人事情報のクラウド化とは、クラウドにデータをアップロードすることで人事情報を一元管理することです。クラウド化には、テレワークなど多様な働き方を実現できる、組織の生産性が向上するなどのさまざまなメリットがあります。本記事では、人事情報をクラウド化するとできること、クラウド化するメリット、効率的な使い方などを紹介します。

1. 人事情報のクラウド化とは

人事情報のクラウド化とは、インターネットを用いて従業員の人事情報を一元管理することを指します。インターネット上のサーバーを利用するため、物理的なサーバーを設置したり、一台一台のパソコンにソフトウェアをインストールしたりする必要がありません。インターネット環境があればどこでも利用できるため、テレワークなど多様な働き方にも対応できます。

2. 人事情報をクラウドで管理すると何ができる？

人事情報をクラウドで管理すると、どのようなことができるようになるでしょうか。ここではまず、クラウド化によって可能になることや機能についてご紹介します。

2‐1. 人事情報の可視化ができる

クラウド型人事管理システムは、人事情報が可視化できます。人事情報は人事部の一部しか閲覧できず、ブラックボックス化している企業も多いのではないでしょうか。クラウド化すれば、人事情報を可視化できるので「評価基準が分からない」という悩みを解決できるでしょう。さらに、可視化できれば、どこが問題になっているのか分かりやすくなります。そのため、スピード感を持って解決できるようになるでしょう。

2‐2. 人事評価が可能になる

クラウド型の人事管理システムは、人事評価に利用することも可能です。管理システムでは、業務の成果はもちろん、社員一人ひとりの特性や仕事のプロセスなど、見えにくい部分まで管理・把握できます。適切な人事評価ができれば、従業員のモチベーションも大きくアップするでしょう。その結果、生産性向上につながる可能性があります。

2‐3. 人材の配置が容易になる

システムによって人事情報を効率的に管理・分析できれば、適材適所に人材を配置できるようになるでしょう。近年、従来の採用活動や給与支払いなどの仕事に加え、経営的な視点を持って人材の配置を行う「戦略人事」も求められることが多くなりました。システムを活用すれば、こうした人材配置に関する工数やコストを抑えられるでしょう。

3. 人事情報をクラウド化するメリット

人事情報をクラウド化することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、クラウド化のメリットについてご紹介します。

3‐1. どこでも使うことができる

クラウド化すると、インターネットにつながる環境であれば、どこでも人事情報にアクセスすることができます。また、パソコンだけでなく、スマホやタブレットでも利用できるシステムも多いため、出張中やリモートワークなど、多様な働き方に対応できるでしょう。

3‐2. さまざまな情報を管理できる

クラウド型の人事管理システムは、人事に関わるさまざまな情報を一元管理できます。例えば、以下のような情報です。

給与や勤怠管理

毎月の給与、残業代、労働時間の合計、遅刻早退の有無などが管理できます。法令改正にも対応でき、雇用形態にかかわらず管理しやすいのが特徴です。

人事評価や人材戦略マネジメント管理

社員のスキルや適性の管理、資格取得などの育成情報を一元化して管理できます。分析も行えるため、戦略マネジメントに活用することも可能です。

業務効率化につながる

クラウド型システムは共通のデータベースに人事情報を集約しているので、入力された情報はリアルタイムで関連システムに反映させることができます。勤怠管理、労務管理、給与計算などに必要な情報をすぐに共有できるため、業務効率化につながるでしょう。

3‐3. 自動でアップデートされる

クラウド型システムは、自社ではなくベンダー側が管理しています。サービスのアップデートや法改正などの対応があった際に、使いやすいように機能の改善や新規追加などが行われています。無料で自動アップロードされるため、常に最新のシステムを使うことができることもメリットです。

また、システムによっては、働き方改革関連法へも対応可能です。働き方改革の推進は、職場環境の把握や36協定の改正による残業の上限規制への対応などが含まれています。日々の人事業務を行いながら、これらの法改正に対応するのは難しい面もあるでしょう。対応しているシステムを使えば、法律に対応した管理を実現できるため、業務効率化につながります。

3‐4. 勤怠や給与計算との連携も可能

クラウド型システムは共通のデータベースに人事情報を集約しているので、入力された情報はいリアルタイムで関連システムに反映させることができます。特に、勤怠管理や給与管理システムなど、すでにツールを導入している場合は、連携できるシステムを選ぶことがおすすめです。連携できないシステムの場合、勤怠管理システムや給与管理システムにそれぞれ数値を入力しなくてはならないことがミスにつながる恐れもあります。

連携できるシステムであれば勤怠管理、労務管理、給与計算などに必要な情報をすぐに共有できるため、業務効率化につながります。

3‐5. コストを抑えられる

クラウド型人事管理システムは、物理的な機器を購入する必要がないため、導入や運用にかかるコストを抑えられます。物理的な機器を設置する従来のオンプレミス型の場合、初期導入費用やサービスの管理やトラブル対応にランニングコストがかかります。

クラウド型システムは、一般的にオンプレミス型よりも初期導入費用やランニングコストを抑えられます。さらに、機器の設置が必要ないため、申し込みから短期間でサービスを利用できるのも大きなメリットです。

3‐6. 自社でセキュリティ対策をしなくてもよい

「サーバーを介するシステムはセキュリティ面が不安」という企業も多いのではないでしょうか。しかし、近年クラウドサービスが一般化してきたこともあり、セキュリティ水準が向上しています。さらに、定期的にセキュリティシステムも更新され、最新のものになっています。

オンプレミス型の場合、ファイアウォールや侵入検知システムなどを、自社で導入・運用しなくてはいけません。そのため、自社に専門的な知識を持った人がいない場合、新しく人材を募集する必要があります。

クラウド型人事管理システムを導入しているベンダーは、法人に安心して利用してもらうため、万全のセキュリティ対策を施している場合が多いです。全通信の暗号化、暗号化された通信の常時監視、第三者による脆弱性診断など、さまざまな対策が行われています。セキュリティ対策に力を入れているシステムを選べば、自社でコストをかけずに高いセキュリティレベルを保てるでしょう。

その一方で、クラウドシステムを採用することで起こりうる課題なども事前に把握しておかなければなりません。
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4. クラウドを使いこなしてテレワークの課題も解決

クラウド型人事管理システムを利用すれば、インターネットにつながる場所であればどこでもシステムを利用することができます。パソコン、タブレット、スマホなど、さまざまなデバイスで利用することができるので、出張中やテレワークなど、さまざまな働き方に対応できます。業務効率化にもつながるので、クラウド型人事管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。