コンプライアンスとガバナンスの違いとは?企業が押さえるべき重要ポイントを徹底解説
公開日: 2025.7.1 jinjer Blog 編集部
ガバナンスとは、組織行動を適切に制御・統制する仕組みです。
企業経営においては、「コーポレートガバナンス:企業統治」とも呼ばれ、企業が健全な経営活動をおこなうためのガバナンスを指します。
一方コンプライアンスは、法令や社内ルールなどを組織として守る姿勢を指します。
本記事では、両者の意味や違い、企業がガバナンス強化に取り組むべき重要ポイントをコンプライアンス違反のリスクなどの観点から解説します。
人事労務管理のペーパーレス化には、以下のメリットがあります。
- 入社手続きがオンラインで完結し、差し戻しなどやりとりにかかる時間を削減できる
- システム上で年末調整の書類提出ができ、提出漏れや確認にかかる工数を削減できる
- 人事情報がひとつにまとまり、複数のシステムやエクセルファイルで管理する必要がなくなる
このように、システムによってペーパーレス化を進めると、人事労務管理にかかる工数を削減し、注力したい業務に時間を割くことが可能です。 システムを利用したペーパーレス化について気になる方は、こちらからクラウド型人事管理システム「ジンジャー人事労務」の紹介資料をご覧ください。

1. コンプライアンスとガバナンスの違い
コンプライアンスとは、法令を守るだけでなく、社会的規範や倫理、社内のルールなども含めて「組織としてあるべき姿を守ること」を指します。
一方、ガバナンスとは、企業が自らの経営を適切に監督・管理する仕組みのことです。特に「コーポレートガバナンス」という言葉は、不正やコンプライアンス違反を未然に防ぎ、企業の透明性や健全性を高める体制づくりを意味します。
つまり、コンプライアンスは「守るべきルール」、ガバナンスは「それを守らせる仕組み」と言い換えることができます。
ガバナンスは、コンプライアンスを維持し補完する役割を果たします。
1-1. ガバナンスが必要な理由
ガバナンスは、日常の業務から不正行為を防止する機能があります。
ガバナンス強化によって、従業員が会社の業務から健全な事業活動をおこなっていることを認識できます。結果的に、従業員たちの仕事へのモチベーションを保つことができるでしょう。
次に、ステークホルダー(企業の利害関係者)以外からも信頼を得られます。信用があり財政面も安定していれば、今後の事業活動の展開に期待されるでしょう。
一方で、コンプライアンス違反が発覚した場合、事業停止や刑事処罰を受ける可能性があります。
そして、社会的な信用も失うことによって、金融機関から融資を受けづらくなる場合や業績不振によって退職者が増加する場合もあるため、会社へのダメージは非常に大きいです。
つまり、ガバナンスの強化をすることにより、企業は従業員のモチベーションと企業イメージを高めることができます。
1-2. 中小企業でもガバナンス強化は可能
ガバナンスは、大企業が取り組むこととして認識されている方も多いのではないでしょうか。実は、日本の企業の約99%は中小企業が占めています。
中小企業こそ、ガバナンスを整えることで、今後の信頼性や業績の向上の余地があります。
コストや人材の制約のある中でも、外部の専門サービスやITツールを活用すれば、コストを大幅に抑えて、ガバナンス強化ができます。
2. ガバナンスを強化するメリット
ここでは、ガバナンスを強化した企業へのメリットについて解説します。しっかり理解して、ガバナンスを整えていきましょう。
2-1. コンプライアンス違反の防止
ガバナンスを強化する一番のメリットは、企業の不祥事を防ぐことです。
企業が受ける典型的なリスクは以下の内容です。
- 個人情報の漏洩や株主訴訟などに発展して、コンプライアンス違反に該当する。
- 場合によっては、課徴金や役員解任、行政処分を科される可能性があります。
コンプライアンス違反がない企業では、従業員や顧客に対して、健全な事業活動をおこなっていることを示すことができます。
2-2. 社会的信用・財政面の安定
安全な事業活動をおこなっている企業は、ステークホルダー(企業の利害関係者)以外からも良い印象を持たれます。その結果、新規顧客の増加や取引先との長期的な契約を結ぶことができ、業績の安定化が望めます。
次に、企業が成長するには、投資家と金融機関の存在が非常に重要です。。株主が安心して投資しやすい状況を作ることを心がけましょう。企業活動における「信用」は、金融機関との関係に対して密接に影響します。なぜなら、社会的信用がある企業は融資を受けやすいため、資金調達がしやすいメリットがあるからです。
社会的信用があり財政面が安定している企業は、今後の経営方針に対して柔軟に対応ができるでしょう。
2-3. 労働環境の改善
従業員が健全な業務をおこなえることを認識できれば、仕事へのモチベーションアップにつながり、会社内の雰囲気が良くなります。
一方で、コンプライアンス違反が発覚した企業は、従業員たちの会社に対する不信感や会社内の雰囲気の悪化などにより、退職者の増加傾向が見られます。
結果的に、ガバナンスを構築することで、従業員が働きやすい環境を作ることができるでしょう。
3. ガバナンスを強化させる方法とそのポイント
最後に、ガバナンス強化に向けてコストを抑えた方法とそれらのポイントについてを紹介します。必ずコンプライアンス違反を起こさないように努めましょう。
3-1. 企業理念やコンプライアンスの明確化と周知
まず、ガバナンス構築の参考となるのが、株式会社東京証券取引所の『コーポレートガバナンス・コード』や『内部統制報告制度(J-SOX)』です。
次に、コンプライアンスに関連する明文規定を、従業員に周知して明確化させる体制の導入が必要です。会社法と労働法、金融商品取引法などの法律やビジネスマナーについても必ず遵守できるように努めましょう。
参考:コーポレートガバナンス・コード|株式会社東京証券取引所
3-2. 社外取締役・相談役の非常勤登用
社外取締役とは、外部から招聘した取締役のことで、独立した立場から会社の情報を客観的に監査し、不正行為の防止に貢献します。一方、社外相談役は、従業員がハラスメントや個人的な問題を匿名で通報できる、社外の相談窓口としての役割を果たします。
これら社外の専門家を月数回程度の非常勤で登用すれば、自社に専任の社員を置くよりもコストを大幅に削減できます。さらに、専門家が匿名での相談に応じることで、従業員は安心して悩みを打ち明けられるようになり、ハラスメントの早期発見・解決に繋がります。
社外の専門家を派遣する企業もあるため、ぜひ一度検討してみることをお勧めします。
風通しの良い労働環境は、従業員の業務に対するモチベーションの向上につながり、業績アップや新規人材の確保も期待できます。
3-3. 継続的なコンプライアンス研修
上記の内容だけでは、従業員にコンプライアンスの知識を身に付けさせることはできません。
そこで、従業員にコンプライアンスを維持させる方法として、コンプライアンス研修があります。この研修では、ビジネスマナーや企業の不祥事が発覚した場合のリスクなどを学習します。e-Learningなどのシステムを活用すれば人事コストを抑え、受講履歴を残すことも可能です。
研修を継続的に実施することで、新法の施行や法令の改正なども柔軟に対応ができるようになるでしょう。
3-4. 反社会的勢力との対応をチェック
反社会的勢力と関係を持つ企業に対して、顧客や投資家の中で良い企業イメージを持っている人の割合は低いです。
事前に「不当要求に対する対応マニュアル」や「契約書に反社会的勢力と関係があることが発覚した時の処置」などを作成して行動指針を示しておきましょう。
反社会的勢力との関係性が指摘され問題になった企業に対して、行政処分や刑事罰を科した下されたという報道も多いです。今後の会社の繁栄のために、反社会的勢力と関係性がないことを明白に示せるようにしていきましょう。
4. ガバナンスを強化して、企業価値を高めよう
今回は、コンプライアンスとガバナンスに関して解説しました。
コンプライアンスとガバナンスを強化することで、企業の信用性と健全性を向上させることができます。そして、従業員の仕事への良いモチベーションにも繋がり、会社内の雰囲気の改善や企業規模の拡大が望めます。
必ずコンプライアンス違反にならないように、ガバナンスの構築に努める必要があります。
まずは自社の状態を確認し、改善の第一歩を踏み出しましょう。
社会保険の手続きガイドを無料配布中!
社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびにおこなう手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
当サイトでは社会保険の手続きをミスや遅滞なく完了させたい方に向け、最新の法改正に対応した「社会保険の手続きガイド」を無料配布しております。
ガイドブックでは社会保険の対象者から資格取得・喪失時の手続き方法までを網羅的にわかりやすくまとめているため、「最新の法改正に対応した社会保険の手続きを確認しておきたい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
人事・労務管理のピックアップ
-
【採用担当者必読】入社手続きのフロー完全マニュアルを公開
人事・労務管理公開日:2020.12.09更新日:2024.03.08
-
人事総務担当が行う退職手続きの流れや注意すべきトラブルとは
人事・労務管理公開日:2022.03.12更新日:2024.07.31
-
雇用契約を更新しない場合の正当な理由とは?伝え方・通知方法も紹介!
人事・労務管理公開日:2020.11.18更新日:2025.05.30
-
社会保険適用拡大とは?2024年10月の法改正や今後の動向、50人以下の企業の対応を解説
人事・労務管理公開日:2022.04.14更新日:2025.07.10
-
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点
人事・労務管理公開日:2022.01.17更新日:2025.05.12
-
同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
人事・労務管理公開日:2022.01.22更新日:2025.04.23
労務の関連記事
-
コンプライアンス違反とは?よくある事例から対策方法まで徹底解説!
人事・労務管理公開日:2025.06.30更新日:2025.06.30
-
育児休暇中の有給の扱い方は?違いや注意点をわかりやすく解説
人事・労務管理公開日:2025.06.22更新日:2025.06.17
-
男性の育児休暇に関する義務化はいつから?法改正の内容や企業がおこなうべき準備とは
人事・労務管理公開日:2025.06.21更新日:2025.06.17