人的資源とは?意味や管理の重要性・メリットを解説!日本企業の活用事例あり - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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人的資源とは?意味や管理の重要性・メリットを解説!日本企業の活用事例あり

人的資源とは、企業の経営資源のうち「ヒト」の部分を指す資源のことです。基本的な経営資源であると同時に、企業が成長していくには最も重要な資源とされています。

しかし「人的資本との違いがわからない」「具体的に人的資源の管理方法がわからない」と感じる方もいるかもしれません。

本記事では人的資源の基礎知識として、人的資本と異なる点や人的資源管理の方法、事例について解説します。本記事を参考に、自社の経営戦略を実現するため、人的資源をうまく生かすことを検討してください。

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1. 人的資源とは

人的資源とは、企業に属する4つの経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のうち、「ヒト」の要素を示す資源です。人的資源は最も基本的であり、なおかつ重要な経営資源と考えられています。

人的資源は企業に属する従業員そのものだけでなく、従業員がもつ経験やスキルを用いて生み出される利益や価値も対象です。人的資源の効果的な活用法を考えることは、組織の成長における大きなポイントになるでしょう。

2. 人的資源と人的資本の違い

人的資源と人的資本はどちらも企業に属する「ヒト」を指していますが、それぞれの捉え方に違いがあります。

人的資源は、従業員や従業員がもつスキル・労働力を生産にかかる費用・コストとみなす考え方です。「モノ」や「カネ」と同じように生産のために消費・減少するため、企業としての目標を設定して効果的に管理する必要があります。

一方で、人的資本は従業員が持つスキルや労働力を資産とみなす考え方です。このため投資対象と捉えられます。教育し活かすことで企業の成長・価値向上につながるでしょう。

以上のように人的資源と人的資本では人材に対する認識が大きく異なります。用語の意味を正確に理解し、両方の側面から企業としての戦略を立てることが重要です。

関連記事:なぜ人的資本経営が注目されているのか?注目されている背景をわかりやすく解説!

3. 人的資源が重要な理由

企業に属する資源(ヒト・モノ・カネ・情報)において、人的資源がとくに重要であるとされている理由は次の3つです。

  1. 最も基本的な資源であるため
  2. 成長可能な資源であるため
  3. 流動的な資源であるため

それぞれの理由について詳しく解説します。

3-1. 最も基本的な資源であるため

人的資源が重要なのは、ほかの3つの資源にも関係している最も基本的な資源であるためです。

企業の経営活動は「ヒト」によりほかの資源(モノ・カネ・情報)が生み出されます。このため人的資源はほかの資源と比べても優先して管理する必要があるでしょう。

ほかの資源を活用し、さらなる利益をあげられるのも人的資源のみです。モノ・カネ・情報などの資源は社内に存在するだけですが、「ヒト」が活用することで大きな価値を生む可能性もあります

3-2. 成長可能な資源であるため

経営資源のなかでも人的資源は唯一、成長可能な資源であることが特徴でこの点も重要です。人材育成で従業員のスキル・能力が向上することで、経済的価値を高められるでしょう。

例えば新卒入社時点での従業員はそれほど価値は高くありません。しかし、適切な研修や業務を通じて知識や経験を積むことで、高い価値を生む人材に成長することも考えられます。

このため人材の価値を考える際には現状の管理コストだけではなく、将来的にもたらされるリターンも考慮する必要があるでしょう。

3-3. 流動的な資源であるため

人的資本は流動的であり、明確な管理手法が決まっていないことも重要視されている理由です。変化の激しい時代に対応して生き抜くため、企業は人的資源を効果的に管理しなくてはいけません。

近年は日本においても終身雇用の慣習が弱まりつつあります。せっかく有望な人材を獲得しても、すぐに転職しては投じたコストが無駄になるでしょう。また優秀な人材であっても、モチベーション高く前向きに働けない職場でないと利益はもたらせません。

企業は、人的資源が不確定な要素であることを念頭に置き、人事制度や職場環境を整える必要があるでしょう。

4. 人的資源以外の経営資源とは

男性
人的資源について正しく理解するために、関連する資源として人的資源以外の経営資源を説明します。

4-1. 財務資本

財務資本は、企業が「カネ」を指す重要な資源であり、具体的には資金や株式を含みます。この財務資本は企業経営の根幹を支え、健全な財務状況を保ちながらお金を運営することが企業活動において不可欠です。例えば、優秀な人材を採用し育成するためには、資金を使って従業員が活躍できる設備投資を行い、働きやすい環境を整える必要があります。

また、新しいサービスを開発し実現するためには、まとまった資金が求められます。ただし、財務資本をただ蓄積するだけでなく、適切に資源を割り振り、キャッシュフローを健全化することが重要です。こうした戦略的な財務運営が企業の持続的な成長を支えるため、人的資源管理とも密接に関連しています。

4-2. 物的資本

物的資本は企業の生産やサービス提供に必要な設備や機材、オフィススペースなどを指します。これはモノを広く含み、販売する製品のみならず、企業が所有する設備も含まれます。適切な設備投資とメンテナンスが生産性を維持向上させる鍵です。さらに、物的資本はイノベーションによりリニューアルすることで新たな経済的価値を生み出します。例えば、最新のテクノロジーを導入することで生産効率を劇的に向上させることが可能です。企業の人事部門や経営者にとって、物的資本への適切な投資は競争力を持続的に高める重要な戦略です。

4-3. 組織資本

組織資本は、企業内の組織構造や文化、プロセスに加え、その企業が独自に持つノウハウやコネクション、ブランドイメージ、コミュニティとのつながりを含みます。これらの要素は、内部資源としてだけでなく、外部から見た企業の価値にも大きく影響します。組織資本の効果的な運用は、効率的な運営やイノベーションの促進に寄与し、企業全体の競争力を高めます。経営活動においては、これらの目に見えない資本を適切に管理し活用することが重要です。人的資源管理において組織資本を戦略的に活用することで、長期的な成長と持続可能性を実現できます。結果として、企業のステークホルダー全体に大きな利益をもたらすでしょう。

5. 人的資源管理とは?

人的資源管理とは、人を単なるコストではなく、育成し経済的価値を高める人材マネジメントの考え方を指します。これは企業の経営目標を達成するために、人的資源をどう活用するかを考えるもので、そのための制度や運用に具体的に落とし込むことを目的としています。物流や金銭とは異なり、人的資源管理では決まった成功の型がないため、従業員の自由な思考や感情に対応することが求められます。企業が採用するマネジメント手法に対する従業員の反応は多様であり、一律に成功する方法論は存在しません。そのため、人的資源管理は他の経営資源の管理と比較して最も難しいとされています。

5-1. 人的資源の管理を行う意義

人的資源管理(HRM)は、企業における重要なプロセスであり、人材の採用、教育、評価、報酬、配置などを効果的に行うことで、組織の目標達成に貢献する優れた人材を育成し、持続可能な成長を実現することを目的としています。これは、優秀な従業員による企業への貢献と社内での相乗効果が企業の成長にプラスに働くためです。

人的資源管理の意義は、単に優秀な人材を育成するだけではなく、戦略的人事を通じて企業の経営目標の達成に寄与する点にあります。企業の成長戦略にはカネやモノ、情報と並び、ヒトの活用が欠かせません。新しい企画やサービスの成功は、実際に手を動かす人材にかかっています。経営戦略はそれ単体で成功するわけではなく、人材の採用、教育研修、モチベーションを上げるための評価制度や報酬体系、最適なパフォーマンスを実現する昇進や配置転換など、あらゆる人的資源管理と組み合わせて行動されることが必要です。

人的資源管理の意義は、企業の経営目標と個人の目標が重なりあうところにあります。経営目標とは、月別や四半期別、年単位で達成する目標数値であり、営業目標のような短期的な数字や、全体に示すビジョンなどが含まれます。個人的目標とは、業務上の指標や長期的キャリアプランに基づく能力開発やスキルの獲得です。これらの目標は、人的資源の成長なくしては達成できません。企業は、人事制度や評価制度、人材育成や採用の観点から、経営目標達成を見据えた人的資源管理に取り組む必要があります。

関連記事:人的資源管理(HRM)とは?5つの機能や人材管理との違いを簡単に解説

6. 正しい人的資源管理の方法とは


人的資源を正しく管理する方法として企業が取り組むべき対応について紹介します。

6-1. 等級制度を整備する

等級制度は社員の職務内容や能力に基づいてランク付けを行う制度で、キャリアパスを明確にし、昇進や昇給の基準を透明化できます。正しい人的資源管理の方法として、等級制度の整備は重要です。従業員のスキルや貢献度に合わせた適切な報酬と昇進の機会を提供するため、自社に合った役割等級制度の導入が求められます。

日本の昔ながらの年功序列や終身雇用を前提とした等級制度から脱却し、明確な評価基準とキャリアパスを設定することで、従業員のモチベーションを高めることができます。透明性のある等級制度は、公平性を保ちつつ社員の成長を促進し、企業全体のパフォーマンス向上にも寄与します。適切な等級制度の見直しは、人的資源管理の礎として不可欠です。

6-2. 人事評価制度を整備する

人事評価制度は、社員の業績や行動を評価するための重要な仕組みです。正しい人的資源管理の方法として、人事評価制度の整備は欠かせません。従業員の業績と行動を的確に評価するために、定量的な指標と定性的なフィードバックを組み合わせた評価制度を導入することが必要です。目標設定や定期的な評価を通じて、従業員の成果を可視化し、その評価に基づいて報酬や昇進の機会を提供することで、従業員は自身の貢献をより一層認識しやすくなります。このような体制を整えることで、従業員のモチベーションを高め、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。また、適切なフィードバックを行うことは、従業員個々の成長を促進し、長期的なキャリア形成を支援します。

6-3. 人材育成・教育制度を整備する

人材育成・教育制度は社員のスキル向上を目的としたプログラムや研修を体系的に提供するものであり、組織全体の成果に直結します。しかし、正しい人的資源管理の方法として重要なのは、従業員のスキル向上と成長を支援するために、幅広い学習機会を提供することです。外部トレーニング、内部研修、専門家による指導など、多様な学習機会を提供することで、より効果的な人材育成が可能になります。また、従業員の強みや興味に合わせたカスタマイズされたプログラムを設計することで、個々の専門性の向上を促進します。この整備された人材育成・教育制度は、企業の競争力を高めるだけでなく、従業員のモチベーション向上にも寄与します。

6-4. 福利厚生制度の整備をする

福利厚生は社員の生活支援や働く環境の向上を目指す制度です。これは企業の人事部門または経営者にとって重要な人的資源管理の一環です。例えば、健康保険や年金制度、リフレッシュ休暇などが含まれます。これらの制度は社員の満足度と忠誠心を高め、結果として企業のパフォーマンス向上に寄与します。具体的には、健康保険や年金制度の充実は長期的な安心感を提供し、リフレッシュ休暇は短期的なストレス解消に役立ちます。福利厚生制度の整備を通じて、人材の確保と定着を図ることが、競争力のある企業を目指す上で欠かせない要素です。

6-5. 適材適所の人材配置を設計する

適材適所の人材配置は、社員の強みや専門性を最大限に活かし、適切なポジションに配置することで、企業全体の業務効率を向上させます。このアプローチは、社員一人一人のスキルや経験を最適に活かすための戦略です。また、適材適所の配置により、社員のモチベーションややりがいも高まり、組織全体の生産性が向上します。結果として、人的資源の有効活用が進み、企業の競争力強化にも寄与することが期待できます。

7. 人的資源を管理するうえでの課題

人的資源を管理するうえでの課題として、業績の変動と人的資源管理の因果関係がわかりにくい点に注意しましょう。企業の状況や、従業員それぞれによって最適な人的資源管理の方法が異なるためです。ここでは企業がぶつかりやすい課題を説明します。

7-1. 従業員のモチベーション維持がうまくできない

社員のモチベーションを維持することは、人的資源管理の大きな課題です。意図した通りに効果を発揮しない場合も多く、特に適切な評価や報酬、キャリアパスの提示が不十分な場合、社員のやる気が低下することがあります。また、個人のモチベーションには多くの要因が関与し、全ての従業員に同じ方法が効果的とは限りません。人的資源管理においては、人材育成制度や報酬制度の構築だけでなく、各社員のニーズや価値観に応じたアプローチが必要です。例えば、定期的なフィードバックセッションやキャリア開発プランの策定を行うことで、個々の社員に合った成長機会を提供することが重要です。このように具体的で多様な取り組みを展開することが、モチベーション向上の鍵となります。

7-2. 最適化の判断基準が設定しづらい

人的資本管理において最適化の判断は非常に難しい課題です。企業は適材適所の人材配置やスキル開発を行う必要がありますが、これは容易ではありません。社員の能力や適性を正確に把握し、その情報を基に最適な配置を判断することが求められます。また、どのスキルを優先的に育成するかも判断が必要です。これらの判断は複数の要素が絡み合い、全体の最適化を達成するためには高度な分析と洞察が必要です。

7-3. 多様性のある人的資源の管理が難しい

現代のグローバル化と多様化が進むビジネス環境において、人的資本管理の課題として多様な人材資源の管理が挙げられます。企業は多様なバックグラウンドや価値観を持つ社員を効果的に管理するために、インクルーシブな環境の構築を求められます。しかし、異なる文化や価値観を調和させることは容易ではありません。文化的な違いやコミュニケーションの障壁を乗り越えるためには、多様性を活かすための具体的な戦略やプログラムの設計が求められます。これにより全社員が持つ潜在能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性と創造性を高めることが可能となります。企業の人事部門や経営者は、この点を認識し、適切な人的資源管理のアプローチを採用することが重要です。

7-4. ワークライフバランスの保持が難しい

刻々と変わるビジネス環境や労働環境の変化に合わせながら、社員のワークライフバランスを保つことは企業にとって重要な課題です。適切な労働時間管理や休暇制度の提供が求められる一方で、長時間労働や過度な業務負担は依然として存在し、社員のストレスや過労を引き起こす可能性があります。これにより、社員の生産性や健康に悪影響を及ぼすリスクが高まります。

このような課題を克服するためには、各企業が個別の状況やニーズに合わせた戦略や施策を検討することが必要です。具体的には、定期的な評価と改善を行いながら、従業員の参加とコミュニケーションを活用し、持続的な改善を推進する取り組みが求められます。これにより、企業は効果的な人的資源管理を実現し、健全な職場環境を維持することができます。

8. 有効な人的資源管理のために見直すべきポイント

またすでに人的資源管理に着手している企業の場合、有効に管理できているのか見直すことはとても大切な要素です。ここでは具体的な見直す際のポイント6つを解説します。

  • 人事評価制度を見直す
  • 人材配置を最適化する
  • 人材育成戦略を見直す
  • 雇用制度を見直す
  • 福利厚生を充実させる
  • タレントマネジメントシステムの導入

それぞれ紹介していきます。

8-1. 人事評価制度を見直す

まずは人事評価制度を見直し、従業員の成果や行動を正しく評価し、給与や昇格に反映させるようにしましょう。評価基準や目標を明確にすることで従業員が果たすべき役割を認識しやすくし、モチベーションアップにつなげるためです。

従来の日本企業の多くでは年功序列で所属年数に応じて給与が変動する方式が導入されていました。しかし近年では年数に関わらず、成果や能力を反映した給与体系に変わる必要があります。

一方で業務内容によっては、成果だけでは従業員を正しく評価できない可能性もあるでしょう。その場合、仕事に取り組む姿勢や進め方にも着目し、適切なフィードバックを与えることで評価に納得感も生まれやすくなります。

8-2. 人材配置を見直す

人的資源を管理する方法としては、人材配置を最適化することも重要といえます。従業員の能力や経歴、個性に沿った役割を与えることで、組織としての生産性を最大化できるためです。

まずは組織の各部署の役割や業務内容を洗い出し、活躍するための能力や人間性を設定しましょう。短期的な成果だけを重要視することなく、従業員の育成も考慮して配置を決める必要があります。

あわせて、配置すべき人材を見極めるための取り組みも欠かせません。それまでの業務実績や面談、キャリアプランの提出を通じて従業員のことを正確に把握し、最適な人材配置につなげましょう

8-3. 人材育成戦略を見直す

人材配置に加えて、人材育成戦略を見直して制度を整備することも重要でしょう。人的資源は人材育成によって成長でき、能力やスキルを向上させることで組織の生産性アップにつながるためです。

人材育成方法は、職務を通じて能力を獲得するOJTと、新しい知見を広げるOff-JTの大きく2つがあります。単純に知識を身につけることにとどまらず、自分で考えて行動できる力を養うことが重要です。

会社が求める人材を育成するだけでなく、個人のキャリアプランを考慮して教育プランを提供する必要もあります。ほかにもメンタリングやジョブローテーションなどの制度も活用し、従業員のチャレンジにつながる機会を用意しましょう。

8-4. 雇用制度を見直す

企業で活躍できる人材を獲得する雇用制度を見直すことも重要です。経営上の目標を達成するためにどのような人材が必要か、もっとも効果的な戦略を立てる必要があります。

従来の雇用制度は、新卒の人材を獲得して長期的な目線で育成する終身雇用が中心でした。しかし近年は伝統的な企業も中途採用に注力するようになり、単純な雇用制度では管理が困難になりつつあります。

また現在では正社員以外にも非正規雇用など、さまざまな形態の従業員が混在しているケースも少なくありません。時代の変化や経営戦略を実現するための最適な雇用制度を考えましょう。

8-5. 福利厚生を見直す

従業員が働きやすく、日々を充実して過ごせるための福利厚生の整備も人的資源管理方法の一つといえます。企業に対する従業員の満足度が向上することで、生産率の向上や離職率の低下が見込まれるためです。

具体的な福利厚生制度は次のようなものがあげられます。

  • 健康保険の加入
  • リモートワーク・テレワーク制度
  • 子育て・介護の支援制度
  • 余暇・レクリエーションの制度
  • 自己啓発の制度
  • 社員食堂の整備
  • 通勤費の負担・補助
  • 住宅費補助

上記のうちどの制度を導入するかは自社の風土や従業員の雰囲気に合わせて決めましょう。ただし福利厚生制度が企業の利益に直結するわけではないことには注意する必要があります。

関連記事:人的資源管理(HRM)とは?5つの機能や人材管理との違いを簡単に解説

8-6. タレントマネジメントシステムの導入

タレントマネジメントシステム(TMS)は、人的資源管理の重要なツールです。TMSを導入することで、人材のスキルや能力、キャリアパスを一元管理でき、必要なデータが即座に活用できます。うまく管理できていない場合は、ぜひ導入を検討してみましょう。

これにより、適材適所の配置が実現し、組織内での人材育成が効果的に行えます。そのため、企業全体の効率化と競争力向上に寄与します。特に多様な役割を持つ企業においては、TMSの導入は戦略的意義が大きく、人的資源最適化による持続的な組織成長を支える鍵となります。

9. 人的資源管理をしている企業の具体例

人的資源管理の具体例として、以下2つの事例を紹介します。

  1. 人材育成と人事評価を組み合わせた事例
  2. グローバル人材育成に注力した事例

各社の個別の事情を考慮しつつ自社の人的資源管理を考えるうえでの参考にしてください。

9-1. 人材育成と人事評価を組み合わせた資生堂の事例

化粧品メーカー資生堂は、会社の発展には従業員個人のレベルアップが欠かせないと考え、次の人材育成制度を整備しています。

  • ジョブ型人事制度
  • タレント管理
  • パフォーマンス管理
  • 自律的キャリア開発支援

資生堂社では、従業員のタレントやパフォーマンスを正しく評価するための国内・海外共通の評価基準を設けています。ジョブ型の人材配置において従業員が望むキャリアを歩んでゆけるよう、ワークショップや能力向上研修も受講可能です。

人材育成制度は適切な人事評価制度と組み合わせることで効果を発揮する可能性が高いといえます。企業の掲げる目標を達成するための戦略にあわせて、人材育成制度を設計しましょう。

9-2. グローバル人材育成に注力したサムスン電子の事例

韓国の半導体企業サムスン電子は、日本企業を上回るようなグローバル企業を目指して人材育成制度に注力しています。人材育成の基盤は、マネジメント人材とグローバル人材のそれぞれを育成するプログラムです。

マネジメント育成としては、希望分野のMBA(経営学修士)取得支援制度があります。次長・課長クラス向けに次世代のリーダーを育成するための教育プログラムです。

グローバル人材育成には、補助金を支給して若手の優秀な人材を各国に派遣する「地域専門家制度」を実施しています。地元の言語・文化に習熟した従業員を育成することで、グローバル展開の足がかりとなる制度です。

以上の制度を整えた結果、サムスン電子は国際的なブランド価値を大きく高めました。企業の経営上の戦略を実現するために、有効な人的資源管理が必要といえるでしょう。

10. 人的資源を効果的に活用することで組織の成長につなげよう

本記事では、人的資源と人的資本の違い、人的資源を管理する具体的な方法を解説してきました。

人的資源は、会社の4つの経営資源のうち、「ヒト」の部分を指す資源です。人的資本では従業員を会社の価値向上につながる資産とみなすことに対して、人的資源は従業員を生産のためのコストとみなす点に違いがあります。

人的資源は最も基本的な経営資源とされており、人材育成によって成長可能なことが特徴です。しかし流動性の高い資源でもあるため、企業の状況や従業員一人ひとりにあわせて管理する必要があります。

人的資源管理のおもな方法は、人事制度の見直し・最適な人材配置・人材育成の見直し・雇用制度の見直し・福利厚生の充実です。本記事で紹介した事例も参考に、自社に適した人的資源管理方法を検討してください。

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OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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