には、所属部署や役職など、業務内容に関連する情報を入力します。
- 所属部署
- 役職
- 資格等級
- 担当する仕事内容
- 目標やミッション
所属部門だけではなく、人事担当者や経営層が職務状況を把握する際にも役立ちます。
職務内容を可視化することで、適切な人員配置や目標管理、業務効率化に向けた方針を策定しやすくなるでしょう。
3-3. 労務情報
勤怠や給与などに関する労務情報も、人事データに欠かせない項目です。
- 勤務時間
- 残業時間
- 有休取得日数
- 育休取得日数
- 給与
- 福利厚生
これらの情報は、法令に準じた労務管理を実現するうえで必要不可欠です。また、社員の待遇や働き方に関する現状を把握し、改善策を検討する際の参考資料にもなります。
日常的な働き方を数値で把握することで、業務の偏りや過重労働を早期に発見でき、社員のパフォーマンス向上や生産性向上につながります。
とくに残業時間のデータは、心身の負担を可視化し、休職者や離職者を減らす施策を立てる際にも有効です。
3-4. 人事評価情報
人事評価情報には、社員の業績や能力、評価の記録などをデータとして登録します。感覚や経験に頼らず、客観的なデータをもとにして適切な公正な評価をおこなうために重要な情報です。
- 評価内容
- 評価者名
- 評価時期
- 評価点数・ランク
人事データベースに社員の業績や能力を入力することで、複数の要素をもとに多角的な評価が可能になります。
過去の履歴も簡単に参照できるので、評価の妥当性を説明する際にも役立つでしょう。
3-5. スキルや資格
社員が保有する資格やスキルの情報も、人事データとして管理しておくことが重要です。
部署ごとに必要とされるスキルをもつ社員をデータベースで簡単に検索できるので、適材適所の人材配置が可能になります。
また、スキル傾向を分析することで、今後の人材育成やキャリアパスの設計、人材発掘にも役立つでしょう。
3-6. キャリアプラン
社員一人ひとりのキャリアプランや希望業務に関する情報をデータとして蓄積することで、モチベーションや将来的な志向を把握できます。
これらの情報は、将来の管理職候補を選定する際にも有効です。従業員本人の意向や成長意欲を踏まえた配置や育成方針の検討に活かせます。
4. 人事データベースを構築する際のポイント


人事データベースを構築する際には、目的を明確に定めることが最も重要です。
そのほか、構築に際して注意すべきポイントは以下の通りとなります。
- 活用目的を設定する
- セキュリティ対策を徹底する
- 段階的に導入する
- 拡張性の高いシステムを設計する
- 運用ルールを作成する
4-1. 活用目的を設定する
人事データベースを効果的に活用するためには、あらかじめ活用する目的を明確に設定しましょう。
例えば、適材適所の人材配置や、育成施策の効率化など具体的な目的を想定することで、必要なデータ項目やシステム設計の方針を定めやすくなります。
目的に合った構成にすることで、業務に活かしやすい実用的なデータベースが構築できます。
4-2. セキュリティ対策を徹底する
人事データベースでは、従業員の個人情報を保存・管理するため、セキュリティ対策の徹底が欠かせません。
万が一、情報漏洩や不正アクセスが発生した場合、企業にとって深刻な信頼失墜や損害につながる可能性があります。
そのため、データを保管しているシステムへのアクセス権限を制限したり、セキュリティソフトを導入したりするなど、適切な対策を講じる必要があります。
さらに、定期的な社内研修を通じて、社員のITリテラシー向上を図ることも、安全な情報管理体制を構築するうえで大切です。
4-3. 段階的に導入する
人事データベースの導入は、一度にすべての機能を網羅しようとするのではなく、段階的に導入しましょう。
まずは特定の課題解決に焦点を当てて、小規模に導入・運用を始めることで、実際の業務に適した運用方法を確立しやすくなります。
効果を実感できた段階で、対応範囲や対象データを徐々に広げていくことで、無理なくスムーズな導入が可能になります。
将来的には、社員に関する幅広い情報を蓄積することで、さまざまな情報から多角的な人事判断をおこなえるようになるでしょう。
4-4. 拡張性の高いシステムを設計する
事業の成長や人事制度の変更などに備えるために、拡張性の高いデータベースシステムを設計しましょう。
将来的に取り扱う情報が増えたり、新たな項目を追加したりする可能性を想定しておく必要があるためです。
もし拡張に対応できないシステムを構築すると、容量不足や機能制限により、再構築が必要になるリスクもあります。こうした事態を避けるためにも、設計段階で柔軟に対応できる構成を検討しておくことが大切です。
4-5. 運用ルールを作成する
構築した人事データベースを安全かつ効果的に運用するには、あらかじめ運用ルールを明確に定めておくことが重要です。
例えば、データの入力・出力手順やアクセス権限の管理方法などをルール化することで、入力漏れや誤削除などのトラブルを防げます。
運用ルールが定められていないと、データの整合性が崩れ、復旧が困難になるリスクもあります。
また、人事情報には機微な個人情報も多く含まれるため、管理責任者を明確にし、情報管理に精通した担当者が中心となって取り扱う体制を整えることが大切です。
関連記事:人事データ分析とは?ステップやおこなうメリット・注意点などを解説
5. 必要項目を理解して人事データベースを構築し、業務を効率化しよう


人事データベース活用により、人事戦略の立案や業務効率化を進められます。働き改革やコンプライアンス対応の面でも、データに基づいた正確な判断が可能になります。
データ分析によって、適切な人材配置や人材開発ができるようになり、組織全体の生産性をアップさせる効果が期待できます。目的に合ったシステムを構築し、評価・配置・研修など多様な場面で活用することが大切です。
本記事を参考に、データに必要な項目内容を理解し、最適な人事データベースを構築して管理業務を効率化しましょう。



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