回議書とは?様式・書き方や稟議書との違いをわかりやすく解説
更新日: 2024.9.26
公開日: 2024.5.1
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回議書とは、担当者の立案や申請について、関係者の見解を聞いたり同意や許可を得たりするために関係者間を順にまわす文書です。
うまく活用すれば関係者への情報伝達がスムーズになり、同意や許可も得やすくなります。しかし、上手に使わなければ形骸化してしまうことや、負担増につながることもあります。
本記事では回議書のメリットとデメリットや、基本的な様式などを詳しく解説します。
目次
「承認までの流れが遅い」「今誰が稟議を持っているのかがわからない」「承認のためだけに出社しなければいけない」 などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワークフローをシステム化することで、以下のようなメリットがあります。 ①リアルタイムでの承認・進捗状況が把握できる ②リモートワークなどどこにいても稟議対応ができる ③稟議の紛失リスクがない
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1. 回議書とは
まずは回議書がどのような文書なのか、取り扱い方法と一緒にみていきましょう。
1-1. 立案や申請の承諾や見解を得るために回す文書
回議書とは、担当者の立案・申請にかかわりを持つ社員や上司の見解や承諾を得るために、関係者間を順にまわす文書です。
回議は、担当者が原案を作成し、関係者間を順にまわして、承諾を求めたり意見を聞いたりすることを意味します。ただし回議書をまわす目的では、案件にかかわりを持つ社員や上司の見解を聞くことのみに的を絞るケースも少なくありません。
1-2. 修正をする場合もある
回議書をまわす過程において、上司などが内容を修正するケースがあります。一般的に修正を加える場合は、具体的な別案の提示が必要です。
修正の際には、ほかの関係者への配慮のために以下の工夫を施しましょう。
- 修正者ごとに文字色を変える
- 修正範囲が広い場合は別紙で添付する
回議書が修正されるたびに担当者へ差し戻され、再度回議となります。
2. 回議書と稟議書・回覧書の違い
回議書と稟議書・回覧書の主な違いは目的です。
種類 | 目的 |
回議書 | 担当者の立案・申請した内容にかかわりを持つ社員や上司に、見解や承諾を得るための書類 |
稟議書 | 担当者の権限では決められない案件について、裁量権を持つ上司から承認を得るための書類 |
回覧書 | 社内全体や関係者へ順次まわして閲覧してもらい、通知事項などを伝えるための書類 |
いずれの文書も関係者へ順にまわす点は共通しているものの、回議書の目的は意見や承諾を得ることです。関係者の意見を得ることのみを目的とする回議書もあります。
稟議書の目的は承認を得ることで、回覧書の目的は伝達である点が異なることを覚えておきましょう。
この違いを知り、使い分けることでよりスピーディーな情報伝達と業務の効率化が可能です。
3. 回議書のメリット
回議書のメリットは以下のとおりです。
- 全関係者の見解・同意・許可を同時に得られる
- 組織としての意思決定が円滑に進む
- 会議の時間を減らせる
- 上司と部下のコミュニケーションに役立つ
具体的にはどのような効果があるのか見ていきましょう。
3-1. 全関係者の見解・同意・許可を同時に得られる
回議書のメリットは、一つの文書を利用して、案件にかかわりを持つすべての社員や上司の見解を同時に得られることです。また可否は決裁者の判断によりますが、回議書にて全関係者の同意や許可を得られます。
回議書は、最初に受け取った関係者から順次、関係者へとまわしていくことが一般的です。そのため会議などと比較すると、関係者は時間に余裕を持って案件の検討ができます。
関係者がより慎重に検討して導きだした見解を同時に得られることも回議書の利点といえるでしょう。
3-2. 組織としての意思決定が円滑に進む
組織としての意思決定が円滑に進む点が回議書のメリットです。回議書は案件にかかわりを持つ上司への根回しにもつながります。また案件にかかわりを持つ社員へ、内容の周知を徹底できるでしょう。
ただし内容が承認されない場合や以下のような修正がある場合には、担当者へ差し戻されることが一般的です。
- 修正が起案の趣旨から大きく外れる場合
- 原案をとどめないほどの修正を加える場合
結果差し戻しされた場合でも、差し戻し理由の理解を深めることで、次回の起案に活かせるでしょう。
3-3. 会議の時間を減らせる
回議書の内容についての会議時間を減らせる点もメリットです。事前に回議書にて各関係者の見解・同意・許可を得ているため、会議の際に同内容について意見を交える必要がありません。
とくに以下のような議案や申請の場合には、回議書の利用が会議時間の減少につながる可能性が高いです。
- 全関係者によるリアルタイムの意見交換の必要性がない
- スピーディーな意思決定の必要性がない
回議書の利用により、会議自体が省略できるケースもあるでしょう。
3-4. 上司と部下のコミュニケーションに役立つ
回議書のメリットは、普段顔を合わせたり、意見を交えたりする機会が少ない部下と上司のコミュニケーションに役立つ点です。
回議書を通じて、上司は部下の現在の考えを知る機会になります。一方部下は、回議書の上司の見解にて、上司の考え方や仕事の取り組み方を学べるでしょう。
双方ともに、事前の回議書でのやりとりは、実際に顔を合わせた際のコミュニケーションに役立ちます。
4. 回議書のデメリット
回議書のデメリットは次のとおりです。
- 文書の作成に手間や時間がかかる
- 全関係者が目を通して検討するまでに時間がかかる
- 紙の場合はまわす過程での紛失や滞りの恐れがある
- 進捗状況の把握が難しい
関係する人数が多いほど全員にいきわたるまでに時間がかかり、紛失や停滞のリスクが高くなる点が気になるデメリットです。
しかし、このデメリットは回議書の内容をわかりやすくしたり、電子化してアプリで管理したりすれば軽減することができます。特に紛失や進捗状況の問題は電子化によって回避できます。
回議書や回覧文書を作成する機会が多い場合は、デメリットをできる限り減らしてスムーズな運用が求められます。
電子化がまだの場合はぜひ検討してみましょう。
5. 回議書の基本の様式
一般的な回議書の基本様式では、以下を主要項目とします。
- タイトル
- 起案日・申請日
- 起案者の所属部署・氏名
- 件名
- 起案や申請の概要
- 起案や申請の理由・目的
- 予想される効果や成果
- 受理日・受理印欄
- 意見欄
- 役職者名別の決裁・承認印欄
- 回覧先
できる限りA4用紙1枚程度におさまるように作成することが望ましいです。A4用意1枚に納まらない場合は、別紙資料として添付するようにしましょう。
社内で回議書のフォーマットを用意しておくと作成の負担を減らせます。必要事項の取捨選択、見やすさや目立ちやすさなども考慮して作成することが大切です。
6. 回議書の書き方・例文
回議書の書き方に決まりはありませんが、見やすくするためのポイントを例文と併せて知っておきましょう。
6-1. 回議書の書き方
回議書の書き方のポイントは次のとおりです。
- 端的な表現を使う
- 要点を簡潔にまとめる
- 不用な情報は省く
回議書を作成する際には、できる限り冗長表現を避けて、端的な表現を使って作成します。結論から述べたり、箇条書きを使ったりなど、要点を簡潔にまとめる工夫も必要です。
できる限り不要な情報の記載を避け、見やすくわかりやすい回議書を目指しましょう。
6-2. 回議書の例文
回議書の件名・概要・理由・目的の例文は次のとおりです。
例文1
件名 | 指紋認証システムの導入 |
概要 | 発注先:A社
金額:60万円 数量:5個 導入予定日:〇年4月1日 |
目的 | セキュリティ強化のため |
理由 | A社の指紋認証システムを導入すれば、現在よりも毎年6%の費用削減が期待でき、認証スピードの向上も見込めるため導入したいと考えています。 |
例文2
件名 | A社との新規取引開始について |
概要 | 取引先:A社
資本金:20億円 社員数:1,320人 |
目的 | 関西エリア販路拡大のため |
理由 | 現在、関東エリア中心に当社製品の販売活動を実施しており、関西エリアへの販路を拡大するためにA社との新規取引を開始したいと考えています。 |
件名や概要はシンプルにまとめ、目的や理由を明確にして端的にまとめましょう。案件によっては、予想できる効果や成果についての記述も効果的です。
7. 回議書の様式や書き方を案内して組織の意思決定をサポートしよう
回議書とは、担当者が立案・申請した内容にかかわりを持つ社員や上司に、見解や同意・許可を得るためにまわす文書です。稟議書や回覧書とは、主な目的が違います。
利用のメリットは、案件にかかわりを持つ社員や上司の見解を同時に聞けて、組織の意思決定が円滑に進むことです。一方利用のデメリットは、作成に手間や時間がかかる点や全関係者が目を通して検討するまでに時間がかかる点などでしょう。
回議書をまわす過程で修正を加える場合は、具体的な別案を提示します。ほかの関係者に配慮するためにも、それぞれの修正色を変えたり別紙を添付したりするなど、修正方法も工夫しましょう。
回議書を書く際には、端的な表現を使って要点を簡潔にまとめながら、不用な情報をできる限り省きます。作成や案内の際には、ぜひ本記事で紹介した項目や例文なども参考にしてください。
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