減価償却費とは?基本から計算方法、仕訳などをわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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減価償却費とは?基本から計算方法、仕訳などをわかりやすく解説

減価償却

減価償却費とは、資産の取得費用を分割して費用計上していくための勘定科目の一つです。減価償却についての理解は、会社の利益を正しく計算するのに欠かせません。この記事では、減価償却費の概要やメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。減価償却費を計上するための2つの計算方法もご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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1. 減価償却とは

ひらめき

まずは減価償却とはなにか、基本的な考え方と減価償却を理解する上で重要な用語と合わせてみていきましょう。

1-1. 固定資産を経費計上する方法

減価償却費とは、固定資産の購入額を耐用年数に合わせて分割し、その期ごとに費用として計上するための勘定科目です。

資産を購入した費用の全てをその年に計上しないというルールがあるため、これを守らなければなりません。例えば120万円の普通自動車を購入した場合、耐用年数は6年と定められているため、毎年20万円ずつ費用として計上します。

減価償却の考え方とは、資産は長期に渡って使われるものであり、その価値は年を追うごとに減っていき、最終的にゼロになるというものです。これを帳簿上で表現するために、まずは購入したものを資産として計上し、その後に減価償却費として毎年分割して費用計上していきます。

1-2. 減価償却に関連する用語

減価償却を理解するために、知っておきたい用語を最初に覚えておきましょう。よく出てくる用語であるため、正しく理解しておくことが大切です。

  • 減価償却資産・・・減価償却が適用される資産
  • 取得価格・・・減価償却資産の購入価格
  • 耐用年数・・・法人税法に定められた資産の使用可能期限
  • 事業供用日・・・資産が本来の目的で使用開始された日
  • 減価償却累計額・・・過去に計上した減価償却費の合計
  • 未償却残高・・・償却後の残りの資産額で、最小1円まで償却可能

2. 減価償却が必要な理由

比較

減価償却は固定資産の購入額を分割して計上する勘定科目であることがわかりました。なぜわざわざ分割しないといけないのか、減価償却が必要な理由を解説します。

2-1. 毎年の利益を正しく計上するために必要

「その年に購入したのだから、その年にすべて費用計上しても問題ないのでは」と思えるかもしれません。しかし、購入した固定資産は購入年度だけでなく長期間にわたって利用されるものであり、特定の年の費用として計上するのは不適切だといえます。毎年の利益を正しく表すためにも減価償却をおこなう必要があるのです。

例えば工場で機械設備を1,000万円で購入したとしましょう。1,000万円をそのまま計上すると会計上利益が大きく減少するため、事業が上手く運営されているにもかかわらず、銀行の融資が止められる可能性が出てきてしまいます。事業の利益を正確に表現するために、減価償却が必要になります。

2-2. 減価償却をしなかったらどうなる?

減価償却費は費用として認められます。そのため、減価償却を続ける限りはその年数分の税額を抑えることができるようになります。減価償却をしない場合はこの恩恵を受けられないため、税額が上がることになります。

また、費用と収益が対応できないままになるため、正確な損益がわかりにくくなる点も減価償却をしない場合のリスクです。これは銀行から融資を受ける際にもマイナスに働くことがあるため、無視できない問題です。

他にもキャッシュフローの悪化を招く可能性もあるため、減価償却をしない場合の問題は会社全体の問題につながる可能性もはらんでいます。

 

3. 減価償却できる資産とできない資産

貯蔵 資産

減価償却は必要な処理であることがわかってきました。しかし、すべての固定資産を減価償却できるわけではありません。

3-1. 減価償却できる資産

節税などのメリットが得られる減価償却ですが、減価償却できる資産には条件があります。一つは実際の業務で使用していること、もう一つは経年劣化する資産であることです。減価償却できる資産には以下のようなものがあります。

  • 有形資産・・・建物、工場、機械、車両、パソコン、備品など
  • 無形資産・・・ソフトウェア、特許、商標、意匠、のれんなど

減価償却できる資産は特許権などの無形のものも含まれます。理由としては、特許などの知的財産権は長期にわたって使用されるものであるからです。期限まで分割して費用計上することが可能です。ただし、無形資産は減価償却の計算方法のうち原則として定額法をもちいておこないましょう。計算方法の詳細は後ほど解説します。

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3-2. 減価償却できない資産

上記条件に該当しない場合は減価償却の対象にならないため注意が必要です。減価償却の対象にならない資産は、実際の業務で使用していない、かつ価値下落のない資産です。

  • 価値下落のない資産・・・土地、美術品、骨董品など
  • 建設途中の建物
  • 在庫品・・・小売商品、原材料、販売前の土地・建物

減価償却できない資産とは、時が経ってもその価値が下がらないと考えられる資産です。また、業務には使われていない・未使用・未稼働などの資産も減価償却ができません。

これらの減価償却できない資産の仕訳方法は、「勘定科目と仕訳のルールBOOK」で解説しています。本資料では他にも86個の勘定科目やその科目に応じた仕訳のルールを網羅的にまとめています。仕訳の方法を再確認したい方や勘定科目を覚えられなくてお困りの方はぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。

4. 減価償却の計算方法

計算している様子

減価償却の計算方法ですが、計算を始める前に減価償却を始める時期と耐用年数を確認しておきましょう。また、購入していたとしても、実際に資産が業務に使用される時期(事業供用日)までは減価償却で費用を計上することができません。

関連記事:減価償却費の計算方法とは?「定率法・定額法」など計算方法を詳しく解説

4-1. 定額法

減価償却の計算方法には、一定の金額を費用計上する定額法と一定の割合を費用計上する定率法の2種類があります。基本的には建物や無形資産は定額法、それ以外が定率法で計算するよう定められています。ただし、税務署に届出をすることで変更は可能です。

定額法の計算方法は以下の計算式でおこないます。
「取得価額×減価償却率(1÷耐用年数)=減価償却費」

4-2. 定率法

定率法の計算方法は少々複雑です。定率法の場合は、耐用年数によって決められた減価償却率を用いて原価償却費を計算します。資産の耐用年数と減価償却率は税法で定められており、国税庁のホームページから確認できます。

基本的には下記の計算式で計算をおこないます。
「未償却残高(初年度は取得価額)×減価償却率=減価償却費」

未償却残高は取得価額からその年までの累計減価償却費用で計算することができます。従って初年度が最も償却額が大きく、年々償却額が小さくなるという特徴があります。

しかし、残存価格が1円になるまでに時間がかかってしまうという問題があり、これを解消するために平成19年以降、「改定償却率」及び「保証率」が設けられました。

資産を取得した際に「取得価額×保証率=償却保証額」で償却保証額を設定し、この償却保証額を下回る減価償却額になることが見込まれた年の未償却残高を「改定取得価額」とします。そして、その年以降は定額法的に「改定取得価額×改定償却率=減価償却費」として減価償却費を計上することになりました。

関連記事:残存価額とは何か?減価償却における残存価額を解説

4-3. 定額法と定率法はどちらを選ぶべき?

資産となるものを購入した最初の年度に、より多くの減価償却費を計上したい場合は定率法が有利です。購入直後の利益を下げて節税も可能でしょう。

一方で定額法は毎年同じ額を計上できるため、先の計算がしやすく資金計画が立てやすいというメリットが挙げられます。

定額法と定率法どちらを使ってもよい資産の場合は、この2点を重視して選ぶとよいです。しかし、多くの資産は定額法と定率法どちらを用いるのか定められています。

そのような場合はルールを守り、決められた計算方法で算出するようにしましょう。

4-4. 中古で購入した資産の減価償却

購入した資産が中古品だった場合、その中古品の購入価格が同じ物の新品を購入した場合の新品価格の50%以上だった場合には、新品と同様の耐用年数が適用されます。

一方、中古品の購入価格が新品価格の50%を超えておらず、耐用年数の見積が困難な場合には、国税庁が規定する計算式に基づいて耐用年数を算出する必要があります。

①法定耐用年数の一部を経過した資産
  (法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20% = 耐用年数

②法定耐用年数の全期間が既に経過した資産
   法定耐用年数  × 20% = 耐用年数

5. 減価償却費の仕訳と勘定科目

減価償却の仕訳

減価償却費を記帳する方法には、直接法と間接法があります。2つの方法では使用する勘定科目にも違いがあります。また、減価償却の途中で固定資産を処分したり、売却した場合の仕訳も解説します。

関連記事:減価償却の仕訳とは?「減価償却費」 と 「減価償却累計額」の違いや仕分け方法を解説

5-1. 直接法での仕訳

直接法での仕訳の場合、固定資産から減価償却費を直接差し引きます。そのため借方に減価償却費(費用)を記入し、貸方に固定資産勘定を記入します。

例えば、自動車の減価償却費30万円を仕訳ける場合は下記のように記帳します。

借方 貸方
減価償却費 300,000 固定資産 300,000

5-2. 間接法での仕訳

間接法での仕訳の場合、固定資産を直接減らすのではなく、減価償却累計額(固定資産のマイナス勘定)を計上し、これまでの累計償却額を表示する記帳方法です。仕訳では、借方に減価償却費勘定を、貸方に減価償却累計額勘定を記入します。

先程と同じく、自動車の減価償却費30万円を仕訳る際は下記のように記帳します。

借方 貸方
減価償却費 300,000 減価償却累計額 300,000

関連記事:減価償却累計額とは?減価償却との違いや直説法・間接法の違いを解説

5-3. 処分した場合の仕訳

期中に使用していた資産が故障や破損で使用できなくなったり、不要になり処分した場合には、損金勘定をして帳簿から除去します。

例えば、取得価額20万円、未償却残高が5万円の機械が故障で使用できなくなり処分した場合の直接法、間接法ではそれぞれ下記のように仕訳をおこないます。

【直接法で損金勘定をする場合】

借方 貸方
機械装置 50,000 固定資産除却損 50,000

【間接法で損金勘定をする場合】

借方 貸方
固定資産除却損 50,000 機械装置 200,000
減価償却累計額 150,000    

5-4. 売却した場合の仕訳

保有している固定資産を売却した場合、利益が出たり、逆に損失が出たりすることもあるでしょう。

例えば、取得価額180万円、未償却残高が30万円の自動車を20万円で売却し出た場合の仕訳は下記のようにおこないます

【直接法の仕訳の場合】

借方 貸方
預金 200,000 車両運送具 300,000
固定資産売却損 100,000    

【間接法の仕訳の場合】

借方 貸方
預金 200,000 車両運送具 1,800,000
減価償却累計額 1,500,000    
固定資産売却損 100,000    

もし、資産の売却によって利益が出た場合は固定資産売却益として仕訳をおこないます。

6. 減価償却途中の資産を手放す場合の処理方法

はてな

減価償却の途中で使わなくなったり、劣化が進んでしまったりなどの理由で、資産を手放すことがあります。そのような場合は、手放した方法によって処理方法が変わります。

6-1. 破棄する場合

資産を破棄する場合は、破棄の際に費用がかかったかどうかで処理方法が変わります。

処分費用が発生しなかった場合は、帳簿上の未償却残高をゼロにしなければなりません。そのために未償却残高を「固定資産破棄損」として処理します。

処分費用が発生した場合は、その費用も「固定資産破棄損」として計上できます。

6-2. 除却する場合

除却とは使用しなくなった資産を帳簿から除く会計上の処理を指します。実際に資産を破棄していない場合でも、今後一切使用しない場合はこの除却処理ができます。帳簿上に資産が残っていると税金が発生してしまうため、使用しなくなった車両や機械類などがある場合は、この処理をおこなうのが一般的です。

この除却処理をする場合は、未償却の資産残高を「固定資産除却損」として計上します。

6-3. 売却する場合

資産を売却する形で処分する場合は、売却した金額によって処理方法が変化します。

  • 売却した金額が未償却残高を上回る場合・・・固定資産売却益として計上する
  • 売却した金額が未償却残高より低い場合・・・固定資産売却損として計上する

売却によって利益を得られたか、得られなかったかで処理が変わるため、十分に注意しましょう。

なお、個人事業主の場合は譲渡所得として取り扱う必要があるため、この処理をすることはできません。

7. 減価償却をする際の注意点

注意マーク

減価償却を計上する際は、以下の3点に注意しましょう。複雑な部分もあるため、間違えないように正確に処理することを意識することが大切です。

7-1. 資産によって耐用年数は変化する

1つ目は、資産の種類によって耐用年数が異なるという点です。そのため資産ごとに耐用年数を管理する必要が出てきますので、決算を迎えるたびに残存期間のチェックが欠かせません。事前にデジタル庁が運営する「E-GOV 法令検索」などで該当する年数を確認しておきましょう。また、新品か中古かでも耐用年数が変わります。中古の場合は使用可能期間が短くなるため、それに応じて償却年数も短くなります。

7-2. 特例がある

2つ目は、少額の資産に対する特例がある点です。令和3年に出された特例ですが、30万円未満の減価償却対象資産の取得であれば、一度に経費計上することが可能になりました。ただし、取得価額の合計が300万円以内の資産にのみ適用され、300万円を超える分の資産については通常の計算方法で計上する必要があります。また、特例が適用される法人も中小企業などに限定されています。具体的には、青色申告法人や農協組合など、従業員数が1,000人未満の会社と定められています。

7-3. 事業年度の途中で購入した場合は要注意

事業年度の途中で減価償却資産を購入している場合、その年度の減価償却費は月割で計算しなくてはなりません。購入した月からではなく、資産を事業のために使い始めた月から計算する点に注意が必要です。

例えば3月に減価償却資産を購入し、5月から使い始めた場合は5月~12月分の減価償却費を計上することになります。

8. 減価償却を正確に計上して節税や財務状況の把握に役立てよう

解説

本記事では減価償却費の概要や計算方法までを解説しました。減価償却費は資産の購入費用を将来にわたって分割して計上するための勘定科目の一つです。会計独特の考え方であるため会社の会計作業の手間は増えますが、節税や正確な財務状況を確認できるなどのメリットがあります。また、中小企業には優遇条件による特例もあるため、利用しない手はないでしょう。基礎的な知識を踏まえれば難しい処理ではありません。一つひとつ確実に計上しながら会計業務を進めていくと良いでしょう。

関連記事:減価償却を行う5つのメリットをわかりやすく解説
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