人的資本経営とは?基本概念と注目された背景、実践ステップを解説
更新日: 2025.10.17 公開日: 2024.2.29 jinjer Blog 編集部

「人的資本経営という言葉を聞くようになったものの、具体的にどう取り組めばいいのか」と、お悩みの人事担当者は少なくありません。労働人口が減少し続けるなかで、人材への投資は必要不可欠な経営戦略です。
本記事では、人的資本経営の基本をおさえたい方に向けて、人的資本経営の基本概念、注目された背景、国内外のトピックと実践の流れについて解説します。
目次
人的資本の情報開示が義務化されたことで人的資本経営への注目が高まっており、今後はより一層、人的資本への投資が必要になるでしょう。
こういった背景の一方で、「人的資本投資にはどんな効果があるのかわからない」「実際に人的資本経営を取り入れるために何をしたらいいの?」とお悩みの方も、多くいらっしゃるのが事実です。
そのような方に向けて、当サイトでは人的資本経営に関する実際調査の調査レポートを無料配布しています。
資料では、実際に人事担当者にインタビューした現状の人的資本経営のための取り組みから、現在抱えている課題までわかりやすくレポートしています。
自社運用の参考にしたいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
1. 人的資本経営とは

人的資本経営とは、「人材は資本」と考える経営のあり方です。従来の経営では人材を「資源=コスト」と捉えてきましたが、人的資本経営では反対に、人材を利益や価値を生む「資本」だと捉えます。その上で、教育などの投資を通じて人材の能力を最大限活かすことで、中長期的な企業価値の向上に取り組みます。
人的資本経営は、世界的に取り組まれているSDGsの観点でも後押しされている経営手段です。欧米では2010年代から人的資本に関する情報開示が義務化されています。日本では2020年に経済産業省が開催した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」の報告書「人材版伊藤レポート」をきっかけに注目が集まり、2023年に有価証券報告書での開示義務が課されました。
参考:令和4年5月経済産業省|人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~
1-1. 人的資本の意味と特徴
人的資本とは、人を企業にとっての資本と捉える考え方です。人材が持つ知識・スキル・経験・人柄などを、単なる労働力やコストではなく、成長のために投資すべき資産として位置付けます。HR(Human Resource)といった言葉に表現されるように、従来の「人材=消費される資源」という考え方とは正反対の捉え方です。
人的資本は他の資本とは異なり「可変性」があることが特徴です。具体的には、頭脳、心、足があることで、可変性、流動性が高くなります。それぞれの特徴は次の通りです。
- 頭脳:学習によって知識や技能を高められる
- 心:心身の状態が仕事のパフォーマンスや品質に大きく影響する
- 足:会社間を移動する可能性がある
この3つの要素にバランスよく投資ができれば、人材は知識や技能(頭脳)を高めて自社に定着(足)し、高いパフォーマンス(心)を発揮します。一方、たとえ頭脳に投資しスキルや専門性を高めても、環境の整備が伴わなければ心(メンタルや身体の不調、モチベーションの低下)や足(転職など)の変化によって、利益を得られなくなる可能性があるのです。
1-2. 人的資本経営と従来の経営方法の違い
従来の経営方法では人材が「資源」と考えることに対し、人的資本経営では人材が「資本」であると考える点で、両者は大きく異なります。例えば従来の経営手法では業績が低迷した際に、コスト(人件費など)である人材を削減しますが、人的資本経営では人材に対し育成などの投資を積極的におこない企業価値の向上につなげます。
また人材への積極投資は投資家やステークホルダーからも高く評価されるため、外部への情報発信を積極的におこなうのも人的資本経営の大きな特徴です。
双方の主な違いを表にまとめました。
| 人的資本経営 | 人的資源経営(従来型) | |
| 人材とは | 資本(投資対象)
リターンが得られるもの |
資源(コスト)
消費するもの |
| 人材マネジメントの目的 | 人材の価値を上げるため | 費用対効果を高めるため |
| 人事を担当する部署 | 経営層 | 人事部 |
| 雇用の特徴 | 企業と人材は選び選ばれる関係 | 企業が終身雇用により人材を囲い込む |
| 外部への情報発信 | 人材へ投資している状況を積極的に発信する | とくに積極的ではない |
2. 人的資本経営が必要とされる理由

近年、人的資本経営が必要とされている理由は次のとおりです。
- 労働人口減と多様化する働き方
- サステナビリティと無形資産への関心の高まり
- 技術進歩と差別化の難しさ
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
2-1. 労働人口減と多様化する働き方
少子高齢化により労働人口が減少し、シニアや外国人など多様な属性を持つ人材の活用も含めて、人材活用の在り方を変革する必要性が増してきました。また、働き方の多様化も進み、働く場所や時間を柔軟に選ぼうとする人も増加傾向となっています。そのため、これまでのように働き手を同じ時間・場所に集め、画一的な人材マネジメントをおこなう手法は、合わなくなってきています。
多様な働き手・多様な価値観の働き方に対応するためにも、一人ひとりに合わせた環境や体制を整えることが必要です。個々人が最大限能力を発揮できるよう働き手に投資する人的資本経営は、こうした企業の課題を解決する考え方のひとつだといえます。
2-2. サステナビリティと無形資産への関心の高まり
近年、世界中でサステナビリティやESG投資への関心が高まっています。SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」では、多様な人々がやりがいを持って働くことができ、企業が持続的に成長できる体制づくりが課題となっています。
ESG投資は、環境、社会、ガバナンスの3つの非財務情報を考慮した投資のことです。社会の中には従業員などの人的資本が含まれます。また、投資家やステークホルダーの間では、ESGを含む無形資産の重要性が高まっています。これは、技術などの知的財産やそれを生み出す人材、ブランドなどの無形資産の方が、設備などの有形資産よりも企業の将来性への影響が大きくなったためです。
サステナビリティやESG投資において人材への注目が集まる中、人材育成や人材の定着に取り組む人的資本経営は、重要な戦略のひとつになっています。
2-3. 技術進歩と差別化の難しさ
AIの台頭や企業のDX化が進んだことで、企業は競合他社と技術だけで差別化を図るのが難しくなっています。このような背景においては、革新的なアイディアやイノベーションを創造できる「人」が企業の強みになります。自社の人的資本を最大限に活かすための手段として、人的資本経営が注目されているのです。
3. 人的資本経営に関する国内・海外での動き

人的資本経営は、日本だけでなく世界的にも注目されています。欧米では、日本よりも早い時期から人的資本経営が広がりました。ここからは、人的資本経営に関する国内・海外での動きを紹介します。
3-1. 【国内】人材版伊藤レポート
日本では、2020年に経済産業省が公開した「人材版伊藤レポート」により、人的資本経営に注目が集まりました。当レポートでは、社会環境の変化から人的資本経営への変革が重要であることと、そのフレームワークが提唱されています。
人材の捉え方を反転させた「人材版伊藤レポート」の社会的な影響力は大きく、政府内でも人的資本に関する情報開示のあり方が検討されるようになりました。
その後2022年に公開された「人材版伊藤レポート2.0」は、人的資本経営の実践的な取り組みのポイントや事例を深堀りした内容です。翌年には人的資本経営コンソーシアムが設立され、人的資本経営の導入を推進しています。
3-2. 【国内】コーポレートガバナンス・コード
2021年に「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」からの提言を基にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、人的資本に関する情報開示が求められるようになりました。
改訂の背景には、コロナ禍による社会情勢の変化や、東京証券取引所の上場区分の再編があります。2021年の改訂では、持続的な成長に向けた経営戦略において、人的資本が経営資源としてのひとつとして位置付けられました。その上で新たに、①取締役会の機能強化、②人材の多様性の確保、③サステナビリティ課題への取り組み、④その他に関する開示が求められました。
特に東証プライム上場企業は、より厳格なコーポレートガバナンスが必要です。こうした背景から、プライム上場企業を中心に人的資本に関する情報開示が本格化していきました。
3-3. 【国内】2022年の人的資本可視化指針
内閣官房が策定した「人的資本可視化指針」は、人的資本の情報開示のフレームワークを包括的に整理した手引きです。「人材版伊藤レポート」並びに「人材版伊藤レポート2.0」と併用することで、実践と可視化の相乗効果をもたらします。
「人的資本可視化指針」で示された開示項目は、7分野19項目です。企業はこれらの項目を参考に、自社の経営戦略やビジネスモデルと統合できる開示項目を選定します。
3-4. 【国内】2023年の有価証券報告書開示義務化
コーポレートガバナンス・コードの改訂を受け、2023年に「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」が発令され、人的資本の情報開示が初めて義務化されました。
具体的には、「従業員の状況」において、新たに女性管理職比率、男性の育休取得率、男女間賃金差異の3項目が追加されました。さらに「サステナビリティに関する考え方及び取組」の見出しが新設され、人材育成方針と社内環境整備の方針に関する指標と目標、実績の明示が義務化されました。
人的資本の情報開示の義務化は、投資家などのステークホルダーは他社比較を可能にしました。その結果、企業はステークホルダーからの信頼や評価を得るためにも、人的資本経営を推進する必要に迫られています。
3-5. 【海外】2018年のISO30414
人的資本経営は世界各国で注目されており、2018年12月には人的資本の情報開示ガイドラインである「ISO30414」が登場しました。
ISO30414では以下の11の領域に対して49項目が設定され、世界共通の開示基準として活用されています。
- コンプライアンスと倫理
- コスト
- ダイバーシティ
- リーダーシップ
- 組織文化
- 健康、安全
- 生産性
- 採用・異動・離職
- スキルと能力
- 後継者計画
- 労働力
3-6. 【海外】欧州非財務情報開示指令と米SEC開示義務化
欧米では非財務情報として人的資本が重視されており、情報開示の義務化が進んでいます。
ヨーロッパでは2014年にNFRD(非財務情報開示司令/2018年施行)が発令され、ESGの観点から、従業員の待遇や取締役の多様性といった人的資本の開示義務が課されました。その後2023年にはCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive/企業のサステナビリティ情報開示を義務付けるEU指令)が発効され、より詳細な報告要件の設定や、外部機関による保証義務、外部への影響だけでなく業績への影響の検討などの開示が定められました。対象企業もNFRDの1.1万社から5万社へと拡大予定です。
一方アメリカでは、2020年、米国証券取引委員会(SEC)により上場企業の人的資本に関する情報開示が義務化されました。現在は労働者数以外は「重要性を軸に」各企業が任意に開示内容を決めます。
SECでは他の指標例として、人の採用、育成、リテンションなどを挙げています。また、2021年から2023年頃まで、さらに詳細な人的資本経営の情報開示を定めた法案が審議されており、今後は開示義務が強化される可能性があります。
こうした背景から、世界的に認められる企業を目指すなら人的資本経営を積極的に取り入れ、人的資本に関する開示をおこなう必要があるでしょう。
4. 人的資本経営の主な3つのメリット

人的資本経営のメリットは、次の3つです。
- 人材を有効活用できる
- 社会的信用を得られる
- 従業員エンゲージメントの向上
それぞれを詳しく解説します。
4-1. 人材を有効活用できる
人材資本経営のメリットのひとつは、現在企業に所属している人材を有効活用できることです。経済産業省の「未来人材ビジョン」では、技術革新により必要となるスキルと、現在の従業員のスキルの間にギャップを感じている企業が43%を占めます。しかし多くの企業は人材の育成に投資をせず、従業員個人もスキルアップのための学習をおこなっていません。
技術革新が進むこれからの時代を生き残るには、企業が人材を資本と捉え、自社の成長に必要なスキルを育てることが重要です。各人材の能力を最大限に引き出すことで、テクノロジーでは対応できないイノベーションや斬新なアイディアを生み出せる組織作りが期待できます。
4-2. 社会的信用を得られる
前述の通り、投資家やステークホルダーは企業の将来性を予測する材料として、無形資産、特に人的資本に関する情報を重視します。そのため、人的資本経営をおこない積極的に情報開示をする企業は、社会的信用を得やすいでしょう。企業イメージがアップすれば、投資対象として選ばれやすくなるほか、クライアントにも注目され人材が集まりやすくなることが考えられます。
4-3. 従業員エンゲージメントの向上
人的資本経営に取り組むことで、従業員エンゲージメントの向上につなげられます。人的資本経営に取り組む企業において、従業員は自らの能力を発揮できることでやりがいを感じやすくなり、また自社に対して成長に投資を惜しまないという印象を抱いてくれます。その結果、従業員の自社へのエンゲージメントが高まるでしょう。
5. 3P・5Fモデルのフレームワーク

「人材版伊藤レポート2.0」では、人的資本経営をおこなうフレームワークとして「3つの視点(3P)」と「5つの要素(5F)」を示しています。この章で、それぞれについて簡単に説明するので、人的資本経営に取り組む際の参考にしてください。
人材版伊藤レポートでは、人的資本経営において人材戦略や経営戦略を検討する際に、次の3つの視点から俯瞰することを推奨しています。
- 経営戦略と人材戦略は連動しているか
- 目標としているビジネスモデルと現時点でのギャップを把握しているか
- 人材戦略が企業文化として定着しているか
さらに策定した人材戦略を具体的な施策に落とし込む際には、次の5つの要素を取り入れると人的資本経営が実現しやすくなるとしています。
- 多様な人材が活躍できるポートフォリオを構築する
- 人材の多様性を企業の戦略のなかにうまく取り込む
- 学ぶ環境を整え、従業員への教育をおこなう
- 従業員がやりがいを感じられる職場を目指す
- 時間や場所にとらわれずに働ける環境を整備する
6. 人的資本経営を実践するときの流れ

人的資本経営を実践する際には、次の流れを意識しておこないましょう。
- 目指すべき目標を設定する
- ギャップを埋める施策を考案する
- 施策の実行と効果測定(PDCA)
- 開示方法を検討する
- モニタリングと改善をおこなう
人的資本経営の実践は長期間に渡ります。計画・実行・評価・改善を繰り替えすPDCAサイクルを回し、目標の達成を目指しましょう。
6-1. 目指すべき目標を設定する
人的資本経営において目標としてKPIを設定する際は、注目すべきなのは自社の従業員の成長だけではありません。投資家、ステークホルダーといった外部の視点も意識しましょう。ステークホルダーからの印象を意識した目標を設定するのであれば、他社との明確な差別化を示しましょう。
6-2. ギャップを埋める施策を考案する
目標達成のためには具体的な施策を考案しましょう。例えば人材ポートフォリオの構築やダイバーシティの促進、経営課題の共有などが挙げられます。経営課題を共有することで現場だけが把握する課題や解決策の収集が可能です。
6-3. 施策の実行と効果測定(PDCA)
施策を考案したとしても効果を分析しなければ、人的資本経営の実現につながりません。そのため、取り組んだ施策の効果を分析して改善していきましょう。例えばPDCAサイクルを回していくことで施策の精度を高められます。
6-4. 開示方法を検討する
開示方法を検討する際は、IR的観点または義務化された開示対象の観点を持つことが有効です。
IR的観点では時間軸を考慮します。例えば、開示する情報は過去から現在の推移(改善率・増加率)に限定するのか、将来の目標値なども含めるのかを検討します。開示対象については、対象となる法人や部門を検討しましょう。
なお、開示のもととなるデータ収集には、グループ会社との良好な関係性や人事情報システムの整備が欠かせません。情報開示に向けてスムーズにデータ収集ができるよう、関係者との連携体制や、人事情報システムへの投資も人的資本経営のひとつと捉えて取り組んでおくことが大切です。
6-5. モニタリングと改善をおこなう
人的資本の情報開示後も、定期的にモニタリングと改善をおこないます。男女賃金の差異・年次有給休暇といった定量的な指標は、人事システムを用いて定点チェックが可能です。定量化されていないものは、プロセスの妥当性や質について議論しましょう。
7. 人的資本経営を推進するための課題と解決策
人的資本経営をおこなう際に生じやすい課題とその解決策を解説します。事前に対処法を知り、効果的な戦略を立てて施策に取り組みましょう。
7-1. 開示を目的化しないこと
IR情報における開示項目や投資家からの要望など外部環境の影響を意識しすぎると、施策が形骸化し、開示すること自体が目的になってしまうことがあります。
人的資本経営は、企業の成長のための取り組みです。この目的を忘れず、人材の価値を最大限に引き出して企業価値を高めるために、何をすべきかを最初に考えましょう。必要な施策を実行したうえで、開示すべき情報を選定します。
7-2. 戦略との紐づけを徹底する
人材戦略が経営戦略と乖離し、柔軟性を欠いた人事制度や目先の従業員教育で終わってしまうことがあります。
人材戦略を考える際は、中長期的な経営戦略を踏まえ、目標とする企業の未来像から逆算しましょう。経営戦略を社内で十分に共有し、将来の理想像から逆算して人材戦略を設計すれば、経営戦略と人材戦略の紐付けを徹底できるでしょう。
7-3. 自社のありたい姿を大切にする
人的資本経営を推進する際、他社の成功事例を取り入れようとして、自社に合わないKPIや施策を採用し、行き詰まるケースが多くあります。
対策としては、まず、自社のありたい姿と経営戦略を前提に、「なぜ取り組むのか」「何が重要なのか」「どのように取り組むのか」を考えることです。ガイドラインや他社の事例は参考にとどめておくとよいでしょう。
2つ目の対策は、財務や広報などの各部門で目標を共有し、全体で取り組むことです。人的資本経営は経営層と人事部だけの仕事ではなく、自社の無形資産をどう活用し育てるかを全社で考え、実行することが大切です。
8. 人的資本経営のよくある質問
最後に、人的資本経営についてよくある質問をまとめます。
8-1. 人的資本経営はいつからはじまった?
人的資本経営の考え方は200年以上前からあり、アダム・スミスが『国富論』で言及したと言われています。海外では1990年代から注目され始め、日本では2020年の「人材版伊藤レポート」をきっかけに急速に広まりました。
8-2. 人的資本経営コンソーシアムとは?
人的資本経営の推進を支援する場です。取り組みの事例共有や情報開示のあり方の検討、企業間協力に向けた議論などをおこなっています。「人材版伊藤レポート」の責任者である一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏らを中心に設立され、2022年8月に第1回の総会が開かれました。
企業が人的資本経営を進めるためのサポートや、より効果的な非財務情報の開示を検討する組織への加入を検討してもよいでしょう。
関連記事:人的資本経営コンソーシアムとは?基本情報と入会方法を紹介
8-3. 人的資本経営の開示項目は?
上場企業では、2023年から有価証券報告書において、人材育成方針や、女性管理職比率、男性社員の育休取得率といった項目の開示義務が制定されました。また、内閣府の「人的資本可視化指針」では、エンゲージメントやコンプライアンス、ダイバーシティなど7分野19項目の開示が推奨されています。
8-4. 人的資本経営のKPIはどうやって定める?
人的資本経営のKPIは、経営層の描くビジョンや意思決定に紐づいた指標を設定します。よく用いられる指標には、離職率やエンゲージメント、育休等の制度利用率などが挙げられます。
「人的資本可視化指針」では、独自性と他社との比較性のバランスをとった指標を推奨しています。定量的に表すことが難しい場合は、施策の進捗状況を数値化することも可能です。
関連記事:人的資本経営で重視すべきKPIは?設定方法と事例をわかりやすく解説
9. 人的資本経営を実践し人材を有効活用しよう

人的資本経営は、人材を企業の「資本」と捉える経営方法です。人的資本経営をおこなうことにより人材不足に対処できるだけでなく、企業全体の生産性のアップや企業価値の向上が期待できます。
「人材版伊藤レポート」に記載された「3つの視点」と「5つの要素」を意識しながら、人的資本経営の実現を進めていきましょう。
企業価値を持続的に向上させるため、いま経営者はじめ多くの企業から注目されている「人的資本経営」。
今後より一層、人的資本への投資が必要になることが想定される一方で、「そもそもなぜ人的資本経営が注目されているのか、その背景が知りたい」「人的資本投資でどんな効果が得られるのか知りたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて、当サイトでは「人的資本経営はなぜ経営者から注目を集めるのか?」というテーマで、人的資本経営が注目を集める理由を解説した資料を無料配布しています。
資料では、欧州欧米の動向や企業価値を高める観点から、人的資本経営が注目される理由を簡単に解説しています。「人的資本経営への理解を深めたい」という方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、お役立てください。
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