看護休暇の改正ポイントは?概要や企業の対応をわかりやすく解説
更新日: 2026.6.2 公開日: 2025.7.3 jinjer Blog 編集部

近年、仕事と家庭の両立を支援する法整備が進むなか、育児・介護休業法に基づく「看護休暇」も注目を集めています。
特に、共働き世帯の増加の社会的背景を受け、看護休暇がより柔軟かつ実用的に活用できるよう法改正がおこなわれました。今回の改正により看護休暇は取得しやすくなりましたが、従業員が安心して制度を活用するためには、企業側の適切な対応が不可欠です。
本記事では、看護休暇制度の改正の背景や主な変更点、企業が取るべき対応について、わかりやすく解説します。改正内容を正しく理解し、柔軟な社内制度の整備を進めていきましょう。
育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
本資料では、最新の法改正にスムーズに対応するための実務ポイントを網羅的に解説します。
◆この資料でわかること
- 育児・介護休業法の基本と最新の法改正について
- 給付金・社会保険料の申請手続きと注意点
- 法律で義務付けられた従業員への個別周知・意向確認の進め方
- 子の看護休暇や時短勤務など、各種両立支援制度の概要
2025年10月施行の改正内容も詳しく解説しています。「このケース、どう対応すれば?」といった実務のお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 看護休暇とは?


看護休暇とは、労働者が子の看護を理由に取得できる休暇です。まずは看護休暇とはどのような制度なのか、企業の義務も含めて確認しておきましょう。
1-1. 正式名称は「子の看護休暇」
看護休暇とは、正式名称を「子の看護休暇」といいます。小学3年生修了までの子が、病気やケガをした際や、予防接種・健康診断などを受けさせる際などに取得できます。
さらに、2025年4月からは、感染症に伴う学級閉鎖などにより、子の世話が必要になった際は、子が罹患していなくても取得が可能になりました。また、同時期に入園式・卒園式・入学式への参列も取得事由として認められるようになっています。
取得事由や対象となる労働者などについては、「2. 【2026年最新】看護休暇取得の条件や対象者」にてより詳しく解説します。
1-2. すべての企業に義務化されている
子の看護休暇の設置は、企業の規模や業種を問わずにすべての企業に義務付けられています。2002年に制度ができた際には、「努力義務」とされていましたが、2005年からは義務化されました。
また、子の看護休暇は労働者の権利です。そのため、「今休まれると困る」「人手が足りない」などの理由で、休暇の希望を拒むことはできません。
子の看護休暇が大幅に拡充された背景には、共働き世帯の増加に伴い、より柔軟な働き方の支援が必要になっているからです。企業はこうした背景を理解し、労働者が子育てと仕事を両立できるようにサポートする必要があります。
2. 【2026年最新】看護休暇取得の条件や対象者


子の看護休暇は2025年10月に改正されました。最新の取得条件や対象者などを把握しておきましょう。
2-1. 対象となる子の範囲
子の看護休暇を取得できるのは「小学3年生修了までの子を養育する労働者(日々雇用を除く)」です。
対象となるのは小学3年生生修了までの子(0歳から小学校3年生の終わりまで)であり、4年生以上の子は対象になりません。
なお、以前は対象となる子の範囲が「小学校就学の始期まで」とされていました。改正されて対象範囲が広がっているため、申請があった際は最新の情報で対応しましょう。
2-2. 取得事由
子の看護休暇の取得事由は、対象となる子が以下の条件に当てはまった場合です。
- 病気、けがをした子の看護をする場合
- 子に予防接種・健康診断を受けさせる場合
- 感染症に伴う学級閉鎖等になった子の世話をする場合(子が感染症に罹患していなくても取得可能)
- 子の入園式、卒園式、入学式に参列する場合
以前は学級閉鎖への対応や、入園式などへの参列は取得事由として認められていませんでした。改正されて取得事由も広がっているため、希望があった際は取得事由と最新の改正内容を十分に確認して判断しましょう。
2-3. 取得可能日数・単位
子の看護休暇を取得できる日数と単位には制限があります。
取得できる日数:対象となる子が1人の場合は、1年間に5日まで。対象となる子が2人以上の場合は、1年間に10日まで。
取得単位:1時間単位および1労働日単位
なお、ここでいう「1年間」とは、事業所が定めていない場合は毎年4月1日~翌年3月31日です。
2-4. 看護休暇中の賃金
子の看護休暇中の賃金については、会社の判断に委ねられています。つまり無給でも問題はなく、多くの企業では無給の休暇として取り扱っています。
取得単位が時間や日単位であるため、無給でも労働者の生活に大きな影響を及ぼさないという観点から、無給とする企業が多いようです。
一方で、子育て支援に力を入れている企業では、有給の休暇として取り扱うケースもあります。企業によって判断が分かれる部分であるため、運用方針を明確にし、就業規則などで周知して勘違いを防ぐようにしましょう。
3. 看護休暇改正の概要


看護休暇は2025年4月1日と、同年の10月1日に法改正が実施されます。どのような改正がおこなわれてきたのか見ていきましょう。
3-1. 2025年4月1日改正
看護休暇は2025年4月1日より、以下のように拡充されました。
| 改正内容 | 改定前 | 改定後(2025年4月1日~) |
| 名称 | 子の看護休暇 | 子の看護等休暇 |
| 対象 | 小学校就学の始期まで | 小学校3年生終了まで |
| 取得事由 | ・病気
・ケガ ・予防接種 ・健康診断 |
・病気
・ケガ ・予防接種 ・健康診断 ・感染症による学級閉鎖など ・入園(入学)式・卒園式 |
| 対象外の従業員 | ・週の所定労働日が2日以下
・継続雇用期間が6ヵ月未満 |
・週の所定労働時間が2日以下
(※雇用期間の要件が撤廃) |
| 代替措置 | ・育児休業制度に準ずる措置
・始業時刻の変更 |
・育児休業制度に準ずる措置
・始業時刻の変更 ・テレワークの活用 |
| 残業免除の対象者 | 3歳未満の子を養う従業員 | 小学校就学前の子を養う従業員 |
この改正では、「雇用期間6ヵ月未満の従業員」への適用拡大や、残業免除の範囲拡大などにより、多様な働き方・雇用形態の従業員にも看護休暇が活用しやすい環境となりました。
3-2. 2025年10月1日改正
2025年10月1日から、育児休暇はさらに強化され、一定の措置が義務化されました。
| 選択して講ずべき措置 | 詳細 |
| 始業時刻の変更 | フレックスタイム制や時差出勤など、1日の所定労働時間を変更しない方法で勤務時間の柔軟性を確保 |
| テレワーク | 月に10日以上利用可能な在宅勤務などの勤務制度の導入 |
| 保育施設の設置・運営 | 社内託児所、ベビーシッターの手配や費用補助など |
| 養育両立支援休暇の付与 | 年に10日以上利用可能な特別休暇制度 |
| 短時間勤務制度 | 1日あたりの労働時間を原則6時間とする勤務制度 |
企業は、以下のタイミングで対象制度の内容を各従業員に説明し、意向を確認する必要があります。
- 従業員本人または配偶者の妊娠・出産の申し出があったとき
- 従業員の子が3歳を迎える前
聴取結果を踏まえ、勤務形態や労働条件を調整する配慮が求められます。通勤困難な状況であればテレワークを優先する、育児負担が大きい時期には短時間勤務を提案するなど、個別の事情に応じた柔軟な対応が重要です。
4. 看護休暇改正の背景


看護休暇制度の改正の背景には、共働き世帯の増加にともなう「仕事と育児の両立」のニーズの高まりがあります。
厚生労働省の調査によれば、共働き世帯の数は年々増加しており、2022年には1,247万世帯に達しました。社会の変化を受け、政府は育児支援策の強化を図っています。
看護休暇は、過去にも複数回の見直しがおこなわれてきました。従来の制度では「小学校就学前まで」など、対象年齢が限定的であり、十分に実態に即しているとはいえませんでした。
今回の改正で男女問わず仕事と育児の両立がしやすくなるよう、対象年齢の引き上げや取得事由の拡大など、制度の柔軟性がさらに高められたのです。
また、テレワークや時短勤務など、ほかの柔軟な働き方との連携を前提とした仕組み作りが進められています。単なる「看護休暇の拡充」にとどまらず、より現実的に仕事と育児を両立できる社会の実現を目指しているのです。
企業に制度運用の工夫や環境整備が求められる一方で、従業員側も制度を正しく理解し活用することが求められます。
5. 看護休暇改正のポイント


看護休暇改正のポイントは以下のとおりです。
- 子どもの対象範囲や取得事由の拡充
- 看護休暇を取得できる対象者の範囲の見直し
- 取得可能日数や賃金の取り扱いは継続
5-1. 子どもの対象範囲の拡大や取得事由の拡充
看護休暇の改正によって、子どもの対象範囲や取得事由が拡大されました。
従来は、看護休暇の対象が「小学校就学の始期まで」と定められていましたが、法改正によって「小学校3年生修了まで」に拡充されました。
小学校入学後の子どもも親の付き添いが必要な場面が多いため、実態に即した制度になったといえるでしょう。
取得できる理由も広がり、従来の病気・ケガ、予防接種や健康診断に加え、感染症による学級閉鎖や入園・入学式、卒園式への参加も含まれるようになりました。
看護休暇は、単なる「看護のための休暇」から、育児全体をサポートする柔軟な制度へと進化しています。
5-2. 看護休暇を取得できる対象者の範囲の見直し
看護休暇を取得できる対象者の見直しも、法改正の大きなポイントです。
「継続雇用期間が6ヵ月未満」の従業員は看護休暇の対象外とされていましたが、今回の改正によって撤廃されました。
入社直後の従業員も看護休暇の対象となり、急な子どもの病気や学校行事に対応しやすくなったのです。
ただし、週の労働日数が2日以下の従業員については、労使協定を締結することで対象から除外できます。制度の変更に伴い、企業は就業規則や雇用契約書を見直し、従業員に周知しなければなりません。
5-3. 取得可能日数や賃金の取り扱いは継続
看護休暇の法改正により対象年齢や取得理由の拡充がおこなわれましたが、取得可能日数や賃金の取り扱いには変更がありません。
| 条件 | |
| 取得可能日数 | 年間で最大5日間
(対象となる子が2人以上の場合は10日間) |
| 取得単位 | 1日単位または1時間単位 |
| 賃金 | 有給・無給は企業に委ねられる |
看護休暇を1時間単位で取得する際は、原則として始業時刻から連続、または終業時刻に向けて連続で取得する必要があります。中抜けでの取得は、原則として認められていません。
また、看護休暇中の賃金については、法律上の支給義務がないため、有給にするか無給にするかは企業の裁量に委ねられます。
企業内のほかの制度とのバランスを考慮しながら、社内ルールを明確に設定しましょう。
6. 看護休暇改正にともなう企業の対応


看護休暇改正にともない、企業は以下のような対応をする必要があります。
- 就業規則の見直し
- 従業員への周知
- 看護休暇に対する理解を深める
6-1. 就業規則の見直し
企業は法改正にともない、就業規則を見直す必要があります。具体的には、以下のような修正が必要です。
- 子どもの対象年齢の拡大
- 取得事由の拡大
- 勤続6ヵ月未満の従業員の除外規定の削除
- 時間単位での取得
- 申請・承認手続きの明確化
法改正の内容を反映した就業規則の整備は、適切な制度運用とトラブル防止につながるため、早急な対応が求められます。
また、制度を導入する際は労働基準監督署への届け出が必要な場合があるため、専門家などの助言を受けながら整備を進めるとよいでしょう。
6-2. 従業員への周知
法改正にともなう看護休暇制度の変更を実際に活用される制度として機能させるためには、従業員への的確な周知が不可欠です。従業員が制度を知らなければ、制度を整えても形だけのものになるでしょう。
以下のような社内ツールを活用し、わかりやすく丁寧な情報提供をおこなうことが重要です。
- 社内説明会の開催
- 社内報や社内メールでの案内
- 掲示板で制度概要の掲示
- 就業規則の改訂内容を解説したパンフレットの配布
また、制度の利用にあたり不安や疑問を抱える従業員も少なくありません。質問や相談に対応できる窓口を設けることで、従業員が安心して制度を利用できる環境を整えられるでしょう。
従業員に周知することで看護休暇制度が社内に浸透し、育児と仕事の両立を支援する企業文化の醸成につながります。
就業規則の見直しとあわせて、制度内容を周知する体制を構築し、看護休暇の積極的な活用を促すことが重要です。
6-3. 看護休暇に対する理解を深める
従業員に対しては、周知に加えて、看護休暇の必要性や目的に対する理解を深めてもらう必要があります。
未婚の従業員や子育てが終わっている従業員は、看護休暇に対する理解が不十分になることがあります。その結果「休まれては困る」「昔はそんな制度なかったのに」といった声が上がる可能性があり、そうした空気があると看護休暇を取得しにくくなります。
子育てをしている従業員だけでなく、全従業員に看護休暇への理解や、時代の変化を理解してもらうことが大切です。
7. 企業独自の看護休暇制度はアピールになる


子の看護休暇制度は、改正が繰り返されてより活用しやすい制度になりました。しかし、法定の内容では十分でない部分もあります。
子育てをする従業員が看護休暇を取得しやすいように、制度をより充実させることも検討してみましょう。福利厚生が手厚い企業としてのアピールにもなります。
7-1. 有給休暇として扱う
子の看護休暇は無給が一般的ですが、有給扱いにすることは問題ありません。無給扱いの場合は、看護休暇を取得すると給料が減ってしまうため、給与が低い従業員は生活を考えて取得を見送ることも考えられます。そうした従業員も子育てに力を入れられるように、有給化することは大きなプラスになるでしょう。
有給とする場合は、賃金の計算方法を明確にしておく必要があります。せっかくの制度がトラブルの引き金にならないように、しっかりと整備したうえで導入しましょう。
7-2. 対象となる子や取得事由の拡充
現在の子の看護休暇を取得できる子どもの年齢は「小学校3年生修了」までとされています。しかし、4年生以上でも病気やケガの際は付き添って看護したい、卒業式には出たいと願う従業員も多いはずです。こうしたニーズに応えるために、対象となる子の年齢を引き上げたり、取得事由をより拡充するなどの対応を検討してもよいでしょう。
また、障害がある子どもや特殊な事由がある場合など、個別の対応も考えておくとより手厚くなります。
7-3. 日数や取得単位の柔軟化
子の看護休暇を取得できる日数は、子どもが1人の場合は1年間で5日までです。しかし、インフルエンザをはじめとした感染症や重病、骨折などの重傷の場合は、5日の休暇では不十分です。また、ひとり親世帯は、会社を休んで対応しなければならない状況が増加することが考えられます。
さまざまな状況や事情に対応できるように、取得日数や単位を柔軟化するのも看護休暇制度の上乗せとして挙げられます。
8. 看護休暇の改正における柔軟な社内制度を整備しよう


2025年4月1日施行の「子の看護等休暇」は、育児と仕事の両立を強力に後押しする制度へと進化しました。
看護休暇は、子育て世代にとって大きな支援策であり、企業にとっても従業員の離職防止・働きやすさの向上につながる制度の一つです。企業が柔軟な運用・制度整備をおこなうことで、従業員満足度と生産性を両立できるでしょう。
しかし、法定の制度では不十分な部分もあります。企業独自の制度として、有給として取り扱ったり、対象者や取得事由を拡充するなどの上乗せも検討してみましょう。従業員の安心感が増し、帰属意識が高まるというメリットがあります。
今後も、育児に関する制度はアップデートされていくことが予想されます。最新情報のキャッチアップと社内整備を継続的におこない、働きやすい職場づくりを進めていきましょう。



育児・介護休業に関する法改正が2025年4月と10月の2段階で施行されました。特に、育休取得率の公表義務拡大など、担当者が押さえておくべきポイントは多岐にわたります。
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