年末調整における年収と所得の違いは?計算方法や含まれるものを解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整における年収と所得の違いは?計算方法や含まれるものを解説

計算している様子

年末調整の時期になるとよく耳にするのが、「年収」や「所得」などの言葉です。年末調整の計算では非常に重要な要素ですが、この両者の違いがイマイチ分からない方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、年末調整における年収と所得の違い、さらに控除や計算方法についても解説します。年末調整に関する用語に自信がない方や、年末調整の計算をミスなくおこないたい方は、ぜひ最後までご覧ください。


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1. 年末調整における年収とは?

給料袋を受け取る

年収とは、1月1日から12月31日までの1年間に得た収入を指します。年末調整において年収の意味を正しく理解していないと、間違って所得税を計算することになり、納税額にミスが生じる可能性があります。

ここからは、年収と所得、収入の意味の違いをそれぞれ解説します。また、年収の確認方法や、年末調整で年収を記載すべき箇所についても紹介します。

1-1. 年収と所得との違い

年収とは、1年間の収入のことです。一方、所得とは、収入から必要経費を差し引いたものを指し、一般的に「もうけ」とよばれることもあります。例えば、事業の場合、1年間に得た事業収入(年収)から必要経費を差し引くことで「事業所得」が求められます。

所得はその性質から10種類(給与所得や不動産所得など)に分類され、それぞれ収入から所得を求めるまでの計算方法が異なる点が特徴です。この所得をもとに、各種控除を差し引いた課税所得が算出され、そこに所得税が課されます。

参考:No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁

1-2. 年収と収入との違い

年収とは、1年間(通常は1月1日~12月31日)に得た収入の合計額を指します。ここでいう収入とは、必要経費や税金・社会保険料などが差し引かれる前の金額です。税法上は「年収」という表現よりも、「収入金額」という用語が一般的に用いられます。

例えば、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者の場合、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)や税金(所得税や住民税)などが天引きされる前の「支給総額」が収入金額にあたります。事業所得や不動産所得などの場合も同様に、売上や賃料収入などの総額が収入金額に該当します。

参考:所得税法|e-Gov法令検索

1-3. 年収の確認方法

年収は、源泉徴収票で確認できます。年の途中で入社した従業員について、前の勤務先でその年にいくらの収入があったのかを把握するには、前職の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。源泉徴収票とは、その年に従業員が勤務先から支払われた給与等の金額や源泉徴収された所得税額などを記載した書類で、主な関連項目は次の4つです。

  • 支払金額
  • 給与所得控除後の金額
  • 所得控除の額の合計額
  • 源泉徴収税額

「支払金額」には、その年に支払った給与・賞与・各種手当など、課税対象となる金額の合計が記載されています。一定額までの交通費などの非課税となるものは含まれていない点に注意が必要です。また「給与所得控除後の金額」は、給与収入から給与所得控除を差し引いた給与所得額にあたり、給与所得者の「所得」に相当します。

関連記事:源泉徴収票の作成方法や記載内容をわかりやすく解説

1-4. 年末調整における年収の記載箇所

年末調整の書類には「年収(その年の収入金額)」と「所得」を記載する箇所があります。例えば、「扶養控除等申告書」には、控除対象となる配偶者や扶養親族などの「所得」の見積額を記載する必要があります。一方、「基礎控除申告書」や「配偶者控除等申告書」には、納税者本人と配偶者それぞれの「年収」と「所得」の両方の記載が必要です。

これらの年収や所得は、基礎控除や配偶者控除など各種所得控除の適用可否を判定するために用いられます。なお、判定に使う「所得」は、課税所得(所得控除適用後)ではなく合計所得金額等(所得控除適用前)が基準になる点にも注意が必要です。「所得」の欄に「収入金額」を記入してしまうと正しく判定できず、控除漏れや年末調整の誤りにつながる可能性があるので、書類をチェックする際は十分に気を付けましょう。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

2. 年末調整で年収から所得を計算する方法

給与計算をしている

年末調整で所得税の計算をおこなうには、年収から給与所得だけでなく課税所得についても求める必要があります。ここでは、給与所得と課税所得それぞれの計算方法について解説します。

2-1. 年収から給与所得控除を差し引く

まずは、年収から給与所得を求める計算方法をみていきましょう。給与所得控除額は収入の総額によって異なり、次の計算式で算出することができます。

給与所得額 = 年間収入額 - 給与所得控除額

なお、従業員が年末調整をするために配布された申告書に記入する年収は、書類提出段階では受け取っていない12月の給与も含まれるため、いったん見込みで記入してもらっておきます

参考:No.1410 給与所得控除|国税庁

関連記事:給与所得控除とは?間違いやすい他の控除との違いや計算方法をわかりやすく解説

2-2. 給与所得額から所得控除を差し引く

年末調整では、納税者の生活事情に応じて一定の金額を控除することができます。それが、所得控除です。従業員が提出した「控除申告書」をもとに、給与所得額から所得控除を引いて課税所得を計算します。計算式は次のとおりです。

課税所得額 = 給与所得額 - 所得控除額

年末調整で差し引かれる所得控除の種類は下記をご参考ください。

  • 基礎控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 障害者控除
  • ひとり親控除
  • 寡婦控除
  • 勤労学生控除
  • 特定親族特別控除(2025新設)

人事担当者様の中には、年末調整の計算方法や控除の種類があいまいだという方がいらっしゃるのではないでしょうか。当サイトでは、そのような方に向けて、年末調整で年収から差し引く控除の種類・金額、年末調整の計算の手順を解説した資料を無料でお配りしています。年末調整の計算に不安がある方は、こちらから「年末調整ガイドブック」をダウンロードして、参照しながら計算をしてみてください。

関連記事:所得控除とは?控除の種類や所得控除を受ける方法を解説

2-3. 特定支出控除が認められるケースもある

特定支出控除とは、給与所得者がその年(1月1日~12月31日)に支払った特定支出の合計額が、給与所得控除額の2分の1を超える場合に、その超える部分を給与所得控除後の金額から差し引くことができる制度です。特定支出に該当するのは、次のうち一定の要件を満たすものです。

  • 通勤費(会社から通勤手当が支給されている場合その部分は対象外)
  • 職務上の旅費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費等:65万円が上限)

この控除は年末調整では適用できず、確定申告が必要です。その際、特定支出の明細書や給与支払者の証明書などの添付が求められます。従業員から証明を依頼された場合は、支出内容を確認し、問題がなければ証明欄に記入をしましょう。

参考:No.1415 給与所得者の特定支出控除|国税庁

3. 年末調整の対象となる年収は?

電卓を持ちながら考える女性

年末調整は、すべての給与所得者が対象になるわけではありません。主たる給与の収入金額(年収)が2,000万円を超える従業員は、年末調整の対象外となります。また、年収以外の要件でも、次の場合は年末調整をおこないません。

  • 災害減免法に基づく所得税の徴収猶予や還付を受けている場合
  • 扶養控除等申告書が提出されていない場合
  • その年の12月31日時点で会社に在籍していない場合

ただし、退職時点で再就職の予定がなく、その後その年にほかの給与の支給が見込まれない場合などは、年の中途におこなう年末調整の対象者となることもあるので注意しましょう。

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

関連記事:年末調整の対象者とは?必要な書類や確定申告との関係も解説

3-1. 年収に含めるもの

年末調整において、従業員に支給したすべてのものを年収として含めてよいわけではありません。年収として計上するのは、所得税法上の「給与所得」に該当するものです。給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費、賞与およびこれらに類する給与を指し、具体的には次のような支給が含まれます。

  • 賞与(ボーナス)
  • 職務手当
  • 地域手当
  • 家族(扶養)手当
  • 住宅手当
  • 残業手当
  • 休日手当
  • 深夜手当

従業員に商品を無償(低額)で譲渡した場合や、土地や家屋を無償(低額)で貸し付けた場合は「現物給与」として課税対象になることもあるので注意しましょう。

3-2. 年収に含めないもの

「手当」という名称であっても、次のようなものは年収に含めません。

  • 通勤手当のうち、一定金額以下のもの
  • 転勤や出張などのための旅費のうち、通常必要と認められるもの
  • 宿直や日直の手当のうち、一定金額以下のもの
  • 制服などの現物給与でその職務の性質上欠くことができないもの

例えば、公共交通機関(電車やバスなど)を用いて通勤する場合の通勤手当は、1ヵ月15万円までは非課税です。1ヵ月15万円を超えた部分は年収に含める必要があるので注意しましょう。

参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

関連記事:年末調整で通勤手当は給与に含まれる?処理方法をわかりやすく解説

4. 年末調整の年収における注意点やポイント

ビックリマークが浮かんでいる

ここでは、年末調整の年収に関する注意点やポイントについて詳しく紹介します。

4-1. 年末調整の年収は見積額で計算する

年末調整は、その年の最後の給与支給にあわせておこなうのが一般的です。年末調整の準備段階では、まだ1月1日から12月31日までの収入が確定していない場合があります。そのため、従業員に提出してもらう各種申告書の「年収」欄には見積額(※確定しているのであれば確定額)を記入してもらいます。

4-2. 給与以外の収入がある場合は確定申告が必要になる可能性がある

副業やダブルワークなどで給与以外の収入がある場合、その年間所得が20万円を超えると、年末調整を受けていても確定申告が必要です。また、2ヵ所以上から給与を受け取っている場合も、主たる給与以外の給与所得が20万円を超えれば基本的に確定申告の対象になります。

さらに、同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている場合は、金額に関わらず申告が必要です。加えて、医療費控除や寄附金控除など、年末調整では適用できない控除を受けたい場合も確定申告が必要です。

参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁

4-3. 令和7年度(2025年度)税制改正に気を付ける

令和7年度(2025年度)税制改正により、基礎控除や給与所得控除の金額が引き上げられました。加えて、新たに特定親族特別控除が創設され、扶養親族等の所得要件も緩和されています。

この改正により、これまでの「年収から給与所得控除を差し引く」「所得控除の適用可否を判定する」といった業務の手順や判定結果が変わる可能性があります。例えば、従来は扶養控除の対象外だった親族が、新制度の条件に該当し控除を受けられるケースも出てきます。

令和7年分(2025年分)の年末調整から改正内容が適用されるので、最新の制度を正しく理解し、必要な申告書類や確認手順を早めに準備しましょう。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

5. 年末調整の年収に関するよくある質問

木のブロック

ここでは、年末調整の年収に関するよくある質問への回答を紹介します。

5-1. 年末調整で受ける還付金は年収に含まれる?

年末調整で受け取る還付金は、年収には含まれません。この還付金は、あくまでも払い過ぎていた税金の返金であり、新しい収入ではないためです。つまり、従業員の年収は変わらず、手取りが増えることになります。

5-2. 年末調整の年収の記載に間違いがあったら?

従業員が記入すべき年末調整の書類において、納税者本人や配偶者・扶養親族などの年収・所得に記載間違いがあった場合は、早めに申告してもらうことが大切です。控除の適用や金額が変わる場合、年末調整で計算する所得税額にも影響します。もし年末調整の計算完了後や期限後に申告があった場合は、その内容を確認したうえで、会社での再計算が可能かを判断し、対応期限を過ぎている場合は確定申告で修正してもらうよう案内しましょう。

関連記事:年末調整の再調整は可能!方法やポイントをわかりやすく解説

6. 年末調整における年収や所得の違いを理解しよう

大量の本

年末調整において、「年収」と「所得」は異なる概念です。年収はその年の給与総支給額(額面)を指し、所得は年収から給与所得控除など所定の控除額を差し引いた金額を指します。これらを混同して計算すると、配偶者控除や扶養控除などの各種所得控除の判定が誤り、納税額にも影響を及ぼす恐れがあります。

また、給与収入に含めるべきもの(基本給、賞与、課税対象となる現物給与など)や、含めないもの(所得税法で非課税とされる通勤手当や出張旅費など)の判断が難しいケースもあります。必ず法令を確認し、正確に処理しましょう。

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