労働契約法5条による「労働者の安全への配慮」の意味や注意点 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働契約法5条による「労働者の安全への配慮」の意味や注意点

労働者の安全

労働契約についての基本的なルールが定められた労働契約法は、労働紛争の解決をはかる法律として、平成20年3月に施行されました。この契約法の中で、労働者への安全配慮義務について明文化したものが労働契約法第5条です。企業がこの義務を怠ると、損害賠償請求などのトラブルが発生するリスクがあるので、担当者は義務の内容について正しく把握しておく必要があります。

ここでは、労働契約法5条で明文化されている「労働者の安全への配慮(安全配慮義務)」について、詳しく解説します。

▼そもそも労働契約法とは?という方はこちらの記事をご覧ください。

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改正労働契約法の3つのポイントを解説

改正労働契約法によって、有期雇用契約に関するルールが大幅に変わりました。自社の運用はこの3つのポイントに沿ってルール更新、できていますか?

比較的新しいルールであるため前例も少なく、対応にお困りの人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

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◆押さえておくべき3つのポイント

  • 無期転換ルール:勤続5年を超えると、従業員から無期雇用への転換を求められる 。
  • 雇止め法理:安易な契約更新を繰り返すと、正当な理由なく契約終了(雇止め)できなくなる 。
  • 同一労働同一賃金:正社員との間で、手当などの不合理な待遇差が禁止される 。

資料ではこの3つのポイントについて、よりわかりやすく解説しています。正しく理解しておくことで、労働者とトラブルに発展する可能性やリスクを軽減できるでしょう。

参考にしたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードの上お役立てください。

1. 労働契約法5条「労働者の安全への配慮」とは?

デスクワークする男性

労働契約法では、労働契約に関するさまざまなルールが明記されています。特に労働契約法5条「労働者の安全への配慮」では、労働者の生命、身体等の安全を確保できる環境を整備する配慮を求めています。

企業側が「労働者の安全への配慮」を実施するためには、労働環境や業務内容を加味し、具体的な対策を講じなければなりません。

労働者の安全を確保するためには、以下の2点に特に重点を置くことが必要です。

  • 労働者の作業環境を整える
  • 労働者の健康管理をおこなう

ここでは、それぞれについて詳しく説明します。

1-1. 労働者の作業環境を整える

労働契約法5条に基づく安全配慮義務の一つは、労働者の作業環境を整備することです。労働基準法や労働安全衛生法でも、事業者は適切な作業環境を確保する義務があります。

具体的には、温度・湿度・換気の管理、機械や設備の安全装置の点検、適切な休憩スペースの確保などが挙げられます。他にも、機器の使い方に関する指導や安全保護具についての知識共有、災害時の対応方法についての研修などもおこなわなければなりません。

これらの整備を怠ると労働災害や事故につながり、結果的に企業は責任を問われることになります。また、作業環境は身体的な安全だけでなく、精神的な負担にも影響するため、長時間労働の防止や適正なシフト編成も含めたトータルな環境整備が必要です。

いずれも労働者の作業中のトラブル発生を未然に防ぎ、最適な作業環境を提供するために必要な要素となります。

1-2. 労働者の健康管理をおこなう

労働者に安全な労働環境を提供するためには、企業側が労働者の健康管理を実施する義務があります。

「労働者の健康管理」とは、心と体、両面での管理のことを指します。心身の健康管理として、内蔵疾患の発見やメンタルの不調についても早期に発見し、対応していかなければなりません。

労働安全衛生法に基づき、企業は定期健康診断の実施や結果に基づいた措置、産業医による指導などが求められます。特に、過重労働による過労死やメンタル不調が社会問題化している現状では、労働契約法5条の安全配慮義務の一環として健康管理は重要性を増しています。

具体的な対策としては、以下のような管理が挙げられます。

  • 産業医や産業保健スタッフといった専門知識をもった人材と連携を行い職場の巡回を実施する
  • 健康診断やメンタルヘルスチェックを積極的に行い、早期に不調を発見する
  • ハラスメントやいじめが発生することの無いよう、研修の実施や相談窓口を設置する
  • 労働者の労働時間を企業側できちんと把握し、長時間労働をなくす努力をする

企業は、法令に基づく制度運用と現場での柔軟な対応を両立させることが求められます。

1-3.「労働者の安全への配慮」の対象者とは

労働契約法5条の「安全配慮義務」は、すべての労働者を対象としていますが、その内容は労働者の状況に応じて異なります。例えば、高齢者や障害のある労働者、妊娠中や育児中の労働者など、健康上特別な配慮が必要な場合には、通常よりも細やかな対応が必要です。

また、派遣社員や契約社員といった非正規雇用労働者も保護の対象に含まれており、就業場所や業務内容に即した安全確保が求められます。これらの労働者については、派遣社員であれば自社と直接の労働契約がなくても(派遣先として)、就業場所や業務内容に即した安全確保に関して派遣元事業者と協力し、自社側でも安全配慮義務を負う必要があります。

義務を怠った場合は、正社員に対する義務を怠った場合と同様に、企業は責任を負わなければなりません。

裁判例でも、事業者が従業員の個別の事情を十分に考慮せず配置や業務を決定した結果、健康被害が生じた場合には安全配慮義務違反が認められています。そのため、画一的な制度運用ではなく、労働者の属性や健康状態を踏まえた柔軟な措置が不可欠です。

2. 労働契約法5条「労働者の安全への配慮」の注意点

ビックリマーク

労働契約法5条「労働者の安全への配慮」は「義務」となっているので、軽視してしまうことがあるかもしれません。しかし、義務を怠ってしまうと従業員からの損害賠償請求や企業のイメージダウンなど、企業にとってのリスクが発生する可能性があります。

ここでは、労働契約法5条による「労働者の安全への配慮」の注意点について詳しく解説するので、担当者の方は確認しておきましょう。

2-1. 損害賠償請求のリスク

「労働者の安全への配慮」に違反した場合、労働契約法の条文には罰則に関する記載はありません。しかし、民法415条の債務不履行責任(やるべきことをやらなかったこと)を根拠に安全配慮義務違反を訴えられ、労働者側から損害賠償を求められる可能性があります。

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

引用:民法|e-Gov法令検索

万が一訴えられたとしても、債務不履行の責任が企業にないことを証明できれば訴えを退けることも可能ですが、証明できなければ損害賠償請求に応じる必要があるので注意しましょう。

2-2. 企業のイメージダウン

安全配慮義務を怠ると、法的責任だけでなく企業イメージにも深刻な影響を及ぼします。企業が「労働者の安全への配慮」に違反したことで、大きな事故を起こしてしまったりパワハラ認定をされたりした場合、報道などによって企業名が公になる可能性があります。労働災害や過労死、パワハラなどで企業名が報道されると、社会的非難を受けるだけでなく、企業側のイメージダウンとなり、採用活動や取引先との関係に大きなマイナスとなります。

近年は労働環境に関する情報公開が進み、就職活動中の学生や転職希望者も企業の労務管理体制を重視する傾向にあります。そのため、安全配慮義務違反が明るみに出れば、優秀な人材の確保が困難になり、従業員のモチベーションやエンゲージメントも低下するでしょう。また、株主や投資家からは企業統治上の問題として厳しく評価されるかもしれません。

イメージダウンは短期的な損失にとどまらず、中長期的な企業価値の低下につながるため注意が必要です。

3.労働契約法5条「労働者の安全への配慮」違反への罰則

罰則の注意喚起をする

労働契約法5条労働契約法5条が求める安全配慮義務は、法律で明確な「義務」として規定されているため、法的な拘束力があります。しかし、5条自体には刑事罰や行政罰を直接規定していません。

例えば、労働者が過重労働や労災によって健康を損なった際、企業は民法上の不法行為責任や債務不履行責任に基づいた損害賠償を請求されるかもしれません。実際に、長時間労働を放置した結果の過労死やメンタル不調において、企業側に高額の賠償が命じられたという裁判例もあります。

また、労働安全衛生法や労働基準法に違反する行為が伴う場合は、行政指導や刑事罰の対象にもなり得ます。さらに、労基署による是正勧告や公表制度により企業の社会的信用が低下するリスクもあるため、企業は労働者の安全への配慮を徹底する必要があるのです。

4.労働契約法5条「労働者の安全への配慮」を守るポイント

指を出す男性

労働契約法第5条による、「労働者の安全への配慮」を守るためには、以下5つのポイントに重点をおいて対策を実施する必要があります。

  1. 労働時間に関する規定を作り、管理を徹底する
  2. 安全衛生管理の体制を整備する
  3. 積極的なメンタルヘルス対策を実施する
  4. 労働災害や事故防止対策を徹底させる
  5. いじめ・ハラスメントへの適切な措置

ここでは、それぞれのポイントについて説明します。

4-1. 労働時間に関する規定の作成・管理を徹底する

長時間労働は労働者の健康障害や過労死の主要因とされ、裁判例でも企業の安全配慮義務違反の根拠とされるケースが多くあります。そのため企業は、法定労働時間や36協定で定められた上限を遵守しつつ、所定外労働や休日労働の発生を抑制する規定を整備しなければなりません。

具体的には、長時間労働や過労による健康被害を抑制するためにも、労働時間に関する規定を作成して管理をおこなう必要があります。就業規則に時間外労働の申請・承認フローを明文化し、勤怠システムを用いた労働時間の客観的把握を徹底しましょう。

テレワークや在宅勤務においても、打刻や上長確認を通じた時間管理を導入し、実労働時間を正確に記録することが求められます。さらに、副業・兼業者については通算労働時間を確認する仕組みを構築し、過重労働を未然に防ぐことが重要です。

4-2. 安全衛生管理の体制を整備する

安全衛生管理では、労働安全衛生法に基づき、事業場規模に応じて安全管理者・衛生管理者や産業医の選任が義務付けられています。企業は、労働者が従事する作業の危険性や有害性を特定し、リスクアセスメントをおこなったうえで必要な対策を講じなければなりません。

部署や現場ごとに、安全衛生管理の体制の整備をおこないましょう。業種によっては、危険性の高い機器による事故も起こることがあるので、誤操作を防ぐための安全装置の設置なども必要になるかもしれません。さらに、安全装置の動作チェックや機器のマニュアル管理、研修環境を整備するなども重要な対策です。

機器を扱わない業種の場合は、「衛生管理者や安全衛生推進者を設置する」「安全衛生教育の実施」などをおこなう必要があります。また、労働者の健康管理のため、定期的な健康診断の実施もおこないましょう。

4-3. 積極的なメンタルヘルス対策の実施

労働契約法5条の安全配慮義務には、身体的な安全だけでなく精神的な健康保持も含まれています。厚生労働省が推進するストレスチェック制度は、従業員の心理的負担を早期に把握するための重要な取り組みです。

労働者のメンタルヘルスに関する問題は、近年、企業側でも積極的に関わっていかなければならない課題のひとつとなっています。適切に対処していくためにも、企業は定期的な面談や外部相談窓口の設置など、メンタルヘルス対策を体系的に導入することが求められます。また、過重労働やパワーハラスメントが精神疾患の要因となることも多く、職場風土の改善や管理職の教育も必要かもしれません。心身の健康相談ができるカウンセラーなどのプロフェッショナルな人材を社内に配置するのが望ましいでしょう。

会社の規模によってはプロフェッショナルな人材配置が難しいかもしれませんが、そのような場合は、労働者へのメンタルヘルスに関する情報の提供・教育などをおこなうという施策が必要です。

4-4. 労働災害や事故防止対策の徹底

労働災害防止は安全配慮義務の中核であり、事業者は危険源の特定(リスクアセスメント)とその除去・低減を継続的に実施する必要があるので、作業中の事故は企業側で未然に防止していかなければなりません。具体策としては、機械設備の安全装置や保護具の整備、作業手順書の整備・周知、定期点検と点検記録の保存などが挙げられます。

中でも、安全装置の設置は、従業員が安全に働くことができる環境づくりに必須の対策です。労働の場所ごとに必要な安全装置を適切な形で設置し、従業員を保護しましょう。

また、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制(安全管理者・産業医・衛生委員会等)の整備や、労働基準監督署への報告・是正対応を速やかにおこなう体制を整えておくことも重要です。継続的な労働災害防止対策や現場参画による改善サイクルは、事故抑止に直結します。

4-5. いじめ・ハラスメントへの適切な措置

ハラスメントは労働者の心理的安全を損ない重大な健康損害につながるため、事業者は雇用管理上必要な措置を講じる義務があります。

具体的には、相談窓口の設置や相談対応フロー・調査手順・再発防止策を就業規則または運用マニュアルに明記し、相談者保護(配置転換や職場分離)や適切な懲戒の運用などを定めることが求められます。また、必要があれば管理職に対する研修や匿名相談、外部専門家の活用も検討しましょう。

どのような形であれ、いじめやハラスメントは許されないという毅然とした態度で臨むことが重要です。いじめやハラスメントに対する措置は、単なるガイドラインではなく法令に基づく事業者責務であり、対応を怠ると安全配慮義務違反や民事責任に発展する可能性があるため、社内でも意識の共有をはかっていきましょう。

5.「労働者の安全への配慮」を遵守して安全な労働環境を提供しよう

笑顔で働く従業員

労働契約法5条が求める安全配慮義務は、法的な規定がないためある程度企業のコンプライアンスにゆだねた内容に思えるかもしれません。しかし、実務上の影響は非常に大きく、労働時間管理や健康管理、災害防止、ハラスメント対策などの具体的施策を実行していく必要があります。

具体的な対策は、厚生労働省の各種指針やストレスチェック制度、労働安全衛生法上の管理体制を踏まえ、就業規則や運用マニュアルを整備していきましょう。また、産業医と人事、現場で連携をはかり、安全配慮義務に対する早期対応や記録保存を徹底することも重要です。

義務の遵守を怠った場合には、企業側のリスクもあります。そのため、現時点で安全配慮義務が実施できていないようであれば、自社の業務内容や作業の危険性などの状況を正確に把握して、最適な安全対策をおこなっていきましょう。

その有期契約、リスクを抱えていませんか?
改正労働契約法の3つのポイントを解説

改正労働契約法によって、有期雇用契約に関するルールが大幅に変わりました。自社の運用はこの3つのポイントに沿ってルール更新、できていますか?

比較的新しいルールであるため前例も少なく、対応にお困りの人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

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◆押さえておくべき3つのポイント

  • 無期転換ルール:勤続5年を超えると、従業員から無期雇用への転換を求められる 。
  • 雇止め法理:安易な契約更新を繰り返すと、正当な理由なく契約終了(雇止め)できなくなる 。
  • 同一労働同一賃金:正社員との間で、手当などの不合理な待遇差が禁止される 。

資料ではこの3つのポイントについて、よりわかりやすく解説しています。正しく理解しておくことで、労働者とトラブルに発展する可能性やリスクを軽減できるでしょう。

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