長時間労働とは?企業側のリスクと取り組むべき対策を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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長時間労働とは?企業側のリスクと取り組むべき対策を解説

「長時間労働を放置するとどのようなリスクがある?」

「長時間労働はどうすれば対策できる?」

上記のような悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。

長時間労働は、企業イメージの低下や労働生産性の低下などを招きます。企業に悪い影響が及ばないようにするためにも、対策を確認してできることをしましょう。

今回は、長時間労働や企業側のリスク、取り組むべき対策を解説します。長時間労働の改善を図りたい人事労務担当者の方はぜひご一読ください。

1. 長時間労働とは

長時間労働とは、労働基準法が定める基準である「1日8時間以上かつ1週間に40時間以内」を超える労働を指します。

1日8時間以上の労働となる場合は、36協定や「所轄労働基準監督署長への届出」により従業員へ残業を課すことが可能です。

しかし、36協定を結ぶ際は、業務の種類・人数・日・月・年あたりの時間外労働の基準を決める必要があります。

36協定で定める時間外労働には上限が設けられており、破ると罰則が発生する点にも注意が必要です。

参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

2. 長時間労働の実態

日本の平均年間総実労働時間は減少傾向にあり、1988年時点で2,092時間なのに対し2022年には1,607時間と大きく減少しています。

一方で主要諸外国であるフランスは1,511時間であり、ぞれぞれの差は96時間です。日数にして、日本は年間4日ほど長く働いている計算になります。

主要諸外国の中には1,811時間のアメリカ、1,694時間のイタリアなどがあるため、日本の労働時間が極めて長いとはいえません。

しかし、本来は規定の就業時間内に業務を終えられる状態が望ましいです。長時間労働は従業員や企業にとってリスクがあるため、できる限り減らすことが求められます。

参考:データブック国際労働比較2024|労働政策研究・研修機構(JILPT)

3. 長時間労働がなくならない理由

長時間労働がなくならない理由は、次のとおりです。

  1. 管理職のマネジメントが不足している
  2. 人手不足や非効率な働き方が蔓延している
  3. 従業員が帰りづらい雰囲気が生まれている

それぞれ詳しく解説します。

3-1. 管理職のマネジメントが不足している

管理職のマネジメント不足は、長時間労働の要因になります。部下の長時間労働を見て見ぬふりをし、改善に必要な工夫や対策をおこなわないためです。

管理職のマネジメント不足は、部下とのコミュニケーションを増やしたり、部下から相談背切る環境を作ったりすることで改善できます。

管理職に部下の残業を減らすように掛け合うことも効果的な対策です。

3-2. 人手不足や非効率な働き方が蔓延している

人手不足や非効率的な働き方が蔓延すると、長時間労働が発生しやすくなります。そのような状況下では、仕事を完遂させるために必要以上の時間が掛かるためです。

実際に、IT業界や建設業界では深刻な人手不足が問題になっています。人手不足を改善できない場合は、効率的な働き方ができるよう見直すなどの改善が必要です。

3-3. 従業員が帰りづらい雰囲気が生まれている

従業員が帰りづらい雰囲気も、長時間労働につながります。自分の仕事を終えたとしても、帰りづらい雰囲気からとりあえず残業する人も珍しくないからです。

雰囲気によって長時間労働が発生する場合は、上司が残業していても気軽に帰れる環境作りが大切です。

4. 長時間労働による企業側のリスク

長時間労働による企業側のリスクは、次のとおりです。

  1. 企業イメージの低下
  2. 労働生産性の低下
  3. 採用コストの増加
  4. 残業代の増加

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 企業イメージの低下

長時間労働を放置すると、企業イメージが低下します。求職者目線で「自分も長時間労働しなければいけない」という懸念が生まれるからです。

求職者が同じ条件で他社と迷ったとき、労働環境が良い方を選択するケースも珍しくありません。結果として入社を希望する人が減り、人手不足が継続する悪循環が生まれます。

4-2. 労働生産性の低下

長時間労働は、労働生産性を低下させます。何時間も働き続ければ集中力が落ち、ミスが増えることも多くなるからです。

結果として業務の効率が悪化するだけでなく、睡眠不足や疲労によって従業員のストレスが大きくなります。

モチベーションの低下にもつながるので、長時間労働は改善するべきです。

4-3. 採用コストの増加

長時間労働を放置すると、採用コストが増加します。長時間労働があたりまえになっている状況に嫌気がさし、従業員の離職率が高まるからです。

離職者が増えるほど残った従業員の負担も多くなり、さらなる離職者や長時間労働が発生しかねません。

人手不足を解消しようとして新しい人材を採用しようとすると、より多くの採用コストを支払う必要が出てきます。

4-4. 残業代の増加

長時間労働によって残業時間が増えると、残業代が増加します。

法定労働時間を超える残業は、25%以上の割増賃金を支払う必要があると労務基準法によって決められているためです。

22時から翌5時までの労働は25%がさらに上乗せされて1.5倍、法定休日の出勤は通常より35%増した賃金を支払わなければいけません。

参考:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省

5. 長時間労働を削減するための取り組み

長時間労働を削減するための取り組みは、次のとおりです。

  1. 情報共有や意識改革を意識する
  2. 業務内容を見直す
  3. 人事評価基準を見直す
  4. 経済的な補完を検討する
  5. 調査によって状況を把握する

それぞれ詳しく解説します。

5-1. 情報共有や意識改革を意識する

長時間労働を削減するため、情報共有や意識改変を意識しましょう。働き方改革が進むことで、長時間労働の是正を実現できます。取り組み例は以下を参考にしてください。

  • 夕礼にて仕事の状況や残業時の内容を部署内のメンバーと共有する
  • 終業前に音楽を流すことで終業時間を意識付ける
  • 長時間労働を解消するプロジェクトを提案する

組織全体を巻き込んだ取り組みを実施することで、部署をまたいだ情報共有も促進できます。

5-2. 業務内容を見直す

長時間労働を防ぐために、業務内容を見直しましょう。業務内容が原因で長時間労働が発生している場合、見直すことで根本を対策できます。

例えば、過剰品質だったり二度手間だったりする仕事などは、無駄な仕事なため見直しが必要です。業務が習慣化されている状態で問題点を洗い出すのは難しいので、ほか部署のメンバーも交えて検証することが重要といえます。

5-3. 人事評価基準を見直す

長時間労働が目立つ場合は、人事評価基準を見直しましょう。長時間労働をしなくても評価される基準を作ることで、無駄な労働を防げます。

特に、「昔は遅くまで仕事をした」などの個人の感情が関わる評価基準は適切ではないため、見直しが必要です。

正確に評価基準を見直すために、社労士などの専門的意見も参考にしましょう。

5-4. 経済的な補完を検討する

従業員が経済的な理由で残業している場合は、経済的な補完を検討してください。残業しなくても経済的に問題ない状況を作ることで、不必要な残業を防止できます。

経済的に補完する手段としては基本給の引き上げが一般的ですが、難しければ残業しないことでインセンティブを付与する手もあります。

「残業しなかった人へ手当を支給する」などが具体的な例です。従業員の残業をなくすことで、集中力やモチベーション向上の効果も期待できるでしょう。

5-5. 調査によって状況を把握する

長時間労働を対策する際は、調査により状況を把握しましょう。現場の状態や働き方改革の影響を把握することで、どのように長時間労働を対策するべきかが見えてきます

調査は、第三者機関を使った完全匿名のアンケートを活用すると効果的です。従業員の本音が出やすい形式であるため、実態を隠すことなく把握できます。

アンケートは一度で終わらせるのではなく、定期的に続けることで今後起きる問題の把握が可能です。

6. 長時間労働の削減に取り組み従業員が働きやすい環境をつくろう

今回は、長時間労働について紹介しました。長時間労働は企業イメージの低下や労働生産性の低下などを招くため、対処するべき問題といえます。

業務環境を調査した上で要点を見直し、必要に応じて経済的な補完をおこなうなどの工夫を施しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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