マイナンバーの廃棄方法は?従業員が退職したときの管理のポイントを解説
更新日: 2026.6.1 公開日: 2022.1.25 jinjer Blog 編集部

従業員のマイナンバー管理は、収集から廃棄・削除まで厳格なルールに基づいた運用が求められます。とくに廃棄に関しては、法令上の保存義務がなくなった後、速やかに、かつ復元不可能な方法で処理しなければなりません。
もし管理が不十分で情報漏えいが発生した場合、企業の信用低下や損害賠償といった深刻なリスクを招くおそれがあります。本記事では、マイナンバーの適切な廃棄方法に加え、退職者の書類保存期間や実務を効率化するシステムの活用ポイントを解説します。
非常に複雑で手間のかかる、従業員のマイナンバー管理。
誤ってマイナンバー情報を流出させてしまった場合、個人情報保護委員会から勧告を受ける可能性もあります。多忙な中でそのような事態になることを防ぐためには、万全なセキュリティ体制やルールについてしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
当サイトでは、マイナンバーの収集から保管、廃棄まで段階ごとの対応と、安全な管理方法について細かく解説した資料を無料で配布しています。人事や総務の担当でマイナンバー管理にお困りの方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
目次
1. マイナンバーの破棄方法について


マイナンバーは、社会保障・税・災害対策分野の事務および法令で認められたその他の行政分野の事務に限って利用できます。利用する必要がなくなり、かつ法令上の保存義務がない場合には、速やかに廃棄または削除する必要があります。また、廃棄・削除にあたっては、情報が復元できない方法でおこなうことが重要です。
参考:よくある質問:マイナンバー制度について(総論)|デジタル庁
1-1. 書類(紙)は焼却処分またはシュレッダーにかける
マイナンバーが記載された紙媒体は、第三者への情報漏えいを防止するため、復元が不可能な方法で廃棄する必要があります。具体的には、次のような方法が挙げられます。
- シュレッダーによる細断
- 焼却処分
- 溶解処理
シュレッダーを使う場合は、細長く切るだけの方式ではなく、紙を細かくバラバラに裁断できるタイプを選ぶのが望ましいです。細長い裁断だと、つなぎ合わせて内容を復元されるおそれがあるためです。
1-2. データ情報は復元できないようにする
電子データとして保存されているマイナンバー情報は、「ごみ箱」に移動するなどの単純な削除だけでは不十分で、復元されてしまう可能性があります。そのため、データ消去専用ソフトによる完全消去や、記録媒体の物理的破壊などを適切におこなう必要があります。
また、クラウド上に保存している場合は、サービスの仕様や契約内容を踏まえ、バックアップを含めた削除状況を確認し、データが残っていない状態を確保することが重要です。これらの対応には専門的な知識が必要となるので、不安がある場合はデータ消去の専門業者に依頼することも検討するとよいでしょう。
1-3. 保存が必要な書類はマスキングし判別できるようにする
法令により保存が義務付けられている書類については、必要な情報は保持しつつ、マイナンバーが記載されている部分のみをシュレッダーにかけたり、専用のスタンプなどで黒塗りしたりするなどのマスキング処理をして、復元できない状態にしたうえで保存しましょう。
また、「マイナンバー削除済み」などの注記を付しておき、後から確認できるよう適切に管理することが重要です。なお、マイナンバーは利用目的が達成された時点で、速やかに廃棄または削除することが原則である点にも留意しましょう。
2. 従業員が退職した際のマイナンバーの保管期間とは?


従業員が退職した後であっても、企業にはマイナンバーを含む税務・社会保険関係の書類を一定期間適切に保管する義務があります。そのため、誤って廃棄してしまうと法令違反となるおそれがあります。
また、適切な管理がおこなわれていない場合には、情報漏えいにつながるリスクもあるので十分な注意が必要です。ここでは、退職時におけるマイナンバーの保管期間について解説します。
2-1. マイナンバー書類の保存期間は法令・書類ごとに異なる
マイナンバーが記載された書類の保存期間は一律ではなく、書類の種類ごとに異なります。主な区分は次のとおりです。また、保存期間の起算日についても、法令や各省庁の公表資料を確認しておくことが重要です。
- 7年:扶養控除等(異動)申告書
- 4年:雇用保険関係書類(※被保険者以外の書類は2年)
- 3年:労災保険関係書類
- 2年:社会保険(健康保険・厚生年金)関係書類
例えば、扶養控除等(異動)申告書の保存期間は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間とされています。実務上は管理の便宜から、最長の保存期間である7年に合わせて書類を保管するケースも見られます。
ただし、マイナンバーについては、利用目的を達成した時点で速やかに廃棄することが原則です。事務負担とのバランスも踏まえつつ、個人情報保護と法令遵守の観点から、適切な保存・管理を徹底することが重要です。
参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁
参考:労働者災害補償保険法施行規則第51条|e-Gov法令検索
2-2. 退職後もマイナンバーを管理しておく必要性とリスク
従業員が退職した後であっても、法令で定められた書類については、税務署や年金事務所への対応など後日の手続きに備え、マイナンバーを含めて一定期間保管しておく必要があります。
例えば、扶養控除等申告書などは、税務調査などおいて所轄税務署長から提示・提出を求められる場合があり、企業はこれに適切に対応する必要があります。そのため、退職者からマイナンバー関連書類の即時廃棄を求められた場合でも、法令で定められた保存期間が満了するまでは削除できない旨を説明することが適切です。
一方で、マイナンバーは極めて機微性の高い個人情報であり、管理が不十分な場合には、情報漏えいによるなりすましなどの不正利用のリスクが高まります。その結果、企業の信用低下や損害賠償責任に発展するおそれもあります。
そのため、保管場所の明確化やアクセス権限の制限といった安全管理措置を講じるとともに、保存期間満了後は速やかかつ確実に廃棄できる体制を整備することが重要です。
関連記事:源泉徴収票の保管期間は?会社側の管理方法と保管義務のある書類を解説
3. マイナンバーを廃棄する際の注意点


マイナンバーは、取得や利用する際にも細かい決まりがありますが、廃棄にも細かい決まり事が定められています。単に「不要になったらすぐに廃棄する」というだけでは、規程に違反してしまう可能性もあるので注意してください。
ここでは、マイナンバーを廃棄する際の注意点を解説していきます。
参考:はじめてのマイナンバーガイドライン (事業者編)|個人情報保護委員会
3-1. 廃棄対象には書類本体だけでなく写しや控えも含める
マイナンバーを廃棄する際は、原本の書類に限らず、コピーや控え、スキャンデータなど、関連するすべての情報を対象に含める必要があります。従業員本人だけでなく、配偶者や子など扶養家族のマイナンバーを管理している場合は、それらも漏れなく対象とします。
とくに、業務上複数の部署で保管されている場合や、バックアップデータが存在する場合には、漏れなく確認することが重要です。一部でも残っていると情報漏えいのリスクがあるため、網羅的に廃棄対象を洗い出しましょう。
3-2. 自社廃棄は廃棄年月日・担当者・方法を記録に残す
書類で管理しているマイナンバーを自社で廃棄する際は、廃棄した事実を適切に証明できるよう、「マイナンバー取扱記録簿」「マイナンバー管理台帳」といった廃棄記録簿を作成し、記録を残しておくことが望ましいです。廃棄記録簿には、例えば次のような事項を記載します。
- 書類の名称(例:扶養控除等申告書 など)
- 対象者(従業員名など)
- 廃棄日
- 廃棄を実施した担当者名
- 廃棄方法(シュレッダー処理、溶解処理など)
- 承認者(必要に応じて)
- 備考(特記事項があれば記載)
これらを記録することで、後日確認が必要となった場合にも、適切に廃棄がおこなわれたことを説明できる体制を整えられます。記録の形式については特別な定めはなく、紙の台帳やエクセルなど、自社で継続的に管理しやすい方法を採用して問題ありません。
また、電子データとして管理しているマイナンバーを削除する場合は、削除日時や操作内容、実行者が確認できるログも保存し、後から検証可能な状態にしておくとよいでしょう。
3-3. 外部委託する際は業務委託契約を締結する
マイナンバーの廃棄を外部に委託する場合は、委託先が適切な安全管理措置を講じているか、また具体的にどのような方法で廃棄をおこなっているかを事前に確認し、適切な業者を選定することが重要です。
これは、マイナンバーの取扱いを外部に委託した場合でも、委託元企業には委託先に対する監督責任が残るためです。委託先の管理が不十分でマイナンバーの漏えいが発生した場合には、委託先だけでなく、委託元企業も監督義務違反として責任を問われる可能性があります。
そのため、委託にあたっては、秘密保持義務やマイナンバーの適正な取扱い、安全管理措置の内容などを定めた業務委託契約を締結し、適切な管理体制を確保する必要があります。
3-4. 外部委託により廃棄した場合は証明書をもらう
外部委託先でマイナンバーが記載された書類やデータを廃棄する場合は、機密文書の廃棄業者から廃棄証明書(溶解証明書など)を取得するとよいでしょう。委託先が適切に処理をおこなったことを客観的に証明できるため、トラブルの防止につながります。
なお、証明書の発行方法は業者ごとに異なり、紙または電子データで提供されるのが一般的です。発行のタイミングも処理方法によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
4. マイナンバーの廃棄を効率化する方法


マイナンバーは管理だけでなく、破棄する際も多くの手間とコストがかかります。
そのため、破棄を前提とした仕組みをあらかじめ構築し、業務が効率化できるように整えましょう。
4-1. マイナンバー管理システムを導入する
マイナンバー管理システムとは、マイナンバーの収集から破棄まで、データ上で一元管理できるシステムです。
システムを導入することで、マイナンバーをデータベースで管理できるので、書類のように場所を取らないほか、情報漏えいや廃棄漏れのリスクを軽減できます。
また、操作の度にログが残るため、いつ誰がどのような操作をしたか、逐次記録する必要もなく、「安全管理措置」に準拠した運用がしやすくなります。
収集や管理が容易になるだけでなく、廃棄が必要なマイナンバーをリマインドする機能もあるので、人為的ミスによる廃棄漏れ防止にも役立ちます。
外部機能と連携できるサービスもあるため、マイナンバー管理の手間を削減し、効率的な事務運用をしたい場合は検討してもよいでしょう。
4-2. 書類別・年度別に保管する
マイナンバーを紙で管理する場合は、書類の種類ごとや年度ごと、さらに保存期間ごとに区分して整理しておくと効率的です。また、保管にあたっては鍵付きのキャビネットや金庫などを使用し、外部への漏えいを防ぐための適切な安全管理措置を講じる必要があります。
あわせて、書類ごとに定められた保存期間を把握し、期間満了後には速やかに廃棄できるよう、あらかじめ整理しておくことが重要です。廃棄の際は、情報が復元できない方法で確実に処理しましょう。
4-3. 必要のない書類にマイナンバーを記載しない
最後に、マイナンバーは必要のない書類やデータベースに書き込まないように注意しましょう。
例えば、メモのつもりで廃棄したマイナンバーを他の書類などに記録してしまうと、それ自体も適切な方法で廃棄しなくてはいけなくなります。
そのため、閲覧は原本やデータベースを基本とし、コピーやデータの出力は最低限度に留めることも、破棄を効率化するためには大切です。
5. マイナンバー管理システムを導入して廃棄を効率化しよう


マイナンバーは取得や利用だけでなく、廃棄方法も厳格に定められています。そのため、管理実務では廃棄まで見越して、効率よく処理できるシステムの構築が求められます。
マイナンバー管理システムを活用すれば、紙ベースのように場所を取ることなく、マイナンバーをデータ上で一元管理できるので、効率よく廃棄できるのはもちろん安全管理措置対策にも有効です。
また、必要に応じて廃棄時期をリマインドしてくれるため、人為的な処理漏れを防止することも可能なので、導入を検討してみることをおすすめします。
非常に複雑で手間のかかる、従業員のマイナンバー管理。
誤ってマイナンバー情報を流出させてしまった場合、個人情報保護委員会から勧告を受ける可能性もあります。多忙な中でそのような事態になることを防ぐためには、万全なセキュリティ体制やルールについてしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
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