養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?申請期間や必要書類を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?申請期間や必要書類を解説

養育中の家族

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置は、子育てと仕事の両立に対する不安を払拭し、次世代育成支援の拡大を目的とした制度です。

子育てのために短時間労働を選択した場合、もちろんですが給料も減少します。給料が減ると将来の年金額を算定するための標準報酬月額も下がるため、不安に感じる方が多いでしょう。

本措置の適用を受ければ、子育て期間中に給料が減少しても、将来の年金額に影響を与えません。

事業主は、子育て中の従業員に対して養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を案内し、積極的な活用を提案しましょう。

本記事では、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の概要や手続き方法、注意点などをご紹介します。子育て世代の従業員を抱える事業主や労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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年度更新定時決定随時改定と、労務担当者は給与の改定と並行して、年間業務として保険料の更新に関わる業務を行う必要があります。

一方でこのような手続きは、実際に従業員の給与から控除する社会保険料の金額にダイレクトに紐づくため、書類の記入内容や提出はミスなく確実に処理しなければなりません。しかし、書類の記入欄は項目が多く複雑で、さらに申請書や届出にはそれぞれ期限があり、提出が遅れた場合にはペナルティが課せられるケースもあります。

当サイトでは社会保険の手続きをミスなく確実に完了させたい方に向け、「各種保険料の更新・改定業務のマニュアル」を無料配布しております。

ガイドブックでは、年度更新の申請書から定時決定における算定基礎届随時改定時の月額変更届、さらには賞与を支給した場合の支払報告書書き方から、記入例、提出方法までまでを網羅的にわかりやすくまとめているため、「社会保険の更新・改定業務のマニュアルがほしい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

1. 養育期間の「従前標準報酬月額のみなし措置」とは

事務処理の結果をPCに入力する人

養育期間の「従前標準報酬月額のみなし措置」とは、子どもを養育する前の標準報酬月額で算出された年金額を受け取ることができる制度です。

育休明けは短時間勤務を選択する従業員が多く、標準報酬月額が下がる傾向にあります。将来受け取れる厚生年金の額は標準報酬月額で決定するため、標準報酬額が下がると受け取れる年金額も下がる仕組みです。

本措置は、子育てで標準報酬月額が下がった場合も将来の年金額を下げず、安心して育児をしてもらうことが目的です。

事業主が従業員に対してアナウンスする義務はありませんが、育児休暇明けの被保険者には積極的に声掛けをおこないましょう。

2. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の対象

笑顔の女性

養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置は、3歳までの子どもを養育する被保険者が対象となります。3歳までであれば、実子に限らず養子も対象です。

対象となる子どもを養育する前に退職した場合でも、3歳になるまでに再就職した場合は本措置を受けられます。

ただし、子どもの養育を開始する月の前月より1年以内に厚生年金の被保険者期間がない場合は、対象外となるので注意しましょう。

被保険者の性別に条件はないため、男性でも女性でも適用を受けられます。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の対象例

  • 育児休業終了後に短時間勤務を選択する方
  • 育児休暇を取得していないが、短時間勤務により標準報酬月額が下がった方
  • 出産をきっかけに退職したが、新たに就職した方(ただし1年以内に被保険者であった方限定)
  • 夫婦で共働きの場合はそれぞれの方(子どもの母親だけではなく父親も可)

3. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の手続き

PCで手続きを行う人

養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の適用を受けるためには、事業主による手続きが必要です。

従業員から申し出があった事業主は、年金事務所に必要書類を提出しなければいけません。退職などにより、申告する時点で被保険者でない場合は本人が直接提出します。

提出先は日本年金機構が運営する事務センターまたは管轄の年金事務所で、提出方法は窓口持参、電子申請、郵送のいずれかです。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の手続き

提出する時期 被保険者から申し出があったとき
提出する者 事業主(退職している場合は本人)
提出先 ・事務センター

・管轄の年金事務所

提出方法 ・窓口持参(年金事務所のみ可)

・電子申請(24時間申請可)

・郵送

窓口持参を選択する場合、提出先は年金事務所のみで、事業所の所在地を管轄する年金事務所となっています。年金事務所の管轄区域は、日本年金機構の公式ホームページで確認してください。

電子申請はインターネット環境であれば24時間申請可能で、時間やコストを削減できます。積極的に活用するとよいでしょう。

参考日本年金機構 | 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

4. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の必要書類

書類をめくる人

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を受けるために必要な書類をご紹介します。

提出前にすべての書類が揃っているかを確認し、漏れのないようにしましょう。

4-1. 必要書類

提出する書類は、「養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」です。

「養育期間標準月額特例申出書・終了届」は、日本年金機構のホームページでダウンロードできます。記入例もあるため、記入漏れや記入ミスなど不備がないようにしっかり確認しましょう。

4-2. 添付書類

「養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」に合わせて、いくつか添付書類を準備する必要があります。

被保険者の環境や条件に応じて添付書類が異なるため、注意しましょう。

全員共通 ・戸籍謄本(戸籍抄本)または戸籍記載事項証明書

・住民票の写し

事業主を経由しないとき、かつ個人番号を記載して提出するとき 【窓口提出の場合】

・マイナンバーカードを窓口で提示する

・マイナンバーカードを持っていない場合は、以下の(A)+(B)を提示する

【郵送提出の場合】

マイナンバーカードの表裏両面または以下の(A)+(B)のコピー

(A)マイナンバーが確認できる書類

・個人番号の表示がある住民票の写し

・通知カード(ただし、氏名や住所などが住民票の記載と一致する場合に限定)

(B)身分確認書類

・運転免許証

・パスポート

・在留カードなど

特別養子縁組のとき 事件係属証明書+住民票の写し
養子縁組里親に委託されている要保護児童のとき 措置決定通知書

事件係属証明書は家庭裁判所、措置決定通知書は自動相談所が交付する書類です。
添付書類はいずれも手元に届くまで時間を要します。役所などで発行される書類は90日以内に発行されたものが有効なので、早めの取得を促しましょう。

事業主が手続きをする場合、概要の説明だけではなく、必要書類や添付書類についても従業員に説明するとスムーズです。

参考:日本年金機構 | 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置

5. 養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の2つの注意点

注意マークをもっている

養育期間における従前標準報酬月額のみなし措置の注意点は、以下の2点です。

  1. 勤務先が複数ある場合は事業所ごとに申告書を提出する
  2. 養育期間が終了した場合は「終了届」を提出する

それぞれについて事業主がしっかり理解し、従業員に適切に説明しましょう。

5-1. 勤務先が複数ある場合は事業所ごとに申告書を提出する

本措置の適用を受ける期間に複数の事業所で勤務していた場合は、各事業所における被保険者期間ごとに申出書の提出が必要です。

なお、申請漏れがあった場合でも、2年間は遡及して申請できます。申請漏れに気づいた場合は、早めに手続きをおこなうよう従業員に提案しましょう。

5-2. 養育期間が終了した場合は「終了届」を提出する

一定の理由で養育期間が終了した場合は、「養育期間標準報酬月額特例終了届」の提出が必要です。手続きの必要性については下記を確認してください。

養育期間が終了した場合の手続きの有無

提出が必要なケース ・離婚などにより親権がなくなったとき

・養子に出したとき

・子どもが死んだとき

提出が不要なケース ・子どもが3歳になったとき

・退職で被保険者ではなくなったとき

・申告している子ども以外で特例措置をうけるとき

・申告する方が産前産後休業を開始したとき

・申告する方が育児休業を開始したとき

参考:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置|日本年金機構

本措置を終了する場合も、基本的には被保険者から申し出を受けた事業主が年金事務所に提出します。

6. 従前標準報酬月額のみなし措置を社員に適切に案内しよう

オンボーディングを行う女性

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置は、子育て中の方にとってメリットのある制度です。

日本では女性が育児休業を取得する傾向が多いため、男性の申し出は少ない現状にあります。男女問わず、子どもが産まれた従業員には本措置のことを案内するようにすると、申告漏れを防げるでしょう。

本措置を申告するにあたって、役所が発行する書類を添付する必要があります。制度の概要はもちろん、必要書類についても事業主や労務担当者が説明をおこない、早めの取得を依頼してください。

養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を適切に案内することで、従業員の仕事と子育ての両立を支援しましょう。

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