離職証明書の書き方は?注意点や必要な書類を解説
更新日: 2025.7.18 公開日: 2022.3.26 jinjer Blog 編集部

従業員が退職し、離職票が必要なときに作成しなければならないのが「雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)」です。
離職証明書は3枚綴りの複写式のため、書き方が分かれば「事業主控」「安定所提出用」「離職票-2」を同時に作成できます。
離職証明書には、被保険者番号や事業所番号、離職年月日、被保険者期間算定対象期間など、さまざまな記載事項があります。
この記事では、離職証明書書き方や、提出時の注意点や添付書類を解説します。
従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
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1. 項目別の離職証明書の書き方を紹介
離職証明書のうち、記入が必要な項目は①欄から⑯欄までの16箇所です。
記入欄は全部で17箇所ありますが、⑰欄はハローワークにて離職票が交付された後、従業員自身が記入する項目です。
ここでは離職証明書の書き方について解説します。
1-1. 氏名と住所を記載する
退職した従業員の氏名と住所を記載します。一般的に離職証明書に記載するのは退職時の住所です。しかし、従業員によっては退職後の住所を希望するケースもあります。退職後の住所の記載を希望された場合は、従業員から住所がどこなのかを聞き取りましょう。
1-2. 被保険者番号などを記載する
雇用保険の被保険者番号や自社の事業所番号を記載します。被保険者番号、事業所番号はそれぞれ割り振られている番号を記載しましょう。
また、離職年月日の記載も必要です。離職年月日は退職日が該当します。
1-3. 算定対象期間と賃金支払基礎日数を導き出す
失業給付を受給するには賃金支払日数が11日以上の月が、算定対象期間において通算12ヵ月以上という条件を満たす必要があります。算定対象期間、賃金支払基礎日数とは次のとおりです。
- 算定対象期間:離職日から遡った2年間が対象
- 賃金支払基礎日数:出勤日や有休取得日など賃金を支払う日数
上記を算出するために、担当者は退職者がどのような勤怠であってかを確認が必要です。
なお、賃金支払基礎日数が11日に満たないケースが複数ある場合は、続紙として離職票の用紙を追加する必要があります。賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月分になるまで遡りましょう。
1-4. 賃金支払対象期間と基礎日数を導き出す
賃金支払対象期間が意味するのは賃金の締日です。当月の締日翌日から次月の締日までを1ヵ月とカウントして、賃金支払の基礎日数を算出しましょう。
失業給付は退職する前の6ヵ月で支払われた賃金を平均するため、賃金支払対象期間は半年分必要です。
1-5. 賃金を記入する
離職証明書の賃金記入欄はA欄、B欄と2つあります。A欄、B欄は次のとおり使い分けましょう。
- A欄:月給制の場合に記入
- B欄:日給や時給制の場合に記入
離職票に記入する賃金は労働の対価である賃金です。賞与や祝い金などは対象外です。
1-6. 退職理由を記入する
従業員がなぜ退職したのか退職理由を記入しましょう。一般的な退職理由は次のとおりです。
- 自己都合退職
- 契約期間満了
- 定年退職
退職の経緯を確認して、退職理由を記入しましょう。
2. 離職証明書を作成する際の2つの注意点


離職証明書を作成する際に注意が必要なのが、離職証明書の提出期限です。
離職証明書の提出期限は雇用保険法施行規則によって定められているため、必ず遵守しましょう。
また、時短勤務の従業員が退職した場合は、勤務時間を短縮する前の賃金額ではなく、実際の賃金支払額を記載する必要があります。
離職証明書を作成する際の注意点を2つ紹介します。
2-1. 離職証明書の提出期限は「当該事実のあった翌日から起算して10日以内」
離職証明書の提出期限と関係があるのが、雇用保険の被保険者でなくなったときの手続きについて定めた雇用保険法施行規則7条です。
雇用保険法施行規則7条では、雇用保険被保険者資格喪失届(資格喪失届)や、雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)を「当該事実のあった翌日から起算して10日以内」に所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出しなければならないと定めています。
本人が離職票の交付を望まない場合をのぞいて、離職証明書は退職時に必ず提出しなければならない書類です。
従業員が離職の申し出をおこなった場合に備えて、いつでも離職証明書を作成できるようにしておきましょう。
届け出を出し忘れてしまうと、退職する従業員が失業給付金を受け取れなかったりと、労使トラブルにつながることがあるため注意が必要です。
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2-2. 時短勤務の場合は実際に支払った賃金を記載する
育児短時間勤務制度の利用者など、時短勤務の従業員が退職した場合、離職証明書の賃金日額算定に注意が必要です。離職証明書の賃金日額算定の項目は、ハローワークでの失業給付金の基本手当の算定に使われます。
勤務実態に合った失業給付をおこなうため、時短勤務の場合は勤務時間短縮前の賃金ではなく、「実際に支払った賃金」を記載することが大切です。
3. 離職証明書の提出時に必要な書類


離職証明書の申請方法は、ハローワークの窓口で手続きをおこなうか、総務省の「e-Gov」を利用した電子申請の2種類があります。電子申請の
離職証明書の提出時には専用用紙のほか、離職までの賃金の支払い状況を確認できる書類と、離職理由を確認できる書類の2点を添付しなければなりません。
離職証明書の提出時に必要な添付書類について説明します。
3-1. 離職までの賃金の支払い状況を確認できる書類
離職までの賃金の支払い状況を確認できる書類として、次のような書類を添付する必要があります。
電子申請を利用する場合、PDFファイル化して送付しましょう。
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 出席簿(タイムカード)
3-2. 離職理由を確認できる書類
離職証明書の⑦の「離職理由」に基づき、離職理由を確認できる書類を添付する必要があります。
労働者の判断によるもの
- 退職届
- 賃金低下に関する通知書等
- 出勤簿(タイムカード)
労働者の判断によらないもの
- 破産手続開始の申立て書類
- 解散決議の株主総会議事録の写し
- 定年、労働契約期間満了等によるもの
- 就業規則
- 労働契約書
- 雇入通知書
- 契約更新の通知書
事業主からの働きかけによるもの(解雇など)
- 就業規則
- 解雇予告通知書
- 退職証明書
3-3. 電⼦申請なら手間とコストを削減可能
離職証明書は電子申請が可能です。電子申請であれば24時間いつでも手続きができます。電子申請は紙のやり取りや印刷作業が不要なため、本人署名や押印もいりません。書類データをやり取りするだけで発行できるため、手続きに必要な時間とコストの削減が期待できます。しかし、電子申請からデータが届くまで多少日数がかかるため、余裕をもったスケジュールを組むようにしましょう。
4. 離職証明書の正しい書き方を学び、所定の期限までに提出しよう


離職証明書には、ハローワークへの申請後に退職者が記入する⑰欄をのぞき、①〜⑯まで16箇所の記入が必要です。
また、⑮の「署名捺印」や⑯の「離職者本人の判断」のように、退職者本人の記名押印や署名が必要な項目もあります。
離職証明書の提出期限は、法律によって「当該事実のあった翌日から起算して10日以内」と定められています。
退職した従業員から離職票の交付を求められた場合は、余裕を持って離職証明書を記入し、ハローワークに提出しましょう。
また、出勤簿(タイムカード)や賃金台帳など、離職証明書の添付書類も早めに準備しておきましょう。



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