時間外労働の正しい計算方法(勤務形態別)を分かりやすく解説!間違えないコツとは?
更新日: 2026.4.24 公開日: 2021.11.12 jinjer Blog 編集部

従業員に法定労働時間以上の労働をさせた場合、割増賃金を上乗せして給料を支払わなくてはいけません。支払うべき賃金が未払い状態になった場合は、使用者に罰則が課されることや、未払い給料の支払いを求められる可能性があるため、注意が必要です。そうした事態を防ぐには、割増賃金の計算方法をしっかりと把握しておく必要があります。
この記事では、時間外労働における給料の計算方法を解説します。計算に必要な項目や間違いを防ぐコツを押さえて、正しく給料を支払いましょう。
目次
残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。
当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
資料では効率的な残業管理の方法も解説しているため、法に則った残業管理をしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 残業時間とはどこからか


まずは「残業時間(時間外労働)」とみなされる範囲を知っておく必要があります。さらに、割増賃金が発生する「法定外残業」と割増賃金が必要ない「法定内残業」の分け方も知っておきましょう。
1-1. 所定労働時間を超えて労働した時間
残業時間とは、企業が定めた所定労働時間を超えて従業員が業務をおこなった時間を指します。例えば、所定労働時間を9時~18時(休憩1時間)と定めている企業で、19時まで仕事をした場合は1時間分が残業時間です。
残業が発生した場合は、その時間分の賃金を支払う必要があります。これは「法定内残業」「法定外残業」どちらの場合も変わりません。
気をつけなければならないのは、法定外残業になった場合は「割増賃金」が発生するという点です。計算方法については「2. 時間外労働の正しい計算方法」で詳しく解説します。
1-2. 法定内残業と法定外残業
残業は「法定内残業」と「法定外残業」に分けて考える必要があります。
※文章だと少しわかりにくいため、以下のような図を入れていただけると伝わりやすいかと思います。
https://www.obc.co.jp/hubfs/360/img/article/pic_post247_detail06.png
法定内残業
法定内残業は、労働時間が法定労働時間の「1日8時間、1週間40時間以内」に収まる残業を指します。例えば、所定労働時間を9時~17時(休憩1時間)と定めている企業で、18時まで仕事をしたとしましょう。1時間の残業が発生していますが、法定労働時間の1日8時間を超えていないため、この残業は「法定内残業」になります。
法定外残業
法定外残業は、法定労働時間を超えて労働した部分を指します。例えば、所定労働時間を9時~17時(休憩1時間)と定めている企業で、20時まで労働したとしましょう。17時~18時までの残業は法定内残業ですが、18時~20時の労働は1日8時間を超えて労働したことになるため、2時間分が法定外残業に該当します。
なお、1日8時間を超えた労働をさせる場合は36協定が必要です。36協定を締結せずに法定労働時間を超えた労働をさせた場合は、労働基準法違反になります。ただし、36協定があっても残業時間には上限規制がされています。
詳しくは以下の記事で解説しているため、併せてお読みください。
【関連記事】36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!
2. 時間外労働の正しい計算方法


法定労働時間以上の労働をさせる際は、残業した分の給料に加え、割増賃金を支払う必要があります。
まずは、時間外労働における割増賃金の正しい計算方法について解説します。時間外労働をさせたときは、これから説明する4つのステップを踏んで給料を算出しましょう。
2-1. 1時間あたりの給料を算出する
法定労働時間を超えた時間外労働が発生した場合は、働いた時間分の賃金に加えて、割増賃金が発生します。割増賃金を計算するには、1時間あたりの賃金を明らかにしておかなければいけません。1時間あたりの賃金は、以下の方法で算出できます。
1時間あたりの賃金=月給(基本給 + 諸手当)÷1ヵ月あたりの平均所定労働時間
平均所定労働時間=(365日-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月
例えば1ヵ月の所定労働時間が160時間で月収が35万円の場合、1時間あたりの給料は「35万円÷160時間=2,187.5円」ということになります。
なお、月給には家族手当や住宅手当(住宅の費用等に関わらず一律支給されるものを除く)、交通費、残業代などは含みません。また、うるう年の場合は、365日ではなく366日で計算をおこないます。
2-2. 残業を種類ごとに集計する
次に、残業の種類ごとに労働時間を集計していきます。残業の種類によって割増率が異なるため、間違いのないように以下の3種類に分けていきましょう。
- 法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働した時間
- 深夜労働をした時間
- 法定休日に労働した時間
それぞれの時間をしっかりと把握し、それぞれの種類ごとにまとめておきましょう。
2-3. 1時間あたりの給料と割増率をかけ合わせる
1日あたりの給料と残業の種類ごとの労働時間を洗い出せたら、それぞれに応じた割増率をかけ合わせて時間外労働の給料を算出します。時間外労働の種類ごとの割増率は、以下のとおりです。
|
時間外労働の種類 |
割増率 |
|
法定労働時間を超えて労働した部分 |
25%以上 |
|
時間外労働が1ヵ月60時間を超えている部分 |
50%以上 |
|
法定休日に労働をした部分 |
35%以上 |
|
深夜(22時〜翌5時)に労働した部分 |
25%以上 |
例えば、1日に10時間勤務した場合は、法定労働時間である8時間を超えた2時間分に対して25%の割増賃金が発生します。
割増賃金の計算方法は、以下の通りです。
割増賃金=1時間あたりの給料×時間外労働時間×割増率
1時間あたり2187.5円で働いている従業員が1日に10時間勤務した場合、時間外労働分の給料は「2,187.5円×2時間×1.25=5,468.75円」ということになります。
また、割増率は重複します。例えば、法定労働時間を超えて深夜まで残業をした場合は、法定外残業に対する25%の割増率と深夜労働に対する25%の割増率の両方がかかり、50%の割増賃金が必要です。
なお、中小企業の場合、1ヵ月60時間を超えた際の割増賃金率は2023年3月31日まで25%以上でした。しかし、2023年4月1日から中小企業であっても50%以上の割増賃金率が適用されたため、注意しましょう。
2-4. 端数を処理する
最後に、計算した割増賃金の端数を処理します。1時間あたりの給料や割増賃金に1円未満の端数が生じた際、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を切り上げることが認められています。
前項で計算した5468.75円の場合は、端数が50銭以上1円未満に該当します。端数処理として切り上げると、正確な割増賃金は5,469円ということになります。
ここまで処理できれば、時間外労働の割増賃金の計算は完了です。
参考:厚生労働省 東京労働局|しっかりマスター労働基準法割増賃金編
3. 時間外労働に該当するケースとしないケース


時間外労働に対する賃金を正しく計算するには、時間外労働に該当する条件を正確に把握しておくことも重要です。所定労働時間を超えて業務や準備をした場合でも、時間外労働に該当しないこともあります。
3-1. 時間外労働に該当するケース
時間外労働に該当するのは以下のようなケースです。
- 従業員が自主的におこなう残業
- 指示があって持ち帰っておこなった業務
- 業務に必要な準備
- 会社で指示をしている着替え
- 義務として定めている朝礼や掃除など
従業員が自主的にした残業や、上司や会社の指示で持ち帰っておこなった業務などは、時間外労働に該当します。サービス残業は違法であり、所定労働時間を超えた業務に対しては、時間外労働として別途賃金が発生すると考えておきましょう。
また、業務のほかにも業務をするうえで必要な準備や、会社の指示でおこなう着替えや朝礼なども労働時間と考えるため、所定労働時間を超えた場合は時間外労働に該当します。
3-2. 時間外労働に該当しないケース
業務をしている場合や、業務に必要と思われる行為でも、会社からの指示がない場合は時間外労働に該当しないことがあります。
- 通勤・移動中に自主的にする業務(指揮命令下にない状態に限る)
- 参加を強制されていない勉強会や研修
- 業務に必要のない準備
- 個人の都合による着替え
- 1分以内に終わるような簡易的な着替え
通勤中や移動中におこなう業務は、会社からの指示がない場合は時間外労働として認めないことが一般的です。
また、同じ着替えでも「汗をかいたから」「汚したくないから」という個人的な理由での着替えや、制服通勤を許可している場合の私服から制服への着替えなどは、個人の都合による着替えとみなされます。会社からの指示ではない準備にかかる時間は、労働時間として認める必要はありません。
4. 【勤務形態別】フレックスタイム制の時間外労働の計算方法


時間外労働はフレックスタイム制であっても発生します。ではフレックスタイム制の場合、どのように時間外労働を計算するのでしょうか。ここではフレックスタイム制における時間外労働の計算方法について解説します。
4-1. フレックスタイム制における計算のポイント
フレックスタイム制においては、従業員は労働時間を自己都合で調整できるため、月単位での総労働時間を管理します。この場合、法定労働時間を超える労働がおこなわれた際には、実際に働いた時間をもとにして残業代を計算します。
具体的には、フレックスタイム制での残業代は「残業時間×時給×割増率」で算出します。
なお、フレックスタイム制には、コアタイムとフレキシブルタイムの概念があります。 コアタイムとは、全従業員が出勤する必要がある時間帯で、フレキシブルタイムは従業員が自由に出勤・退勤できる時間帯を指します。 この制度を正しく運用することで、労働者のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が実現できますが、それに伴い時間管理が重要となります。
4-2. フレックスタイム制における計算式の例
フレックスタイム制の時間外労働の場合、次のように計算します。
- 1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増率
月給制の場合、1時間あたりの基礎賃金は次のように算出可能です。
- 月給÷所定労働時間
例えば1時間あたりの基礎賃金が1,700円で8時間の時間外労働をした場合、残業代は次のとおりです。
- 1,700(円)×8(時間)×1.25(割増賃金率)=17,000円
5. 【勤務形態別】変形労働時間制の時間外労働の計算方法


続いて変形労働制の時間外労働を正しく計算する方法を解説します。
5-1. 変形労働時間制における計算のポイント
変形労働時間制では、従業員が特定の期間内に柔軟に働くことができるため、正確な勤怠管理が重要です。 労働基準法を遵守しつつ、各従業員の働き方にマッチしたモデルを構築することが求められます。
また、この制度を適用する際は、事前に社員に対し十分な説明をおこない、理解を深める必要があります。 そうすることで、従業員の納得感を得ることができ、時間外労働の計算に対するトラブルを未然に防ぐことができます。
変形労働時間制を適切に運用し、時間外労働の計算方法を従業員とともに確認することは、企業にとって大きなメリットとなります。
5-2. 変形労働時間制における計算式の例
変形労働時間制における時間外労働の計算方法は、1ヵ月単位の変形労働か1年単位の変形労働かによって異なります。それぞれの計算方法は次のとおりです。
|
変形労働時間制の種類 |
計算方法 |
|
1ヵ月単位の変形労働時間 |
|
|
1年単位の変形労働時間 |
|
関連記事:変形労働制でも残業代は出さないとダメ!知っておくべきルールとは
6. 【勤務形態別】みなし残業(裁量労働制)の時間外労働の計算方法


続いて、みなし残業(裁量労働制)の時間外労働の計算方法を解説します。
6-1. みなし残業(裁量労働制)における計算のポイント
裁量労働制とは、労働時間を労働者自身が自由に決定できる制度であり、一定の時間働いたものとみなして計算します。そのため、残業代の計算方法が一般の勤務形態とは異なります。
具体的には、労働者が実際に働いた時間に基づかず、定められたみなし労働時間を超えた時間についてのみ、時間外労働の残業代が発生します。
残業代の計算は、1時間あたりの基礎賃金に割増率をかけて求めます。一般的な割増率は25%ですが、法定休日や深夜労働の場合はさらに高い割増率が適用されるため、注意が必要です。
みなし残業を適用している場合でも、実際の働き方や個々の労働契約に応じて、正確な計算が求められます。
6-2. みなし残業制における計算式の例
みなし残業制は、裁量労働制の一環として、労働時間を実際の働き方にかかわらず、事前に設定された時間で計算する制度です。この制度では、例えばみなし労働時間が8時間に設定されている場合、その時間内での労働には残業代は発生しません。しかし、実際の労働時間が8時間を超えると、割増率25%に基づく残業代が発生します。
具体的な計算方法として、みなし労働時間が9時間で、実際の労働時間が10時間の場合、法定時間外労働は1時間となり、残業代は「1時間 × 1,500円 × 1.25」で1,875円となります。
7. 時間外労働の給料計算に必要な項目


時間外労働の給料計算をするときは、3つの項目を用いる必要があります。正しい計算方法を身につけるためにも、計算に必要な項目をおさらいしておきましょう。
7-1. 1時間あたりの賃金
時間外労働を計算するときは、1時間あたりの賃金が基準となります。1時間あたりの賃金の算出方法を紹介しましたが、月給や勤務日数は月によって異なるため注意が必要です。
正確に1時間あたりの給料を求めるためには、労働契約書に記載された所定労働時間と給料を用いて計算するといいでしょう。この際、住宅手当や家族手当など業務と関係のない手当や賞与は差し引いて計算してください。
より詳しい計算方法を確認したい場合は、以下の記事もぜひご活用ください。
【関連記事】割増賃金の基礎となる賃金とは?計算方法など労働基準法の規定から基本を解説
7-2. 時間外労働をした時間
時間外労働の割増賃金の計算では、時間外労働をした時間が重要となります。時間外労働に含まれるのは、1日8時間・週40時間を超えて使用者の指揮監督下にある時間のことです。そのため、たとえ就業時間後におこなった労働であっても、指揮監督下にない休憩時間などは時間外労働には含まれません。
通勤時間は時間外労働には含まれませんが、使用者の指示で物品を持ち運んだり取引先へ移動したりしているときは、時間外労働に含まれます。企業は正しく時間外労働を管理し、適切な給料を計算できるようにしておかなければいけません。
上記のように気づかず時間外労働をさせたり、定時を超えて働かせていたとしても、残業時間の上限規制を上回らないように、割増賃金を支払う必要のない法定内残業と割増賃金が必要な法定外残業について確認する必要があります。
当サイトでは、法定内残業と法定外残業の違いなどの定義から上限規制の内容までまとめた資料を無料で配布しております。判断に迷う場合はこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
7-3. 割増率
割増率も、時間外労働の給料を計算するときに欠かせない項目です。法定労働時間を超えて労働させる際は、法で定められた割増賃金を加算して給料を支払う必要があります。
残業の種類や1ヵ月あたりの時間外労働の合計時間によって割増率は異なるため、それぞれの種類ごとの時間外労働時間と割増率を押さえておきましょう。
8. 時間外労働の計算を間違えないコツ


時間外労働の給料計算を間違えると、労働者に未払い給料を請求されたり使用者に罰則が課されたりするおそれがあります。時間外労働の計算には間違いがあってはなりません。
時間外労働の計算を間違えないためのコツを押さえて、正しく計算しましょう。給与計算の効率化にもつながるため、ぜひお読みください。
8-1.給与計算システムを導入する
時間外労働の計算を間違えないためには、何よりも正しく労働時間を管理することが重要です。使用者は、「誰が何時間働いたのか」「どの種類の時間外労働に該当するのか」などをしっかりと管理しておかなければなりません。
ただし、給与計算の担当者が一人ひとりの労働時間を正確に管理することは難しいため、勤怠管理システムを活用して管理を自動化するといいでしょう。また、勤怠管理と給与計算システムを連携させれば、複雑な時間外労働の計算を自動かつ正確におこなえるようになります。
ITシステムの導入は計算間違いを防げるだけではなく、さまざまなメリットも得られるため、ぜひ検討してみてください。給与計算システムの導入によって得られるメリットには、以下のようなものが挙げられます。
コスト削減につながる
給与計算システムを導入することで、人件費や紙代といった直接的なコストを削減できます。手作業での給与計算は、従業員の労働時間や各種手当、控除額などを手作業で入力・集計する必要があり、多くの時間と労力がかかります。特に従業員数が多い企業ほど、この作業負担は大きくなるでしょう。
システムを導入すれば、勤怠データが自動で取り込まれ、複雑な計算も一瞬で完了するため、担当者の作業時間を大幅に短縮できます。これにより、担当者がより付加価値の高い業務に時間を割けるようになり、人件費の最適化につながります。また、給与明細を紙で配布している企業であれば、電子化することで印刷や封入、郵送にかかるコストも削減可能です。
コンプライアンス強化を実現
給与計算は、労働基準法や所得税法など、様々な法令を遵守して正確におこなう必要があります。これらの法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を把握しておかなければなりません。給与計算システムは、こうした法改正に自動で対応するため、担当者が法律の変更内容を一つひとつ確認する手間が省けます。これにより、計算ミスや法令違反のリスクを大幅に減らし、企業としてのコンプライアンスを強化できるでしょう。
8-2. 労働形態ごとの時間外労働時間の取り扱いに注意する
一般的な労働形態であればそう複雑ではありませんが、フレックスタイム制やみなし残業制の場合は、時間外労働の考え方が少し複雑になります。時間外労働の給料について考えるときは、労働形態ごとの注意点を押さえておきましょう。
|
労働形態 |
概要 |
1日、1週、月間や年間における時間外労働の取り扱い |
|
固定残業 |
残業の有無にかかわらず、一定の固定残業代を支払う制度 |
想定された残業時間を超えた場合、割増賃金が発生する |
|
フレックスタイム制 |
出勤が義務付けられた「コアタイム」以外は、出退勤時間に定めがない労働形態 |
総労働時間が規定を超えた、もしくは、週平均50時間を超えた場合に割増賃金が発生する |
|
変形時間労働制 |
月や年単位で労働時間を調整できる働き方 |
あらかじめ定めた所定労働時間などを超えた場合や月間や年間の法定労働時間を超えた場合、割増賃金が発生する |
|
裁量労働制 |
一部の対象者のみ適用できる、出退勤時間の制限がない自由な労働形態 |
みなし時間を法定労働時間内とした場合、平日の時間外労働に対する割増賃金は発生しない。ただし、深夜労働や休日労働については別途割増賃金が発生する |
|
年俸制 |
1年単位で給与を算出し、それを12分割して支払う給与形態 |
法定労働時間を超えた場合に、割増賃金が発生する |
|
管理職 |
法律上「管理監督者」に該当し、残業代の支給が不要 |
深夜に働く場合、法的な管理監督者ではない場合に、割増賃金が発生する |
上記のように、勤務形態によってどこからが時間外労働に該当するのかは変わってきます。従業員の勤務形態をしっかりと把握し、それに応じた給料計算をおこなうようにしましょう。
8-3. 30分単位で四捨五入する
厚生労働省が定めるとおり原則、給与に端数が生じたとしても切り捨てることは認められていません。しかし、時間外労働による割増賃金について計算する際は四捨五入が認められています。例えば、1ヵ月の時間外労働の時間が30分未満であれば切り捨て、30分以上であれば切り上げが可能です。
また、割増賃金率を乗じたことで1円未満の端数が発生した際は50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上の端数を1円に切り上げることが認められています。
9. 時間外労働の賃金を正しく払えていないとどうなる?


時間外労働の賃金を正しく支払えていない場合は、労働基準法違反に該当します。どのようなリスクを抱えることになるのか、しっかりと知っておきましょう。
9-1. 労働基準法違反に該当する
従業員が時間外労働をしているにも関わらず、残業代や割増賃金が未払いになっている場合、会社は労働基準法違反をしている状態になります。
労働基準法第32条や36条~37条違反に該当し、拘禁刑や罰金が発生するおそれがあります。即座に罰則が発生するとは限りませんが、外部にこうしたトラブルが漏れた場合は会社のイメージダウンは免れません。
さらに、未払い分の残業代も請求されるため、未払いの残業代が多ければ大きな負担となり経営を圧迫するでしょう。
9-2. 残業代請求の時効は5年(当面の間は3年)に延びている
残業代を請求できる権利の時効が、法律改正によって延長されていることも、企業として正しく理解しておくべき重要なポイントです。
以前は、残業代を含む賃金請求権の時効は2年と定められていました。しかし、2020年4月1日に施行された改正労働基準法により、賃金請求権の時効が5年(当面の間は3年)に延長されています。2026年現時点では3年で時効ですが、いずれ5年に延長される予定です。
この改正は、2020年4月1日以降に発生した残業代に適用されます。つまり、それ以前に発生した残業代の時効は2年のままですが、それ以降の残業代は3年間にわたって請求される可能性があるということです。
今後も法改正による影響は考えられるため、給与計算システムで適切に管理しましょう。
10. 時間外労働の給料計算は正しくおこなおう


従業員に時間外労働をさせる際は、適正な賃金を支払わなければなりません。法定外労働や深夜労働などに該当する時間外労働に対しては、割増賃金も発生します。
正しく賃金を支払っていない場合は、罰則の対象となるだけでなく、従業員から未払い賃金を請求されるリスクが高まります。このような事態を避けるため、使用者は給与計算を適切におこなう必要があります。
給料計算のミスを防ぎたいのであれば、勤怠管理システムや給与計算システムを活用し、給料計算を自動化することを推奨します。これにより、法令遵守を確実にしながら、正確で迅速な給与支払いが可能になります。



残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。
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