人事評価制度の最新トレンドとは?近年注目の手法の特徴と注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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人事評価制度の最新トレンドとは?近年注目の手法の特徴と注意点を解説

トレンド

働き方や経営環境の変化に伴い、人事評価制度では役割や成果、継続的なフィードバックなどが重視されています。ただし、注目される手法を導入するだけでは機能しないため、自社の目的や職種に合わせた設計が必要です。

今回は近年の人事評価制度のトレンドを解説します。注目される手法の比較や人事評価制度を導入・見直しする手順、運用時のポイントを整理しました。自社の課題に合う制度を選ぶ材料として、ぜひ活用してください。

関連記事:評価制度とは?導入する目的やメリット、作り方をわかりやすく解説

【自社にあった人事評価制度、設計できていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
適切に評価制度を運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上し、最終的には企業全体の成長にもつながるため、企業経営においてとても重要な要素です。

しかし「自社にあった最適な人事評価制度を作りたいが、そもそもやり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。

資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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1. 年功主義から能力主義への人事評価トレンド

能力主義のイメージ

日本では長らく、勤続年数の長さを重視する年功主義の人事評価をおこなってきました。年功主義とは、年齢や勤続年数を基準に賃金や役職を決める考え方です。

年功主義は安定感があり、企業への帰属意識を高められる一方、成果が処遇に反映されにくく、動機づけが弱くなります。生産性への影響も指摘されてきました。

1980年代以降、年功主義に代わってトレンドとなったのが能力主義です。能力主義とは、仕事を遂行する能力を評価する考え方をさします。

仕事を遂行する能力には、スキルや業務・専門分野に関する知識のほか、業務に対する姿勢なども含まれます。

1-1. 能力主義のメリット

能力主義のメリットは、スキルや能力がある人材を確保しやすい点です。年功主義では、優秀な人材でも勤続年数が短ければ、正当な評価が得られない傾向がありました。能力主義であれば勤続年数に関係なく、優秀な人材を評価しやすくなります。

能力主義は現在のスキルだけでなく、成果を出すまでのプロセスも考慮されるため、従業員の育成にも最適です。挑戦を評価する仕組みがあれば、積極的にスキルを身につけてステップアップしたいと考える従業員も増えるでしょう。

1-2. 能力主義のデメリット

能力主義のデメリットは、評価が曖昧になりやすい点です。能力主義は能力や姿勢などの数値化しにくい項目が評価対象で、勤続年数のようなわかりやすい数値がありません。

加えて、評価者の主観が入りやすく、不公平感が生まれるおそれもあります。公平な評価をおこなうには、評価基準の言語化や評価者の育成・研修が欠かせません。

2. 能力主義から結果重視への人事評価トレンド

評価

能力主義が広がる一方で、1990年代以降は結果を重視した人事評価が増えました。結果重視は、成果や業績に応じて人事評価をおこなう考え方です。

結果重視では、成果が上がらなければ昇給せず、減給になる場合もあります。

結果重視の人事評価が増えた理由としては、バブル崩壊による業績の悪化や、勤続年数の長い従業員の増加によって人件費が膨れ上がった点が挙げられます。

2-1. 結果重視のメリット

結果重視のメリットは、結果が処遇に直結し、動機づけがしやすい点です。従業員一人ひとりがスキルアップに励む環境が生まれ、個人の能力はもちろん、部署や企業全体の生産性も向上し、業績アップにつながりやすくなります。

結果重視は評価の根拠を数値で示しやすく、公平に評価しやすい点もメリットです。勤続年数の浅い従業員や若手の従業員であっても結果を出せば評価されるため、不公平感を抱きにくくなるでしょう。

2-2. 結果重視のデメリット

結果重視では従業員が個人プレーに走りやすい点に注意が必要です。

同じチーム内でも評価を競う関係が生まれ、ほかの従業員と協力しなくなったり、足を引っ張りあったりしてしまう場合があります。

結果的にチームワークの悪い部署・企業になり、職場環境が悪化するおそれもあるでしょう。

成果を出せる従業員と出せない従業員の差が開きやすい点もデメリットです。個人主義が強まれば、成果を出せない従業員をサポートする風土も生まれにくくなります。

メンタルヘルスの問題も挙げられます。「成果を出さなくては」というプレッシャーはストレスの原因となり、体調に悪影響をおよぼす従業員もいるでしょう。

3. 結果重視から役割主義への人事評価トレンド

人事評価

結果重視は個人の動機づけに有効な一方、職場環境の悪化や、メンタルヘルスの不調などのデメリットがあります。結果重視に代わり、2000年代以降トレンドとなりつつある人事評価制度が、役割主義です。

役割主義は従業員それぞれに期待する役割と、役割に基づく行動を評価する制度です。結果重視が「何を達成したか」を基準として評価するのに対し、役割主義では「期待される役割を果たしたか」が評価されます。

3-1. 役割主義のメリット

役割主義のメリットは、企業が従業員に何を求めているかを明確に伝えられる点です。従業員が自身で目標を決めて行動しやすくなり、主体的な行動を促せます。

役割の難易度や重要度によって処遇が決まるため、報酬の説明もしやすくなります。

とはいえ、従業員を正しく評価するには評価の基準やマニュアルが必要です。この基準やマニュアルをどのように作成するかがわからず、お困りの方も多いのではないでしょうか。

当サイトでは、公正な人事評価制度を作るための手順や、実際の評価を従業員に伝える際の注意点などを解説したガイドブックをお配りしています。こちらから無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

3-2. 役割主義のデメリット

役割主義のデメリットは、企業風土や業務ノウハウが整っていないと運用しにくい点です。従業員が主体的に動ける環境が整っていなければ、役割主義は機能しないでしょう。

役割の定義付けにも注意が必要です。役割の定義が曖昧だと、評価も属人的になり公平性を担保できなくなります。

4. 人的資本経営・人事データ・AI活用が人事評価に与える影響

デジタル人事マネジメントシステム

近年の人事評価では、人的資本経営の広がりや人事データの蓄積、AIの実用化が評価のあり方に大きく影響しています。それぞれのトレンドが人事評価に与える影響を解説します。

4-1. 人的資本経営が人事評価に与える影響

人的資本経営とは、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営の考え方です。

人的資本経営では、経営戦略の実現に必要な役割やスキル、行動を明確にし、人事評価の項目や基準へ反映する考え方が重視されます。評価項目が事業の方向性と結びつくため、従業員にも評価の意味を説明しやすくなるでしょう。

評価結果が処遇決定以外にも用いられる点も特徴です。人的資本経営では、人材ポートフォリオの把握や育成方針の策定、後継者育成などでも評価結果が検討材料として活用できます。

ただし、人的資本に用いられる指標が、そのまま個人の評価項目として活用できるわけではありません。開示指標や全社KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)は、組織全体の状態を示す数値にすぎず、個人の評価項目には適さないケースがあります。

4-2. 人事データ活用が人事評価に与える影響

人事データ活用とは、評価や勤怠、スキル、異動などの情報を集約し、意思決定に生かす取り組みです。人事システムの普及により、多くの企業で人事データが蓄積されるようになり注目を浴びています。

人事データが蓄積されると、評価理由を確認しやすくなります。人事評価の点数やコメントに、次のような人事データを組み合わせると、評価の理由を多角的な観点から説明できます。

  • 保有スキルや資格
  • これまでの経験や担当業務
  • 目標の進捗状況
  • 研修の受講履歴
  • 本人のキャリア希望

蓄積した人事データは、フィードバック面談や配置の検討、育成計画の策定、リスキリングの方針づくりなどにも活用できるでしょう。

ただし、人事データを増やすだけでは、評価の客観性や公平性は担保できません。入力不足で必要な情報が欠けていたり、入力する担当者によって偏りが生じたりする場合があります。人事データを活用する際は、データの網羅性や偏りの有無を確認しましょう。

4-3. AIが人事評価に与える影響

AIの活用が広がり、人事評価業務でも記録の要約やコメント案の作成、傾向分析などへの利用が検討されています。人事評価では、次のような活用例が挙げられます。

  • 目標や評価コメントの下書き作成
  • 1on1や日報など、日々の記録の要約
  • 評価者ごとの偏りや傾向の可視化
  • フィードバック面談に向けた論点整理

AIを上手に活用すれば、評価者の負担軽減や、確認漏れの防止が期待できます。

一方で、AIの出力には誤りや学習データに影響された偏りが含まれる可能性があります。AIだけで評価や処遇を確定させる運用は避けましょう。根拠となる事実の確認や、最終的な判断、従業員への説明責任は、評価者自身が担う必要があります。

5. 近年注目される人事評価制度・運用手法10選

2つのチームの比較

近年は、職務や役割を明確にし、評価へ反映する考え方が注目されています。あわせて、従業員の働き方の多様化や生産性、社内調和を重視する傾向も強まりました。注目される手法も、「企業から期待されている役割」や「企業・チームへの貢献」に重点が置かれたものが中心です。

各手法の特徴を表でまとめました。

手法 主な評価対象 期待できる効果 主なリスク
ノーレイティング 総合的な貢献 柔軟な処遇決定 印象評価に傾く
360度評価 多面的な行動 客観性の向上 集計に時間がかかる
バリュー評価 価値観に沿う行動 理念の浸透 評価軸が曖昧になる
ピアボーナス 日常の貢献 感謝の可視化 原資の管理が必要になる
リアルタイムフィードバック 直近の行動 早期の軌道修正 業務時間が圧迫される
OKR 高い目標への挑戦 全社の方向づけ 処遇連動が難しい
コンピテンシー評価 行動特性 基準の統一 多様性が失われる
チェックイン 面談での対話 評価工数の削減 長期評価が難しい
パフォーマンス・デベロップメント 成長度合い 育成の促進 短期業績が見えにくい
パルスサーベイ 組織の状態 制度課題の早期発見 回答が形骸化しやすい

いずれも評価をおこなう際に用いる手法ですが、パルスサーベイだけは、評価運用を補助するための手法です。近年注目を集めているため、例外的にほかの手法と合わせて説明します。

5-1. ノーレイティング

ノーレイティングとは、特定の指標を用いて評価しない人事評価手法です。企業やチームへの貢献度や日々のコミュニケーション、業務への取り組み方などから総合的に評価します。

指標の枠に縛られないため、指標では測りにくい貢献も反映できる点がメリットです。一方で、印象評価につながりやすく公平感が失われやすい手法でもあります。評価の背景を丁寧に伝えなければ、従業員の不満につながるでしょう。

関連記事:人事評価がいらない画期的な評価方法が日本でも注目されている!

5-2. 360度評価

360度評価とは、上司だけでなく、同僚や後輩からも評価を集める手法です。他部署の従業員からも評価を集める場合、より客観的に判断しやすくなります。

ただし、評価者が増えるため、集計や調整に時間がかかり、運用負荷が大きくなりやすい点に注意が必要です。匿名で実施しても、コメントから評価者が推測される可能性もあります。社内不和をおそれて率直な意見が集まらない可能性も考慮する必要があるでしょう。

5-3. バリュー評価

バリュー評価は、企業の価値観(バリュー)に基づいた行動ができているかを基準に評価する手法です。従業員の行動指針と企業の理念をそろえやすくなります。

しかし、バリュー評価は評価軸が定まっていないと解釈がばらつき、うまく機能しないおそれもあります。

5-4. ピアボーナス

ピアボーナスとは、従業員同士でインセンティブを贈り合う仕組みです。

従来の業績連動型のインセンティブは、事務職や企画職など、直接業績にはかかわらない職種の従業員は対象になりにくい点が課題でした。ピアボーナスであれば、従業員同士の感謝の気持ちからインセンティブが発生するため、職種を問わずすべての従業員に機会が与えられます。日々の業務に対する感謝が可視化され、仕事のやりがいや動機づけにつながるでしょう。

ただし、ピアボーナスの運用には、原資の確保や管理が必要です。

5-5. リアルタイムフィードバック

リアルタイムフィードバックは、部下の行動に対して、上司がすぐに助言する手法です。良い点も改善点もすぐに振り返られるため、業務に対する自信や成長につながるでしょう。

ただし、頻度を調整しなければ上司の負担が大きくなり、フィードバックの時間や準備で日々の業務を圧迫しかねません。社内制度として実施回数の目安を定めるなどの対策が必要でしょう。

5-6. OKR

OKRは「Objectives and Key Results」の略称です。「達成目標」と達成度を測る「主要な成果」を設定し、企業全体で同じ課題に取り組む手法をさします。KPIが100%の目標達成を前提とするのに対し、OKRは難しいが頑張れば達成できる高い目標を設定します。70%程度の達成でも成果として評価する運用が一般的です。

OKRの達成度を処遇へ直結させると、ハードルの高さから挑戦しにくくなるため、処遇との連動の度合いは慎重に決める必要があります。

5-7. コンピテンシー評価

コンピテンシー評価は「企業が掲げる優秀な従業員像」の行動特性をもとに評価する手法です。全従業員で評価軸をそろえられるため、公平でわかりやすい評価制度といえるでしょう。

一方、想定する従業員像の分析が誤っていた場合、評価制度自体が十分に機能しなくなります。従業員の個性や多様性が失われる可能性もあり、企業の中長期的な成長を見越した設計が必要になる制度です。

5-8. チェックイン

チェックインは、1on1などの面談を頻繁におこない、評価者と被評価者がフィードバックしあう評価手法です。面談や日々の業務への取り組み方をそのまま報酬に反映でき、評価にかかる時間や手間を大幅に削減できます。評価者側もフィードバックを得られ、PDCAサイクルを回しやすくなるでしょう。

ただし、長期の成果を評価しにくく、職種によって向き不向きがある点に注意が必要です。

5-9. パフォーマンス・デベロップメント

パフォーマンス・デベロップメントは、業績評価だけでなく、継続的な対話を通じて従業員の成長と成果向上を支援する考え方です。評価者には、従業員の成長を促すマネジメントが求められます。今後活躍する従業員の育成につながる点もメリットです。

しかし、パフォーマンス・デベロップメントでは直近の業績が軽視され、評価者の意識が向けられなくなるおそれがあるため、注意が必要です。

関連記事:エンジニアの評価制度における評価基準や注意点を紹介

5-10. パルスサーベイ|評価運用を補助する組織状態の把握手法

パルスサーベイは、少数の設問を高い頻度で実施する従業員調査です。「パルス(脈拍)」の名のとおり、週次や月次で組織の状態を測ります。

パルスサーベイは評価そのものをおこなう手法ではありません。評価制度が現場でどう受け止められているかを把握するための補助的な仕組みです。例えば、評価面談の直後に納得感を尋ねる設問を設定すれば、制度の課題を早期に発見でき、運用改善につなげやすくなります。

一方で、設問が多いと回答が形骸化しやすい点に注意が必要です。設問を絞り、結果をどう改善へ生かすかまで検討する必要があるでしょう。

関連記事:パルスサーベイは意味がない?その理由・効果を上げる方法を解説

6. 人事評価制度を導入・見直しする5つの手順

手順を示すブロック

人事評価制度を導入・見直しする際は、手法選びから始めると失敗しやすくなります。目的の整理から運用改善まで、順序立てて進めましょう。一般的な手順を5つに分けて解説します。

6-1. 現行制度の課題と見直しの目的を明確にする

人事評価制度を見直す際は、最初に現行制度の課題を洗い出しましょう。評価分布の偏りや面談の実施率、退職者の退職理由などから課題を探ります。

課題が明らかになったら、見直しの目的を1〜2つに絞りましょう。若手の定着や管理職の育成など、経営課題と結びついたものを目的にすると、見直しの効果が出やすくなります。目的が定まると、採用すべき手法も絞り込みやすくなるでしょう。

6-2. 評価軸・評価項目・評価基準を設計する

次に、評価の軸や項目、基準を決めます。評価軸は、成果・行動(能力)・情意の3つが一般的です。

軸を決めたら、職種や等級ごとに評価項目へ落とし込みます。各項目を5段階などに分け、段階ごとの状態を文章で定義しましょう。

評価軸ごとの重みづけも重要です。成果50%・行動30%・情意20%の配分で評価点を出す場合、次のように点数を出せます。

  • 評価:成果4点、行動3点、情意4点(各5点満点)
  • 計算式:4×0.5+3×0.3+4×0.2=2.0+0.9+0.8
  • 結果:総合3.7点

重みづけを先に決めておくと、評価者が違っても算出方法をそろえやすくなります。ただし、評価基準の解釈差は残るため、評価者研修や評価会議も必要です。営業職は成果を厚くする、管理部門は行動を厚くするなど、職種ごとに配分を変える方法も有効でしょう。

6-3. 等級・昇降格・給与などとの関係を整理する

評価を処遇へどう反映させるか決めます。等級制度や昇降格の要件、賞与や昇給への反映率を定めましょう。

反映のルールが不明確だと、従業員の納得感が得られません。「総合3.5点以上で昇給率○%」などの対応表を用意できれば公平性が確保でき、運用もしやすくなります。

6-4. 従業員への説明をおこなう

制度が固まったら、従業員へ説明します。説明内容は評価軸や基準、処遇への反映方法、実施スケジュールなどです。想定される質問や意見に対しては、あらかじめ回答を考えておきましょう。

あわせて、評価者向けに評価基準の読み合わせと模擬評価をおこなえば、運用がスムーズになります。

6-5. 定期的なフィードバックと改善を続ける

人事評価制度は導入して終わりではありません。評価のたびに面談をおこない、評価結果と理由を従業員へ伝えます。

評価制度の改善も重要です。半期または年次で、評価分布や面談の実施率を点検しましょう。パルスサーベイで納得感を測る方法も有効です。課題が見つかれば、必要に応じて評価基準や運用ルールを見直しましょう。

7. 人事評価制度を成功させるポイントと注意点

はてなと男性

人事評価制度を成功させるには、手法選びだけでなく従業員への説明、適切な運用も重要です。企業の経営課題や職場環境によって適切な手法は異なります。トレンドであれば良いとは限らず、導入の目的に合わせて適した手法を選びましょう。

人事評価制度が適切に機能するよう、運用で気をつけたいポイントを4つ解説します。

7-1. 評価基準・判断根拠を記録し、説明可能にする

人事評価は、結論だけでなく基準や根拠まで記録しましょう。評価に至った具体的な行動と、基準に照らし合わせた判断理由をあわせて記録します。

記録があれば、面談でも根拠を示しながら説明できます。評価者が交代しても、判断の一貫性を保ちやすくなるでしょう。

7-2. 評価者バイアスを抑え、評価者間の基準をそろえる

評価者バイアスとは、評価者の思い込みによって判断が歪む現象です。評価期間の終わりごろの出来事に引きずられる「期末誤差」や、目立つ1つの良い・悪い点の印象が全体の評価にまで影響を与えてしまう「ハロー(後光)効果」などがあります。

評価者バイアスを抑え、基準をそろえるための取り組みとしては、次の例が考えられます。

  • 評価者研修でバイアスの種類を共有する
  • 評価会議で評価を突き合わせる
  • 評価分布のデータから評価者ごとの傾向を可視化する

7-3. 処遇変更時は就業規則・不利益変更・均等均衡待遇を確認する

評価制度の変更により、従業員の処遇が変わる場合は、法的な手続きに注意しましょう。

労働契約法では、就業規則の変更が従業員にとって不利益なものである場合、変更後の就業規則を周知し、変更に合理性がある場合に限り効力が認められます。合理性の有無は、変更の内容や方法などをふまえて総合的に判断されます。

主な判断基準は次のとおりです。

  • 従業員が受ける不利益の程度
  • 変更の必要性
  • 内容の相当性
  • 労働組合との交渉状況

評価制度の変更が必要な理由を十分に整理し、変更点を丁寧に従業員へ説明しましょう。

雇用形態による待遇差にも注意が必要です。パートタイム・有期雇用労働法では、雇用形態を理由とした不合理な待遇差や、通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者への差別的取扱いを禁止しています。評価制度の適用範囲を決める際は、待遇差がパートタイム・有期雇用労働法に抵触しないかも確認しましょう。

関連記事:同一労働同一賃金とは?法改正の背景・目的や不合理な待遇差の禁止についてわかりやすく解説

7-4. 評価データとAIを適切に管理し、人による判断を残す

評価データは、機微な内容を含む個人情報です。利用目的を特定し、閲覧できる従業員の範囲を評価者や人事担当に限定しましょう。AIサービスを利用する場合は、入力データの保存・学習利用・外部提供の有無も確認します。

4-3章でも説明した通り、AIを使う場合は、出力をそのまま評価結果とする運用は避けるべきです。AIが示した内容の根拠となる事実を評価者が確認し、最終判断と説明責任は評価者自身が担いましょう。AIの回答は参考として受け取る運用のほうが、従業員への説明責任も果たしやすくなります。

8. トレンド導入を目的化せず、自社に合う評価制度を設計しよう

話し合う女性

人事評価制度は、年功・能力・成果を重視する考え方から、職務や役割も重視する方向へ変化してきました。近年は評価の透明性が求められる背景から、評価に対する説明責任がより重視される傾向がみられます。

人事評価制度では、トレンドの手法を導入すること自体が目的にならないよう注意が必要です。経営課題と職場の実態に合った手法を選び、運用をふまえて制度設計をしましょう。

柔軟で透明性のある評価制度を構築できれば、従業員の動機づけと組織全体の生産性向上につながります。

【従業員の評価、適切におこなえていますか?】

人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
適切に評価制度を運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上し、最終的には企業全体の成長にもつながるため、企業経営においてとても重要な要素です。

しかし「自社にあった最適な人事評価制度を作りたいが、そもそもやり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。

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