従業員立替金が発生する例について具体的なシチュエーションを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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従業員立替金が発生する例について具体的なシチュエーションを解説

従業員 立替

業務上では、本来なら取引先や従業員が支払うべきお金を、会社が一時的に立て替えることがあります。
このうち、従業員の立替分は「従業員立替金」として処理をおこなう必要があります。

今回は、従業員立替金が発生するケースや、従業員立替金の仕訳方法、従業員立替金を処理する際の注意点について解説します。

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1. 従業員立替金とは?

立替金

従業員立替金とは、従業員が支払うべきお金を、会社が一時的に立て替えた時に発生する支払いのことです。

勘定科目としては「立替金勘定」に該当しますが、立替金は本来、会社の内外を問わず発生するものなので、相手が取引先や顧客のケースもあります。

従業員相手の立替金と取引先相手の立替金をまとめて「立替金」として処理すると、詳細がわかりにくくなってしまうため、従業員相手の立替金は「従業員立替金」として処理し、その他の立替金と区別するのが一般的です。

なお、立替金の回収は一般的に短期間のうちにおこなわれるため、貸借対照表では流動資産に区分されます。

関連記事:立替金の基本的な部分や仮払金・貸付金・預り金との違いをわかりやすく解説

2. 従業員立替金が発生するケース

女性の従業員

従業員が会社の経費を立て替えるのはさほどめずらしいことではありませんが、その逆のケースは、あまりイメージできないという方も多いでしょう。

ここでは従業員立替金が発生する主なケースを3つご紹介します。

2-1. 社会保険料の立替払い

常時従業員を雇用する法人、または常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所は、健康保険や構成年期保険などの社会保険に加入することが義務づけられています。

社会保険料は基本的に当月分を翌月末に支払う仕組みになっているため、給与から前月分の社会保険料を天引きすれば、通常は立替払いは発生しません。

しかし、従業員が病気・ケガなどで休職している間は、当該従業員の賃金は支給されません。

休職中であっても、会社に在籍している間は社会保険料が発生するため、やむを得ず会社が立て替えることもケースもあります。

参考:日本年金機構|厚生年金保険が適用されるのは、どのような事業所ですか。

2-2. 社内旅行費や親睦会費などの立替払い

社内旅行や親睦会などの費用を会社が一括で支払い、後日従業員から参加費を徴収する場合は、参加費分を従業員立替金として処理します。

この場合、旅行会社などへの支払いは一括でおこなわれますが、貸借対照表では会社が負担した分と、従業員立替金は分けて計上する必要があります。

2-3. 給与の前貸し

従業員からの申請で給与の前貸しをおこなった場合も従業員立替金として処理することになります。

将来的に従業員のものとなる給与ですので、会社の立て替えという表現に違和感を覚えるかもしれませんが、翌月以降の給与は現時点では発生していませんので、会社の資産で立て替えるという形になります。

3. 従業員立替金と貸付金、預かり金の違い

比較

従業員立替金と似た言葉に、貸付金と預かり金などがあります。

ここではそれぞれの概要と、従業員立替金との違いについて解説します。

3-1. 従業員立替金と貸付金の違い

貸付金とは、従業員や取引先に貸し付けたお金のことです。
相手の代わりにお金を支払うという点は共通していますが、貸付金の場合は返済期間を設け、決められた期日までに返済してもらう必要があります。

一方、立替金はあくまで一時的に支払いを代替したものですので、支払ったお金は速やかに回収しなければなりません。

従業員立替金の場合、通常は翌月以降の給与から天引きする形で回収しますが、休職などの理由で天引きできない場合は、貸付金として再度処理する必要があります。

3-2. 従業員立替金と預かり金の違い

預かり金とは、従業員自身の支払いのために、当該従業員から事前に預かるお金のことです。

例えば、従業員が会社を通じて何らかの商品を購入した場合、会社は従業員から預かり金を受け取り、商品の販売元に対して代わりに支払いをおこないます。

会社が支払い手続きをおこなうという点は従業員立替金と共通していますが、お金の出どころが会社の資産である立替金に対し、預かり金は従業員自身のお金であるところが大きな違いです。

立替金は何らかの形で会社が回収する必要がありますが、預かり金の場合は回収の必要はなく、むしろ余剰金が出た場合は従業員に返還する義務があります。

4. 従業員立替金の仕訳方法

前払い 仕訳

従業員の立替払いをした場合、会社の資産は一時的に減りますが、立て替えたお金は後から回収しますので、帳簿上では資産として計上することになります。

例えば従業員に給与の前貸しとして現金10万円を渡した場合、貸借対照表では以下のように処理します。

借方科目 貸方科目
従業員立替金 100,000円 現金 100,000円

一方、翌月以降に従業員から立替分の10万円を現金で回収した場合、貸借対照表では以下のように処理します。

借方科目 貸方科目
現金 100,000円 従業員立替金 100,000円

なお、現金ではなく会社の口座などから立て替えた場合や、従業員が立替金を会社の口座に振り込んだ場合などは、上記の「現金」の勘定科目に「普通口座」などと記載します。

4-1. 従業員立替金を給与から天引きした場合の仕訳方法

従業員立替金を現金または普通口座から引き出したお金でやり取りした場合の仕訳方法はシンプルですが、従業員立替金を翌月以降の給与から天引きする場合は、回収時の仕訳方法がやや複雑になります。

例えば給与の前貸し分10万円を、翌月分の給与30万円から天引きする場合、回収時の仕訳方法は以下のようになります。

借方科目 貸方科目
給与 300,000円 従業員立替金 100,000円
現金 200,000円

まず、規定の給与である30万円を借方科目として記載します。

次に、前貸ししていた立替金を差し引くため、貸方科目に従業員立替金の金額を記載します。

最後に、給与から従業員立替金を差し引いた金額を計上しますが、会社の資産が減りますので、貸方科目に仕訳します。

以上が従業員立替金を給与から天引きする場合の仕訳方法ですが、立替金と現金の減少が先に発生したと考え、その後に給与を計上した方がわかりやすい場合は、仕訳の順番が逆になってもOKです。

関連記事:立替金の勘定科目について対象になる費用や仕訳方法を解説

5. 従業員立替金が発生した場合の注意点

注意

従業員立替金が発生した場合に注意すべきポイントを3つご紹介します。

5-1. 回収方法をあらかじめ決めておく

従業員立替金は、あくまで一時的な立替払いなので、速やかに回収されることを前提としています。

そのため、貸付金のように明確な返済期日を設けないのが一般的です。

実際、従業員立替金は給与からの天引きが可能なので、回収不能になるリスクはほとんどないのですが、病気・ケガなどで休職している従業員の社会保険料などを立替払いしている場合、給与からの天引きができず、回収が困難になる陥るおそれがあります。

そのまま退職されてしまった場合、さらに回収が難しくなることも考えられますので、従業員立替金が発生する場合は、あらかじめ労使間で回収方法を決めておきましょう。

5-2. 従業員立替金の天引きには本人の同意が必要

従業員立替金は給与天引きによって回収可能と説明しましたが、それはあくまで従業員本人の同意があった場合のみです。

労働基準法第24条では、賃金を全額払いすることを義務づけているため、本人の同意を得ないまま給与から立替金を差し引くと、労働基準法に抵触するおそれがあります。

従業員立替金を給与から天引きする場合は、必ず事前に従業員の同意を得るようにしましょう。

口頭でのやり取りは後のトラブル原因となる可能性がありますので、書面で契約を交わしておくのが無難です。

参考:e-Gov法令検索|労働基準法

5-3. 立替が長期にわたる場合は貸付にすることも考慮する

立替金には決まった返済日がなく、かつ利息もつかないので、場合によっては回収が長引いてしまうおそれがあります。

従業員立替金は帳簿上では資産扱いとなりますが、全額回収するまでは手元のお金が減少してしまうので、回収の長期化はできるだけ避けたいところです。

従業員立替金の回収が長引きそうな場合は、立替金を貸付金として処理し直し、従業員から利息を徴収することも検討しましょう。

6. 従業員立替金が発生する場合は仕訳方法や回収方法を確認しておこう

重要

休職中の従業員の社会保険料を立替払いしたり、給与を前貸ししたりした場合は、従業員立替金として処理する必要があります。

従業員立替金は後に回収するものですので、資産として計上しますが、回収不能になってしまった場合は負債に転じる可能性があります。

従業員立替金が発生するときは、労使間できちんと回収方法を決めておき、給与から天引きする場合は事前に従業員の同意を得ることを忘れないようにしましょう。

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jinjer Blog 編集部

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