在宅勤務に交通費は必要?テレワーク導入時にクリアにしておきたい線引や注意点
在宅勤務の交通費は会社によって変わります。
交通費の支給については労働基準法などの法令で定められておらず会社の就業規則によってどの程度支給されるのかはさまざまです。
在宅勤務になり出社日数が減ると交通費が少なくなるためコスト削減ができます。
しかし、会社の都合で勝手に交通費を削減することはできませんしいくつかの注意点もあるので在宅勤務を導入する前に確認しておくのがおすすめです。
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在宅勤務の定義や導入を成功させる4つのポイントを解説
目次
1. 在宅勤務に交通費は必要?
在宅勤務を制度として取り入れる際に押さえておくべきポイントとして交通費の正しい取り扱いについてです。まずは在宅勤務を導入する際、交通費は必要なのか説明します。
1-1. 交通費・通勤手当の支給に法的規則はない
交通費・通勤手当において、法的な規則は定められておらず各会社の就業規則によって変わります。
そのため、在宅勤務になったことで交通費が減額となるのか、通勤手当そのものがなくなるのか、これまで通り交通費が支払われるのかは会社によってさまざまです。派遣社員であっても、在宅勤務による通勤手当は規則によって異なります。
一般的に在宅勤務が増えると交通費が実費支給になります。実費支給とは定期券ではなく、実際にかかった運賃を支給することです。出社する日数が減ると定期券では会社が通勤手当を多く支払っていることになるため、出社日数に応じて通勤手当を支払う会社が増えてきています。また、通勤手当を支給しない代わりに在宅勤務手当を支給する会社もあります。
関連記事:在宅勤務における通勤手当の扱いや支給額の目安・計算方法
1-2. 在宅勤務手当とは
在宅勤務手当は社員が自宅でも会社で仕事するときと同様の環境で仕事ができるようにするための費用です。
出社していた時はパソコンやスマートフォンの通信費を気にすることはないかもしれませんが、自宅で業務する場合は従業員に請求されるようになります。
インターネット回線を引いておらず、モバイルWi-Fiなどを利用している場合はセキュリティ対策として固定回線を利用するように決められていることもあるので注意しましょう。
また、在宅勤務になると自宅にいる時間が長くなり、光熱費や水道費も高くなります。
とくに夏場や冬場にエアコンを利用する場合は、光熱費がかなり高くなるため特別に手当が支給されることがあります。
関連記事:在宅勤務手当とは?支給額の相場や支払い方法を詳しく紹介
関連記事:在宅勤務時のセキュリティ対策で押さえるべきポイント
2. 在宅勤務時の交通費を減額する場合
交通費を減額する際は、就業規則をよく確認しましょう。交通費は法令上で定められておらず、各会社の就業規則に基づいて決められます。
在宅勤務をこれまで導入していなかった会社は、育児休業や療養休暇などを想定し30日以上出社がない場合は交通費を支給しないと決められていても、週の出社日数が少なくなる場合の交通費について決められていない場合があります。
就業規則は会社が独自で決められますが、社員の合意を得ずに変更してしまうと違法となります。
3. 在宅勤務時の交通費を減額する際のポイント
在宅勤務を導入し、会社に出社する日数が減る場合は交通費の減額をすることになるでしょう。
しかし、会社が勝手に交通費を減額すると法令違反になる可能性があるので制度をよく確認する必要があります。また、減額しない方が会社と社員の両方にとって得になることもあります。
交通費を減額するにあたって確認するべきポイントを4つ解説します。
3-1. 在宅勤務率や今後のプランを確認する
交通費の減額を検討する際は、在宅勤務者がどのくらいいるのか把握するといいでしょう。
また、今後在宅勤務を増やす予定なのか、減らす予定なのかこのあたりも決めておくのをおすすめします。交通費の減額はコストの削減が目的です。そのため、まずは現状のコストと今後の計画を把握して、定期券代支給から実費計算にすることでどれくらいのコストを削減できるのか検討します。
この作業をしておかないと実費計算に変更しても想定よりコスト削減ができないということになったり、逆にコストが増えてしまうこともあります。交通費を実費計算に変更する場合は、まずどれくらいコストがかかっているのか計算するのがおすすめです。
3-2. 就業規則を確認する
交通費を減額する際は、就業規則を変更する必要があるのか確認しましょう。
もし、就業規則の変更が必要となる場合は、労働組合などに説明が必要になるケースがあり、説明を怠ると法令違反になる可能性があります。事業主や役員だけで就業規則を変更するのではなく、労働組合や社労士などと打ち合わせをし、細かい部分までしっかりと確認しておくといいでしょう。
また、就業規則を変更する際は「合理性があるか」がポイントです。在宅勤務を導入するタイミングで就業規則の見直しが必要になるので、交通費の減額を検討する際にはそのタイミングでおこないましょう。
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関連記事:在宅勤務の就業規則の在り方や見直しのポイントを解説
3-3. 定期代の割引率をよく考える
完全に在宅勤務に切り替える場合は実費計算で問題ないですが、週に数回だけ会社に出社する場合は定期代の割引率次第では定期代の方がお得の場合があります。
1ヵ月定期の場合は目安として20日以上出社した場合に切符を購入するよりも安くなりますが、6ヵ月定期では割引率が大きくなるため出社日数が少なくてもお得になるかもしれません。定期券の割引率は鉄道会社によって変わります。
社員の出社日数と通勤経路から定期か切符どちらの方が安くなるのかそれぞれ計算し、実費計算に切り替えるか決めるといいでしょう。
2-4. 定期券の払い戻しができるか確認する
鉄道会社によって定期券の払い戻しができる有効期間や払い戻し額の計算方法が変わります。払い戻しができないと定期券を購入したばかりの社員の負担が大きくなってしまうことがあります。
このような場合は、特例として会社の方で差額分を負担するなどの対応をするといいです。
払い戻しの条件や手数料は鉄道会社によって変わるので、社員が利用している鉄道会社の対応を確認しましょう。
4. 交通費を減額する際の注意点
交通費を定期券から実費計算に変更し、交通費を減額する場合の注意点は3つあります。
- 社会保険との関係性
- 社員の不満を溜めないようにする
- 対象者の出社日数を決めておく
それぞれの注意点を詳しく解説します。
4-1. 社会保険との関係性
定期券と実費精算のいずれの場合も交通費は社会保険料等の対象になります。
ただし、労働契約上の勤務地が「企業」となっている場合です。在宅勤務になり勤務地が「自宅」になり、会議や打ち合わせのため出社することになった場合の移動費用は社会保険料の対象外になります。このため、在宅勤務への移行に伴い、交通費の支給方法が変わる際には、社会保険料への影響を十分に考慮する必要があります。
具体的には、実費支給に切り替えることによって、従業員の手取り収入が減少する場合があるため、社員への周知が必要です。また、交通費の支給方法を見直す際には、既存の就業規則や賃金規定との整合性も重要です。従業員が納得できるような透明性のある説明を行うことで、職場全体の信頼関係を維持することができます。
4-2. 経費削減による社員の不満をためないようにする
交通費が実費計算になると社員が受け取れる額が少なくなってしまいます。交通費は給与ではないですが、給与と一緒に交通費も振り込まれるため、給与が減ってしまったと感じる社員は多いでしょう。
社員の中には在宅勤務をしたくないのにも関わらず、在宅勤務を強いられて会社に不満を持つこともあります。
企業としては、こうした経費削減による不満が蓄積しないように配慮することが重要です。たとえば、在宅勤務手当を支給することで、社員の経済的負担を軽減し、心理的なストレスを和らげることにつながります。
また、透明性の高いコミュニケーションを通じて、支給基準や運用の理由を社員に理解してもらうことも効果的です。そうすることで、社員の納得感を得やすくなり、信頼関係の構築にも貢献します。さらに、定期的なフィードバックを通じて、社員の意見や要望に耳を傾けることで、制度の改善や見直しを行うことも大切です。これにより、社員が抱く不満を事前に察知し、企業全体の生産性を向上させることができます。
4-3. 対象者の出社日数を決めておく
対象者の出社日数を完全に決めて定期券代を支給するか、実費支給にするか決める必要があります。
定期券は前払いで1ヵ月~6ヵ月分を購入しますが、実費支給の場合は出社日数によって交通費が決まるため後払いになるため、交通費の二重受け取りを防ぐ目的です。
定期券を購入したのにも関わらず、出社日数が少ないため実費支給になった場合、社員の交通費は適正なものではなくなってしまい深刻なトラブルに発展してしまうケースがあります。
5. テレワーク導入時は出社時の交通費について明確にしておこう
在宅勤務でも出社する場合は交通費を支払うケースが多いです。
しかし、会社が規定した就業規則に「在宅勤務の場合、出社することがあっても交通費を支給しない」というようなことが書かれている場合は交通費が支払われません。
就業規則を変更するときは役員などの上層部だけではなく労働組合や社員に説明する必要があります。
在宅勤務を導入する前に、こっそり就業規則を変更して交通費を支払わないようにすると法令違反になる可能性があるので注意しましょう。
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