人事データ分析とは?具体的な手法と組織に活かす活用事例を解説
更新日: 2026.6.25 公開日: 2025.8.25 jinjer Blog 編集部

人事データ分析とは、企業の人事データを収集・分析し、データドリブンな人材管理や経営判断へと活かす手法です。適切な分析の実施は、採用の最適化や生産性の向上、離職率の低下をもたらし、次世代の戦略人事を実現する大きな鍵となります。
本記事では、人事データ分析の概要や手順、エクセルや専用ツールを用いた具体的な分析手法を詳しく解説します。人事データ分析を自社の成長へとつなげたい人事労務担当者の方は、ぜひご参考にしてください。
「システムは導入しているのに、なぜか業務が楽にならない……」 その原因は、システムごとにデータが孤立している「データの分断」にあるかもしれません。 気づかないうちに、二重管理や確認作業で多くの時間が奪われている可能性があります。
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1. 人事データ分析とは


人事データ分析とは、企業の人事データを収集し、組織改善や意思決定に活かすプロセスのことです。適切なデータ活用をおこなうことで、経験や直感に頼らない、効率的かつ最適な人材マネジメントが可能になります。
分析対象となる主な人事データの具体例は、以下のとおりです。
| 個人に関するデータ | 基本情報:氏名・性別・住所・生年月日・連絡先など 入社情報:入社年月日・雇用形態・最終学歴や職歴・採用経路など |
| 勤怠に関するデータ | 出退勤情報:労働時間・残業時間・遅刻や欠勤、早退の回数など 休暇取得情報:有給休暇・育児介護休暇の取得状況など |
| 評価に関するデータ | 人事評価:目標達成度・行動評価・表彰履歴など 教育情報:保有資格・保有免許・語学力・ITスキルなど |
| 給与に関するデータ | 報酬:基本給額や賞与額など 手当:役職手当・住宅手当・通勤手当など |
従来の人材採用や人事管理では、人事担当者の経験や直感が重視されやすい傾向にありました。近年はIT技術の発展に伴い、人事の分野においてもデータ分析を利用した「ピープルアナリティクス」の手法が急速に注目されつつあります。
関連記事:人事データに必要な項目とは?データ構築のメリットやポイントとともに詳しく解説
1-1. 人事データ分析が広まる背景
人事データ分析が広まっている理由の一つに、労働人口の減少が挙げられます。少子高齢化が進む中、企業は限られた人材で生産性を上げていかなくてはなりません。従業員の育成や人材配置を最適化するには、データに基づいた客観的な意思決定が不可欠であり、人事データ分析への期待が高まっています。
また、「人的資本経営」の潮流や、戦略人事を導入する企業の増加も背景の一つです。経営戦略と連動した人事施策を展開するには、定量的なエビデンスが欠かせません。具体的には、女性管理職比率やエンゲージメントスコアといった「非財務情報」の可視化・開示を求められるケースが増えています。投資家や経営層への説明責任を果たす上でも、人事の意思決定におけるデータに基づいた客観的な判断が求められています。
さらに、デジタル技術の発展により、人事データの収集・分析がより容易になったことも大きな要因です。クラウド型の人事システムやAI技術の進化により、大企業だけでなく中小企業でも手軽にデータ分析を始められる環境が整ってきました。こうした技術的な後押しが、人事データ分析の普及を加速させています。
2. 人事データ分析で解決できること


人事データ分析を実施することで、企業が抱える「人と組織」の多様な課題の根本的な解決につながります。具体的には、離職率の改善や採用コストの最適化などが挙げられます。
従来の人事担当者の経験や直感だけに頼った判断では、課題の本質的な原因を見誤ることも少なくありません。一方、人事データ分析では「なぜその課題が起きているのか」を客観的な数値として可視化できるため、施策の精度が劇的に高まります。
データに基づいた人事戦略を推進すれば、従業員の潜在的なエンゲージメントをいち早く把握した上で、企業が抱える課題に対して適切かつ先手を打った対処が可能になるでしょう。
関連記事:人事データアナリストとは?役割やスキル・企業の課題を解説
3. 人事データ分析の手法と手順


人事データ分析の手法と手順は以下のとおりです。
- 目的を設定する
- 人事データを収集する
- 人事データベースを構築する
- 人事データを分析する
それぞれ詳しく解説していきましょう。
3-1. 目的を設定する
最初に、人事データ分析をおこなう目的を設定しましょう。目的を設定することで、データ分析に必要な人事データの内容や分析手法が明らかになるためです。
目的は、企業が抱える課題を軸に考えてみるとよいでしょう。考えられる目的の具体例は、以下のとおりです。
- 離職率の高さを改善したい
- 採用コストを削減したい
- 生産性を向上させたい
- 新卒採用のミスマッチ率を低減したい
具体的な内容かつ数値化しやすい目的を設定すると、分析結果を検証しやすくなります。
3-2. 人事データを収集する
目的を設定したら、必要な人事データを収集します。既存の人事データだけでは不十分な場合、新たに従業員から収集しましょう。
目的に関連するデータを収集するところから始めましょう。例えば、離職率の高さを改善したいなら、「離職者と最後に面談したとき(出口面接)の情報」などを集めます。離職者の特徴を集めることで、離職の根本的な原因がどこにあるかが見えてくるのです。
ただし、どのデータが重要となるかは分析結果が出るまで分かりません。人事データを収集する際は、できるだけ多くのデータを収集することで問題解決につながりやすくなります。
3-3. 人事データベースを構築する
必要な人事データを収集したら、データベースを構築します。データベースを構築することで、膨大な量のデータを適切に管理できるためです。
ただし、実務においてこの「データベースの構築」こそが、最も多くの人事担当者が挫折するポイントでもあります。なぜなら、勤怠・給与・人事評価といったデータがそれぞれ異なるシステムやエクセルでバラバラに管理されていると、それらを一つのフォーマットに突合・クレンジング(表記揺れの修正など)する作業に膨大な時間と労力がかかってしまうからです。
企業のデータベースには重大な個人情報が多く含まれており、厳格なセキュリティ管理も求められます。データ分析をスムーズに軌道に乗せるためには、手作業でのエクセル管理から脱却し、各システムが自動で連携・一元管理されるデータベース機能搭載のクラウドシステムを活用することが極めて効率的です。
3-4. 人事データを分析する
収集した人事データから分析をおこない、課題解決に向けた施策を考案します。人事データ分析のプロセスは、一般的にその「目的と成熟度」に応じて以下の4つの段階に分けられます。
| 分析の種類 | 分析の目的 | 分析の方法 | 分析の具体例 |
| 記述的分析 | データの要約 | データの特徴を表や図で表して分析する | 部門ごとの離職率を時系列にして離職率の高い部門を把握する |
| 診断的分析 | データによる原因究明 | 記述的分析によって判明した現象について原因を分析する | 離職率の高い部署の原因を、人材の経験年数や残業時間から探る |
| 予測的分析 | データによる予測 | 将来起こり得る事象を予測する | 過去データから離職率の高い従業員の傾向を捉える |
| 処方的分析 | データによる行動決定 | 予測に基づいてやるべきことを明確にする | 離職リスクが高い従業員に対して、最適な行動を提示する |
3-4-1. 具体的な分析手法
上記の「4つの段階」を実務に落とし込む際、人事の現場で特によく使われる具体的な統計手法を3つ紹介します。これらを活用することで、データから意味のある洞察を導き出すことができます。
① 度数分布分析(ヒストグラム)
データを一定の区間ごとに区切り、その区間に含まれるデータの個数をグラフ化する手法です。
活用例: 「残業時間」や「人事評価スコア」の分布をグラフにすることで、特定の部署や役職に負荷が集中していないか、あるいは評価の不自然な偏りが生じていないかを直感的に把握できます。
② 相関分析(散布図)
2つのデータの間にどのような関係(相関)があるかを調べる手法です。
活用例: 従業員の「エンゲージメントスコア」と「残業時間(または有給取得率)」を散布図にプロットして関係性を分析します。これにより、モチベーション低下に最も強い影響を与えている「真の原因」を突き止めることができます。
③ 決定木(ディシジョンツリー)分析
一つの結果に対して、どのような条件の組み合わせが影響しているかを、樹形図に枝分かれさせて分解していく手法です。
活用例: 過去の「退職者」のデータを分析し、「入社2年目 × 特定の職種 × 異動経験なし」といった、離職に至りやすい典型的なリスクパターンを早期に発見・予測するのに役立ちます。
人事データ分析によって得たこれら客観的な結果をもとに適切な人材管理ができれば、勘や経験に頼らない「戦略人事」が実現し、企業の成長に貢献してくれる人材を確保しやすくなります。
4. 人事データ分析をおこなうメリット


人事データ分析をおこなうメリットは以下のとおりです。
- 採用の質が向上する
- 生産性の向上が図れる
- 離職率の低下につながる
- 経営層へ客観的な根拠に基づく提案ができる
それぞれについて詳しく解説します。
4-1. 採用の質が向上する
人事データ分析をおこなうと、採用の質が向上します。面接官の主観に頼らず、データに基づいた客観的な視点で人材を評価できるためです。具体的には、自社で実際に活躍している従業員(ハイパフォーマー)の適性検査結果や評価、入社経路などの共通点をデータ化し、「自社独自の採用基準」を言語化して活用します。
採用の質が向上すれば、企業が求める優秀な人材をミスマッチなく確保しやすくなり、組織への貢献が期待できます。
適切な採用基準が明確に設定されることで、選考時の迷いが減り、採用担当者の業務負荷を軽減できることもメリットの一つです。
4-2. 生産性の向上が図れる
人事データ分析により、生産性の向上が図れます。従業員のスキルや能力、過去のエンゲージメントデータを活用することで、個々の強みを最大限に活かせる「適材適所の人員配置」が直感ではなくデータに基づいて実現するためです。
適切な人材配置は、従業員のモチベーションや満足度を高める効果も期待できます。従業員満足度は企業の業績や従業員の定着率に直接影響を与えるため、非常に重要です。
4-3. 離職率の低下につながる
人事データ分析は、従業員の離職率低下にもつながります。離職した従業員や離職を希望している従業員のデータを収集することで、離職率に影響を及ぼす要素を分析できるためです。
離職率に影響を及ぼす要素が判明すれば、退職の兆候がある従業員をアラート機能などで早期に見つけ出し、面談などの事前対策を打つことができます。
離職率が低下すると採用や育成にかかるコスト削減ができるのはもちろん、企業のイメージアップにもなるでしょう。
4-4. 経営層への客観的な根拠に基づく提案ができる
人事データ分析をおこなう最大のメリットの一つは、経営層や他部門のリーダーに対して、数字という「客観的なエビデンス」を持って提案・報告できるようになる点です。
これまで「現場の感覚値」や「おそらく〜だから」という定性的な理由で却下されがちだった予算申請や組織改革の提案も、定量的な分析結果を示すことで説得力が劇的に向上します。
人的資本経営において求められる、経営戦略と連動した「戦略人事」としての役割を果たす上で、人事データ分析は欠かせない武器となります。
5.人事データ分析に使えるツール


どれほど経営層に刺さる分析ができたとしても、日々利用するツールが適切でなければ、人事担当者はデータ作成の作業だけで疲弊してしまいます。効率よく人事データを分析し、戦略的な意思決定に時間を割くためには、適切なツールの選択が欠かせません。ツールを活用することで、データの集約や可視化が容易になり、分析にかかる時間を大幅に短縮できます。ここでは、人事データ分析でよく使われる3つのツールを紹介します。
5-1. 分析ツール(エクセルなど)
人事データを集計・分析し、表やグラフで可視化するためのツール・手段です。最も身近な例として「エクセル(Excel)」が挙げられ、ピボットテーブルや関数、グラフ作成機能を活用すれば、コストをかけずに簡易的な集計や現状把握をおこなうことができます。
ただし、データ量が増えるとファイルが重くなる、手入力による表記揺れで「データの前処理」に膨大な時間がかかる、マクロが属人化しやすくなるといった運用の限界もあります。また、これらは「集まったデータを加工・可視化する」ためのツールであるため、分析の精度は「どれだけ正確なデータを揃えられるか」に大きく左右されます。そのため、エクセルや専用の分析ソフトを導入する前に、そもそも勤怠や給与、評価といったバラバラのデータをどのように正確に蓄積・管理していくかという「データ基盤の整備」をあわせて検討することが、分析を成功させるうえで重要なポイントです。
関連記事:エクセルで人事データを分析するには?基本機能と活用例をわかりやすく解説
5-2. タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムは、従業員の基本情報(氏名、部署、勤続年数など)に加え、スキル、資格、経歴、評価、キャリア目標などを一元管理できるツールです。「データ基盤の整備」において中心的な役割を果たし、人事データを一つのデータベースで統合的に管理することで、適材適所の人材配置や後継者計画、スキルの可視化などに活用できます。多くの製品には分析・レポート機能も搭載されており、戦略的な人材マネジメントを支援します。
5-3. BIツール
BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)は、大量のデータを統合・処理し、ダッシュボードやビジュアルレポートとして可視化することに特化したツールです。複数のデータソースを連携させ、リアルタイムで状況を把握できるため、経営層への報告や部門間での情報共有に効果的です。ただし、BIツールはあくまで「他からデータを引っ張ってきてグラフィカルに魅せる」ためのシステムであり、ツール単体でデータを蓄積したり、自動で表記揺れを補正したりすることはできません。そのため、分析の土台となるデータが事前に綺麗に統合されていることが運用の前提となります。
6. 人事データ分析をおこなう際の注意点


人事データ分析をおこなう際は、「分析の精度」をいかに高めるかが極めて重要です。精度が低いと、担当者の業務負担が大きくなるだけで、経営判断や課題解決に活かせる十分な効果が期待できないためです。
6-1.データの鮮度と正確性を保つこと
ツールやシステムに蓄積されている人事データが古かったり、入力漏れや表記揺れ(例:全角半角の混在など)が多かったりすると、正しい分析結果が得られません。常にデータが最新の状態で、かつ統一されたフォーマットで蓄積される仕組みが必要です。
6-2.分析の目的を見失わないこと
必ず企業の課題を明確化したうえで目的を定め、その目的に合致した適切なデータ収集・分析手法を選択する必要があります。データの集計・加工自体が目的にならないよう注意しましょう。
人事データ分析はエクセルを使っておこなうことも可能ですが、手作業による集計ミスやデータ加工の手間を削減し、より精度の高いデータ分析をおこないたい場合は、専用ツールの導入を検討するのも有効な選択肢です。エクセルでの作業よりもスムーズに、本質的な深い分析が実現します。
7. 人事データ分析の事例


コールセンター事業などを展開する株式会社PLAYBASEでは、従業員数100名未満のフェーズから「データドリブンな組織づくり」を目指し、「ジンジャー人事データ分析」を導入しています。
同社の代表は、将来の会社拡大を見据え、早期にデータ蓄積を開始することを決断しました。「どこの部署に、どんな社員がいるのか」「誰がどんなスキルを持っているのか」をデータで把握することで、適材適所の人材配置を目指しています。
また、従業員の稼働状況の可視化による「働き過ぎの早期発見」や、人事評価情報をシステム上で一元管理することによる「評価プロセスの可視化と透明性の向上」の実現に向けて、同システムが活用されています。
参考:株式会社PLAYBASEの導入事例|ジンジャー(jinjer)
8. 人事データ分析を理解して人事業務の精度を向上させよう


人事データ分析の本質は、確実な根拠に基づいて人と組織の可能性を最大化することにあります。しかし、どれほど優れた分析手法を用いても、その土台となるデータがシステムごとに散在し、鮮度が落ちていては真の価値を発揮できません。次世代の戦略人事をスマートに実現するために必要なのは、データが自然と集まる「強固なデータ基盤」を整えることです。
もし、データの突合や表記揺れを直す「前処理」のタイムロスから解放され、常に最新のリアルタイムデータを用いたデータドリブンな意思決定をおこないたいのであれば、「ジンジャー」の活用が最適な解決策となります。「ジンジャー」による人事データ分析は、人事管理・勤怠・給与・タレントマネジメントにいたるまで、すべての情報が最初から「1つのデータベース」でつながる環境を提供しています。適材適所や労務リスクの予測・予防へと活かすスマートな組織づくりを強力にバックアップします。
勘や経験の領域を超え、人事データ分析の精度を劇的に向上させるために、まずはデータが迷わず集まる仕組みづくりから始めてみましょう。



「システムは導入しているのに、なぜか業務が楽にならない……」 その原因は、システムごとにデータが孤立している「データの分断」にあるかもしれません。 気づかないうちに、二重管理や確認作業で多くの時間が奪われている可能性があります。
自社のシステム環境が今どんな状態にあるのか、簡単なチェックで客観的に見直してみませんか? 業務のムダを洗い出す『「人事データ分断度」診断チェックリスト』を、ぜひ実務にお役立てください。
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