リソース管理とは?種類・やり方・成功させるポイントをわかりやすく解説
更新日: 2025.6.13 公開日: 2024.12.9 jinjer Blog 編集部

リソース管理とは、ヒトやモノ、カネなどの経営資源を最大限に活用し、効率的にプロジェクトを進めるための手法です。プロジェクトの成功には、リソースの適切な管理が欠かせません。
本記事では、リソース管理の概要や、対象となるリソースの種類、やり方、成功させるためのポイントなどを詳しく解説します。効果的なリソース管理をおこない、プロジェクトを円滑に進めましょう。
目次
人事労務担当者の実務の中で、従業員情報の管理は入退社をはじめスムーズな情報の回収・更新が求められる一方で、管理する書類が多くミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、人事異動の履歴や評価・査定結果をはじめ、管理すべき従業員情報は多岐に渡り、管理方法とメンテナンスの工数にお困りの担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. リソース管理とは


リソース管理とは、ヒトやモノ、カネなどの限られた経営資源(リソース)を効率的に活用し、プロジェクトや業務を成功に導く手法です。
リソースには設備や資金といった目にみえる有形資産だけでなく、スキルやノウハウなどの目に見えない無形資産も含まれます。
リソースは無限ではないため、限られた資源の中で最大限の成果を出すことが不可欠です。適切にリソースを配分し、計画的に管理することで、プロジェクトが順調に進行する可能性が高まります。
2. リソース管理の対象となる種類


リソース管理の対象となる種類は、以下のとおりです。
- ヒト
- モノ
- カネ
- 時間
- 情報
- 知的財産
2-1. ヒト
リソース管理の中で最も重要なのが「ヒト」、つまり「人的リソース」です。
プロジェクトを成功させるには、適切な人材の確保と管理が欠かせません。しかし、人的リソースの管理はほかのリソースと比べて複雑です。
スキルや経験は個々で違い、さらに感情やモチベーションなどの心理的要素も考慮する必要があります。
従業員一人ひとりのスキルや経験・キャパシティを正確に把握し、それぞれに合った業務に配置することが重要です。
関連記事:人的資本経営とは?必要とされる理由やメリットをわかりやすく紹介
2-2. モノ
リソース管理において「モノ」の管理も欠かせません。モノは「物的リソース」とも言われ、以下のようなものが該当します。
- 設備
- 備品
- 車両
- 建物
- 生産機器
上記に加え、ソフトウェアやサーバーなどのデジタル資産も対象です。
物的リソースが適切に管理されていないと、プロジェクトの進行に支障をきたす恐れがあります。
プロジェクトに必要な物的リソースを事前に把握し、必要なタイミングで使用できるように準備しましょう。
リソースが不足している場合は、新たに購入するなどの調整が必要ですが、その際には資金とのバランスも考慮する必要があります。
2-3. カネ
リソース管理の対象の一つは「カネ」です。カネとは経営資金のことで、以下のようなものが対象となります。
- 現金
- 株式
- 債権
- 借入金
- プロジェクトメンバーの給与
カネは、設備や備品の購入、さらには人材の確保にも不可欠です。しかし、資金管理が不十分だと、プロジェクトの途中で資金が不足し、結果として失敗するリスクが高まります。
プロジェクトにかかる費用を正確に計算し、どのように資金を配分するか慎重に検討しましょう。必要に応じて、融資を受けるなどの資金調達方法を検討することも大事です。
2-4. 時間
「時間」もリソース管理の対象の一つです。時間には以下のようなものが該当します。
- プロジェクトの期間
- 各タスクの締め切りまでの期間
- 従業員の稼働時間
時間は目に見えないリソースであるため、常に意識して管理することが必要です。
だれがどのタスクに、どれだけの時間を費やしているのかを正確に把握し、時間がかかる業務に対しては効率化を図ることが求められます。
従業員を無制限に労働させることはできません。タスクの優先順位を明確にし、重要な仕事から進めることが重要です。
また、各タスクにも個別に期限を設定し、プロジェクト全体の進捗を管理することも求められます。時間の管理をしっかりとおこなうことで、プロジェクトの遅延を防げるでしょう。
2-5. 情報
「情報」も経営資源の一つです。近年、情報は特に重要な経営資源として認識されています。
情報とは、企業の運営に必要なさまざまなデータや知識です。具体的には以下のようなものが対象となります。
- 売上データ
- 顧客情報
- 製品の製造技術
- ノウハウ
- 業務マニュアル
情報をシステムやExcelで管理し、必要な人が適切にアクセスできる状態を整備すれば、業務のスピードと正確性が向上します。
一方で、情報が流出すると企業にとって大きなリスクとなるため、セキュリティ対策も欠かせません。
情報を資源として捉え、適切に管理し活用することが重要です。
2-6. 知的財産
知的財産もリソース管理の対象となります。
知的財産とは、企業が開発したアイデアや発明、創造物などです。会社の利益を生み出す重要な資源であるため、他社に無断で使用されないように保護する必要があります。
特許や商標権などの法的手段を活用し、知的財産を適切に守りましょう。
3. リソース管理のメリット


リソース管理を正しくおこなうことで。さまざまなメリットが得られます。ここでは、リソース管理を実施するメリットについて詳しく紹介します。
3-1. プロジェクトの全体像をつかめる
リソース管理をおこなうメリットの一つは、プロジェクトの全体像をつかめることです。
リソース管理によって、プロジェクトに必要な要素が明らかになり、プロジェクトの規模や難易度を正確に把握することができます。
具体的には、以下の要素をリソース管理で把握することが可能です。
- プロジェクト遂行にかかる期間
- プロジェクトに必要な人数
- プロジェクトにかかる費用
- プロジェクト遂行に必要なスキルや知識
プロジェクトの全体像が理解できれば、リソースを最適に配分できます。その結果、プロジェクトを効率よく進められるでしょう。
3-2. 限られた経営資源を最大限に活用できる
リソース管理をおこなうことで、限られた経営資源を最大限に活用できます。
適切にリソースを管理すれば、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を効率よく配分できるためです。
例えば、従業員のスキルを正確に把握し、適材適所に配置できれば、業務効率が大幅にアップします。
時間や資金も適切に管理することで、プロジェクトの円滑な進行に役立つでしょう。リソース管理を徹底すれば、限られた経営資源を無駄なく活用できます。
3-3. トラブルを事前に回避できる
トラブルを事前に回避できることも、リソース管理をおこなうメリットの一つです。
リソース管理を実施することで、以下のような問題を早期に予測し、適切な対策を講じることができます。
- 人員不足
- 予算不足
- 納期遅れ
また、特定のメンバーに負担が集中することも避けられ、オーバーワークや燃え尽き症候群も予防できます。
適切なリソース管理により、プロジェクトの進行がスムーズになり、予期せぬトラブルにも迅速に対応できるでしょう。
3-4. 組織全体の認識の統一化につながる
リソース管理をおこなうことで、現状および将来的に必要となる経営資源を可視化できます。可視化された情報を全社で共有すれば、組織全体のリソースに関する認識が統一化されます。
組織のメンバーが共通認識を持ち、同じ方向を向いてプロジェクトに取り組むことで、生産性を高めることが可能です。また、従業員一人ひとりの役割も明確になり、仕事へのモチベーションや責任感の向上にもつながります。
4. リソース管理の具体的な方法・やり方


リソース管理は正しい手順で進めることで、高い効果が期待できます。ここでは、リソース管理の具体的な方法・やり方について順を追って解説します。
4-1. 現状あるリソースを一覧化する
リソース管理の第一歩は、「現状あるリソースを一覧化」することです。
プロジェクトに投入できる資金、各メンバーのスキルや稼働時間など、あらゆるリソースを正確に把握し、一覧にまとめましょう。
この際、「人的リソース」には特に注意が必要です。人的リソースは、個人のスキルや経験、時間管理などに依存するため、管理が難しい場合があります。
メンバーごとのスキルや経験などを正確に見極め、適切に割り当てることが重要です。
4-2. 必要なリソースを把握する
次に、プロジェクトを進めるうえで必要なリソースを把握します。プロジェクトの目的を達成するために、どのリソースが必要かを明確にしましょう。
例えば、以下のようなリソースを明らかにします。
- プロジェクトに必要な人員数
- 求められるスキルや知識
- 予算
- モノや設備
- 情報
- 知的財産
リソースを把握する際には、突発的な事態に備え、一定の余裕を持たせることが重要です。余裕を持つことで、トラブル発生時にも柔軟な対応が可能になります。
4-3. リソースを配分し計画を実行する
必要なリソースを把握したあとは、現状あるリソースを適切に配分し、計画を実行します。
プロジェクトにどのくらいのリソースを投入するのか、どの人員をどのタスクに割り当てるのかを慎重に検討しましょう。
リソースの偏りや不足を防ぐことで、プロジェクトを円滑に進められます。
4-4. 計画を評価し修正する
計画を実行したあとは、進捗状況を確認し、必要に応じて修正をおこないます。
プロジェクトは計画どおりに進行するとは限りません。進行中にさまざまな課題や問題が発生します。
定期的に計画を評価し、問題があればただちに修正しましょう。
問題をいち早く発見するためには、プロジェクトメンバーと定期的にコミュニケーションを取ることが重要です。
同じ問題が再発しないよう、原因を分析し、適切な対策を立てることも求められます。
5. リソース管理を成功させるポイント


リソース管理を効果的に進めるには、ツールの活用をはじめとしたいくつかの工夫が必要です。ここでは、リソース管理を成功させるポイントについて詳しく紹介します。
5-1. 業務適性を正確に判断する
リソース管理の効果を最大限に引き出すためには、各メンバーの業務適性を正確に判断することが不可欠です。
メンバーはそれぞれ強みと弱みを持っています。個々の特性を理解し、適材適所に配置することで、業務効率が向上するでしょう。
例えば、細かい作業が苦手な人でも、対人スキルを活かして営業などの分野で優れた成果を上げられるかもしれません。
もし適性に合わない業務に配置されると、ストレスが増え、パフォーマンスが低下するリスクもあります。
メンバーとのコミュニケーションを密に取り、スキルや特性をしっかり把握しましょう。
5-2. 進捗状況を定期的に確認する
プロジェクトの進捗状況を定期的に確認することも、リソース管理を成功させる秘訣です。
プロジェクトは計画どおりに進まないことも多く、途中で予期せぬ問題やタスクが頻繁に発生します。
進捗確認の際には、以下の項目を確認しましょう。
- スケジュールは順調に進んでいるか
- リソースに偏りはないか
- タスクの優先順位は適切か
進捗に問題があれば、計画を見直し、リソースの再分配やスケジュールの再調整をおこない、プロジェクトの円滑な進行を確保する必要があります。
関連記事:KPIマネジメントとは?重要性や設定の手順を詳しく紹介
5-3. リソース管理に役立つツールを導入する
リソース管理を人の手だけでおこなおうとすると、時間や手間がかかります。また、ミスが生じ、正確な把握が難しくなる恐れもあります。リソース管理を効率化したい場合、専用の管理システムを導入するのが効果的です。
リソース管理に役立つツールにはさまざまな種類があり、目的に応じて使い分けることが重要です。例えば、人材を管理するなら「タレントマネジメントシステム」、スケジュールを管理するなら「タスク管理ツール」などの導入がおすすめです。自社の目的や管理したいリソースにあわせて、適切なシステムを選定することが大切です。
関連記事:タレントマネジメントとは?目的やメリット、導入方法まで徹底解説
6. 最近注目されている人的リソース管理(HRM)とは?


人的リソース管理とは、人的資源管理(HRM:Human Resource Management)ともよばれ、少子高齢化やグローバル化、ESG投資の拡大といった背景を受けて、近年注目されています。
人的リソース管理を適切におこなうことで、限られたメンバーで高いパフォーマンスを発揮することが可能です。また、従業員エンゲージメントの上昇や、ステークホルダーの満足度向上といったメリットも得られます。
ここからは、人的リソース管理の具体的な手法について詳しく紹介します。
6-1. スキルマネジメント
スキルマネジメントとは、従業員一人ひとりが持つスキルを可視化して一元的に管理することです。スキルには、業務遂行に必要となる技術的なスキルに加え、協調性やコミュニケーション能力などのヒューマンスキルも含まれます。
スキルマネジメントを実施することで、従業員がどのようなスキルを保有しているのか可視化し、事業経営の視点から不足しているスキルを特定できます。これにより、今後の適材適所の人材配置や効果的な人材育成に役立てることが可能です。
スキルマネジメントを効果的に実施するためには、従業員の保有スキルや経験を可視化・整理できる「スキルマップ」の活用が有効です。また、スキル管理業務の効率化を図るために、タレントマネジメントシステムやスキル管理システムの導入を検討することも有効な手段です。
関連記事:スキルマップとは?導入で得られるメリットや作り方を解説
6-2. パフォーマンスマネジメント
パフォーマンスマネジメントとは、従業員の目標達成に向けた行動や成果を支援・促進するマネジメント手法です。パフォーマンスマネジメントを実施することで、従業員のモチベーションを向上させ、高い成果を生み出しやすくすることが可能です。
目まぐるしく変化する現代のビジネス環境では、自ら考え行動する力がより重要になっています。また、グローバル化やダイバーシティ&インクルージョンの推進により、人材の価値観や働き方も多様化しています。
このような時代においては、上司が一方的に評価するのではなく、対話を重ねながら、従業員が主体的に課題を認識し、解決に向けて行動できるよう支援する姿勢が求められます。代表的な手法としては、目標の明確化と進捗の可視化をおこなう「目標管理制度(MBO)」、定期的な対話を通じて支援する「1on1ミーティング」、他者からのフィードバックを得る「360度評価」などがあります。
関連記事:目標管理とは?意味や導入のメリット・デメリットを紹介
6-3. ストレスマネジメント
ストレスマネジメントとは、従業員が抱えるストレスに対して、適切な対処や予防をおこない、心身の健康を保つための取り組みです。
現代社会は、テクノロジーの進化や働き方の多様化などにより、情報過多や変化への適応が求められる場面が増え、ストレス要因が増加しています。これにより、心身の不調を訴える人が増加し、仕事のパフォーマンスや職場全体の生産性の低下を招くリスクも高まっています。このような背景から、ストレスマネジメントは企業にとって重要な課題になっています。
ストレスマネジメントの方法の一つとして、定期的に実施するストレスチェックがあります。ストレスチェックをしたら、その結果を分析し、職場環境を改善するなど、適切なケアをおこなうことが大切です。また、ストレスへの理解を深め、セルフケアの方法を学ぶための研修や、メンタルヘルスに関する教育機会を設けることも有効な手段です。
関連記事:ストレスチェックとは?必要性・メリット・効果を高める方法を解説
6-4. アサインマネジメント
アサインマネジメントとは、従業員のスキルや適性、キャリア志向を踏まえた最適な人材配置をおこなうマネジメント手法です。
少子高齢化により人材の確保が難しくなる中、限られた人的リソースを有効に活用するためにも、適材適所の人員配置がますます重要になっています。適切な配置がなされれば、従業員一人ひとりの力を最大限に引き出し、少ない人数でも高い成果を出すことが可能でしょう。
アサインマネジメントの代表的な手法には、あえて困難な業務に従業員を配置することで成長を促す「ストレッチアサインメント(タフアサインメント)」、重要な業務に複数の人材を配置してリスクを分散させる「ダブルアサインメント」などがあります。自社の目標や風土にあわせて、適切なアサインメントマネジメントを取り入れることが大切です。
関連記事:ストレッチアサインメントとは?メリットや注意点を詳しく解説
7. リソースを適切に管理して限りある経営資源を最大限に活用しよう


リソース管理とは、経営資源を効果的に運用するための手法です。
経営資源にはヒトやモノ、カネ、時間、情報、知的財産など、さまざまな資源が含まれます。中でも重要となる経営資源は「人的リソース」です。
従業員のスキルや経験を的確に把握し、適切な業務に配置することで、プロジェクトはよりスムーズに進行します。
適切なリソース管理をおこない、限られた経営資源を最大限に活用し、プロジェクトを成功に導きましょう。



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