生活残業とは?企業への影響と対策法を徹底解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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生活残業とは?企業への影響と対策法を徹底解説

「生活残業とは何か、詳しく知りたい」

「従業員の生活残業を減らす効果的な方法を知りたい」

上記のような悩みがありながら「生活残業を黙認するしかない」と、諦めている人事労務担当の方もいるのではないでしょうか。

生活残業とは、なくても業務に支障がでない不要な時間外労働です。企業には支払うべき残業代が増加するなどの影響があります。しかし、急な制度改定による残業禁止などの対策は、生活のために残業している従業員の不満になりかねません。

本記事では、生活残業が多い理由や、企業への影響と対策方法を徹底解説します。

不要な時間外労働が発生する理由がわかれば、自社に合った生活残業への対策方法を見つけやすくなるため、ぜひ参考にしてください。

1. 生活残業とは生活費を稼ぐための不要な時間外労働

生活残業は、生活費を稼ぐことを目的とした時間外労働で、残業しなくても業務に支障はないことがほとんどです。

厚生労働省の労働時間に関する調査によると、約1割の人が残業時間を増やしたいと考えています。残業の増加を希望する人のうち、7割近くが残業代を稼ぎたいことを理由にあげている状況です。

残業時間が制限されるようになったものの、残業代のために時間外労働する従業員は減らず、対策を迫られている企業は多いといえます。

参考:労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(速報値)|厚生労働省

2. 生活残業をする従業員が多い要因

従業員による生活残業が多い要因には、以下のようなことが考えられます。

  1. 基本給が低く残業代がなければ生活が厳しい
  2. 自由に残業できる
  3. 長時間労働を評価する人事制度がある

なぜ不要な時間外労働が増える原因といえるのか、順に見ていきましょう。

2-1. 基本給が低く残業代がなければ生活が厳しい

基本給の金額の低さは、生活残業を発生させる理由の一つです。

近年では物価高や円安、燃料費高騰などの影響で、食料品や生活必需品、電気料金などあらゆるもののコストが増えています。このため、基本給の金額によっては、生活が苦しくなっている従業員も少なくありません。

残業代で稼がなければ生活が厳しい状況も、不要な時間外労働が増える原因といえます。

2-2. 自由に残業できる

時間外労働を規制するルールがないことも、生活残業をする従業員が増える要因です。上司の承認がなければ残業できないなどのルールがある場合、残業代のためだけの時間外労働はできません。

特別な制限がなく自由に時間外労働できる職場環境では、生活残業が発生しやすくなります。

2-3. 長時間労働を評価する人事制度がある

業務の効率だけでなく長時間労働を評価する社風の場合も、生活産業が増えます。

日本においては、残業せずに定時退社すると評価されない企業もある状況です。労働時間の長さが人事評価や査定につながる社風では、急ぎの業務がなくても残業する従業員が増えやすくなります。

3. 生活残業をする人の特徴

生活残業をする人の特徴として、以下が挙げられます。

  • 繁忙期も閑散期も残業時間が変わらない
  • 効率よく業務を進める意欲が見られない
  • 急ぎではない業務を終業時間の間際に始める
  • 不要な離席や休憩が多いまたは長い

至急対応するべき業務があるからではなく、残業代を稼ぐためなので残業時間が一定している点が特徴です。また、長めに休憩を取ったり勤務中に集中力がなかったり、生活残業する人は意欲的に業務を進める姿勢は見えにくいでしょう。

明日の処理でも問題ない業務を、終業時間の近くに始める行為も生活残業する従業員の特徴です。

4. 生活残業で企業が受ける影響

生活残業の発生で企業が受ける影響は、以下のとおりです。

  1. 不要な残業により人件費が増加する
  2. ほかの従業員のモチベーションが低下する
  3. 残業時間が多いと労働基準監督署から指導を受ける

具体的にどのような影響があるのか、順にみていきましょう。

4-1. 不要な残業により人件費が増加する

本来、生活残業は必要ない時間外労働です。不要であっても従業員が残業した事実がある以上、企業には賃金の支払い義務が生じます

不要な時間外労働への残業代の支払いは、企業にとっての損失であり、利益を減らす要因です。企業の利益を減らさないためにも、不要な生活残業を減らすための対策が必要不可欠といえるでしょう。

4-2. ほかの従業員のモチベーションが低下する

企業には効率を考えて業務をこなし、必要なときだけ残業する従業員もいます。生活残業を黙認していると、必要なときだけ残業している従業員が不満を持ちモチベーションが下がりかねません

モチベーションが低下した従業員が退職すると、優秀な人材を失う原因になります。人手不足が深刻化している企業も多い中で、人材の流出を防ぐためにも生活残業への対策は極めて重要です。

4-3. 残業時間が多いと労働基準監督署から指導を受ける

生活残業による時間外労働が多いと、労働基準監督署の指導が入る可能性があります。

厚生労働省が定める残業時間の上限は、1週間あたりの所定労働時間が40時間を超える場合で、1ヵ月45時間、年間では360時間です。残業時間の上限を超えた従業員がいると法令違反となるため、企業の人事労務や経理の責任者が労働基準監督署から指導を受けます。

残業時間が上限を超える状況が常態化していると、法的な責任が発生する可能性もあるため、不要な時間外労働の対策が欠かせません。

参考:労働時間制度について|厚生労働省

5. 生活残業を防止する方法

従業員による生活残業を防止するための方法は、以下のとおりです。

  1. 給与体系を見直す
  2. 残業を評価しない人事制度に改定する
  3. 正当な理由がない場合に残業できない仕組みにする
  4. ノー残業デーを設定する

どのようにして対策するのか、順に説明します。

5-1. 給与体系を見直す

自社の給与体系の見直しは、生活残業を防止する対策として有効です。

給与体系の見直しで基本給の額が上がれば、残業が減る可能性が高まります。基本給の金額で生活費に不足がなければ、残業代で稼ぐ必要がなくなることが理由です。

企業には基本給の支出は増えるものの、割り増しで支払わなければいけない残業代が少なくなり損失を減らせるメリットがあります。

5-2. 残業を評価しない人事制度に改定する

人事制度の改定でも、不要な時間外労働を減らせます。長時間労働を評価する社風は、必要ない残業を増やす原因です。長時間労働が評価されない人事制度になれば、査定を下げたくないと考える従業員の生活残業を少なくできます。

労働時間が長くても成果が出ていなければ査定が上がらない人事制度への改定で、生活残業の減少が期待できるでしょう。

5-3. 正当な理由がない場合に残業できない仕組みにする

申請式にして、残業するべき正当な理由がない限り時間外労働をできない制度の導入でも、不要な残業を減らせます。

生活残業では緊急性が低い業務を、時間外に処理する従業員が多い傾向です。このため、本当に緊急性の高い業務がある場合を除いて、上司の許可がなければ残業できない制度の導入が生活残業の防止に有効といえます。

ただし、本当に必要な場合に残業を申請できない空気にならないよう、上司による過剰な取り締まりがないよう配慮が必要です。

5-4. ノー残業デーを設定する

ノー残業デーを設定するのも、生活残業を減らす方法の一つです。生活残業が多い場合でも、ノー残業デーとうたえば定時退社しなければいけない空気を作れます。

特定の曜日など定期的に残業できない日があれば、業務の効率を考えるような意識改革も期待できるでしょう。

6. 生活残業による影響を理解して適切に対策しよう

生活残業は、残業代を稼ぐためにおこなう不要な時間外労働です。

不要な残業が多い企業には、以下のような影響があると考えられます。

  • 不要な残業による人件費が増加する
  • ほかの従業員のモチベーションが低下する
  • 残業時間が多いと労働基準監督署から指導を受ける

不要な残業代の支払いや、モチベーションが低下した従業員の退職による人材流出は、企業にとっての損失です。また、上限を超えた生活残業が多いと、法令違反として労働基準監督署の指導を受けることになります。

自社の生活残業の現状と受ける影響を理解し、適切な対策方法の検討が必要です。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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