企業成長を促すロールモデルとは?決め方のヒントや導入ステップを解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.12
jinjer Blog 編集部
ロールモデルを意識的に作ることは、社員の成長を促し、企業経営にもよい効果をもたらすといわれています。しかし、どのような人物をロールモデルとすればよいのでしょうか。
この記事では、ロールモデルの概要と候補となる人物像について解説しています。また、決め方のヒントや導入ステップも説明しているのでぜひ役立ててください。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
資料では、人事評価制度の基本となる種類の解説や、導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。自社の人事評価に課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

1. ロールモデルとは
ロールモデルとは、模範となる人物のことです。「こうなりたい」と目標にする存在であり、行動や考え方を学ぶことで社員のキャリア形成に役立ちます。近年、働き方の多様化や女性活躍が進むなか、選択肢が増加しており将来設計に悩む社員も少なくありません。
しかし、ロールモデルがあることで、具体的なキャリア像がイメージしやすくなります。目標が定まれば社員の成長速度もあがり、企業にとっては生産性向上などによる業績向上が期待できるでしょう。
ロールモデルの導入は人材育成の一環です。政府も推進しており、厚生労働省は、メンター制度やロールモデル導入に向けたマニュアルを公開しています。
参考:女性社員の活躍を推進するための「メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル」|厚生労働省
2. ロールモデルの導入で期待できる効果
企業がロールモデルを導入すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは、導入により期待できる効果を4つ紹介しましょう。
- 組織の活性化
- ダイバーシティ・女性活躍の推進
- キャリア形成
- 定着率の向上
2-1. 組織の活性化
ロールモデルとなる側、目指す側の両方が切磋琢磨することにより、組織の活性化につながります。ロールモデルとなる側は模範となる存在として、また、目指す側の社員もいずれはだれかの手本になれるようにと意識して行動するためです。
相乗効果で社員が今まで以上に能力を発揮できれば、企業成長にも有効です。さらに、ロールモデルとなる人物との交流が生まれることで、社内コミュニケーションの改善も期待できます。
2-2. ダイバーシティ・女性活躍の推進
ダイバーシティ(多様性)や女性活躍の推進も、ロールモデル導入で期待できる効果です。企業経営において多様な人材の活用は、生産性や競争力アップ、イノベーションの創出につながります。
女性の管理職や先輩が少ないことから、進むべき方向性を描きにくい女性社員もいるでしょう。さまざまな価値観・ライフスタイルのロールモデルを作ることで、社員は自分に合ったロールモデルを選択でき、具体的なキャリア形成を図れます。
2-3. キャリア形成
ロールモデルの導入で、社員は自身のキャリアパスを描きやすくなります。ロールモデルとなる人物が行動指針となるため、目指すべき姿をイメージしやすく、習得するスキルや経験すべき取り組みなどが明確になるでしょう。
社員は、具体的な目標が設定できることでモチベーションがアップし、成長速度も促進できます。
2-4. 定着率の向上
理想的なロールモデルが存在し、将来をイメージしやすい職場であれば、社員の離職防止につながります。少子高齢化により労働人口が減少し、企業における人材不足は深刻です。
ロールモデルとなる人物と一緒に働きたい、学びたいといった思いがモチベーションとなるうえ、理想のキャリアを実現できれば、定着率向上が期待できるでしょう。
3. ロールモデルの候補となる人物像
ロールモデルは、求めるスキルや職種、性別などさまざまな視点で設定するとよいでしょう。必ずしも1人である必要はなく、複数人を設定できます。ここでは、ロールモデルの候補となる人物像について解説します。
- 上司・先輩・同僚
- 交流のある社外の人物
- 有名人・歴史上の人物・偉人
3-1. 上司・先輩・同僚
最も代表的なロールモデルは、身近な上司・先輩・同僚です。社内で働く人物をロールモデルとすることで、間近で働き方や価値観を学べ、ノウハウをそのまま仕事に活かせます。アドバイスや指導もしやすく、キャリアプランも立てやすいでしょう。
3-2. 交流のある社外の人物
取引先の担当者など、社外の人物をロールモデルにする方法もあります。同業種ならば、業界内における今後の働き方を参考にでき、他業種であっても仕事への取り組み方や考え方を学べるでしょう。
3-3. 有名人・歴史上の人物・偉人
有名人や歴史上の人物、偉人をロールモデルにするのも1つの方法です。行動や考え方などを細分化し、参考にできそうな部分を自分のキャリアプランに落とし込むとよいでしょう。
ただし、身近な人物ではないことから憧れで終わったり、抽象的になったりする可能性があるため注意が必要です。
4. ロールモデルの人物例
ここからは、ロールモデルの人物例として、著名人の候補を3人紹介します。
- 渋沢栄一
- 稲盛和夫
- 宮越真理子
4-1. 渋沢栄一
渋沢栄一氏は、明治から大正にかけて活躍し、「日本資本主義の父」や「近代日本経済の父」と称される実業家です。2024年度に発行された、新一万円札の肖像に採用されました。
第一国立銀行や東京商法会議所所、東京株式取引所など約500の企業の設立に関わり、関連書籍も数多く出版されています。
4-2. 稲盛和夫
稲盛和夫氏は、京セラ株式会社とKDDI株式会社の創業者です。政府の要請を受けてJALを3年で再生させるなどし、「経営の神様」と称されています。
「アメーバ経営」や「稲盛会計学」など、経営体験に基づいたさまざまな原理原則も有名です。ボランティアで「盛和塾」の塾長を務め、すでに経営者にとってのロールモデルとなっています。
4-3. 宮越真理子
宮越真理子氏は、株式会社ホテル小田急サザンタワーの常務取締役総支配人兼営業部長です。営業推進部長やマーケティング部長などを歴任し、2022年に就任しました。
結婚後、仕事と家事の両立に悩みながらも周囲の支えで乗り越え、キャリアアップしています。働く女性のロールモデルとして挙げたい人物の1人です。
5. 【社員別】ロールモデルの決め方のヒント
ロールモデルは社員の経験や現在のポジションによって異なります。ロールモデルとして求められる要件を社員別に確認しましょう。
- 新入社員の場合
- 中堅社員の場合
- ベテラン社員の場合
5-1. 新入社員の場合
新入社員向けのロールモデルは、ビジネスの基本をしっかりと身につけた、年齢が近い若手社員を設定します。
新入社員に求められるのは、社会人としての仕事の進め方やコミュニケーションの取り方などです。指示を理解し、業務の遂行において参考になる人物にするとよいでしょう。
5-2. 中堅社員の場合
中堅社員向けのロールモデルは、キャリアビジョンを持ち、主体的に仕事ができる人物が最適です。中堅社員はスケジュール管理や段取り、部下や後輩への指示・指導、他部署との調整などが求められます。
ロールモデルには、コミュニケーションスキルが高く、現場を牽引できるような人物がよいでしょう。
5-3. ベテラン社員の場合
ベテラン社員向けのロールモデルは、マネジメント能力を有する管理職を設定します。チームをまとめ、成果が求められるベテラン社員には、リーダーシップが必要です。
コミュニケーションや交渉スキルなどが求められるため、現場のパフォーマンス向上に長けた人物がよいでしょう。
6. ロールモデル導入の具体的なステップ
ロールモデル導入に向けた具体的なステップを確認しておきましょう。
- ロールモデルの設定
- 人物の選定および育成
- 行動や考え方を分析
- ロールモデルの周知
6-1. ロールモデルの設定
自社が求める人材や部門、年代などからロールモデルを設定します。経験値別に身につけてほしいスキルや理想とする働き方などを考慮し、いくつかのパターンを検討しましょう。
6-2.人物の選定および育成
当てはまる人物が社内にいれば問題ありませんが、いない場合は育成する必要があります。以下は、代表的な育成方法です。研修を通して、ロールモデルに必要なスキルや能力を身につけさせます。
- 集合研修:セミナー・勉強会・外部研修の実施
- 個別研修:eラーニング・通信講座の受講。必要に応じてOJTやジョブローテーションも実施
6-3. 行動や考え方を分析
ロールモデルとなる人物の行動や考え方を分析します。可能であればヒアリングをおこない、保有資格やスキル、仕事の管理方法などを把握するとよいでしょう。
分析結果をまとめ、マニュアル化しておくと、今後の人材育成にも役立ちます。
6-4. ロールモデルの周知
ロールモデルとなる人物を社内に周知させることも重要です。
例えば、広報誌や社内SNSに経験談を交えて紹介するとよいでしょう。研修や採用活動時に紹介するのも有効です。年代・職歴・性別などパターン分けすると参考にしやすくなります。
7. ロールモデルの活用で持続的な企業成長を実現しよう
ロールモデルを導入すると、社員それぞれがキャリアプランを立てられるようになります。モチベーションがアップすることで、組織の活性化や定着率の向上などが期待でき、企業成長につながるでしょう。
まずは、自社にどのようなロールモデルが必要なのかを把握することが大切です。この記事を参考に、ぜひロールモデルを活用してください。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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