2025年最新・年収の壁を一覧!人事がおさえたい社会保険・税金の基準まとめ - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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2025年最新・年収の壁を一覧!人事がおさえたい社会保険・税金の基準まとめ

年収の壁のブロック 主にパート・アルバイトとして働く従業員の就業調整に大きく関わるのが、「年収の壁」です。

制度が複雑なうえ、近年は法改正も頻繁におこなわれており、人事担当者は正確な知識のアップデートを常に求められます。特に2025年からは所得税に関する大きな変更がなされているため、従業員への説明もより一層の丁寧さが求められるでしょう。

本記事では、2025年の最新情報に基づいた「年収の壁」の一覧と、それぞれの制度のポイント、そして従業員へ説明する際の実務的な注意点をわかりやすく解説します。

関連記事:年収の壁はどうなった?2025年最新動向と人事が押さえるポイント

最新の「年収の壁」改正、この一冊で丸わかり。 制度の全体像から実務対応までを図解!

2025年から本格化する「年収の壁」の見直し。従業員への説明や社会保険手続きの増加など、労務担当者の業務負担は増すばかりです。
さらに働き控えの原因となっていた「年収の壁」の見直しは、パート・アルバイト従業員の労働時間増加を後押しし、人手不足の緩和につながる可能性があります。この機会を活かすための準備はできていますか?

▼この資料でわかること

  • 結局どう変わる? 複雑な制度改正の要点と企業への影響
  • 今後急増する社会保険手続きへの、具体的な備え
  • 法改正対応で想定される、システム更新のコストと工数
  • パート・アルバイト従業員への適切なアナウンス方法

複雑化する「年収の壁」問題について、2025年からの最新動向から企業がとるべき実務対応まで解説していますので、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。

1. まずは一覧で確認!年収の壁【2025年最新版】

2025年のカレンダー

「年収の壁」と一言でいっても、その対象は住民税、所得税、社会保険など多岐にわたります。まずは全体像を把握するために、主要な年収の壁を一覧で確認しましょう。

各年収の壁についての詳細は「3. 年収の壁を個別に確認しよう」で解説しています。

関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説

年収の壁 対象制度 内容・ポイント 超えた場合の影響
約100万円 住民税

(本人)

住民税が課税される基準です。自治体により金額が異なります。 扶養に入っていても、本人に住民税の支払い義務が発生します。
103万円 所得税

(本人)

基礎控除48万円+給与所得控除55万円=103万円の壁と言われていた。2025年(令和7年)分の所得から税制改正で160万円の壁となります。 103万円(改正後は160万円)を超えると、所得税が発生します。
106万円 社会保険

(本人・勤務先規模による)

一定条件下で勤務先の社会保険への加入義務が発生します。(月額賃金が8.8万円以上など) 厚生年金・健康保険料が給与から天引きされますが、将来の保障は手厚くなります。
約123万円 所得税

(本人)

令和7年度税制改正で導入された2年間限定の特例(令和7・8年分)が終了した後は、基礎控除が一律58万円に戻るため、基礎控除58万円+給与所得控除65万円=約123万円が非課税ラインとなる見通しです。
ただし、この「123万円の壁」への移行は現時点では決定しておらず、今後の税制改正の内容によって変更となる可能性があります。
この金額を超えると、本人の所得税が発生する見込みです。
130万円 社会保険(扶養者・本人) 勤務先の社会保険に加入しない場合でも、扶養から外れる基準です。 国民健康保険・国民年金に自身で加入し、保険料を支払う必要があります。ただし、政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、一時的な収入超過であれば事業主の証明を受けることで引き続き扶養加入が可能な場合があります。
150万円 配偶者特別控除

(扶養者)

配偶者特別控除が満額(38万円)受けられる上限です。 扶養者の所得税・住民税負担が段階的に増え始めます。
160万円 所得税

(本人)

【2025年度改正】基礎控除95万円+給与所得控除65万円=160万円。給与収入が160万円以下であれば所得税がかかりません。
※この非課税措置は令和7・8年分(2025・2026年分)限定の特例で、令和9年分以降は基礎控除が一律58万円に戻るため、課税最低限は約123万円になります。
この金額を超えると、本人の所得税が発生します。
201万円 配偶者特別控除

(扶養者)

配偶者特別控除が完全になくなる基準です。 扶養者の税制上の控除が適用外となります。

参考:「年収の壁」対策|首相官邸
参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁
参考:社会保険適用拡大 対象となる事業所・従業員について|厚生労働省

2. そもそも年収の壁とは?

吹き出しのはてな

「年収の壁」とは、特定の年収額を境界線として、税金の支払い義務が発生したり、社会保険の扶養から外れたりする基準を指します。

従業員にとっては「この金額を超えると手取りが減るかもしれない」という意識が働くため、年末にかけてシフトを減らすなどの就業の調整をおこなう一因となっています。

人事担当者は、この仕組みを正しく理解し、従業員の働き方をサポートすることが大切です。

関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説

2-1. 年収の壁にまつわる法改正が続く背景

近年、「年収の壁」に関する法改正が続いていますが、その背景は「社会保険」と「税」で少し異なります。

社会保険の壁の見直しは、より多くの人に長く働いてもらうための施策です。背景には、少子高齢化に対応して社会保険の支え手を増やし、制度を安定させたいという狙いがあります。あわせて、働き方による保障の格差をなくし、だれもが安心して働ける環境を整える目的もあります。

一方、税制上の壁の見直しは、働く本人の所得税負担を軽くし、就業調整を緩和することが狙いです。所得税がかかり始める「103万円の壁」を意識して働く時間を抑える方が多い現状を踏まえ、この上限が「160万円」に引き上げられました。この改正は、人手不足の解消と個人の所得増加を後押しするものです。

このように、社会保険と税の両面から見直しを進めることで、政府は働き手がより柔軟に、そして意欲的に働ける社会を目指しています。

2-2. 年収の壁が与える影響

政府は「壁」の緩和によって労働時間の延長を期待していますが、従業員が労働時間を抑えようとする背景には、複数の要因が絡み合っています。

就業調整の大きな要因は、社会保険の壁(106万円・130万円)を超えると保険料の負担により一時的に手取りが減ってしまう「手取りの逆転現象」です。この動きに拍車をかけているのが、近年の最低賃金の上昇です。時給が上がることで意図せず壁を超えてしまうため、かえって労働時間を減らすという選択にもつながっています。

さらに、こうした経済的な理由だけでなく、配偶者の収入を主たる生計基盤とし、現在の働き方に満足しているなど、従業員それぞれの価値観も大きく影響します。

企業にとって、従業員一人ひとりの合理的な判断は、結果として「働き手の不足」という深刻な経営課題に直結します。

この現状を乗り越えなければ、人材の確保はますます困難になるでしょう。そのため、人事担当者には、制度の知識だけでなく従業員の価値観まで踏まえたコミュニケーションが求められます。

3. 年収の壁を個別に確認しよう

お金と壁の上に立つ男のイラスト

それでは、一覧表で紹介した各「年収の壁」を個別に詳しく見ていきましょう。

3-1. 100万円の壁(住民税)

住民税が課税される基準です。自治体により多少金額が異なるので注意しましょう。約100万円を超えると、扶養に入っていても本人に住民税の支払い義務が発生します。

3-2. 103万円の壁(所得税・扶養親族)

103万円の壁には、所得税と扶養親族の2つの意味があります。それぞれの意味を確認しましょう。

3-2-1. 所得税に対する103万円の壁とは

給与を得て働く人は、収入のうち仕事に必要な経費として「給与所得控除」を差し引いた残りに税金がかかります。控除額は55万円と定められており、基礎控除48万円を加えた金額が103万円になります。

計算式:給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円

よって、年収103万円以下であれば所得税がかからず、いわゆる「103万円の壁(所得税)」となります。ただし、103万円を超えて課税が発生しても、超過分に応じてわずかに税金が差し引かれるだけであり、急に大きな負担が増えるわけではありません。

あくまでも課税が始まるラインとして、従業員に案内するとよいでしょう。

3-2-2. 扶養親族に対する103万円の壁とは

もう1つの「103万円の壁」は、扶養親族(税法上の扶養家族)の基準を指します。

所得税法では、扶養親族として扱えるのは所得48万円以下の家族と定められています。給与収入がある人は、収入のうち経費相当額として「給与所得控除」が自動的に差し引かれ、控除額は一律55万円であるため、次のように計算されます。

計算式:年収103万円-給与所得控除55万円=所得48万円

つまり、年収103万円までは所得が48万円以下となり、扶養親族として認められます。これが扶養親族に関する103万円の壁です。

なお、令和7年度税制改正により給与所得控除は65万円に引き上げられますが、この改正は2025年(令和7年)分の所得から適用されます。そのため、現時点(2025年10月)では55万円で計算して問題ありません。

3-2-3. 103万円の壁の今後

令和7年度(2025年度)税制改正により、基礎控除と給与所得控除が引き上げられます。その結果、所得税がかからない年収の上限は103万円から160万円へと拡大します。

ただし、160万円の壁は特例であり、2025年(令和7年)分と2026年(令和8年)分の2年間に限り適用され、 2027年(令和9年)分以降は基礎控除が一律58万円に戻る予定です。その場合、非課税となる年収は約123万円となる見通しです。

「123万円の壁」への移行は現時点では正式決定ではなく、今後の税制改正によって変更される可能性があります。また、扶養親族の所得要件(所得48万円以下)は変更されないため、控除額の見直しに伴って、扶養判定に用いられる年収の目安が段階的に変わっていくと考えられます。

今後の改正情報を注視していきましょう。

関連記事:103万円の壁撤廃はいつから?150万円・160万円の引き上げや税制改正の適用時期を解説

3-3. 106万円の壁(社会保険)

「106万円の壁」は、パート・アルバイトなど短時間で働く従業員が、勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)へ加入する義務が発生する基準です。

具体的には、月収8.8万円(年収換算で約106万円)が目安となり、次の要件をすべて満たす場合に加入義務が生じます。企業の規模要件は段階的に緩和されており、対象者が拡大しています。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではないこと
  • 従業員数51人以上の企業に勤務(2024年10月~)

参考:社会保険適用拡大 対象となる事業所・従業員について|厚生労働省

106万円の壁の要件を満たさない場合でも、一般の従業員の所定労働時間および所定労働日数の「4分の3以上」働く短時間労働者は、原則として社会保険の加入対象となります。この「4分の3ルール」は従来からの基準であり、106万円の壁とは別の加入基準があることにも注意が必要です。

なお、政府は働き方による格差をなくすため、将来的にはこの企業規模要件そのものを撤廃する方向で議論を進めています。

3-4. 130万円の壁(社会保険)

勤務先の規模にかかわらず、年収が130万円以上になると社会保険の扶養から外れます。

106万円の壁の対象にならない場合でも、この壁を超えると、自身で国民健康保険と国民年金に加入・支払いをする必要があります。

3-5. 150万円の壁(配偶者特別控除)

配偶者の年収が150万円までは、扶養者は「配偶者特別控除」を満額(38万円)受けられます。150万円を超えると、配偶者の収入に応じて控除額が段階的に減少し、201万円で控除がなくなります。

3-6. 160万円の壁(所得税)

2025年からは、基礎控除と給与所得控除の拡大により、所得税がかからない年収の上限が160万円になります。

改正前の非課税ライン(103万円)から大幅に引き上げられたことで、より多くの人が税負担を軽減できるようになりました。なお、この160万円の壁は、2025年と2026年の2年間限定の特例措置です。

3-7. 201万円の壁(配偶者特別控除)

配偶者の年収が201.6万円を超えると、扶養者は「配偶者特別控除」を受けられなくなります。201万円の壁を超えると、扶養者の課税所得が増え、所得税や住民税の負担が大きくなる点に注意が必要です。つまり、201万円の壁は「配偶者を扶養に入れておけるかどうか」の最終ラインとなります。

4. 従業員に年収の壁を説明する際の注意点

注意のイメージ

制度の概要を理解したうえで、次に鍵となるのが「従業員への伝え方」です。人事担当者が説明する際に注意したい3つのポイントを解説します。

4-1. 制度の違いを明確に区別して説明する

従業員は「税金」と「社会保険」の制度を混同しがちです。例えば、「103万円の壁」が扶養者の税金に関わる話であるのに対し、「106万円の壁」は本人の社会保険加入の話です。

「だれの」「何に」対する影響なのかを明確に区別し、図表を活用して視覚的に示すことで、説明の正確性が高まるでしょう。

4-2. 一時的な「損得」ではなく長期的な視点で伝える

世間では、「壁を超えると手取りが減って損をする」という短期的なイメージが先行しがちです。

しかし、社会保険への加入によって将来の年金受給額が増えたり、病気や怪我の際に健康保険から傷病手当金が支給されたりと、長期的に見れば大きなメリットにつながります。

「手取りが減ることで損する」ではなく、「社会保障への加入は将来への投資である」という視点を提供することで、従業員の納得感を高めることができるでしょう。

4-3. 会社の方針とあわせて説明する

従業員の働き方は、制度だけでなく会社の方針にも関わります。

会社として従業員のキャリア形成をどう支援するのか、社会保険加入を推奨するのか、あるいは本人の希望を尊重するのかなど、あらかじめ経営層と議論し、会社としての方針を定めておきましょう。

明確な方針を持って説明に臨むことが、従業員の混乱を防ぎ、人事としての信頼性を高めることにつながります。

5. 年収の壁の一覧を参考に最新情報を正しく理解しよう

笑顔の女性

本記事では、2025年の最新情報に基づき「年収の壁」を解説しました。法改正により、働く側の環境は常に変化しています。

人事担当者としては、これらの制度を正しく理解するだけでなく、従業員一人ひとりが自身のライフプランやキャリアプランに合わせて最適な働き方を選択できるよう、丁寧な情報提供とサポートを続けていくことが必要です。

ぜひ、この記事を社内での情報整理や、従業員への説明にお役立てください。

最新の「年収の壁」改正、この一冊で丸わかり。 制度の全体像から実務対応までを図解!

2025年から本格化する「年収の壁」の見直し。従業員への説明や社会保険手続きの増加など、労務担当者の業務負担は増すばかりです。
さらに働き控えの原因となっていた「年収の壁」の見直しは、パート・アルバイト従業員の労働時間増加を後押しし、人手不足の緩和につながる可能性があります。この機会を活かすための準備はできていますか?

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複雑化する「年収の壁」問題について、2025年からの最新動向から企業がとるべき実務対応まで解説していますので、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。

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