消耗品費と雑費の違いについて具体例を挙げて紹介
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.9.9
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記帳するときによく使われる勘定科目として、消耗品費と雑費というものがあります。
それぞれ事業に必要な物品の購入やサービスの利用時に用いられる勘定科目ですが、どのように使い分ければいいのかわかりにくいと感じている人は多いかもしれません。
この記事では、消耗品費と雑費の違いについて実例を交えながら説明します。不明点を解消して、スムーズな会計処理を目指しましょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 消耗品費と雑費の違い
消耗品と雑費は非常によく似ている勘定科目であるため、なかなか区別できていない人も多いことでしょう。
消耗品費と雑費の違いは、「消耗される物品に支払われた代金かどうか」というポイントです。
消耗品は1年以内に買い替えが必要、もしくは10万円以下の消耗性の物品に使われる経費で、雑費はイレギュラーに発生するサービスなどに対する経費のことを指す場合が多いです。
これだけの説明を聞いても、それぞれの勘定科目の特徴がわかりにくいと感じている人もいることでしょう。
まずは、消耗品費と雑費の違いを説明します。
1-1. 消耗品費とは
消耗品費とは、事業に必要な消耗品を購入したときに用いられる勘定科目です。
国税庁では、消耗品費について以下のように記載されています。[注1]
1. 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
2. 使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費
取得価額が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算定した金額によります。
つまり、消耗性の物品で1年以内に買い替えが必要なもの、もしくは10万円未満のものを購入したときは消耗品費として計上可能ということです。
[注1]消耗品費|国税庁
1-2. 消耗品費に該当するものの例
消耗品とは、文字通り使っていくうちに消耗して使い切ってしまうもののことを指します。
例えば、以下のようなものが消耗品に含まれます。
・ノートやボールペンなどの事務用品
・ペンチや軍手などの作業工具
・包装紙やレジ袋などの包装材料
・営業車用のガソリン など
ただし、「こういった物品は必ず消耗品費」と定められているわけではないため、上記の物品を事務用品費といったほかの勘定科目で処理することも可能です。
一度使用した勘定科目は翌年以降も引き継ぐことが好ましいので、しっかりと社内ルールを整備しておきましょう。
1-3. 雑費とは
雑費とは、イレギュラーかつ少額の出費で、ほかのどの勘定科目にも該当しない代金に対して用いられる勘定科目です。
雑費にも明確な対象が定められていないため、「迷ったら雑費として計上しておこう」と判断してしまう人もいるかもしれません。
しかし、雑費の金額が多いと用途不明の経費が増えてしまい、税務署から指摘を受ける可能性が高まります。
そもそも、帳簿の目的は企業の収支の内容を記録し、正確に把握することです。
雑費が多い場合、経費の内訳を正確に把握することができなくなってしまうため、多用することは避けた方がいいでしょう。
1-4. 雑費に該当するものの例
雑費に該当する代金の一例としては、以下のようなものが挙げられます。
・クリーニング代
・粗大ごみの処分費
・自治会費
・振込手数料
・一時的なOA機器のレンタル代
・NHKの受信料
・引越し代 など
上記以外の代金であっても、ほかの勘定科目に当てはまらないイレギュラーな出費は雑費として計上可能です。
2. 消耗品費と雑費を使い分けるポイント
消耗品費と雑費をしっかりと区別して記帳するためには、使い分けのポイントを理解しておくことも大切です。
ここでは、消耗品費と雑費を使い分けるときの判断基準を2つ紹介します。
ただし、実際の運用方法は企業ごとに決めて問題ありません。
これから紹介する使い分けは一例でしかないため、仕訳ルールを作るときの参考程度に活用してください。
2-1. 消耗するかどうか
もっともわかりやすい使い分けは、「消耗するかどうか」というポイントに着目した方法です。
消耗品は、当然のことながら使っていくうちに劣化して買い替えが必要になります。
ボールペンやコピー用紙はもちろん、デスクやロッカーなども消耗していくため、消耗品費として計上可能です。
対して、雑費は消耗する物品に対して使われることは少ない傾向にあります。
クリーニング代や自治会費など、実態のないサービスや手数料に使われることが多い傾向にあります。
2-2. 金額や重要度が高いかどうか
金額や重要度で使い分けるのも、ひとつの手です。
例えば、「金額が3万円以下は雑費、3万円以上は消耗品費」「業務で重要度が高い文房具は消耗品費、業務との関連性が低い庭木の手入れ代は雑費」といった判断方法です。
ただし、この判断方法だと雑費が多くなりやすい点に注意しましょう。
雑費が経費の5~10%を超える場合は、再度仕訳ルールを見直す必要があります。
3. 消耗品費と雑費に仕分けるときの注意点
経費を消耗品費や雑費に仕分けるときは、3つの注意点に気を付ける必要があります。
最後に、適切な支出管理をするために押さえておきたい注意点を紹介します。
3-1. 補助科目や摘要欄を活用する
仕訳するときは、補助科目や摘要欄を活用しましょう。
単に「消耗品費 5,000円」と記帳しても、何に5,000円も使ったのかをあとから思い出すのは難しいものです。
そこで、補助科目として、事務用消耗品や作業用工具を使用し、摘要欄に「ボールペン購入費用」などと記載しておけば、あとから見てもすぐに何に使った経費なのかを把握できるようになります。
とくに、雑費は用途不明金が発生しやすいため、摘要欄を上手く活用することをおすすめします。
「〇〇引越センター 事務所引越し代」などと書いておくと、税務調査が入ったときも経費の使用用途をすぐに説明できるでしょう。
3-2. 雑費がほかの勘定科目に当てはまるケースがある
雑費は使い勝手のいい勘定科目ですが、あまりにも使いすぎると正確に経費を把握できていないと思われてしまい、税務調査や融資審査の際に不利に働く可能性があります。
そのため、雑費はできる限り使わない方が好ましいとされています。
一見雑費のように思われる代金でも、よくよく考えてみるとほかの勘定科目に該当するケースは非常に多いものです。
例えば、自治会費は「諸会費」、引越し費用は「荷造運賃」として仕訳することもできます。
しっかりと分類していくと、雑費に該当する代金はごくわずかです。
実は消耗品費として計上できる代金も多いので、「本当に雑費にしか当てはまらないのか」をしっかりと考えてから仕訳することを推奨します。
3-3. 固定資産に注意する
使用可能期間が1年以上で、取得費用が10万円以上の機械や備品、車などは固定資産に分類される可能性があります。
そのため、消耗品費や雑費として計上することはできない点に注意しましょう。
固定資産とは、長期にわたって事業や投資に用いる資産のことです。
固定資産は、取得価格を法定耐用年数で割って算出する「減価償却費」として計上する必要があります。
ただし、中小企業や個人事業主に限り、令和4年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産は300万円まで全額経費にできます。[注2]
事業規模によって判断が異なるため、自社に合った処理をしましょう。
[注2]No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
関連記事:勘定科目「雑費」を使うときの注意点や仕訳例を徹底解説
4. 消耗品費と雑費を区別して会計処理をしよう
消耗品費は事業に必要な消耗品に支払う代金、雑費はほかのどの勘定科目にも当てはまらない代金を経費として計上するときに用いる勘定科目です。
両者は一見にているように思えますが、実はしっかりと異なる定義が存在しているため注意が必要です。
雑費が多いと帳簿の目的が果たせなくなる可能性があるため、普段の帳簿付けではなるべく消耗品費を使用し、雑費はなるべく使わないようにすることを推奨します。
「この代金はこの勘定科目」と明確な規定があるわけではありませんが、自社でしっかりと仕訳ルールを策定し、明瞭かつ一貫性のある会計処理を行うことが大切です。
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