労働衛生の3管理とは?取り組むメリットや具体策を解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.18
jinjer Blog 編集部
3管理とは、従業員の健康と安全を守るために実施する労働衛生管理のことです。3管理に適切に取り組んで、労働災害の予防だけでなく、従業員の定着や職場の生産性向上につなげましょう。
本記事では、労働衛生管理の3管理とは何かについて詳しく解説します。3管理に取り組むメリットや具体的な取り組みについても解説するので、労働衛生対策の参考にしてください。
目次
人事労務管理のペーパーレス化には、以下のメリットがあります。
- 入社手続きがオンラインで完結し、差し戻しなどやりとりにかかる時間を削減できる
- システム上で年末調整の書類提出ができ、提出漏れや確認にかかる工数を削減できる
- 人事情報がひとつにまとまり、複数のシステムやエクセルファイルで管理する必要がなくなる
このように、システムによってペーパーレス化を進めると、人事労務管理にかかる工数を削減し、注力したい業務に時間を割くことが可能です。 システムを利用したペーパーレス化について気になる方は、こちらからクラウド型人事管理システム「ジンジャー人事労務」の紹介資料をご覧ください。

1. 労働衛生の3管理とは
労働衛生の3管理とは、従業員の健康と安全を守るために、職場で実施される3つの衛生管理のことです。
具体的には、以下の3つの管理を指します。
- 作業環境管理
- 作業管理
- 健康管理
ここでは、それぞれの管理について詳しく説明します。
1-1. 作業環境管理
作業環境管理とは、職場の空気・音・照明・温湿度などの環境要因を点検・管理し、改善を図る取り組みのことです。
健康被害を引き起こす恐れのある環境要因として、以下のような項目が挙げられます。
- 照度
- 温度・湿度
- 人口密度
- 騒音
- 粉じん
上記の項目が適正な状態に保たれているかを確認するために、定期的な作業環境測定が必要です。
1-2. 作業管理
作業管理とは、作業そのものにおける健康リスクを防ぐために、作業手順や方法を整備する取り組みのことです。
作業する環境を管理する作業環境管理とは異なり、作業自体を管理します。
例えば、有害物質を扱う業務では、マニュアルや教育を通して安全な作業手順を徹底しましょう。
また、長時間労働を防ぐための作業スケジュールの調整や、身体的な負担を軽減するための改善も作業管理に該当します。
1-3. 健康管理
健康管理とは、従業員の心身の不調を早期に発見し、悪化を防ぐための取り組みです。
例えば、健康診断やストレスチェック、健康上の不安を相談できる体制づくりを通じて、従業員の心身の健康を管理します。
心身の異常の早期発見や進行の予防、医療機関との連携や復職支援の制度の整備も含まれます。
また、従業員が日頃から健康を意識できるよう、健康維持に関する正しい知識を発信・共有することも大切です。
3管理の内容は厚生労働省も解説しているので、参考にしてください。
2. 労働衛生の3管理に関係する法律
3管理は労働安全衛生法にもとづいて定められています。
労働安全衛生法は労働者の安全と健康を確保するための法律です。労働災害・事故の多さから1972年に制定され、時代にあわせて適宜見直されています。
3管理を怠ると労働基準監督署からの是正指導や勧告、場合によっては罰則の対象となる可能性があるので、法律を理解したうえで自社の労働衛生体制を整備しましょう。
3. 労働衛生の3管理に取り組む3つのメリット
労働衛生の3管理に取り組むメリットは以下のとおりです。
- 労働災害のリスクを減らせる
- 離職を予防できる
- 企業イメージが向上する
3-1. 労働災害のリスクを減らせる
労働衛生の3管理に取り組むと、労働災害のリスクを減らせるメリットがあります。
労働衛生の対策を怠ると、作業中の事故や過重労働によるメンタルヘルスの悪化など、さまざまな労働災害が発生するおそれがあります。
労災は従業員が大きな被害を被るだけでなく、企業側にも裁判・損害賠償などのリスクが生じ、社会的信用の低下につながりかねません。
労働衛生の3管理を日々の業務にしっかりと組み込み、職場全体で労災リスクを未然に防ぐ体制を整えていくことが重要です。
3-2. 離職を予防できる
労働衛生の3管理に取り組むと、従業員の離職の予防につながるメリットもあります。
3管理を通じて、作業方法や環境、健康状態の見直しをおこなうことで、ストレスや不満の要因が減り、従業員が安心して働き続けやすくなります。
優秀な人材が定着するよう、労働衛生の3管理を参考に職場環境を整えましょう。
3-3. 企業イメージが向上する
労働衛生の3管理に取り組む3つ目のメリットは、企業イメージの向上が期待できる点です。
3管理に徹底して取り組むと、「従業員を大切にしている姿勢」が伝わり、求職者や取引先などのステークホルダーからの印象が高まります。
信頼できる企業としてイメージが広がることで、採用や取引、消費者からの支持など、さまざまな面でプラスに働くでしょう。
4. 労働衛生の3管理の取り組み具体例
労働衛生の3管理の取り組み具体例には以下があります。
- オフィスの環境を整備する
- 作業現場の温度に気をつける
- マニュアルを充実させる
- 従業員の作業負担を軽減させる
- 作業中の姿勢を改善する
- 健康相談窓口を設ける
4-1. オフィスの環境を整備する
オフィスを働きやすい空間に整えることは、「作業環境管理」の取り組みの一つです。
例えば、以下の対策が考えられます。
- 分煙を徹底する
- 時間帯に合わせて照度を変える
- 卓上ライトを設置する
- 除湿機や加湿器を導入する導入
- クッション性の高い椅子に変更する
テレワークを導入している場合は、自宅などの社外でも快適に働けるよう、作業環境の整備をサポートする。例えば、在宅勤務の従業員にモニターやデスクチェアを貸し出すなどの対策も考えましょう。
4-2. 作業現場の温度に気をつける
労働衛生の3管理のうち「作業環境管理」にあたる取り組みとして、作業現場の温度管理にも取り組みましょう。
特に屋外や空調のない作業環境では、体調不良や熱中症のリスクが高まるため、こまめな水分補給や作業時間の調整などが重要です。
例えば真夏に外で作業する場合は、以下の対策が考えられます。
- 気温の高い昼間の時間を避けて作業できるように整備する
- 扇風機や送風機を設置する
- こまめな休憩と水分補給を促す
- 日よけやテントを設置する
季節や現場にあわせて適切な温度管理を心がけることで、従業員の体調不良リスクの予防につながります。
4-3. マニュアルを充実させる
マニュアルを充実させることも「作業管理」の一環として重要な取り組みです。
業務を効率的に進める方法や、ケガを防ぐための正しい姿勢などを記載したマニュアルを用意し、従業員の負担を最小限に抑えましょう。
マニュアルは作るだけではなく、現場で徹底して守られるようにすることも大切です。まずは管理職やリーダー層がマニュアルの内容を理解し、現場で正しい作業方法を指導できる体制を整えましょう。
4-4. 従業員の作業負担を軽減させる
従業員の負担を軽減する工夫も「作業管理」に取り組むうえで重要です。
例えば、以下の方法で一人ひとりの業務負担を減らしましょう。
- 業務の割り当てを見直す
- システムやツールを導入して業務を効率化する
- 人員を増やす
- 作業内容をテンプレート化する
とくに、長時間労働が常態化している職場では、作業時間の短縮に努めることが大切です。
4-5. 作業中の姿勢を改善する
作業中の姿勢の改善は労働衛生の3管理のうち「作業管理」の取り組み例です。
長時間、不自然な姿勢で作業を続けると、腰痛や肩こりなどの身体的な不調を引き起こす可能性があります。
従業員の身体への負担を減らすために、正しい姿勢を身に着けるための指導や、身体をサポートするオフィスチェアの導入などが効果的です。
4-6. 健康相談窓口を設ける
労働衛生の3管理の「健康管理」に該当する取り組みとして、健康相談窓口の設置もあります。
従業員が心身の異常をすぐに治療できるよう、産業医やカウンセラーに相談しやすい体制を作りましょう。オンラインや電話でも受け付けられるようにすると、気軽に相談しやすくなります。
また、健康相談窓口を設置する際はプライバシーを守ることも重要です。従業員の同意なく相談内容を上司などに伝えないように配慮してください。
5. 労働衛生の向上に使える助成金
労働衛生の改善にはコストがかかりますが、助成金を使えば負担の軽減が可能です。労働衛生の向上に使うことができる助成金には、例えば以下があります。
- 受動喫煙防止対策助成金
- 高度安全機械等導入支援補助金事業
5-1. 受動喫煙防止対策助成金
受動喫煙防止対策助成金は、中小企業の受動喫煙防止対策を推進するための助成金です。
例えば、喫煙室の設置や換気設備を導入するときにかかる費用の一部を補助してもらえます。社内で受動喫煙防止の取り組みを検討している場合は、ぜひ活用を視野に入れましょう。
助成金を受ける詳しい申請条件などは厚生労働省のホームページを参考にしてください。
参考:受動喫煙防止対策助成金 職場の受動喫煙防止対策に関する各種支援事業(財政的支援)|厚生労働省
5-2. 高度安全機械等導入支援補助金事業
高度安全機械等導入支援補助金事業は、高度な安全性能を有する特定の安全装置の購入に使うことができる補助金です。
例えば、積載形トラッククレーンやホイールローダーなどの安全装置の購入が対象となります。建設現場における事故リスクの軽減や、安全性の向上を図るために導入を検討しましょう。
補助対象となる装置や申請条件は、建設業労働災害防止協会のホームページを参考にしてください。
参考:高度安全機械等導入支援補助金事業のご案内 | 建設業労働災害防止協会
6. 3管理を理解して労働衛生対策をしよう
労働衛生の3管理は、「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の3つの観点から、従業員の健康と安全を守るためにおこなう取り組みです。
3管理に取り組むことで、労働災害の予防はもちろん離職の予防や企業イメージの向上なども期待できます。
例えばオフィスの環境を整えたり、健康相談窓口を設けたりして、従業員を心身の不調から守り、安心して働ける環境づくりを進めましょう。
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